『FLESH & BLOOD12 』/松岡なつき 著
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(2015年読書感想45冊目)
松岡なつき 著
彩 イラスト
おすすめ度★★★★★(ビセンテ! ビセンテ! ビセンテ好きにはたまらない、怒涛のチェイス編です!)
この本の概要
日本のBL小説作家、松岡なつきさんの著作。レーベルはキャラ文庫。
「FLESH&BLOOD」シリーズの第12作目になります。
この本からイラストの担当が、雪舟薫さんから、彩さんにバトンタッチです。
雪舟さんの水のように涼しげなイラストと違った、炎のような鮮やかなイラスト、素敵です。
でも人物紹介の年齢表記はいらなかったかも。すごくびっくりしたから!
本のあらすじ
スペインの二重間諜、ラウルの手引きによってジェフリーと再会し、イングランドの仲間の元へと脱出を図る海斗。
それを必死に追跡するビセンテ。
しかも海斗には結核の疑いがあって…!?
この本の読みどころ
スペイン男ビセンテの涙と愛
最初に断っておきますと、この巻のジェフリーはとても素敵です。
しかしそれ以上に、スペインびいき、ビセンテ大好きな私としては、スペイン男の涙と愛を見せつけるビセンテに、同じように泣き、そうして愛おしい気持ちに一杯になりました。
ビセンテがアロンソにいった、「(海斗を)愛しているのです」のセリフが胸を打ちます。
もうこの巻は、ビセンテの愛を堪能し、涙する巻です。
海斗の容態と、和哉の再登場をにおわせる描写も楽しみですが、ビセンテの前ではすべてかすんでしまいます。
感想
ビセンテの愛と涙について熱弁してしまいましたが、とにかく息を呑むほど緊迫した、脱出と追跡の攻防が、本当に面白い一冊です。
そこにそれぞれの登場人物の想いが交錯するのですから、たまらなく熱い気持ちになってしまいます。
イラストが復活したのも嬉しくて、彩さんのイラストも、個人的にはとても素敵で、麗しいと思います。
この話はジェフリー×海斗が基盤にあるのは判っているのですが、正直主役二人よりも脇役が魅力的です。
読み始めたら、お気に入りの登場人物が気になって、BL小説であることも忘れて読みふけること間違いなしで、読めば読むほどにこのシリーズの虜です。
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FLESH&BLOOD11 (松岡なつき 著)
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(2015年読書感想39冊目)
松岡なつき 著 雪舟薫 表紙絵
おすすめ度★★★★★(息もつかせぬ奪還編! 熱いです! 面白いです!)
この本の概要
日本のBL小説作家、松岡なつきさんの大人気シリーズ「FLESH&BLOOD」の11冊目に当たります。
この本で、今までイラストや挿絵を手掛けて雪舟薫さんがイラストを手掛けるのは最後になります。
出版社は徳間書店。
レーベルはキャラ文庫で、スペイン編も佳境の海斗奪還編になります。
雪舟さんのイラスト、大好きです! お疲れさまでした!
本のあらすじ
スペイン王宮で毒殺されかけた海斗は、療養のため一時パストラーナへ。
ビセンテにも情が移りかけたころ、二重間諜の修道士、ラウルの計らいで、ジェフリーと感動の再会を果たすが!?
ジェフリーたちは、海斗奪還のために猛反撃に打って出る!
この本の読みどころ。
敵であるビセンテを見殺しにできない海斗の苦悩
私はこのシリーズではスペイン組を凄くひいきにしていて、特にビセンテはシリーズ一のお気に入りキャラなのです。ビセンテの幸せは私の幸せくらいの勢いだったのですが、この巻ではそのビセンテに対して情が移ってきた、海斗の「ビセンテやレオが死ぬ未来が判っているのに、見殺しにすることは出来ない」という苦悩がとても丁寧に描かれていて、ビセンテが可哀想で仕方なく、それ以上に、おそらく初めて、海斗にものすごく感情移入しながら読んでしまいました。
海斗は、歴史を変えるようなことはしないと誓いながらも、ビセンテのために、こっそりその歴史を変えてしまうようなメッセージを残します。これで、スペインの負けが決まっていた例の海戦の行方にも、一石が投じられたのでしょうか。もうこの時点で先が見えなくなってきていて、本当に面白いです!
また、作者の松岡なつきさんは、シリーズ11冊目になるこの巻のあとがきで、主要人物はたぶん出そろった、と書いています。
最後の主要人物はアロンソ様かな。
だとしても、松岡さんの中にこの物語の壮大なプロットがあったんだなと感じられ、本当にすごいなと思てしまいます。
BL小説としては、海斗の結核疑惑もあり、管を重ねてもすがすがしいほど清らかな海斗ですが、よく考察された時代背景や歴史解釈、丁寧な心理描写などは、本当に素晴らしく、このシリーズはとても面白い! 名作だ! と断言できるものがあると思います。
心はジェフリーのものであることは揺るがずとも、ビセンテを慮る海斗のやさしさと、それに伴う苦悩は、この巻の素晴らしいところ路の一つでしょう。
海斗への愛を自覚したビセンテ。それはもはや恋ではなく、愛なのです。
この巻は、とにかくビセンテのやさしさと献身ぶりが際立つ一冊。
ビセンテも海斗も、ビセンテの感情は、弟に対する兄のような愛情なのだとお互いに感じていましたが、この巻で、ビセンテは海斗への愛情をはっきりと自覚します。
自覚したときには、それはもはや、恋ですらなくなっていて、深い愛情になっていたのです。
海斗の心が自分の物にならないのも、ビセンテは潔いまでに自覚しています。
それでも、海斗の傍にいることが許されるのは自分だけなのだと、しばりつけ、自由を奪うことでしか自分の愛を表現できないことを呪いながら、海斗を深く深く愛しています。
ジェフリーともナイジェルとも、全く違う愛し方。でも、とてもビセンテらしいと思います。
この本の感想
この巻は、スペイン組の個性も、イングランド組の個性や友情も、遺憾なくたっぷりと描かれ、それぞれの対比が鮮やかな一冊となっているとおもいます。ジェフリーも、海斗といるときより、ナイジェルやキットといるときのほうが活き活きしているように感じられて好きです。
というかこの巻でさりげなく一番愛されているのは、ナイジェルだと思います。ジェフリーのほのかな初恋の君という描写に、わあ、二人の過去のお話もすごく読んでみたい! などと思わされて仕方ありません。
そんなナイジェルも、自分に熱烈な愛情を寄せるキットに対しては鉄壁のツンツンで、キットがんばれ! と思う反面、ナイジェルはキットにはデレなくてもいいなどと思ってしまいます。
また、この巻ではスペイン組も新しい人間関係を築きます。
ビセンテとアロンソ様、フェリペ二世の寵愛を争う二人が友人になります。
人懐こく、人を魅了してやまないアロンソ様が、これからどう物語に絡み、ビセンテに、あるいはレオにとってどういう存在になっていくのかが楽しみです。
スペイン組も魅力的な人たちばかりです! ぜひ頑張ってほしいと思い、応援しています。
次の巻は、丸ごと一冊スペイン脱出篇になるのでしょうか。
海斗にかかる結核の疑いなど、暗い影も感じられ、続きが読みたくて仕方ありません。
しかし結核なら、海斗とジェフリーにはまたしても焦らされるだろうなと思うと、ある意味では本というに、BL小説だということを忘れられるというか、安心して読めるというか。でも、それでもこんなに面白いBL小説ってすごいと思います! このシリーズ大好きです。
世界史の知識に疎くても、面白いと感じられる。そんなところもいいな、なんて思ってしまいます。
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ストラヴァガンザ 仮面の都(上)(メアリ・ホフマン)
![]() | ストラヴァガンザ 仮面の都 (SUPER!YA) (2010/06/29) メアリ ホフマン 商品詳細を見る |
(2014年読書感想46冊目)
メアリ・ホフマン 著 乾侑美子 訳 丹地陽子 表紙絵
おすすめ度★★★★✩(4・5くらい。とにかく夢中になって読めるファンタジーです!)
「ああ女公様、ご婚礼が待ち遠しくていらっしゃいましょうね!」
「そうね。いつもの年と同じくらいにね」(p12)
―侍女とドゥチェッサの会話ー
ずっとずっと興味はあったけど、ハードカバー版の分厚さから読むのをためらっていたファンタジー小説、ストラヴァガンザが、ソフトカバーで上下巻になっているのを図書館で発見し、思わず借りて読書しました。表紙は大好きな丹地陽子さんの手によるもので、主人公のルシアン(ルチアーノ)が描かれています。ルシアン、たしかになかなかの美少年ですね。
お話としては、病弱な少年がある出来事をきっかけにタイムトラベルし、16世紀のヴェネツィアを彷彿させる都市、ヴェレッツァにストラヴァカント(タイムトラベル)を繰り返すことから、お話が展開していきます。
現代と過去が交錯するので、読みにくいのかなー?? と思っていたのですが、細かく段落で分かれていて、読みやすいです。
そうして、物語にスピード感と、読者を世界に取り込む「力」のある作品となっています。面白い!
ルシアンにはなんだか感情移入して読んでしまいますし、アリアンナも可愛い。でも、なんといっても魅力的なのはドゥチェッサとロドルフォの二人でしょう。大人なバイプレイヤーの皆様がなんとも魅力的です。
とにかく読みやすくて、ページをめくり出すと一気に読めること間違いなしの作品です。
物語はまだどういうふうに展開していくのかわからないところがあり、終着点もまだわからないですが、この本を読んでいると、自分がまるで本物の、ドゥチェッサを慕うヴェレッツァっ子になったような、ルシアンと一緒にタイムトラベルしているような、そんな気持ちになれる、ワクワクできる一冊です。ヴェレッツァの都市が視えるような読書体験です。
また、ハードカバー版よりこちらのソフトカバー版がまたいいです。上下巻各250ページほどと、読みやすくて、装幀もいいです。朝の読書とか通勤通学時間に、ちょっとづつ読んでも楽しめるお話だと思います。
個人的には、アリアンナが物語にどうか変わっていくのか、ルシアンは最終的に現代とヴェレッツァどちらを選ぶのか、その辺りがとても気になります。早く続きが読みたい! そんな本です。
展開がある、スピード感のあるワクワクドキドキ系のファンタジー小説を読みたい方には、特におすすめのシリーズです。
FLESH&BLOOD 10(松岡なつき)
- FLESH&BLOOD 10 (キャラ文庫 ま 1-20)
- 発売元: 徳間書店
- 発売日: 2007/06/23
(2014年読書感想30冊目)
松岡なつき 著 雪舟薫 イラスト
おすすめ度★★★★☆(新キャラも出てきて、スペイン組好きにはたまらない一冊!)
今、エリザベス朝の頃のスペインが熱くて、勢いで久しぶりに読んだBL小説、「F&B」シリーズの第10巻。
表紙がビセンテですよ! すごくお洒落していて、本当に格好いいです!
異端審問にかけられる海斗。いつも傍にいてくれるビセンテと国王フェリペの計いで、有能な弁護人、ラウル・デ・トレドを付けてもらえて、ほっとしたのも束の間、今度は毒殺されかけて??
もう、この時代のスペインは本当に怖いですね! 海斗がかわいそうでかわいそうで、読むのが辛いシーンが多かったです。
新しく出てきたラウルは、今までちょっといなかった感じのキャラクターで、これからどうかかわってくれるか楽しみ!
今回は波乱のスペイン編ということで、スペイン組びいきの私には嬉しかったです。しかし前述のとおり痛々しいシーンが多くて……。BL小説なのに、話のやすらぎどころがビセンテの騎士話(という名のサクセスストーリー)ってどういうことなの!? と思ってしまいました。BL小説ですが、女性に大変モテるビセンテにときめいてしまいます。ビセンテの幸せは私の幸せ位の勢いで本を読んでいたくらいビセンテが好きな私……。
ビセンテが好きすぎて、ジェフリーの良さがまたもやわからなくなってきましたよ(ジェフリー好きな方、ごめんなさい)
そして、忘れちゃいけない和哉の存在。
和哉も、すっかり変わってしまいましたね。ですが再登場ありそうな感じで嬉しいです。一体どんなふうに今後の物語が展開していくのか、大変楽しみです。
今回は雪舟さんの挿絵も少しですが復活していて嬉しかったです。特にラウルが見れたのが良かったな。この時代の物語には、神父やシスターが不可欠ですからね。ラウルはいい意味でも悪い意味でも魅力的なキャラクターだと思うので、期待しています。
次の巻では、いよいよ海斗の奪還へと物語が動くのでしょうか。
海斗の故郷はスペインではなくイングランドだと思うので、早くジェフリーと再会できればいいなって思います。(ビセンテには悪いけど……)
あと、レオがかなりの美少年らしいという描写があって、嬉しいやら驚いたやら。この世界のスペインって美男が多いですね。というか美男ばっかりです。そんな中、フェリペの寵愛あついアロンソ様の出番も、心待ちにしています! 本当、やっぱり読み出すと止まらない、続きがきになるシリーズです。
FLESH&BLOOD 9(松岡なつき)
(2014年読書感想4冊目)
松岡なつき 著 雪舟薫 イラスト
おすすめ度★★★★☆ (スペイン編スタート! ビセンテがたまらなく好きです!)
『俺……本当に死神なのかもしれない……』
ビセンテは細い肩をぎゅっと抱き締めた。
『いいや、守護天使だ』(p82)
大人気BL小説、「FLESH&BLOOD」の第9巻。
遂に海斗がスペインの地を踏まされます! スペイン編スタート! な一冊。
なによりこの本で一番悲しかったのが、雪舟さんの挿絵がないことでした……!
いつも雪舟さんの美麗なイラスト楽しみにしていたのに……! アロンソ様とかフェリペ二世とか、挿絵で見たかったです。
お話としては、海斗の一挙一動に一喜一憂する、まるで乙女のようなビセンテを堪能する話になっています。
しかしビセンテの好みが、「脆く儚い存在」だなんてときめきます。脆い物、儚い物っていいですよね!
海斗も海斗で、ビセンテを好きにならないように、わざときつく当たるさまがたまらなく美味しかったです。海斗を弟のようにかわいがり大事にするビセンテに、大変萌えてしまいました。
海斗奪還に向かうジェフリーとナイジェルたちの道中も、意外な? 助っ人を迎えて楽しくなりそうなのですごく期待です! マーロウって好きです!
それにしてもこのあたりの歴史背景に詳しくない私でも夢中で読めちゃうフレブラってすごいなあ。もっと詳しく知っていればもっと楽しめるだろうから、勉強しようかな??
次々と海斗に降りかかる災難に、ジェフリー、早く助けに来てあげて! と思う反面。もっともっとスペインにいてほしいような気分になります。ビセンテもレオもいいやつなんですもの。
しかし海斗は高校生とは思えないくらい頭がいいなあ。育ちがよかったのもあるのかも?? 私なんかよりよっぽど色々なことに詳しいです。
スペインに入って、ますます目が離せない展開ですね。続きもどんどん読みたいと思います!