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2019-09

『かなしき女王―ケルト幻想作品集』/フィオナ・マクラオド 著




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(2015年読書感想68冊目)

フィオナ・マクラオド 著
松村みね子 訳 
東逸子 表紙絵

   
おすすめ度★★★★★(素晴らしいの一言。美しく残酷なケルトの哀しみ)


この本の概要
アイルランドの小説家、フィオナ。マクラオドのケルトの神話伝説を題材にした短編集。
フィオナ・マクラオドは執筆名で、実際は作者は男性である。
キリスト教を題材にしたもの、ケルト神話を題材にしたものなど、収録されている話の幅は広い。

本のあらすじ

短編集のため割愛
収録作品は以下のとおり

海豹
女王スカァアの笑ひ
最後の晩餐
髪あかきダフウト
魚と蠅の祝日
漁師

約束

浅瀬に洗う女
剣のうた
かなしき女王



この本の読みどころと感想


ケルトらしい残酷で透明な哀しみを堪能できる珠玉の短編集


私はケルトが好きです。
あの、琴と詩と戦を愛し、黄昏のような悲しみに沈みゆく永遠の場所が。
この短編集には、そういった私のケルトを愛する理由が、惜しみなく、美しく、そうして残酷に悲しく、凝縮されています。個人的には傑作。
旧字旧仮名遣いの表記ですが、むしろそこがいい。
ケルトの女は美しく残酷で、ケルトの男は猛々しくて脆い。
ケルトという民族は本当に素晴らしく、永遠のロマンです。
この短編集を読めて良かった。読んでいる時間は、至福でした。
ケルトというものへの限りない愛情と哀切、承継といったようなもの。
この本には、そういった全てのものが詰まっています。
ケルト好き必読の書に違いありません。
言葉は不要です。何も聞かずに、ただ読みましょう。
個人的には、「髪あかきダフウト」「精」「琴」がお気に入りでした。


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『ペガーナの神々』/ロード・ダンセイニ 著




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(2015年読書感想43冊目)

ロード・ダンセイニ 著 
荒俣宏 訳   
おすすめ度★★★★★(幻想きわまる素晴らしい創作神話です!)


この本の概要

アイルランドの小説家で、軍人としての経歴も持つ、第18代ダンセイニ男爵の処女作にして代表作。
同一世界観の「ペガーナの神々」「時と神々」を収録している。
ハヤカワ文庫FTの5番目の本である。

本のあらすじ

偉大なる神々の中の神々、アマナ=ユウド=スウシャイは長いこと微睡んでいる。
アマナが寝ている間、他の神々は戯れで地球を創造した。
そうして気まぐれで、人々や地上にかかわるのだ。
これは神々と人間の、夢想のような神話である。


この本の読みどころ


幻想美きわまる、夢幻と諦観の神話群。それは砂漠に咲く花のように鮮やかで儚い。


ダンセイニの創作したこの神話群、ペガーナの神々は、まるで至高神アマナが微睡む間に見ている夢のような世界であり、幻想美の極致といった文章と、淡々とした無常観ににた諦観が絶妙のバランスで混ざって書かれた傑作です。
荒俣宏さんの翻訳も端正であり読みやすく、ただただダンセイニの描く夢のような世界に、読みながら浸っていればいい。
これがこの本の楽しみ方のような気がしてなりません。


感想

ダンセイニといえば、「エルフランドの王女」を読み、その余りの意味不明な、面白いのかもよくわからない世界に挫折したという思い出がある。「妖精族のむすめ」も読んだが、正直面白いのかわからない。
ダンセイニといえば私にとって、好きだけどなぜ好きなのかわからない。しかしとても惹かれる作家、でした。
でもこのペガーナの神々は素晴らしい。
神々と人間、それぞれの役割や生きざまを夢のように、淡々とむなしく、そのために時々悲しくて仕方なくなるような、そんな筆致で描いている。
でもそれは夢であり、真実など誰も知るところではない。アマナは作者=ダンセイニ自身の投影であろうかという気さえする。
そんな物語は、砂漠を彷徨う求道者が見つけた、美しい赤い薔薇のような印象を、読者に残す。
とにかく読めてよかった。ただその一言に尽きる傑作です。

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修道女フィデルマの探求(ピーター・トレメイン)




(2013年感想12冊目)

原題  Hemlock At Vespers
ピーター・トレメイン 著  甲斐萬里江 訳

おすすめ度★★★☆☆(短編もいいですが、個人的には長編の方が好みかな。)


「ヘリンバート院長殿、私どもは、難解を解明しようと努めている理性ある人間のはずではありませんか。その過程で、私どもの誇りと自尊心を傷つける振る舞いをしては、なりますまい。なぜなら、私どもが目指しているのは、真実なのですから。真実のみを求めているのですから」(p46)



「修道女フィデルマ」シリーズの短編集。15篇の短編を5篇ずつにわけて、日本独自に編集出版したものです。これはその最後の五編が収録された短編集です。第三弾ですね。
高位の法廷弁護士にして裁判官、ドーリィであるところの美貌の修道女フィデルマが、国内外問わず鋭い推理で数々の事件を解決します。
この本には、「ゲルトルーディスの聖なる血」「汚れた光輪」「不吉なる僧院」「道に惑いて」「ウルフスタンへの頌歌」の五篇が収録されています。

うーん、個人的には、長編の方が好みかな、といった印象。短編集はサクサク読めるので、それはそれで魅力的なのですが、なんといっても短編集はワトソン役のエイダルフが(少なくともこの本には)いない! これが残念で仕方ありません。
推理小説としてだけ見るならば、短編は冗長にならない分だけいいのかもしれないですが。
しかしこれだけ読むと作者の話の落ちどころもわかってきてしまい、似たようなお話が多くなってしまうのも残念なところです。
どの犯人の動機も、色恋とかちょっと異常な性癖とか、そんなのばかりなんだもの……。

しかしさすがアイルランドの歴史の権威であるトレメイン先生だけあって、随所に散りばめられているケルト当時の風習は、とても読んでいて面白いです。このケルト事情だけでも、読む価値アリだと思います。

個人的なお気に入りは、「ウルフスタンへの頌歌」ですね。このシリーズで密室ものが読めるとは思っていなかったので嬉しいです。サクソンの王子たちといった、(小物だけど)大物がたくさん出てくるのも楽しいです。
しかし、フィデルマの頭の切れっぷりは、当時では相当変わり者だったのではないでしょうか。皆が妖術と騒いでる事件を、理詰めで解決していくんですもの。

フィデルマ単体でも十分に魅力的ですが、やはり彼女の隣にエイダルフがいると、フィデルマはもっと活き活きしているようにみえます。そう言う意味で、私個人としては長編に軍配をあげますね。でも、手軽に読める短編集もまたよしです。ああ、またこのシリーズが何か読みたくなって来ました。
評価はちょっと辛めですが、面白かったです。



時間のない国で(下)(ケイト・トンプソン)

時間のない国で 下 (創元ブックランド)
時間のない国で 下 (創元ブックランド)
  • 発売元: 東京創元社
  • 発売日: 2006/11/18



(2012年感想93冊目)

原題 The New Policeman
ケイト・トンプソン 著 渡辺庸子 訳
おすすめ度★★★★☆(4・5くらい。不思議とのんびりした気分になれる作品。)


「いくらでもなかったよ」と、JJは言った。「だって、お金じゃないんだから。びっくりするかもしれないけれど、最近は『ダウドの九番』で買い物ができるのさ」(p205)


アイルランド音楽ファンタジーの下巻。
JJ・リディは母親の誕生日に時間を買うためにティル・ナ・ノグに赴いた。しかし時間の流れが違うために、現実世界ではJJは行方不明になっていることになって……? 一向に忙しくなるばかりの現代とティル・ナ・ノグは、一体どうなってしまうのか!? 
というようなお話です。

いやー、この本は面白かったです。何より全編を彩るアイリッシュメロディーと、ティル・ナ・ノグの描写がいいです。ティル・ナ・ノグがすごくほのぼのしてて、現代社会に対するメッセージのようにも思えました。下巻は、読み始めたら一気読みでした。

JJとアンガスの交流が良かったです。音楽を一緒に演奏したり、いろいろお話したり……。アンガスは実は……!? っていうのもファンタジーらしくていいですね。
ほのぼのしてるだけあってほのぼのとしたラストですが、最後はちょっとドキドキできる部分があるのも良かったです。
続編(?)もあるのかな? ティル・ナ・ノグから帰ってこなかったアン・コーフのことなど、いくつかの謎があるので、続編もあわせて読んでみたいと思います。

とにかく、いろいろと考えさせてくれる、素晴らしいファンタジーだと思います。現代だからこそ生まれた、まさしく現代ファンタジーの珠玉の一冊だと思います。
最近妖精物のファンタジーを多く読んでいますが、妖精を信じる心というものは失いたくないなあと、そんなことを考えさせられました。お勧めです。

時間のない国で(上)(ケイト・トンプソン)

時間のない国で 上 (創元ブックランド)
時間のない国で 上 (創元ブックランド)
  • 発売元: 東京創元社
  • 発売日: 2006/11/18



(2012年感想92冊目)

原題 The New Policeman
ケイト・トンプソン 著 渡辺庸子 訳
おすすめ度★★★★☆(4・5くらい。アイルランドの伝統音楽と一緒に読みたい。)


「本当に」JJはうなずいた。「時間って、どこに行けば買えるんでしょうね?」
アンが笑った。「それはこっちが知りたいわ。でも、みんなその表現をずいぶん簡単に使っていると思わない? 時間を買う。そんなこと、無理なのに」(p134)


アイルランド音楽ファンタジー。
JJ・リディは伝統的な音楽一家に生まれたフィドル&フルート奏者の15歳の男の子。いつも時間に追われて生きているが、最近特に時間が足りない……。そんなJJが、母親の誕生日に時間をプレゼントすると約束したために、とんでもないことに足を踏み入れて……!?
というようなお話。

いやー、このお話は面白かったです。章末にアイリッシュのトラッド音楽の楽譜がついていて、わたしはYou tubeでそれぞれの楽曲を検索し、BGMにしながら読んでいました。そうすると、雰囲気もおもしろさも倍増するように思います。そういう読み方はでも時間がかかるので無理という方は、アルタンとか聞きながら読むといいかなあと思います(わたしは後半はそうやって読みました。)

現代社会では、多くの人が時間が足りないという悩みにおかされています。そういう私も、24時間じゃたりない、とつくづく思いながら生きています。でも、本当に時間が足りなくなっていたら、忙しすぎてそのことにも気づかないんだろうなあと思います。そうして、大事なもの(想像力とか)が失われていくんだろうなあ。
アイルランドの音楽の歴史に触れられたのも良かったです。

それにしても、ティル・ナ・ノーグの書き方が、本当にのんびりしていて素敵です。現代社会の時間が、そちらに「漏れ」ているなんていう発想も素敵。
話の本筋に入るまでがいささか長いのですが、後半はちょっと話に進展があるので、このまま下巻に期待したいと思います。

しかし、音楽を聞きながら読書するのは、ある意味とっても贅沢な至福の時間でした。そんな満足感を与えてくれた1冊です。

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