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2019-10

エノーラ・ホームズの事件簿 消えた公爵家の子息


原題 The Case of the Missing Marquess
ナンシー・スプリンガー 著 杉田七重 訳 甘塩コメコ イラスト
お勧め度★★★★☆(ヴィクトリア朝好きの方も楽しめそうな1冊)

女性には、じつはめくるめく暗号の世界があるのだ。帽子のつばひとつで反抗を示し、ハンカチーフを使って責任逃れをする。扇の羽根をさしだして臆病者となじり、封蝋や切手を貼る位置で、言葉にはできない思いを伝える。

私の大好きな作家のひとりである、ナンシー・スプリンガーのホームズ・パスティーシュ。
2作目から読んで、この本はその1作目です。
女性が窮屈な思いを強いられていた風潮のある19世紀ロンドンで、フェミニズム運動などに参加していた女性を母に持ち、型にはまらずに育ったエノーラ。彼女はあの名探偵、シャーロック・ホームズの妹だ。
ある日大好きだった母が自分を置いて失踪。もう一人の兄マイクロフトに寄宿学校にいれられそうになったところから逃げ出したエノーラはロンドンに向かう。そこで、とある幼い侯爵が誘拐されたという事件を耳にして……??

というようなお話です。

これはなかなかおもしろかったです!それに翻訳ものではありますが読みやすかったようにも感じます。
当時のイギリスの社会的風潮、文化、服飾、そうして人々の暮らしの光と影がなかなか詳細に、活き活きと描かれています。私はそちらの方面には詳しくないので、ここに描かれていることがどれだけ正しいのかはいまいちわからないのですが、それでも楽しく読めました。

事件そのものはおまけ程度で、この時代の当時、女性がどれだけ窮屈で理不尽な扱いを受けてきたのか、ということを描き出しているのが主題のように思います。

それにしても、エノーラに対する二人の兄の態度はひどいなあ。時代的にみて、実の妹にたいしてもそれは仕方ないのかもしれないけど、これはちょっと悲しい。エノーラの気持ちがわかる。

そんな抑圧された社会背景があるからこそ、エノーラの母ユードリアやエノーラ、そうして少年だけど違う意味で抑圧されていた公爵家の子息テュークスベリーの逃亡劇が爽快に見えます。

暗号解読や、女性ならではの秘密の共有があるところも面白い。
ただ、訳文がたまに、スラングがすごいスラングなのがちょっと気にかかるかな。
でも、読みやすいし、イラストも素敵だし、気になるならぜひ手にとってみてほしい1冊です。

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