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2019-07

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風の名前 3 キングキラークロニクル第1部





(2018年読書感想4冊目)


今日読んだ本はパトリック・ロスファスの、キングキラークロニクル第一部、風の名前の三巻。
この本はずっと存在は知っていて、早川の復刊に合わせて購読したら、一気に世界観に引き込まれて、それ以来大好きな一冊です。
さびれた宿酒場を経営している、燃える炎のような赤髪の主人、コート。
しかしそれは世を忍ぶ仮の姿で、本当は伝説の秘術師クォートである。
ある日街を訪れた紀伝家にせがまれ、クォートは自身の半生を語り始める。
キングキラークロニクルといいつつ、まだ核心には至らないこの第一部。謎がいっぱいなのですが、話の最初の雰囲気も暗いのですが、クォートの語りに入るころには、徐々に引き込まれていき、そうして気づいたら彼の語りを最後まで聞かずにはいられなくなってしまう。
そうしてその内容も、最初は慣れないけれど、慣れると本当に面白い。
この魔力は何だろうと思います。
私がこの本を好きだなと思う理由は、たくさんあります。
まず一つに、世界が生きていて、その生きた世界で、キャラクターも生きていると感じることができる、その世界の構築力です。つまりクォートもバストも生きている。生き生きしている。
暦をはじめ、かなり独特な世界観ではありますが、ここまで作りこまれた世界には生きているといってよいものがある。ロスファスの世界構築には個人的に賞賛しかない。
どこか甘やかな、詩的な文章、語りも魅力の一つ。私の大のお気に入りポイント。
主人公クォートの、考え方、行動、もののとらえ方、価値観、思想。
そういったものが、とにかく素敵だなと思う
みずみずしくて、上品で、なめらかで、的確、どこか懐かしいと感じるけれど。嫌味なほどには感傷的すぎない絶妙な按配。
つまり私はこの物語の主人公のクォートが好きなのだ。この本を読んでクォートを嫌いになるのは難しいと思う。
悲惨な過去を嘆くでもなく、しかし忘れるでもなく、生きている。友人もできる。目の敵にも思われる。恐れられ噂の的になることもある。お金のやりくりに苦しみ、異性が気になって、戸惑ってしまう。
そんなクォートは本当にたまらなく魅力的で、一言でいえばかわいい、デナになりたいとは言わない。けれどシモンにはなりたい。
この三巻目はほとんど学生パートだけれど、クォートに友人ができたことがうれしいし、デナと再会したシーンは、感動のあまり読書にのめり込み、読みながら涙してしまった。
なんて運命的な出会いだろう。しかし物語における現実
この三巻ハイライトはこの演奏のシーンに違いない。本当に、素晴らしいシーンだと感じる。私がクォートでも、デナに運命を感じるだろうと思う。
この本の、クォートの青春してる感じが好きです。美しいです。既に少なくない伝説を生み出しているクォートの、それでもまだ少年なんだと思える感性が好きです。
ファンタジー小説として、非常に贅沢な一冊だと思います。
このシリーズは間違いなくお勧めです。


著者 パトリック・ロスファス
本(作者)の国籍 アメリカ
訳者 山形浩生 渡辺佐智江 守岡桜
イラスト 中田春彌
出版社  早川書房
レーベル ハヤカワ文庫FT
ジャンル ハイファンタジー
ページ数 286P
フォーマット 紙本
ノンシリーズかシリーズものか? 三部作1部目の3巻
なぜこの本を読んだか。このシリーズが好きだから。
本の入手方法 書店にて購入

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踊る光(トンケ・ドラフト)




(2015年読書感想31冊目)

トンケ・ドラフト 著 西村由美 訳 宮越暁子 イラスト
おすすめ度★★★★★(面白かった! おとぎ話の中に誘われ、心離さない一冊です)


「そうかもしれません。だが、この物語はこれでおしまいです。王子と姫ぎみは、末永く幸せに暮らすのです」(p262)
ー幽霊ナイフより―


王子、姫君、ドラゴン魔法使い吟遊詩人。ページをめくればおとぎ話にあなたを誘う。ひねくれたフェアリー・テールファンタジーの短編集!


図書館で、美しい表紙に惹かれ手に取りました。オランダの女流作家、トンケ・ドラフトさんによる短編集。「幽霊ナイフ」「二人の王」「十三番目の妖精」「夢にすぎない」「ドラゴンと鍵」「踊る光」の6編を収録しています。
ページをめくって目次を見た時、ドキドキが止まりませんでした。王に妖精、夢にドラゴン、そういった、大好きな単語が目に入ったからです。
実際に、王子や王や姫君や魔法使い吟遊詩人といった登場人物が多く登場し、おとぎ話的ではありますが、ファンタジー小説としても上質で、楽しめます。

一般的なおとぎ話とは少し様相が違うのですが、でもやっぱりおとぎ話なんだなあと安心して読むことができる一冊で、その塩梅が見事です。
私がファンタジー小説というかおとぎ話が好きなのは、トンケさんの描くこのような世界が好きだからだよなあと改めて思わされるような、そんな素敵な一冊です。

お気に入りは「幽霊ナイフ」でしょうか。
最初に収録されているこのお話を読んだ瞬間から、この本は私の心を離さないと直感しました。ナイフというものが物語の核を担うのも面白いと思ったし、出てくる登場人物やそのパーツが面白いと感じました。
でも、どのお話も本当によかったです。挿絵も素晴らしく、表紙が心に入ってきた人には、楽しめるファンタジー小説だと思います。

トンケさんの作品はなんとなく敬遠していたのですが。一気に心近くなったような感覚です。他の作品も読んでみたいと思えるような、素敵な一冊です。おすすめ。

三つの魔法(ジェイン・ヨーレン)

三つの魔法 (ハヤカワ文庫 FT (74))
  • 発売元: 早川書房
  • 発売日: 1985/04/15




(2013年感想28冊目)

ジェイン・ヨーレン 著 宇佐川晶子 訳 めるへんめーかー イラスト

おすすめ度★★★★★(特に歌が素敵。全体的にとてもリリカルでファンタジックで、お気に入りです。)


与えることが海の贈りもの
許すことが海のすべてだから
海はわたしをなぐさめ
わたしのもとへきてくれる
あてどなく漂うの(p45)



現代のアンデルセンと謳われるファンタジー&創作童話作家、ジェイン・ヨーレンの長編メルヘン。
願い事を叶えてくれる三つの銀の魔法のボタンと、海と歌にまつわる物語です。

これはよかった! ハヤカワで出版されているヨーレンの初期作品三作はこれで全部読んだことになるけど、その中でも一番好きかもしれないです。「夢織り女」も好きなんですけどね。
この作品は、海や歌というファンタジックな題材を、なんと魅力的に描いていることだろうと思いました。
4部構成で、大きく分けると二部ずつ一つの大きな物語になっているのですが、最初の2部が海の話、そうして後半の2部が陸と歌の話です。
いや、最初の二部も素敵な歌があふれていて、この話はまさしく歌の物語と言えるかもしれません。
そうして、良き歌のあるところに、良きファンタジーがあるものだと私は思っています。
その意味では、この「三つの魔法」は極上のファンタジーでした。
自然によって魔法が均衡を正すという考え方も面白かったです。

「水晶の涙」でも思いましたが、ヨーレンの海の描き方が秀逸です。もう、うっとりしてしまいます。
なによりこの物語は、本当に歌がいい。そうして、めるへんめーかーさんの挿絵がたまらなく素敵です。
特に嫌な王様が、悪役なのに(悪役だから?)イケメンすぎる。
物語全体のオチは読んでる最中にわかってしまうのですが、まあ、それもファンタジーやメルヘンにとっては普遍的なものという感じで、むしろこの物語をより魅力的に見せています。
セリフの一つ一つも、ファンタジーならではの含蓄に富んでいて、さすがヨーレンだなあと思いました。
本当に、読みやすくてあっさり読めるのですが、そこに漂うのは極上のファンタジーの香りだと思います。ファンタジーに酔いたい方には、お勧めの一冊です。

はるかな空の東 クリスタライアの伝説(村山早紀)



(2012年感想80冊目)

村山早紀 著 絵  
おすすめ度★★★★★(この世界観が本当に素晴らしい。)


「あなたの歌は魔法の歌。どれほど広い空を蛾の群れが埋めつくしていようとも、この空じゅうに、きっと響きわたるわ」(p365)

この本で村山早紀さんを知りました。
とにかく素敵な1冊。面白かったです!
クラスにとけ込めない女の子が、実は異世界の国の王女様で……、という、今でこそ王道の物語ですが、とにかく世界観が素晴らしいです。善神と邪神の対立。水晶の歌姫。魔術師。異世界の空気と空の色……。それらの人々や描写が鮮やかに心に浮かんでいきます。

私が好きなのは異世界で主人公の少女ナルを導いた歌姫、サーヤ・クリスタライア。いい人なんだけど、いい人で終わらない心の弱さや暗さがあって、とても好感が持てました。
異世界の魔術師なのに、現代社会のテレビゲームが好きなハヤミさんも素敵ですね。ユリアやサフィアも好き。
ただ、テレビゲームが比喩によく使われるのは、時代を感じます。
でも、今読んでも時代を超えて面白い一冊だと思います。読んでみるとほとんどの登場人物が女性なので、女の子向きのお話かも。物語が好きな全ての女の子は、きっと楽しめるお話だと思いました。

作者様本人が描いているという挿絵もまたとても雰囲気があって、素敵です。この挿絵に惹かれて読んだといってもいいくらいですね。

とにかく、美しい音楽が聞こえてくる青い空の下を一緒になって旅してるような気分になる作品です。
続編というか、数年後を描いたお話があるようなので、そちらも近く、読みたいと思います。
作者様の代表作かと思います。本当におすすめ。


銀の犬

銀の犬
銀の犬
  • 発売元: 角川春樹事務所
  • 発売日: 2006/06

光原百合 著 吉田愛里 表紙絵
お勧め度★★★★★(切なくもあたたかく、美しい物語たちです。お気に入り)
 
それはおかしかったわ。だって、思い当たったんですもの。兄さまとフィンが一緒のときはわたしのことばかり話していた。兄さまとわたしが一緒のときは、フィンのことばかり話していた。そして、わたしとフィンが一緒のときは、兄さまのことばかり話しているって──。(p338)

光原百合さんによる、ケルト神話風のファンタジー。
声を失った祓いの楽人(バルド)オシアンと、その彼を補うように3倍はしゃべる相棒の少年ブランの物語です。
祓いの楽人とは、この世の理から外れたり、強い気持ちを残して亡くなり、あるべきところに行くことのできないこの世ならざる霊や妖精たちを音楽によって浄化し、あるべきところへ導くことを使命としたものたちのことです。
オシアンとブランが、自らの使命を全うとするために各地を放浪する、美しくも切なく、そうしてあたたかい連作長編です。

この本には、「声なき楽人(バルド)」、「恋を歌うもの」、「水底の街」、「銀の犬」、「三つの星」の五編を収録しています。

とにかく全編を覆う美しく優しい筆致がたまらなく大好きな作品です。文章は読みやすいのですが、これは翻訳小説だろうかと錯覚してしまうような、そんな雰囲気のある1冊です。

キャラクターも素敵です。私は特にブランと、途中から出てくる獣使いの呪い師ヒューが好き。オシアンはしゃべることができないのですが、確かな存在感を放っています。この3人がそれぞれ持っているバランスが、ともすればとても悲痛な物になってしまう物語の中に明るさを与えています。
どのお話も素敵なのですが、私が好きなのは、「恋を歌うもの」、「銀の犬」、「三つの星」かなあ。どのお話も、自身の気持ちを言葉にして伝える事の大切さのようなものが、しんみりと伝わってきます。
誰よりも大事に想う人がいながらも、ささやかな気持ちのすれ違いや不安などから、取り返しのつかない悲劇を招いてしまう人々が、とても悲しいですが、本当に一つの民話や伝説を読んでいるかのようでした。

ケルト神話に材を得ていますが、思った以上にマイルドな感じになっていたかも。それでも、雰囲気はたっぷりです。そして、神話にあまり詳しくなくても、楽しめると思います。また、あとがきでおっしゃられていたとおり、「指輪物語」の影響も感じられます。

シリーズものを想定して書かれていた作品のようですが、現在続刊が出ていないようで残念です。オシアンが声を失った理由、ブランが「ぼくの命はオシアンのものだから」と言いながらオシアンと行動を共にする理由やきっかけなど、主役二人に関する謎がまだまだ満ちていますし、なによりオシアンとブランとヒューの旅路を、まだまだ見てみたいと思わせる1冊です。
続編が刊行されるといいなあ。

興味のある方は是非手にとって見て下さい。大変お勧めの1冊です。

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