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2019-06

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幻想古書店で珈琲を6 それぞれの逡巡/蒼月海里



(2018年読書感想6冊目)

神保町のランドマークである書店にひっそりと軒を借りる形で存在するこの古書店「止まり木」も随分とにぎやかになってきました。今回の巻は、前巻から登場した魔神、アスモデウスがメインの巻。
前の巻読んだときには、アスモデウスさんは癖が強すぎて結構ドン引きしていたのですが(でも好き)今回の一冊を読むと、本当我々人間と変わらないといったイメージで、むしろ親近感を覚えます。
そして、アスモデウスさん以上に、成長著しいのは司君。
最初はどうもなじめない語り手だったのですが、本当にいい子です。
司君、偏見がないっていうのは、今の世の中、素晴らしい美徳だよ!
神とかそういう存在は現代においてとかく偏見とかを受けやすいので、ありのままを受け止める司君は、アザリアさんじゃないけれど、「器が広い」のだと思いました。
読みやすくて、フラットなのだけれど、考えさせられる部分もある。
それがこの本の魅力というかなのだと思います。
まさしくコーヒーのように、身近にあるシリーズというべきか。
最後の糸口のように、飲み切るのが名残惜しく、飲んだ後、残り香にしばし思いをはせる。
本当に素敵な本だと思います。
あと司君、亜門とコバルトだけじゃなくて、アスモデウスも幸せにしてあげてください。
きっと司君なら、それができるから。

この本の概要


著者 蒼月海里
本(作者)の国籍真人日本
訳者 
イラスト 六七質
出版社 角川春樹事務所
レーベル ハルキ文庫
ジャンル エブリディ・マジック
ページ数 222P
フォーマット 紙本
ノンシリーズかシリーズものか? シリーズ6冊目
なぜこの本を読んだか。このシリーズが好きだから
本の入手方法 書店にて購入

   

収録作品

内容

本の街・神保町にある不思議な古書店『止まり木』。普段は店主・亜門の笑顔と美味しい珈琲で穏やかな時間を過ごせる店だが、この日はなんと魔神アスモデウスと大天使アザリアという宿敵同士が長い年月を経てはち合わせてしまった。まさに一触即発!!この店で働く名取司は慌てるが、二つの大いなる力がぶつからんとしたその時―。人として、魔神として、天使として、様々な想いが交錯する中、それぞれが自分の道を模索し始める。大人気シリーズ第六弾!!

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ひみつの小説家の偽装結婚 恋の始まりは遺言状!? /仲村つばき 著



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(2017年読書感想34冊目)


普段はビーズログで書いている仲村つばきさんのコバルトの作品。
仲村つばきさんは一冊しか読んでないけれど、品と趣のある少女小説を書かれる方だなあと思っていて、コン感度が高い作家さんです。
この本は、一寸軽めなタイトルはどうかと思いつつも、落ち着いた色合いの表紙と他の読書家さんたちの評判のよさに興味を惹かれて読んでみました。

女性はほとんど本を読む習慣がない国で、無類の本好きであり、男性名義でせいべつを偽り小説を書いているセシリア嬢が主人公。セシリアのペンネームはセオ。
とある事情によって父親ほどに年の離れた国の騎士団長のヒースと契約結婚していたが、そのヒースが病気で亡くなったところから物語は始まります。
ヒースの遺言状には、自分の亡き後、騎士団長になる貴族の三男、クラウス・シロンと結婚するように書いてあって……。セシリアは已むに已まれぬ事情により、二度目の契約結婚をすることになります。

仲村さんらしい、しっとりと品のある落ち着いた少女小説でした。
読書家のクラウスはセオ(セシリア)の小説の熱烈なファン。そうとは知らず、最初は最悪な出会い方をして、お互いの印象は悪いなんてものではなかった二人。しかしセシリアとクラウスの共通の趣味読書を通じて、心が通い合っていく様が本当に素敵でした。
二人の性格も相まって、糖度は低めですが、2人のお互いに対する信頼感というか、お互いを尊重し合い支え合い、気遣う様子は、低い糖度を感じさせないほど、胸をときめかすものでした。
また、全編にわたって演出されるヒースの遺言状の、なんと二人への愛情に満ちていることでしょうか。ヒースは挿絵もなかったけれど、どんな人物か、想像しながら読むのは楽しかったです。
また、ヒースに限らず、どこか憎めない弁護士のマルコや、クラウスの兄デューイなどの脇役も、皆が皆二人の事を察して思いあっていて、とてもよかったです。
セシリアの小説家仲間で、同じく男性名義で小説を書いているフレデリカとの、ライバルであり、善き友人でもある友情関係もとてもよかったです。お菓子会社のご令嬢のフレデリカの家で振る舞われるお菓子がどれも本当においしそうで、読んでいる間、お菓子が食べたくなってしまいました。本が汚れるからそんなことしませんけれどね。
クライマックスの展開も秀逸。というかほとんど完璧。一見冷たいクラウスの家族が、実はとてもクラウスの事を想って、かわいがっていることが判り、読んでいる私まで涙が出そうでした。
展開は地味なんだけれど、物語として無駄な要素というか展開がそぎ落とされていて、本当に素敵な小説だなと思います。読者の視点の「本」と、作者の視点の「本」の違いというかも、興味深いものでした。
ラストシーンも良かったです。思わず泣きそうになりました。この本で何度泣きそうになったんだろう。
この作品そのものが、セオの小説の様に、厳しい夏、苦しい冬を乗り越えて、新しい芽吹く春になっているような、そんなイメージが浮かびました。
この話はこれできちんとまとまってるから続編とかはいいかなと思うのですが、同じ世界観でスピンオ展開なんかを期待してしまいます。
面白かったです。おすすめ



この本の概要


著者 仲村つばき
本(作者)の国籍 日本 
訳者 
イラスト 藤ヶ咲
出版社 集英社
レーベル コバルト文庫
ジャンル 少女小説
ページ数 237P
フォーマット 紙本
ノンシリーズかシリーズものか? 単巻。
なぜこの本を読んだか。表紙に惹かれて
本の入手方法 書店にて購入

   

収録作品




内容

覆面小説家のセシリアは、没落貴族の両親から逃れるために後見人の騎士ヒースと名目上の結婚をしていた。だがヒースが亡くなり、遺言でヒースの部下クラウスと再婚させられる羽目に。その上次の小説大賞を獲らなければ契約を切られる危機に陥る。が、最初は喧嘩腰だったクラウスがセシリアの小説のファンだとわかり、ふたりの気持ちは次第に近づいて…。にせもの夫婦の間に芽生えた、本物の恋。文学少女と堅物騎士のラブロマンス!


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幻想古書店で珈琲を―招かれざる客人/蒼月海里 著



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四作目を読んで、あまり間をおかずに5作目になる今作を読みました。
今作は新キャラ、魔神アスモデウスが登場し、彼の想いが物語のテーマになります。
アスモデウスといえば色欲の悪魔みたいなイメージがあって、新キャラとしてどうなのかと思いましたが、なかなかどうして素敵なキャラクターです。文章からにじみ出る、彼の色気を感じ取るのが楽しかったです。
アスモデウスのキャラが強すぎて、今回はコバルトが大人しく感じました。それ4でもコバルト好きですが。
アスモデウスも、アザリアさんも、司君に一石投じていきますね。
それを受けて、考えや想いを深めていく司君の物語は、既に薄っぺらい本なんかではないと確信できます。
今回の本は、
「賢者の贈り物」「黄金虫」「老人と海」
どの本も名前は知っているけれどきちんと読んだことのない物なので、また機会があれば読んでみたいなと思わせる本ばかりでした。
物語の本としての方向性や形式も固まってきて、私もすっかり「止まり木」の常連さんの気分です。
蒼月さんの本は、本当に、いっぱいの珈琲のようなもので。
どのお話も愛おしくて、ふとした時に思い出すような、私にとってそんな存在になっています。


(2017年読書感想29冊目)



この本の概要


著者 蒼月海里
本(作者)の国籍 日本
訳者 
イラスト 六七質
出版社 角川春樹事務所
レーベルハルキ文庫
ジャンル キャラクター文芸
ページ数 221P
フォーマット 紙本
ノンシリーズかシリーズものか? シリーズ5作目
なぜこの本を読んだか。このシリーズが好きだから。
本の入手方法 書店にて購入

   

収録作品




内容

本の街・神保町にある不思議な古書店『止まり木』で働く名取司は、大天使のアザリアから、最近この辺りで『魔神アスモデウス』が目撃されているので気を付けるように、と注意を促された。アスモデウスの事をほとんど知らない司は、彼について聞こうと『止まり木』の店主・亜門の元へ向かった。聞けばアスモデウスは亜門の友人だというが、その亜門の表情はいつになく複雑だった―。一体アスモデウスとは何者なのか!?大人気シリーズ待望の第五弾!!
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幻想古書店で珈琲を―心の小部屋の鍵/蒼月海里 著



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(2017年読書感想28冊目)


このシリーズも4冊目になりました。
一作目を読んだときは、正直何とも言い難く微妙な感じでしたが、今となってはすっかりこのシリーズに愛着がわいています。
というのも、登場人物たちの心情の変化や成長が感じられるからでしょう。
特に今回は司君の成長が著しく、熱く、そうして眩しいです。
人と人の縁を結ぶ亜門と司のパート、その間に挟まれる司とコバルトの冒険、そうしてほっこりと豆知識の味わえる幕間と、本は薄いし、あっという間に読めるけれど、なかなかに濃い一冊となっているように感じました。
今回の本は、「ジギルとハイド」「青髭」「ウンディーネ」でした。
そうして幕間ではTRPGやカードゲームなどの話題も。
特に作中で振れられる「キャット&チョコレート」はこないだ遊んだばかりで、司君たちのゲームの様子が目に浮かぶようでした。アナログゲーム好きとしては嬉しい一冊で、今回取り上げた本のチョイスも最高でした。
でも何より熱かったのは、司君の決意と決断です。
この決意に至るまでには、亜門は勿論コバルトとの出会いや交流があったわけで、そう思うととても感動してしまいました。
何事も無難に生きてきた司君の、自らの決断は、きっと幸せな結末をこのシリーズにもたらしてくれる。そう感じられるものでした。
司君の中で、亜門とコバルトと自分、となっているのはちょっと苦笑するしかないけれど、けれどそれでも大きな決意ですよね。
幕間の缶コーヒーに関する知識なども含め、バランスが絶妙で、やっぱりこのシリーズが好きだなと思わされる一冊でした。次巻にも期待です。

この本の概要


著者 蒼月海里
本(作者)の国籍 日本
訳者 
イラスト 六七質
出版社 角川春樹事務所
レーベルハルキ文庫
ジャンル キャラクター文芸
ページ数 228P
フォーマット 紙本
ノンシリーズかシリーズものか? シリーズ4作目
なぜこの本を読んだか。このシリーズが好きだから。
本の入手方法 書店にて購入

   

収録作品




内容

「御機嫌よう、本の賢者にその友人よ!」。派手な衣装に身を包んだ青髪の魔人・コバルトが嵐のように不思議な古書店『止まり木』の扉を開けた。店番をしていた名取司が、店主の亜門は奥の書庫にこもっている旨を伝えると、コバルトは困りだした。聞けば天使の風音を街で見かけたが、その動向が怪しいので、一緒に調べたいという。半ば強引に連れ出された司はコバルトとともに、風音の張った結界の中に入っていく―。人気シリーズ待望の第四弾!!

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ルリユール(村山早紀)

ルリユール (一般書)
ルリユール (一般書)
  • 発売元: ポプラ社
  • 発売日: 2013/10/11




(2014年読書感想15冊目)

村山早紀 著

おすすめ度★★★★☆(4・5くらい。本への想いに、何度も涙腺が緩みました。)

「本というものは、人間に似ているのよね。こんなに未来の、科学の力で人間が月へも行く時代になったのに、いまだにこんな柔らかいものでできていて、水や衝撃に弱く、傷つけば壊れてしまいーー死んでしまう。永遠に生きることはできない存在のまま……」(p162)


大好きなYA・児童書作家、村山早紀さんの一般書。
本の装丁も、シックな感じがしてとってもいいですね。眺めれば眺めるほど味が出てきます。
図書館本なので帯や表紙を外したところが見れないのが残念です。
ルリユールというのは、あまり知識はないのですが、本の修復などを手掛ける職人さんの事です。
作中で主人公の瑠璃ちゃんが、きれいな響きの言葉だと言ってましたが、本当にきれいな言葉ですよね。

作風としては、いつもの優しくて暖かくて切ない風早ワールドで、風早の街って本当に素敵だなあと今回も思いましたよ!
主人公の女の子、その名も瑠璃ちゃんが、謎の美しきルリユール職人、クラウディアさんに弟子入りし、その工房を訪れる人々にまつわる本の物語、みたいなお話です。
もう、村山早紀先生の書かれる物語は大好きです!
主役の瑠璃ちゃんが歌を歌うからか、今回のお話はその中でも大好きな物語、『はるかな空の東』を思い起こさせて、より物語を楽しめた感じです。
というか瑠璃ちゃん、しっかり者だし、歌もお料理も得意って羨ましい! と真剣に思ってしまいました。
ルリユール職人のクラウディアさんも、お屋敷に住む7匹の黒も素敵でした。
この本はたびたび出てくるお料理の描写もとっても美味しそうで、読んでいて本当に幸せな気分になりました。レモンバターのパスタ、食べたいです! パスタ食べるシーンが幸せそうで、すごく好きです。

お話としては、どのお話も素敵でしたが、前半の2つのお話が特に好きです。
すごく切ない気分いなって、2話ともに泣いてしまいました。
3話目はちょっとホラーっぽさがありましたが、にちなんだいいお話でした。
最終話は、それまでと毛色が全然違って、完全なファンタジーになってたのにびっくりしました。
最後のお話を読んだとき、この本はファンタジー小説だったんだなあと思いました。
ちょっとびっくりしたけれど、でもこの『ルリユール』という本は、すごく素敵な本だと思います。
切なかったり、苦かったり、少し甘かったり、そんな物語を読んでる時間は至福の時間でした。
それにしても。ルリユールって素敵なお仕事ですね。私も世界に一冊の本をつくってほしい、作ってもらうなら何がいいかな、なんて思っていました。
とにかくとっても素敵な、お勧めの一冊です。


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