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2019-12

狐笛のかなた(上橋菜穂子)

狐笛のかなた
狐笛のかなた
  • 発売元: 理論社
  • 発売日: 2003/11




(2013年読書感想65冊目)


上橋菜穂子 著
おすすめ度★★★★☆(切なく、だけどどこかきれいなファンタジー。)


(……この子らは、蜘蛛の巣の、細い糸の先でふるえている、透きとおった水の玉のようだ。)(p216)



上橋菜穂子さんといえば、「守り人」シリーズ「獣の奏者」シリーズが特に有名ですが、この「狐笛のかなた」は一冊完結ものです。
340ページと、決して長すぎはしない本なのに、読み終わったとき、長い長い時の中を共に歩んでいったような、そんな不思議な気持ちにさせてくれる一冊でした。
小夜は産婆の祖母と里のはずれで暮らしていた。ある日、一匹の狐を助けるために、近寄ってはいけないといういわくありげな屋敷に身を隠したのがきっかけで、人生が大きく動き始める……、といった導入かな。

上橋さんの物語のすごいところは、とにかくまるで自分たちもその景色を「視ている」ような気分にさせられる、その素晴らしい描写力にあると思います。
小夜に助けられた野火が、小夜と小春丸と混ざって遊びたいと願う最初のほうのシーンからもう泣きそうになってしまいました。切ない……!

この野火がすごくいいやつで、最後はそうなるのかあと思いつつ納得の結末でした。
野火には報われてほしと思ったので、ちょっと切ない余韻の残る終わり方でしたが、この終わり方は好きです。
私は小春丸も好きだったので、逆に小春丸の出番が予想以上に少なかったことが残念でしたが。
全体的にページの割に人物がたくさん出てくるので、もっと書き込んでほしかった登場人物とかも多くて、そこがちょっと惜しかったです。木縄坊とか好きだったのですが。そう考えると、もうちょっと分量があってもよかったのかもしれないですね。

でも、非常に切なく、けれど優しい気持ちになれるような、満足感の高いファンタジー小説です。やっぱり上橋さんの書くファンタジー小説はいいなあと思ってしまいました。ほかの物語も久しぶりに読みたくなったりして、余韻に浸っています。

あと、何と言っても表紙がきれいで、断然ハードカバーのほうがお気に入りです。
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獣の奏者1 闘蛇編(上橋菜穂子)

獣の奏者 I 闘蛇編
獣の奏者 I 闘蛇編
  • 発売元: 講談社
  • 発売日: 2006/11/21



(2013年感想15冊目)


上橋菜穂子 著  浅野隆広 表紙絵
おすすめ度★★★★★(面白かった! 先が気になってたまりません。)


闘蛇はなぜ、あのように在り、人はなぜ、このように在るのだろう。
答えなぞ、ないかもしれないそんな問いが、心の中で疼いていた。そういう問の答えを、見つけたかった。(p226)



上橋菜穂子さんの「獣の奏者シリーズの一作目の感想です。守人シリーズも好きなのですが、こっちも気になり読書しました。アニメにもなりましたね。ちょっとだけ見たことがあります。

獣ノ医術師である母が厳罰に処され死んだ夜から、少女エリンの運命は思いもよらぬ方向へと流れ始めた。エリンは流れ着いた先でジョウンという男に養われ、そこで自然に対する好奇心を育んでいき……。
といったようなお話でしょうか。

とにかく、面白かったです!
終わり方も、こんなところで終わるのか、と先が気になってたまりません。続きの本借りてこなかったことを後悔です。
上橋さんの、読んでいて映像が頭の中に浮かぶ筆致はさすがとしか言い様がありません。そのためかもう本当、ページをめくる手が止まらないのです。これはアニメになるのも頷く本ですね。

エリンの心の成長を静かに優しく描き出す様子が、たまらなくあたたかいです。ジョウンとの交流は、エリンにとってもかけがえのないものとなっていくんだろうなあ。
とにかく、エリンという素敵な少女に出会って、その行き着く先が気になって仕方ありません。
政治も絡みそうな世界の中で、これからエリンがどう生きていくのか、見守って行きたいと思います。

一巻だったからか、エリンの周辺以外の偉い人たちが顔見せ程度の登場だったのが、残念といえば残念かなあ。真王や大公側の人間にも、魅力的な人物が多そうで、今から活躍が楽しみです。

本当、すごく骨太な奥行のある世界観を感じるので、これからの世界の広がりに期待です。
とにかく、面白くて読みやすくて、世界にどっぷり浸れること間違いなしのファンタジーです。これからの長い旅が、むしろ楽しみでなりません。おすすめ。


翼の還る処(上)(妹尾ゆふ子)

翼の帰る処 上 (幻狼ファンタジアノベルス S 1-1)
翼の帰る処 上 (幻狼ファンタジアノベルス S 1-1)
  • 発売元: 幻冬舎
  • 価格: ¥ 945
  • 発売日: 2008/10/31

(2012年感想51冊目)

妹尾ゆふ子 著 ことき イラスト
おすすめ度★★★★☆(良質なファンタジー作品です)

「そなたの」
ヤエトの言葉を遮った声は、おそろしく低い。
ゆっくりと、皇女はくり返した。
「そなたの、望みはなんだ」
「隠居です」(p184)


妹尾ゆふ子さんの「翼の還る処」第一巻。
妹尾さんはなかなか良質なファンタジー作品を書くので、お気に入りの作家のひとりです。
魔法の庭が好きだったので、こちらも読むことにしてみました。

過去を視る力のある病弱で隠居願望のある尚書官のヤエトは、歴史すら存在しない見放された地域、北嶺に左遷される。そのすぐ後に、帝国の皇女がヤエトの上官(太守)として赴任してきて……?
というお話。

このお話は面白かったです!
まずはなにより、主人公ヤエトの設定がいい。病弱で隠居願望があって、厄介ごとには首を突っ込みたくないのに突っ込まざるを得ない状況に立たされてしまう損な役回り……。(というか中間管理職)
そんな彼の背負うものの重さと苦悩に、思わず胸がきゅんとしてしまいました。
物語はヤエトの過去を絡めて、ますます大きくなっていきそうな予感をはらみつつ下巻に。楽しみです。

何より、イラストのヤエトが素敵ですね。表紙の人がヤエトですが、こんなにイケメンだとは! あとは登場人物もみんな素敵でよかったです。
物語は大きくなりそうな予感をはらみつつ、まだまだどうなるかわかりません。ただ、注目は竜の血を引くという皇族たちの存在と、ヤエトの故郷である古王国の血脈でしょう。
それらがどんな役割を担うのか、大変楽しみです。

何よりヤエトの大人な感じのキャラクターがいい。そんなヤエトが皇女と同じく、暗闇が苦手だったりするのがたまらなくツボです。この巻の最後で、ヤエトは皇女の名前を知ってしまいます。そのシーンがよかった。妹尾さんは、美しい描写を書くのが得意だなあと思いました。
鳥で空を飛ぶ描写とかも美しくて好きです。

本当に良質のファンタジー作品だと思います。気になっている方がいたら、ぜひ読んでみてください。
おすすめ。

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天山の巫女ソニン3 朱烏の星(菅野雪虫)

天山の巫女ソニン(3) 朱烏の星
天山の巫女ソニン(3) 朱烏の星
  • 発売元: 講談社
  • 価格: ¥ 1,470
  • 発売日: 2008/02/15

菅野雪虫 著
お勧め度★★★★☆(いろいろと展開の気になる一冊)

「ソニンはソニンだからさ」ミンが言いました。「天山の巫女だろうが、王子の侍女だろうが、何やってたって、あんたはあんただからさ」
うん、とソニンはうなずきました。
(きっとわたしはどんなことにも耐えられる。何を失ったって、わたしがわたしを失うことさえなければ、こうして新しい朝を何度でも迎えられるんだ)(p230)


菅野雪虫さんの「天山の巫女ソニン」シリーズの3冊目。物語も折り返し地点です。
今回の物語の舞台となる国は巨山(コザン)です。
巨山に赴いたイウォル王子とソニンを待つ運命は……!?

いやー、今回のお話も面白かったです! 一日で一気に読んでしまいました。
何より巨山の世継ぎの王女、イェラがとっても素敵でした。賢く、聡明な娘であるために大人びてしまい、心の奥底では友だちがほしいと願いながらもそうすることができない……。
とにかくキリッとしていて、とても素敵でした。
イェラとソニンが友だちになってくれるといいなあ、なんて思ったり。

今回はイウォル王子の成長も見ることができて良かったです。
ソニンとイウォルは、お互いに欠けているものを補い合い、また許し合う関係なのだなあと思いました。

今回は、そんなイウォル王子の過去が明らかになったり、お母さんの故郷に行ったりと、イウォル王子の背景も明るみに出てきた感じです。最初は子供っぽいと感じることの多かったイウォルも、徐々に大人になっていて、読んでいて成長を感じますね。

クワン王子も出てきて、何やら暗躍している様子……。気になります。
とりあえず三国を舞台にし終えた今後の展開が、どういったものになるのか非常に楽しみです。

このシリーズ、面白いです。図書館で借りてきては母と先を争うように読んでいます。
来月には外伝も出る様子。
題名から察するとイェラが主役でしょうか。これまた楽しみです。こちらも機会があれば読んでみたいと思います。
朱烏の星、というタイトルもとても素敵でした。

お勧め。

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天山の巫女ソニン2 海の孔雀(菅野雪虫)

天山の巫女ソニン  2  海の孔雀
天山の巫女ソニン 2 海の孔雀
  • 発売元: 講談社
  • 価格: ¥ 1,470
  • 発売日: 2007/02/27


菅野雪虫 著
お勧め度★★★★☆(面白かった。安心して読める面白さです)



「まあ、ソニンがいいならいいけどさ。ほんとに欲がないんだから。なんか、自分から苦労する道を選んでるような気がするよ」
「大丈夫。苦労する道を選んだとしても、不幸になる道は選んでないから」(p254)

菅野雪虫さんの「天山の巫女ソニンシリーズの2巻。
沙維(サイ)の国の末の王子イウォルは、江南(カンナム)の第二王子クワンに誘われて、江南に留学することになります。しかし、江南は沙維の国以上に陰謀が渦巻く国だった! またもや陰謀に巻き込まれるソニンの運命は……!?

というようなお話。

いやー、この話は面白かったです! ちょっと、展開に動きがあるまで結構かかるのが難点だったのですが、半分よりちょっと前くらいから急に物語が動き出し、一気読み間違いなし!1巻でクワン王子が気になっていたわたしとしては、今回はクワンがメインのお話だったので大満足でした。それにしても今回の「海の孔雀」というタイトルは、クワン王子のことだったのね。

ソニンはあんまり嫌みのない主人公なので、読んでいて本当に安心して読めます。ほんとう、小学校の教科書に載せたい物語です。
でも、子供向きだと思って読んでいると、結構鋭いことが書いてあって、ドキッとしてしまいます。そこがこの本の魅力かな。(というか作者さんの魅力でしょうか)

1巻で登場していた、ミンやイルギと言った人々も、引き続き登場していてよかったです。
イルギはソニンの義理のお兄さんになっていてびっくりした。そうしてミン、こういう子好きです。ソニンはこういう現実的でしっかりした子が友だちなのが本当に恵まれているな、と思いました。
しかし、前の巻に出てきた人が安定して出てくると、シリーズものって感じがするし、やっぱり嬉しいものですね。

逆に、今回ちょっと悲しく感じたのが、江南の王妃様でしょうか。まあ、こういう育て方をされてしまったことによる性格の悲劇なのでしょうが……。前の巻に出てきたレンヒと同じく、一歩間違えればソニンもこういう風に育っていたという、鏡のような存在なのかも知れません。

今回は、イウォル王子の活躍が少なかったのが残念といえば残念。でも、またまた気になる登場人物(リアンやセオ)が出てきたので楽しみです。
沙維、江南ときて、次の舞台は巨山(コザン)になるのでしょうか。そのあたりも楽しみです。

なかなかお勧めのシリーズです。

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