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2019-11

野ばら/長野まゆみ 著





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(2016年読書感想41冊目)



この本の概要


著者 長野まゆみ
本(作者)の国籍 日本
訳者 
イラスト 
出版社 河出書房新社
レーベル 河出文庫―BUNGEI Collection
ジャンル 幻想小説(少年)
ページ数 142ページ
フォーマット Kindle版
ノンシリーズかシリーズものか? ノンシリーズ(一冊で読める)
なぜこの本を読んだか。久しぶりに長野さんの本が読みたくなって。
本の入手方法 Amazonで購入

   
おすすめ度

感動 ★★
面白い★★★★
人に勧めたい ★★★★
驚き ★★★
学んだ ★★

この本を評価するなら 
88点くらい。素晴らしいの一言。

収録作品
野ばら


受賞・ノミネート情報など
不明



内容

銀色と黒蜜糖―。白い野ばら咲く庭に住みついた2匹の美しい猫と同じ名前を持った2人の少年は何者なのか?目覚める度により深い眠りにおちてゆく少年月彦。その不思議な夢の中で繰り広げられた真夏の夜のフェアリー・テール。


この本の感想

永遠の夜に夢見る少年たちへ

久しぶりに長野まゆみさんの本が読みたくなります。自分の中で、この衝動は定期的にやってくるや、病の様なもので、今回もその病に浮かされて、夢の世界を求めるように、この本を読みました。
この本は長野まゆみさんのごく初期の作品ですが、現在に至るまで、彼女の世界観の全てが詰まっているといっても可本ではありません。痛々しいまでに透明な少年たち、不思議な石榴の紅玉を食べる夢、幻想的な夢の中に回帰するような感覚……。
月彦、銀色、黒蜜糖、という登場人物、少年たちは、野ばらの蔓に絡み疲れ、夜合歓(ねむ)の樹に抱かれるような夢を見続けますそれは永遠の螺旋状の様な夢でもあり、円環でもあり、瞬きでもあるかのようです。気づいたら夢の中にいるかのような読書体験。これは夢なのか、現実なのか? この本は様々な意味で、長野まゆみ流の幻想小説と言えるでしょう。そうして私たち読者は、その幻想に魅入られ、いつまでも夢に浸りたいと願ってしまう。物語の少年たちと同じ状況に陥ってしまいます。
課題図書にも選ばれた長野まゆみ初期の傑作で、ファンも多い一冊。ぜひ多くの人に読まれてほしいです。
曹達水は石榴を口にする描写など、読んでいる最中は非常に喉が渇きます。ご注意を。

心に響いたシーンなど
銀色がナイフを出すシーンが好きです。ドキドキしました。

主な登場人物
月彦  少年
黒蜜糖 少年
銀色  少年


こんな本が好きな方におすすめの本です。
幻想的な本が読みたい方に
長野まゆみの著作で何を読んだらいいかわからない方に。


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すべてのまぼろしはキンタナ・ローの海に消えた( ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア)




(2015年読書感想34冊目)

ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア 著 浅倉久志 訳 
おすすめ度★★★★☆(海の魅力と恐怖を鮮やかに描いた、不思議な読み心地の短編集)


「(前略)それとも自然は、人間の手にかかっておとなしく死んでいったりしないかもしれない……ひょっとすると、死そのものが、恐ろしい生命をそなえて逆襲してくるかもしれない。(後略)」(p141)
―わたしの言葉―


海を題材にした、不思議で幻想的な連作短編集


図書館で目に留まって、本当に何となく手に取った一冊です。
作者のティプトリーさんは本当は女性(覆面作家)で、SF小説の名手なのですね。彼女の書いたSF小説は、私でも名前を知っているものばかりでした(中にはずっと読みたいと思ってるSFも!)

そんな彼女が、ファンタジー小説というあ、幻想小説を書いたのが今作です。
作者も、語り手もアメリカ人ですが、キンタナ・ローというメキシコの海を舞台にしています。
「リリオスの浜に流れついたもの」「水上スキーで永遠をめざした若者」「デッド・リーフの彼方」を収録しています。

語り手の「わたし」は同一人物なので、ゆるい連作短編集といったところでしょうか。
何となく手に取った一冊だけれども、読み始めると不思議な味があって、どんどん引き込まれていきました。海って本当に不思議です。何があってもおかしくないというか、何があっても許されてしまう場所というか。海が両性具有という考えには非常に親近感が湧くと同時に、納得してしまいます。

そんな私のお気に入りは「リリオスの浜に流れついたもの」ですね。
ドキドキして、少し怖いところさえあるんだけど、本当に面白いです。
幻想的な海と、それでいて海の怖さみたいな側面を余すことなく書いていて、自然に対する畏敬の念というものがこみあげてくる好篇です。
まさに世界幻想文学大賞の受賞作にふさわしい一冊でしょう。

この本を読んだら、作者のSF小説もまた読んでみたくなりました。ティプトリーさんのお話って、とにかく題名のセンスの良さが本当に素晴らしい、て思うのですよね。
海に出ることが多くなる夏の前、梅雨くらいの時期に、なんとなく読みたくなってしまう一冊で、今の時期に読めてよかったなって、想うそんな一冊でした。

パラディスの秘録 狂える者の書(タニス・リー)

狂える者の書 (パラディスの秘録) (創元推理文庫)狂える者の書 (パラディスの秘録) (創元推理文庫)
(2014/09/29)
タニス・リー

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(2015年読書感想20冊目)

タニス・リー 著 市田泉 訳
おすすめ度★★★★✩(面白いんだけれども、精神状態が微妙な時に読むと少しきついです)


「時という偉大で分厚い書物に記してほしいわ。どんなものであれ、真の願いこそ大切なのだと」(p298)
―レオカディアの言葉―

オレンジをイメージカラーに添えた、めくるめく絵画のような狂えるものたちの物語


タニス・リーの代表作と数えられる「パラディスの秘録」の原書刊行順でみる最後の一冊を読みました。今回は今までの多くがそうであったように短編集でなくて、三つの世界が絡み合う長編小説となっています。
狂えるものの書、というだけあって、まるで複雑怪奇な構造の螺旋階段越しからペンギンを見つつオレンジ色のお酒を飲んで酩酊するようなお話でした。でも、このシリーズの中でもっとも深い意味を内包したお話のように思えました。

狂える都パラダイスの中にあって、自分たちは正気を保っていると信じながらも、平然と殺人を繰り返すフェリオンとスマラの美しき双子兄妹
従姉妹に陥れられ、正常でありながら狂人とみなされて精神病院に送られたパラディの女画家、レオカディア。
激しい片恋に破れ発狂し、やはり脳病院に収監されることになるパラディスの若き令嬢、イルド。
この三つの場所と人物たちが絡み合い、一つの織物を編むような、そんなお話です。
正常とは、狂気とはなんなんなのか。美とは、醜とはなんなのか。
相反する二つの存在の意義を巧みに問いかけた、名作と言えると思います。

しかし、狂えるものの書、と題名につくだけあって、殺人や精神病院でのひどい描写などが続きます。
精神状態によっては、引きづられてしまったり、読むのが辛かったりするかもしれません。死者も数多く出ます。
ですが、面白かったです。そしてペンギンがすごい破壊力です。
陰鬱なシーンが続くだけ、最後のエピローグは鮮やかで、心が浄化されていくような感じでした。
正常人の勝利といったところなのでしょうか。ですが、その登場人物が、只中にあって本当に正常だったかなどと、誰がわかるのでしょう。
個人的に、私が愛好して所有している人形と同じ名前のついたフェリオンと、パラダイスの描写が好きでした。フェリオンとスマラがパラダイスを抜け、パラディの美しさに感動するシーンは、わたしも一緒になって感動しました。
章の最初に載っているエピグラフも効果的で、この本をまとまりよくしています。
しかし死せるものの書といい、この本といい、後半二冊はなんだかぼんやりとした夢幻のようにくらくらしてしまう、そんなお話でした。ある意味では、タニス・リーの幻視している世界をともに幻視しているのでしょう。
あと一冊、堕ちたるものの書だけ未読です。
いつかじっくりと読みたいと思います。
なかなかに感慨深い読書体験でした。
万人におすすめはできないけれど、大好きな一冊です。

パラディスの秘録 死せるものの書(タニス・リー)

死せる者の書 (創元推理文庫)死せる者の書 (創元推理文庫)
(2014/08/21)
タニス・リー

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(2015年読書感想12冊目)


タニス・リー 著 市田泉 訳 阿波村奈央 
おすすめ度★★★✩✩(悪くないんだけど、フィーリングに左右される本)


月は仮面。空を渡り、人々を見下ろす何かがその背後に隠れている。一体何が隠れているのか?
―「月は仮面」よりー


死者の都パラディスで紡がれる、モノクロの愛と死の短編集


タニス・リーの創作した、パリをモデルとした都パラディスにまた戻って来れるとは思いませんでした。
死と妖美な退廃の香り漂うパラディスにあっては、この本に収められている8つの物語など、あるいは日常茶飯事なのかもしれません。
どの物語も、狂おしいほどの愛の末に、死を見出し、死に魅入られる物語だったと思います。しかもこの本で描かれる死とは美しいものでも醜いものでもなく、平凡なもの。そのような印象を受けました。(つまり、十人並みの容姿の相手に焦がれて身を滅ぼす者が多数ということ)

正直、この本を読み終わるのにだいぶ時間がかかってしまいました。
死を題材にした短編集だけあって、どこか陰鬱で重々しい冬の夜のような物語ばかりでした。そういう雰囲気がお好きな方には、とてもいい短編集だと思います。ある意味では、非常にタニス・リーらしい短編集ですね。

でも、いかんせん登場人物に感情移入しにくいところがあったりします。短編集だからある程度仕方ないのかも。
でも、パラディスの墓地の様子がよくわかるのは、とても面白かったです。
個人的には、どのお話にもそのお話なりの良さがあって、どれが一番とかは決められませんでした。
不思議な都パラディスの中でこそ許される物語。
やはり我々はリーの目を通して、パラディスを視ているのかもしれません。
このシリーズを読むたびに、そう思わずにはいられません。
この都に住みたくはないけど、この都の存在を忘れないようにしたい。
読んでいると、そんなことを考える短編集です。



赤目姫の潮解 LADY SCARLET EYES AND HER DELIQUESCENCE(森博嗣)

赤目姫の潮解 LADY SCARLET EYES AND HER DELIQUESCENCE
赤目姫の潮解 LADY SCARLET EYES AND HER DELIQUESCENCE
  • 発売元: 講談社
  • 発売日: 2013/07/25




(2014年読書感想16冊目)

森博嗣 著

おすすめ度★★★☆☆(面白かったけど、私には難しかったです。)


「そう、貴女は、世界が存在してほしい、と望んでる。だったら、私が世界です。どう? 納得できたかしら?」
「貴女が、この世界を作ったという意味ですか?」
「そうかもしれない」
「それでは、まるで、神?」(p248)



久しぶりの森博嗣さんの本です。
大好きな百年シリーズに連なる本だということで、ミチルやロイディにまた会えるかも? と期待して読んだのですが、この話に2人は出てきません。
何だろう、メグツシュカの研究所の脳たちが見てる夢? みたいなお話。百年シリーズとの実際のつながりは見えるような見えない様な、そんなお話です。ミチルやロイディを期待してこの本を手にとるには、期待外れになってしまう内容です。

お話としては、森さんの著作の中でもコアなファン向けかな? という印象。
赤目姫という、文面からでもとっても美しさの匂う女性のことを、複数の男性が称えつづける話、と私は読んでいました。いや、もちろんそれ以外にもいろいろあるのですが。
とにかく赤目姫のキャラクターが秀逸で、森さんの好きそうな女性という印象を受けました。
赤目姫以外にも、緑目王子なんて言うのも出てきて、私はこの2人が特に好きだったな。

静かな映画を見ているような印象で、映像が目に浮かぶようでした。ジャンル分けが非常に難しいのですが、私は幻想小説として読んでいました。まさしく、知的エンタメの傑作であって、ジャンル分けなんて無粋なのかもしれませんが。
お話としては、人間と人形の違いみたいなの追及したお話なのかな。百年シリーズらしいテーマではあります。
森さんのこういった持論は興味深く、意味が理解できないながらも、読んでいて気持ちよかったです。
難しくて読み切れないかも……、と最初は思っていましたが、意外とすぐに読み切れました。

とにかく、大好きなシリーズの雰囲気にまた触れることができて、すごく嬉しかったです。でも、私はミチルとロイディの話が読みたかったのです……。
百年シリーズって3冊でおわる予定らしいですが、これで終わりだったら悲しすぎるので、これはぜひ番外編であってほしいな。
難しい話ですが、なかなか楽しめました。ミチルとロイディの活躍も、楽しみに待っています!



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