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2019-10

魔術師の城塞 - ベルガリアード物語〈4〉/デイヴィッド・エディングス 著




(2018年読書感想10冊目)

一年近くに及ぶアルダーの珠の奪還の旅に成功したガリオン。しかし、彼は西方の大君主、鉄拳のリヴァの末裔であり、光の子。ベルガリオン王としてリヴァの王に即位することに。(そんなことは聞いてない)
普通のFT小説ならここでめでたしめでたしなのだが、終わらないところがこのシリーズの心憎いところ。何しろガリオンは自分の素性について聞かされていないのだし、ポルおばさんもベルガラスおじいさんも、もっと衝撃的な隠し事を彼にしている。今までしがない農園の鍋磨きだったガリオンが、西方の諸国を束ねる大君主であると、周りの大人は知っていて、即位式が行われると、今までの砕けた態度がよそよそしくなる様は、読んでいて何とも暗鬱した気分になりますが、ガリオンも、彼の「予言によって定められた花嫁」セ・ネドラも自分が本当にやるべき運命を知り、運命が自分の主であると受け入れ、もっと大きい何かのために、成長を余儀なくされる様は何とも言えない感慨を読者に与える。
何度目かの再読ですが、いつも思うのは、ベルガリアード物語は、「様々な形の愛の物語」だということです。自身のガリオンへの愛を受け入れたセ・ネドラがいじらしくて私は好感を覚えます。
ガリオンは、自身が光の子であり、邪悪な神トラクと、「どちらかが死ぬまで戦わなければいけない運命」であることを知り、多くの人を巻き込まないためにも、ベルガラスとシルクの2人とともに、リヴァを抜けだし、再び旅の人に。
ドラスニアを通るわけですが、そこでドラスニアの王子であるシルクの意外な弱点(母親への深い愛)を知る下りは、やはりそれが愛のためであるゆえに、深い印象を残します。
ガリオンたちが3人で旅してる間、残された人々は来るべき戦争のために兵を終結させます、この流れは「指輪物語」を彷彿させます。最終巻である5巻はこれらの顛末が描かれるのですが、この4巻目も印象的なシーンを多く含んでいる佳作だと思っています。
ドラスニアの沼地の魔女の話とか好きなのですよね。ベルガリアード物語の魔法は<意志>に由来し発動するので、派手さはなくて地味でさえありますが、その魔法はやはりファンタジーであり、印象的です。

この本の概要

著者 デイヴィッド・エディングス
本(作者)の国籍 アメリカ
訳者 柿沼瑛子
イラスト HACCAN
出版社 早川書房
レーベル ハヤカワ文庫FT
ジャンル ハイファンタジー
ページ数 605P
フォーマット 紙本
ノンシリーズかシリーズものか? シリーズ4作目
なぜこの本を読んだか このシリーズが好きだから
本の入手方法 ネット書店にて購入

収録作品


内容

高僧クトゥーチクとの戦いのすえ、ガリオンとベルガラス一行はついに“珠”を邪神のしもべの手から奪還することに成功した。“珠”を本来あるべき“リヴァの広間”に安置すれば、旅は終わり、かつてのような農園での暮らしに戻れるのではと期待したガリオン。だが“珠”がかれを歓迎する喜びの歌は鳴りやまず、「運命」の一語だけを話す不思議な少年を介して、“予言”はガリオンをさらに壮大な宿命へといざなうのだった…。

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風の名前 3 キングキラークロニクル第1部





(2018年読書感想4冊目)


今日読んだ本はパトリック・ロスファスの、キングキラークロニクル第一部、風の名前の三巻。
この本はずっと存在は知っていて、早川の復刊に合わせて購読したら、一気に世界観に引き込まれて、それ以来大好きな一冊です。
さびれた宿酒場を経営している、燃える炎のような赤髪の主人、コート。
しかしそれは世を忍ぶ仮の姿で、本当は伝説の秘術師クォートである。
ある日街を訪れた紀伝家にせがまれ、クォートは自身の半生を語り始める。
キングキラークロニクルといいつつ、まだ核心には至らないこの第一部。謎がいっぱいなのですが、話の最初の雰囲気も暗いのですが、クォートの語りに入るころには、徐々に引き込まれていき、そうして気づいたら彼の語りを最後まで聞かずにはいられなくなってしまう。
そうしてその内容も、最初は慣れないけれど、慣れると本当に面白い。
この魔力は何だろうと思います。
私がこの本を好きだなと思う理由は、たくさんあります。
まず一つに、世界が生きていて、その生きた世界で、キャラクターも生きていると感じることができる、その世界の構築力です。つまりクォートもバストも生きている。生き生きしている。
暦をはじめ、かなり独特な世界観ではありますが、ここまで作りこまれた世界には生きているといってよいものがある。ロスファスの世界構築には個人的に賞賛しかない。
どこか甘やかな、詩的な文章、語りも魅力の一つ。私の大のお気に入りポイント。
主人公クォートの、考え方、行動、もののとらえ方、価値観、思想。
そういったものが、とにかく素敵だなと思う
みずみずしくて、上品で、なめらかで、的確、どこか懐かしいと感じるけれど。嫌味なほどには感傷的すぎない絶妙な按配。
つまり私はこの物語の主人公のクォートが好きなのだ。この本を読んでクォートを嫌いになるのは難しいと思う。
悲惨な過去を嘆くでもなく、しかし忘れるでもなく、生きている。友人もできる。目の敵にも思われる。恐れられ噂の的になることもある。お金のやりくりに苦しみ、異性が気になって、戸惑ってしまう。
そんなクォートは本当にたまらなく魅力的で、一言でいえばかわいい、デナになりたいとは言わない。けれどシモンにはなりたい。
この三巻目はほとんど学生パートだけれど、クォートに友人ができたことがうれしいし、デナと再会したシーンは、感動のあまり読書にのめり込み、読みながら涙してしまった。
なんて運命的な出会いだろう。しかし物語における現実
この三巻ハイライトはこの演奏のシーンに違いない。本当に、素晴らしいシーンだと感じる。私がクォートでも、デナに運命を感じるだろうと思う。
この本の、クォートの青春してる感じが好きです。美しいです。既に少なくない伝説を生み出しているクォートの、それでもまだ少年なんだと思える感性が好きです。
ファンタジー小説として、非常に贅沢な一冊だと思います。
このシリーズは間違いなくお勧めです。


著者 パトリック・ロスファス
本(作者)の国籍 アメリカ
訳者 山形浩生 渡辺佐智江 守岡桜
イラスト 中田春彌
出版社  早川書房
レーベル ハヤカワ文庫FT
ジャンル ハイファンタジー
ページ数 286P
フォーマット 紙本
ノンシリーズかシリーズものか? 三部作1部目の3巻
なぜこの本を読んだか。このシリーズが好きだから。
本の入手方法 書店にて購入

暁の女王マイシェラ エルリック・サーガ4/マイクル・ムアコック 著




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(2018年読書感想2冊目)


訳者さんの言葉ではないけれど、エルリックもやっと四冊目です。何度読んでも、そのたびに新しい視点と感慨を抱かせてくれるこのシリーズは、やっぱり私にとっては大切なシリーズです。
かつて、エターナル・チャンピオンほど、エルリックほど、宿命や神々、宇宙の意志に翻弄された人物はいただろうか、と思います。
しかしそれは、程度の差こそあれ、現代に生きる我々も同じことで、そう考えると、メルニボネ人でありエルリックは、現代人の我々をして鏡なのだなと思わされます。
そんな感慨を抱かせる一方で、この話はやはりファンタジーを感じさせる十分な要素がふんだんに出てきて、純粋に胸を熱くさせます。
この巻はそういったエンターテインメントの部分も本当に素晴らしく、悪役のセレブ・カーナはいささか小物ではあるものの、ファンタジーとして存分に楽しめます。
それにしても、マイシェラ、オーベック伯とエルリックに対する態度が別人ですね。エルリックに対するマイシェラがかわいらしい。
あとこの巻では、ラッキールも再登場し、エルリックとともに戦う様子が熱いです。ラッキール好き。
宿命に、神々に、多次元宇宙に翻弄されるエルリック。
この巻の最後のセリフが、心にいつまでも響きます。
「ああ、呪われよ、呪われよ、呪われよ」
どうかエルリック安らぎあれと思ってしまいますが、タネローンでさえエルリックに安らぎをもたらせないのですから、安らぎというのはなんというむなしく儚い響きなのだろうと感じさせます。
この、哲学的な要素が、エルリックの魅力の一つに違いないと、心からそう思います。



この本の概要


著者 マイケル・ムアコック
本(作者)の国籍 イギリス
訳者 井辻朱美
イラスト 天野義孝
出版社 早川書房
レーベル ハヤカワ文庫SF(606
ジャンル ハイ・ファンタジー
ページ数 252P
フォーマット 紙本
ノンシリーズかシリーズものか? シリーズ4冊目
なぜこの本を読んだか。このシリーズが好きだから
本の入手方法 図書館にて

   

収録作品



内容

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白き狼の宿命 エルリック・サーガ3/マイケル・ムアコック 著



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(2017年読書感想36冊目)


久しぶりにエルリックに会いたくなって、またこの本のページをめくった。
定期的に襲ってくる、この治しがたい熱病の様な感覚は何だろう、と思う。
この本では、エルリックの人物評をするシーンがある。この人物評を読んで、なんとなくエルリックに会いたくなる病の理由を察した。
エルリックは私とよく似ているのかもしれないと思った。「世事に無関心、しかして執念深し」
この本はもう30年以上も前に出版されている。しかし、エルリックの感性や悩みは、限りなく現代人のそれに通じている。だから私はエルリックが好きなのだと思う。
この本には4つの短編が収録されている。そこで今も鮮やかに感じるのは、エルリックの世界の女性たちの、なんと魅力的で美しいのだろうか、という事である。
サイモリル、マイシェラ、シャーリラ、イシャーナ、エルリックが愛し、また愛される女性の魅力的なことといったらない。病弱なのに、沢山の女性と良い仲になるエルリックも、やはり英雄という事か。
この本の、井辻朱美さんの翻訳が好ましい。エルリックの世界にこれほど似合うj翻訳もないと思った。天野さんのイラストも素晴らしい。読んでいて震えてしまうほどだ。
この巻は短い四本の短編からなるが、どの本にも退廃と破滅の中の美の様なものが感じられて、唯一の世界観を醸し出している。やはり私は、エルリックが好きだなと思う。心から強くそう思う。
エルリックの世界でファンタジーの世界にやってきた私にとって、この本の魅力は筆舌に尽くしがたいものがある。言葉なんていらないとさえ思う。
ただ、またきっとこの世界に戻ってくると思う。私にとって、この世界が魂の故郷の一つなのだろうとさえ思う。
何度読んでも、そのたびに褪せることのない素晴らしい感動に震える。
このシリーズは、だからこそ、やはり名作なのだ。


この本の概要


著者 マイケル・ムアコック
本(作者)の国籍 イギリス 
訳者 井辻朱美
イラスト 天野喜孝
出版社 早川書房
レーベル ハヤカワ文庫SF
ジャンル ハイ・ファンタジー
ページ数 210P
フォーマット 紙本
ノンシリーズかシリーズものか? シリーズ三作目
なぜこの本を読んだか。このシリーズが好きだから
本の入手方法 図書館

   

収録作品

オーベック伯の夢
夢見る都
神々の笑うとき
歌う城塞



内容


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風の名前 2 (キングキラー・クロニクル第1部)



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(2017年読書感想26冊目)


一巻を読んで、正直わからないことだらけだけれど、謎の吸引力があって、引き込まれるように貪るように読んだ読書体験が熱烈な印象を残していた風の名前の第二巻。
両親をはじめとする旅一座の仲間たちを、伝説の暗殺集団チャンドリアンに惨殺されたクォートは、タルビアンでの過酷な路上生活を経て、ついに大学を目指すことになった。しかしそこで待っていたものは……??
この2巻目も、読みはずめると私を掴んで離さなかった。
クォートのタルビアンでの生活は本当に過酷で、読んでいて時に辛いこともあったが、機知を働かせ切り抜けていくクォートがとても魅力的に映ったものだ。
タルビアンでの生活も過酷だったが、では大学での生活はどうかというと、タルビアン以上に過酷なものがクォートを待っていたと言っていい。嫌な上級生が憧れの場所を仕切り、先生である師匠の一人に目を付けられる。
それでも、それらを必死に乗り越えようとするクォートのたくましさに、読んでいる私もどこか勇気づけられるものを感じた。
この2巻では幕間は僅か一章のみであり、他の全ての章はクォートの過去の階層にあてられる。
クォートの語る過去は、厳しくて過酷だけれど、それでも希望と、甘酸っぱい恋と感情が、差し色の様に鮮やかに彩られている。黒髪の美しい少女、デナと過ごした大学に向かうまでのわずかな旅路は、クォートにとってそうであるように、私にとっても強い印象を残した。
とにかくこのシリーズは、クォートの人生の中で交差しては離れていく、脇役の一人一人に至るまでも個性豊かで、生き生きとしていて、その背景に深い人生を感じさせられるところが、私はとても好きで、魅力に思ってるのだろうと思った。
デナ、とラピス、スカルピ、そして大学でのルームメイトたち。
こんなに生き生きとした登場人物に出会うjことは読書体験を通じてもまれであり、だからこそこの本を忘れられないものにしていると思う。
個人的にはルームメイトのシモンとか好きなのですが、とにかく脇役に至るまで本当に皆素晴らしいのです。
同じ魔法学校ものではあるけれど、ハリー・ポッターと比べて読んでも、まったく違う面白さがある。
クォートの人生にこれからどんなことが起こるのか、目が離せない。引き続き三巻も読んでいきたいと思う。
しかしなぜか4巻を買ってしまっている。三巻を買わねば。



この本の概要


著者 パトリック・ロスファス
本(作者)の国籍 アメリカ
訳者 山形浩生 渡辺佐智江 守岡桜
イラスト 中田春彌
出版社  早川書房
レーベル ハヤカワ文庫FT(589)
ジャンル ハイファンタジー
ページ数 286P
フォーマット 紙本
ノンシリーズかシリーズものか? 三部作1部目の2巻
なぜこの本を読んだか。このシリーズが好きだから。
本の入手方法 書店にて購入

   

収録作品




内容


両親をはじめとする旅一座全員をチャンドリアンに惨殺されながらも、ただひとり生き残り、港町タルビアンへと流れ着いたクォート。だが、そこでの生活は悲惨をきわめた。父の遺品のリュートは無残にも壊され、絶えまない暴力に身をさらされながら、ごみ箱をあさって食べ物を探す毎日。そんなある日、酒場で語り部の老人スカルピに出会ったことがきっかけで、秘術士ベンの言葉を思い出し、大学に行くことを決意するが…。

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