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2019-08

宝石の筏で妖精国を旅した少女 (キャサリン・M・ヴァレンテ 著)




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(2015年読書感想41冊目)

キャサリン・M・ヴァレンテ 作 水越真麻 訳   
おすすめ度★★★★★(読んでいる間中愛おしい気持ちになれる、現代のフェアリーテール!)


この本の概要

アメリカの作家、キャサリン・M・ヴァレンテによる著作で、2012年に出版されたものの日本語訳版。ハヤカワ文庫FTの、556番目の本です。
妖精国シリーズの一冊目に当たります。
22章の短い章立ての間に、幕間を二回はさみ、章の扉ページと表紙のかわいらしいイラストは、Ana Juanの手によるものです。
〈受賞情報〉アンドレ・ノートン賞,ローカス賞ヤングアダルト部門


本のあらすじ


セプテンバーは5月生まれの、本を読むことが好きな12歳になったばかりの女の子。
退屈な日々に飽き飽きしていた彼女のもとに、ある日<緑の風>さんがやってきて、彼女に行った。
妖精国の近くの海まで旅をしないか?
「行くわ!」即答でこたえたセプテンバー。はたして彼女にはどんな冒険が待っているのでしょう?


この本の読みどころ。


妖精国から帰りたくない少女セプテンバーと、妖精国の魅力的な住民たち。とにかく登場人物が魅力的!


この本につけられた帯の文句は、現代版「不思議の国のアリス」ようなものだったように記憶しています。
次から次へと起こる不思議な出来事、少しおかしい登場人物たちは、まさしく不思議の国のアリスです。
しかし、アリスが不思議の国からたびたび帰りたいとこぼしていたのと違い、セプテンバーは、妖精国が大好きで、妖精国から帰りたくないのです。
年相応の子どもでありながら、時には優しくて仲間想いで賢いセプテンバーは、非常に魅力的なヒロインであり、少女です。
そのほかにも、図書館に住む智竜(ワイブラリー)エーエル。マリード(願いを叶える魔人)であるサタディ、セプテンバーの冒険を後から追いかける宝石の付いた<鍵>きれい好きのゴーレムのライ、はては悪役である侯爵も、とにかく登場人物がかわいくて、読んでいる間中、愛おしい気持ちになれる本です。
翻訳も、それまでロマンス小説ばかり手掛けていた方だし、苦手なですます調の翻訳だし、だいじょうぶかな? と思いましたが、非常に温かみのある素敵な翻訳になっていて、むしろこの語り口が癖になってきてさえしまいます。
あと、とにかくイマジネーションが凄く、またネーミングセンスもばっちりです。
傘の付喪神に「半蔵」「朧」とつける辺り、日本にも数年間だけ住んでいたことのあるらしいヴァレンテ女史ならではで、格好いいです。


この本の感想


とにかく、素晴らしいイマジネーションで描写される不思議な妖精国の様子が秀逸で、お気に入りです。
最初は不思議で楽しい妖精国を観光するかのようなのんびりした冒険でしたが、徐々に徐々に、それだけではない、辛いものになっていき、最後の方では、予想外の展開続きに、読む手が止まりませんでした。まさかこんなお話になるだなんて! 辛い冒険を、それでも勇敢に乗り越えていくセプテンバーが、とにかく愛おしいです。

妖精国を訪れる人間は、「取り換え子」「さらわれ子」「迷い子」と三種類に分類され、それぞれに課せられた意外なルールも印象的でした。
非常に現代的な様相の妖精国ですが、その様子が楽しいと同時に、妖精国の本質が暴かれる場面では、とにかく面白いの一言です。

想像以上にあたたかく、想像力を掻き立てられる一冊で、そういう意味でも、この妖精国、あるいはこの本には、本当に妖精が宿っているのではないかなと思わされました。
児童書テイストの素敵な本でありお話です。
気持ちはわかるけど、なぜハヤカワ文庫FTで出したんだろう。
大型の装丁の綺麗な児童書とかで出せば、読者層的にも雰囲気的にも、よりよかったのにな。
でも、非常に素敵な、読書体験になりました。


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ぬすまれた夢(ジョーン・エイキン)

ぬすまれた夢 (くもんの海外児童文学シリーズ)ぬすまれた夢 (くもんの海外児童文学シリーズ)
(1992/09/12)
ジョーン エイキン

商品詳細を見る



(2015年読書感想22冊目)


ジョーン・エイキン 著 マーガレット・ウォルティー 絵 井辻朱美 訳
おすすめ度★★★★✩(4・5くらい。イラストが素敵な不思議な味わいの童話集)


「ことばとは調味料のようなもの。多すぎるのも、少なすぎるのもこまりもの。おぼえておおき。(後略)」(p159)
―「ことばをひとつ」よりおばあさんの言葉―


なんとも不思議な味わいの、きらめきを隠す9篇の素敵なメルヘン集


エイキンの著作はたまに読みます。
読むたびに、本当に不思議な童話、あるいはファンタジー小説を書く人だなあと思っていました。
この本は、表紙の絵と、井辻さんの翻訳した本が久しぶりに読みたくなったので、図書館で借りて読みましたが、エイキンの不思議な味をした小説の極致という感じで、とても面白く読めました。
9篇の短いメルヘンのようなファンタジー小説が収録されていますが、わたしは特に表題作がお気に入りです。本当、ファンタジーの極みという感じで、宝石のようにキラキラ輝いていました。
エイキンの書くお話は少しうす暗いものも多いので、少し意外でしたが、強く心に残りました。

そして挿絵がまた絶品なのも素晴らしいところ。
繊細だけれども、少し不思議な雰囲気のイラストたちを堪能しました。カラーイラストもあって大満足です。
エイキンのファンタジー小説は、時代も、世界も、バラバラに詰め込まれた、スパイスの効いたお菓子の箱みたいな味わいがあります。そこがまたたまらなくて、ふとした時に手に取ってしまうんですよね。
ちょっと不思議なお話の世界に迷い込みたい方には、おすすめの一冊です。小さい子供への読み聞かせや、夜寝る前に一話づつ読むのにも最適。
また気が向いた時に、エイキンの著作を読みたいなと思わせる、そんな素敵な一冊でした。
おすすめです。

以下に収録作品を挙げておきます。

「虹の最後のかけら」
「ぬすまれた夢」
「鍵のかたちをした葉っぱ」
「さけぶ髪の毛」
「女の子を愛した木」
「探しものーー足をひと組」
「世界一の画家」
「おふろの中のクモ」
「ことばをひとつ」


ストラヴァガンザ 仮面の都(下)(メアリ・ホフマン)

ストラヴァガンザ 仮面の都 下 (SUPER!YA)ストラヴァガンザ 仮面の都 下 (SUPER!YA)
(2010/06/29)
メアリ ホフマン

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(2014年読書感想51冊目)

メアリ・ホフマン 著 乾侑美子 訳 丹地陽子 表紙絵
おすすめ度★★★★✩(面白かった! 色褪せない良質なファンタジー小説。)

「そうね。なれたとは言えないけれど、それほど悪くもないわ。それに、そう遠くない先に、はずすつもり」(p249)
ーアリアンナの台詞ー

イギリスで大人気だったというタイムトラベル・YAファンタジーの下巻。
なんというかこれは本当に面白かったです! 講談社のYAレーベルってこんな感じで、良本を出すのかな?? ほかのラインナップも読んでみたいと思うくらいにはこのシリーズは面白かったです。
ここがこうなるのか、とか、そうなるのか、とか、とにかくいろいろな驚きがあって、楽しく読みすすめられました。
女性作者だけあって、女性が強いですし、恋愛描写が、あっさりしてるんだけどなんだか濃密な空気感。大人組の愛情がいいのです。
とにかく、この本を気になってる方がいたら、とにかく読んでって言いたいです。続編もきちんと翻訳されてるようで、いつか読んでみたいと思います。

物語は大団円。こういう終わり方は、嫌いじゃないです。
唯一物語通して一人だけ? 確実な死者が出ますが、それが一番の衝撃だったり。
でもとにかく、自分もヴェレッツァに住んでるかのような錯覚を引き起こす、躍動感あふれる描写は素晴らしいです。自分もストラヴァガンザできたら、ちょっといいだろうなって思ってしまうくらい(危険もたくさんありましたが)タイムトラベルって憧れたりします。
ルシアンは今まで辛かったんだろう、ルチアーノになれてすごく、苦しいこともあったけど、でも、第二の命、人生という贈り物を得られて、本当に良かったと思いました。
現実パートは、正直ちょっと辛かったので……。
そしてこの本自体ののいいところは、上下巻に分かれていて、とにかく読みやすかったことです! 今から読むなら、断然このソフトカバー版がおすすめです。
ハードカバー版はそれだけで、ちょっと人を遠巻きにさせてしまうようなところがあると思うのですが、この版は装丁もいい感じです。多くの人に読んでもらえたらいいなあって思います。
とにかく、思わぬ良書でした。おすすめのシリーズです


ヴラディミール・トッド・クロニクルズ1 牙に秘めた思い(ヘザー・ブリューワー)

ヴラディミール・トッド・クロニクルズ (1) 牙に秘めた思いヴラディミール・トッド・クロニクルズ (1) 牙に秘めた思い
(2014/07/25)
ヘザー・ブリューワー

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(2014年読書感想47冊目)

ヘザー・ブリューワー 著 園生さち 訳 カズアキ イラスト
おすすめ度★★★★✩(ポップな雰囲気の、明るい面白さが魅力的です!)

「ねえ、ヘンリー?」
「ああ?」
「八歳の時、噛んでごめんね」(p181)

―ヴラッドとヘンリーの会話ー

ヴァンパイアものということと、タイトルが気に入ったので図書館で借りて読書しました。全米では100万部のベストセラーシリーズとのことです。
ヴラディミール・トッドは吸血鬼の父と人間の母の間に生まれた半吸血鬼の中学生。そんな両親は三年前に死んでしまった。あるとき、担任の先生の代わりに、オーティス・オーティス先生が現れた時から、ヴラッドの平和な日常は徐々に変化し始めて……、という話かな。

これはなかなかに面白かったです!
まず何より面白いなと思ったのは、半吸血鬼であるヴラッドを取り巻くその環境です。
後見人であるネリーおばさんも、親友であるヘンリーも、ヴラッドが吸血鬼であるということを、ごく自然に受け入れて生活しています。現代社会に生きる吸血鬼というと、自身の本性を隠して生きるというイメージが強いですが、もちろんヴラッドも自信の正体を隠していますが、一部にはオープンで、そのことが物語全体を非常に明るい雰囲気にしています。
そんなヴラッドはゴス野郎と呼ばれるいじめられっ子で、好きな女の子とはまともにお話もできない感じなのが、何とも言えずリアルで、やっぱり吸血鬼のイメージとは違いますね。そのあたりの雰囲気が気に入れば、面白いシリーズだと思います。

なによりも際立つのはオーティス先生でしょう。
最初登場したときはなんともおかしな感じでしたが、そこがまたよかったです。
最後までオーティスが敵か味方かわからなくてドキドキしました。
半吸血鬼のヴラッドの、恋に友情に成長に葛藤にと、王道だけど楽しい要素盛りだくさんの、素敵なYAロー・ファンタジー小説です。私は好きです。
2巻ではヴラッドたちは高校生に。楽しみですね。
刊行も順調のようで、嬉しいです。2巻まで借りてきたので、続きも読みたいです。
すぐ読める本なので、何か気楽に読みたい問にはいいかもしれません。おすすめ。


ストラヴァガンザ 仮面の都(上)(メアリ・ホフマン)

ストラヴァガンザ 仮面の都 (SUPER!YA)ストラヴァガンザ 仮面の都 (SUPER!YA)
(2010/06/29)
メアリ ホフマン

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(2014年読書感想46冊目)

メアリ・ホフマン 著 乾侑美子 訳 丹地陽子 表紙絵
おすすめ度★★★★✩(4・5くらい。とにかく夢中になって読めるファンタジーです!)


「ああ女公様、ご婚礼が待ち遠しくていらっしゃいましょうね!」
「そうね。いつもの年と同じくらいにね」(p12)

―侍女とドゥチェッサの会話ー


ずっとずっと興味はあったけど、ハードカバー版の分厚さから読むのをためらっていたファンタジー小説、ストラヴァガンザが、ソフトカバーで上下巻になっているのを図書館で発見し、思わず借りて読書しました。表紙は大好きな丹地陽子さんの手によるもので、主人公のルシアン(ルチアーノ)が描かれています。ルシアン、たしかになかなかの美少年ですね。

お話としては、病弱な少年がある出来事をきっかけにタイムトラベルし、16世紀のヴェネツィアを彷彿させる都市、ヴェレッツァにストラヴァカント(タイムトラベル)を繰り返すことから、お話が展開していきます。
現代と過去が交錯するので、読みにくいのかなー?? と思っていたのですが、細かく段落で分かれていて、読みやすいです。
そうして、物語にスピード感と、読者を世界に取り込む「力」のある作品となっています。面白い!
ルシアンにはなんだか感情移入して読んでしまいますし、アリアンナも可愛い。でも、なんといっても魅力的なのはドゥチェッサとロドルフォの二人でしょう。大人なバイプレイヤーの皆様がなんとも魅力的です。
とにかく読みやすくて、ページをめくり出すと一気に読めること間違いなしの作品です。
物語はまだどういうふうに展開していくのかわからないところがあり、終着点もまだわからないですが、この本を読んでいると、自分がまるで本物の、ドゥチェッサを慕うヴェレッツァっ子になったような、ルシアンと一緒にタイムトラベルしているような、そんな気持ちになれる、ワクワクできる一冊です。ヴェレッツァの都市が視えるような読書体験です。
また、ハードカバー版よりこちらのソフトカバー版がまたいいです。上下巻各250ページほどと、読みやすくて、装幀もいいです。朝の読書とか通勤通学時間に、ちょっとづつ読んでも楽しめるお話だと思います。

個人的には、アリアンナが物語にどうか変わっていくのか、ルシアンは最終的に現代とヴェレッツァどちらを選ぶのか、その辺りがとても気になります。早く続きが読みたい! そんな本です。
展開がある、スピード感のあるワクワクドキドキ系のファンタジー小説を読みたい方には、特におすすめのシリーズです。


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