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2019-08

Another エピソード S(綾辻行人)

Another エピソード S (単行本)Another エピソード S (単行本)
(2013/07/31)
綾辻 行人

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(2015年読書感想1冊目)

綾辻行人 著  遠野志帆 表紙絵  
おすすめ度★★★★☆(Anotherとはまた違った雰囲気の物語。好きです。)

「聞かせてあげようか、榊原くん。あなたの知らなかった、この夏のお話」(p5)
―見崎鳴の台詞ー

綾辻行人さんの大ヒットミステリーホラー「Another」のスピンオフというか続編というか、ヒロイン、見崎鳴を主役にした物語が本書です。
Anotherといえば、綾辻さんらしいホラーであり、いくつかのトラウマなシーンとともに、鮮明な記憶が焼きついています。「夜見のたそがれの~」の元になった人形のギャラリーにもいったなと、思い出深い作品です。
このエピソードSも、そういうホラー路線だったらどうしようか、などと思っていたのですが、その心配は吹き飛びました。これはなんというか、少しひねくれたゴーストストーリーといいますか、非常に綾辻さんらしい作品となっていると思います。
綾辻さんは大好きなミステリー作家の一人で、その柔らかい独特な文体が特に好きです。
でもとてもゾクッとするものがあって。今回は特に死体の描写が怖かったです。

お話としてはシンプルなミステリーなのですが、相変わらずの伏線というかトリックの巧さに脱帽してしまいます。
エピソードSのSについては、あとがきで書かれていますが、わたしはそれよりも、想君の物語なのかな、などと思ってしまいました。
このエピソードSは、夏らしい、なんとも言えない雰囲気のミステリーです。
ひと夏のお話であり、夏の暑さのように、夏の記憶のように、蒸発して消えてしまうような、そんな不思議な密度と繊細さ、儚さと切なさが同居しているように思います。わたしはこういうお話、大好きです。
綾辻さんらしさ一杯の本だと思いますし、Anotherがお好きだった方にも、Anotherは少し怖かったという方にも、しっかりとおすすめできる一冊です。
軽装版も出ましたが、なによりこの表紙が素敵ですね。
死を想う、メメントモリである、そんな一冊のように感じました。
いくつかの続編の構想があるそうです。いつか読めたら嬉しいな、などと思います。

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夜市(恒川光太郎)

夜市夜市
(2005/10/26)
恒川 光太郎

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(2014年読書感想45冊目)

恒川光太郎 著
おすすめ度★★★★★(これはすごくよかった! ほかのも読みたいです。)


「いかなる奇跡を用いようとも、生を得るとはそういうことではないのですか? そのはじまりから終わりまで、覚悟と犠牲を必要とする(後略)」(p170)
―僧侶のセリフー


最近よく名前を聞くホラー作家、恒川光太郎さんのデビュー作。普段はあまり読まないジャンルですが、夏ということでちょっとホラーが読みたくなり、手に取ってみました。
そして納得、これは人気なのもわかります。デビュー作にして、完成している雰囲気が漂っています。
ホラーというよりは幻想的怪奇日常系? みたいな感じです。 日常の隣にあるホラー。ホラーというよりはファンタジー小説に近いかもしれません。
表題作の「夜市」と「風の古道」を収録しています。

どっちもよくある話かも知れないし、それを言ってしまえばおしまいなんだけど、何とも言えない幻想的な怖さと風情があります。
読んでる最中は「夜市」の方が好きって思ったけど、「風の古道」にも味わい深い良さがあります。レンがいい味を出しているんですよね。
「夜市」はとっても切ない話でした。

恒川さんの著作には、「ある一定の場所から、ある一定の条件を満たさないと出ることができず、その場をさまよい続ける」、といった牢獄系の怖さがあり、どうもそれが作者さんの中で一つのテーマになっているように思います。
これがまた、何とも言えない愁いといったようなものと一緒に、怖さが同居していていいのですよね。
本当、日常の隣にある異界の扉といった雰囲気の作品を書く人で、そういうのがお好きな人には間違いなくおすすめできる一冊です。

「風の古道」の最後で、これは成長の物語ではない、と言っているのが印象的です。なんとなく作者の哲学を感じます。成長の物語でないあたりが、またなんとも幻想的怪奇だけを私たちの心の中に残してくれるのですよね。
ぜひいろいろな作品を読んでみたい、と思わせる作家さんと出会いました。別の物語も機会を見て読んでみたいと思います。

Another

Another
Another
  • 発売元: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 価格: ¥ 1,995
  • 発売日: 2009/10/30

綾辻行人 著 遠田志帆 表紙絵
お勧め度★★★★★(面白かった! 分厚いけど一気読み間違いなしです)

……ミサキって、知ってるか。三年三組のミサキ。それにまつわる話。

綾辻行人のホラーもの。ミステリーでもあります。
今ちょうどアニメが始まりましたね。それに合わせるように図書館から借りて読んでみました。

父の仕事の都合と肺気胸の病によって死んだ母の実家の夜見山市にやってきた主人公の榊原恒一。転校先の夜見山北中学の3年3組には、奇妙な噂が伝わっていて……?
ミステリアスな美少女、何かに脅えるようなクラスメイト。そうして起こる血なまぐさい事件の数々……!

みたいな話です。

まず何より、本の分厚さに圧倒されました。全部で677ページ。何と言うか凶器にも十分なりそうな重さと質感です。こんな分厚い本はさすがに読むのは久しぶりなので、「読めるかな……」と思いながら読み始めました。

結論としては677ページなんて一瞬でした! 正味数時間で読み終えてしまいました。
でも、2日にかけて読みました。面白くて引力がとても強く、そうしてなかなか怖い話なので、一気に読むと現実に「戻って」くるのに時間がかかりそうだから、というのが理由です。

でも、本当に面白かったです! そして、怖かった! 私はミステリ好きですがビビりなので、そうとう挙動不審になりながら読み終えました。
二部構成で、一部はなかなかに引っ張るのですが、二部は本当に一気に読んでしまいました。
そうして最後は大どんでん返し。ネタバレしたい! けどネタばれはしないです。
ただ、意外とすぐに違和感というか目星は感じるかな。わたしの場合、<死者>について目星はついていても、なぜその人がそうなるのか、最後まで予想がつきませんでした。

作中に出てくる<夜見のたそがれのうつろなる蒼き瞳の。>という人形館がとても素敵でした。知り合いから、モデルは渋谷にあったけど、昨年閉館してしまった「マリアの心臓」という場所だったと聞いたことがあるのですが、何度か行ったことがあって、確かにそれをイメージさせて、思い出しながら恒一くんと一緒に息をつめて人形たちをみているような気持ちになりました。もう一回行きたいけれど、閉まってしまって残念です。

とにかく、読みやすいし、雰囲気はあるし、最高に面白いと思うので、お勧めの1冊です。雰囲気やお話自体は綾辻さんの他作品、「緋色の囁き」に似てるかも。この著作が好きな方は絶対にお勧めの1冊です。

ミステリはネタばれはしない主義なので詳しいことは書けませんが、読んでみて損はないと思うので、是非読んでみて下さい。心からお勧めの1冊です!

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七つの封印4 黒い月の魔女

七つの封印〈4〉黒い月の魔女
七つの封印〈4〉黒い月の魔女
  • 発売元: ポプラ社
  • 価格: ¥ 788
  • 発売日: 2003/07

原題 Die Sieben Siegel  Der Dornenmann
カイ・マイヤー 著 山崎恒裕 訳 山田章博 絵
お勧め度★★★★☆(今回はゴシック・ホラーっぽい感じです)

「こんなこと言っても、信じてもらえないと思うけど…」キラが息を切らした。
「いいから、言ってみろよ」
キラは急に笑いだした。おかしいからではなく、苦しまぎれの笑いだった。パニック寸前の表情だ。
「月の表面に……」キラの声がかすれた。「茨を背負った男がいるでしょ。あそこにいるのは、その男よ」

七つの封印シリーズ4作目。なんといっても表紙がいいですねー。このお話に出てくる魔女さんはとっても好きです。現代的でイカすのです。
そんなわけで今回は久しぶりに魔女とキラの対面でした。
キラがどんどん勇敢というか…になっていてびっくり。他の人たちの出る幕はありませんね。
でも、ここまで勇敢になって使命しか見えなくなるとそれはそれで心配です。大丈夫かな……。

今回の題材もよい。
日本では月に兎がすんでいるとかよく言いますが、ドイツでは月に住んでいるのはとげを背負った男と考えられているらしいです。
その月男が月食の日に月の表面からいなくなり、キラたちに襲いかかる…! 怖いですね。

でもなにより怖いのはその月男さんが最後に取った行動だったり。 ひー、こわいです。最終巻でまた再登場らしいのでどうなるか気になる。

現代の魔女がロック・コンサートで歌って月男を呼び出すって設定も格好いい。魔女さん好きだ。
現代ものであり、ホラーであり、でもファンタジーでもある。
その塩梅が非常にうまいシリーズだと思います。

訳者の山崎さんはどちらかというと学者さんらしく、あとがきはとっても勉強になります。
でも、そう言えば今回は(初版は)誤訳があったのが気になったり……。

いずれにしても、次は外伝に行くらしいです。5巻まで借りてきちゃってるんだけど、やっぱり刊行順に読んだほうがいいのかしら。
今回はなによりも山田章博さんのイラストが素敵でした。
素敵なイラストと素敵な物語。その二つが合わさるとやっぱり読書は面白くなりますね。
続きも楽しみです。

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七つの封印3 廃墟のガーゴイル

七つの封印〈3〉廃墟のガーゴイル
七つの封印〈3〉廃墟のガーゴイル
  • 発売元: ポプラ社
  • 価格: ¥ 788
  • 発売日: 2003/05

原題 Die Sieben Siegel Die Katakomben des Damiano
カイ・マイヤー 著 山崎恒裕 訳 山田章博 絵
お勧め度★★★★☆(あまり怖くはないけれど、違うよさはあると思う)

化け物たちは、つぎからつぎへと目をさました。
そして狂気のさけびをあげながら
檻にからだをぶつけてきた。
数百年ものあいだ、自由を夢見ていたのだ──

ドイツの子供向けホラー・ファンタジー「七つの封印」の3作目。
今回の舞台はドイツではなくてフランスのトスカーナ地方の廃墟となった修道院。
キラ、ニールス、リーザ、クリスの四人はキラの父と一緒にそこに訪れます。
ダミアーノというガーゴイル彫刻の名匠が意匠を残す修道院で起こる恐ろしい出来事とは?
という話。

今回は何をおいてもクリスの大活躍! な巻でした。ジープの運転、スクーターの運転、英語の解読、ガーゴイルとの友情……。正直クリスは女の子二人からも好かれてるし、他を食っている活躍ですね。好きだからいいんだけど……。
まあこの前の巻は結構リーザが活躍してたからこんなものでしょうか。個人的にキラとかニールスの活躍がもっと見てみたいんだけどな……。
ニールスなんて結構慎重な性格になって私はいいと思うのですが、今回は恰好つけてイタリアコーヒーブラックで飲んで腹を壊しただけの気がする。

今回は前二作に比べるとあまり怖くない印象です。でもその代わりやたらと臭気に訴えてくる作品でした。
あと4人の友情とか、勇気とか、そういうのがクローズアップされた巻だった印象です。

あとびっくりしたのは死人が出たことですね。今までは怖くてもそういう怖さはなかったので、驚きました。

最後の終わり方も今までにないすがすがしさがあってよかったです。一匹残った良ガーゴイルさんには幸せになってほしい。

このシリーズでなかなか含蓄深いのは訳者様のあとがきで、なかなか勉強になります。ガーゴイルってそういうクリーチャーだったんだ…、と思わずメモをしてしまいました。

結構気になって続きも一気に借りてしまった。
ドイツのスティーブン・キングは言いすぎとしても、なかなかいい作家さんだと思います。
続きも楽しみです。

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