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2019-12

紙の魔術師/チャーリー・N・ホームバーグ 著



(2018年読書感想11冊目)


少し前に購入し積んでいた本を読了。面白くてずっとページをめくって一日ほどで読み終わりました。大変よくまとまっているファンタジー小説の小品。海外のFTは二分冊などが多いが、一冊で完結しているあたりも好感。
もともと一冊完結の予定だったものが好評を博して三部作になったというのも納得の展開とまとまりの良さは読んでいてとても気持ち良かったです。また、ディズニーで映画化の話も進行中だとか。本読みながらディズニー映画を思い浮かべたので、訳者後書きを読んで納得。物語の題材である紙の魔術がよい。確かに最初は、主人公のシオニーと同じで、紙の魔術なんて地味でぱっとしないのに、と読んでいる私自身も思っていたのですが、物語を読むにつれて、紙の魔術の魅力に気づき、みせられていくのは、本当に気持ちがよかったです。紙という物室と結合し、折り紙で作ったものに命を与える。素晴らしい。読んでいる本に命を吹き込み内容を視覚化する。素晴らしい。読書家必涎だ。
また、シオニーと彼女の先生であるセイン師との関係が徐々に変わっていく心の動きもよいなと思った。多少急激なものは感じたが、シオニーの心の動きは共感できる。この一冊がとてもよくまとまっているので、続編が蛇足に想える節もあるが、魅力的な魔法に満ちた世界観なので、気持ちがまたこの世界に戻ってきたがるのだろうと思う。
シオニーは優秀だけれど、嫌味なくてかわいくて、たくさんの後悔を抱えても真っ直ぐ生きているところがとても良い。あとセイン師の瞳の輝きの描写がとても素敵。年の差の二人のロマンスも気になるところです。
何よりもドキドキわくわくする冒険を味わる、とても素敵な読書の時間でした。
さらりと読めるし、映像も浮かびやすいので、魔法とかディズニーとか歳の差とか子弟とかのロマンスが好きならお勧めです。

この本の概要

著者 チャーリー・N・ホームバーグ
本(作者)の国籍 アメリカ
訳者 原島文世
イラスト minoru
出版社 早川書房
レーベル ハヤカワ文庫FT
ジャンル ヒストリカル・ファンタジー
ページ数 334P
フォーマット 紙本
ノンシリーズかシリーズものか? シリーズ1作目
なぜこの本を読んだか 書店で惹かれて。
本の入手方法 書店にて購入

収録作品


内容

魔術が高度な専門技術とみなされている1900年代初めのロンドン。魔術師養成学院を卒業したシオニーは、金属の魔術師になりたかったのに、人気のない紙の魔術の実習を命じられた。そのうえ師匠の折り師セインは変わり者。だが気の進まない勉強を続けるうちに、彼女は紙の魔術の魅力と師匠の優しさに気づきはじめる。そんなある日、セイン師が禁断の魔術の使い手に襲撃され…!魔法きらめく歴史ファンタジイ三部作開幕。
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『神々と戦士たちⅠ青銅の短剣』/ミシェル・ペイヴァー 著







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(2015年読書感想66冊目)

ミシェル・ペイヴァー 著 
中谷友紀子 訳

   
おすすめ度★★★☆✩(3・5くらい。古代の人々の様子が生き生きと描かれるギリシアの歴史ファンタジー)


この本の概要
日本では、「クロニクル 太古の闇」シリーズがヒットしたミシェル・ペイヴァーの新作。「クロニクル」は石器時代にオオカミを相棒にした主人公の少年の物語でしたが、こちらは青銅器時代のギリシャで、相棒はいるかとなっています。


本のあらすじ

現代から1500年前の青銅器時代のギリシャ。
よそ者として蔑まれたヤギ飼いの少年ヒュラスは、黒づくめのカラス族に、ある日理由も分からずに襲われ、妹と離れ離れになってしまう。
逃げ込んだ先の洞窟で、死にかけたひとりの男から青銅の短剣を渡されたことによって、ヒュラスの運命が大きく動き出していく!



この本の読みどころと感想


厳しいストーリー展開、活き活きとした登場人物たち。


「クロニクル 太古の闇」シリーズは一冊だけ読書済み。そのときはあまり面白さが理解できなかったのですが、今回のこちらの本は、素敵な装丁と舞台のギリシャに惹かれて読み始めました。
クロニクルは何がダメだった勝手、とにかくその厳しいストーリー展開がダメだったのですが、こちらの神々と戦士たちも、最初から緊迫した苦しいストーリーで、息つく間もなく、最初は読んでいて辛かったです。
でも中頃、ヒュラスとピラが出会うあたりから面白くなってきて、一気に読みすすめました。その頃には、妥協を許さないストーリー展開が逆に面白く、睡眠時間を削って読書しました。
太古に暮らしていた人々の暮らしが活き活きと描かれていて、瞼の裏に鮮やかに想像できるような、そんな素敵なファンタジー小説でした。
あと、なによりイルカかわいいです。こんなイルカの相棒欲しいです。
とにかく最後まで厳しいストーリーだったように思いましたが、このあとヒュラスやピラやテラモンが、どのように絡み合い、どうなって行くかが楽しみです。
二巻も読むかもしれません。

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孤児の物語1 夜の庭園にて(キャサリン・M・ヴァレンテ)

孤児の物語 I (夜の庭園にて) (海外文学セレクション)
孤児の物語 I (夜の庭園にて) (海外文学セレクション)
  • 発売元: 東京創元社
  • 発売日: 2013/01/29




(2013年読書感想63冊目)


キャサリン・M・ヴァレンテ 著 井辻朱美 訳

おすすめ度★★★☆☆(3・5くらい。好きな人はもっとはまると思う。)


昔ひとりの女童がいて、その容貌は糸杉の木と水鳥の羽毛を照らす新月のようであった。(p4)


普段から割と強気な価格設定の東京創元社の本ですが、この本の価格はけた違いです。約520ページの本で1冊5500円。上下巻だから2冊買うと1万円くらいします。
そんな高い本だからといういささか俗っぽい理由で興味をひかれ、図書館で予約してみることに。
現物を見るまでは、きっとこんなに高いからフルカラーに違いないとか、すごい本に違いないかとか思っていたのですが、現物を見てちょっと拍子抜け。
フルカラーなわけでもなくて、挿絵があることにはあるけどそこまでふんだんというわけではない。
なぜこの本が5500円するの? と真剣に考えてしまいました。

お話としては現代のアラビアン・ナイト。物語の迷路に迷い込んだような、めくるめく入れ子構造の物語です。
草原の書と海の書という二部構成に分かれていて、夜の庭園で、一人の女童(めのわらわ)が、王子である童子に物語を語ります。
その物語は、王子と鵞鳥の物語、あるいは白い娘の話がメインになっています。
メモとかしながら読んでいくと楽しいんだろうなあと思いながら読んでました。
本当にすごい複雑な入れ子構造で、ところどころの発想も面白く、訳文も美しいです。
おもしろかったし、好きなのですが、なんだか今一歩っていう感じでした。
なんか、私がアラビアン・ナイトと聞いてイメージする艶っぽさみたいなのが、あまり感じられなかったからでしょうか。
ただ、女童と童子の会話や関係は愛らしく、ところどころときめきながら読んでいました。この女童がかわいいのですよ!
お話としては、第一部が男性性を語った王子の話で、第二部は女性性を語った聖女の話という印象。対になってる感じを受けました。
続編も読みたいですが、いつか読めたらいいなあという感じです。
すごく期待して読んだので、ちょっと肩すかしでしたが、ファンタジー小説としてはもちろん、幻想小説という趣のある一冊で、なかなか味わい深いです。
興味のある方は図書館で借りて読んでいることをお勧めしたい一冊です。

ミノタウロスの森(トマス・バーネット・スワン)

ミノタウロスの森 (ハヤカワ文庫FT)
  • 発売元: 早川書房
  • 発売日: 1992/09

原題 Day of the Minotaur
トマス・バーネット・スワン 著 風見潤 訳 竹宮恵子 表紙絵
おすすめ度★★★☆☆(3・5くらい。神話的で幻想的で牧歌的な良品)

「だが、君は森には来なかったことになるよ。おかあさんのことも、知らずに終わってしまっただろう」
「あなたのことも。森に来たことは後悔していないわ、ユーノストス。わたしが後悔しているのは、わたしが人間の世界から持ちこんでしまったもののこと。わたしが扉を開けたのよ」(p199)


アメリカの詩人、トマス・バーネット・スワンの処女長編。なんとなく図書館で目が留まり借りてきて読書しました。

古代ギリシャ、クレタのミノス王の弟アイアコスの子供、テアとイカロスの姉弟は、アカイア人に祖国を侵略されて逃げた先で、賢明なミノタウロスの若者、ユーノストスと出会い、森の中で暮らし始めるが……。

といったようなお話。

竹宮恵子さんの表紙の雰囲気が示す通りの一冊となっています。ちょっとあっさりしているんだけど、美しく、悲しく、牧歌的で神話的で愛にあふれている……。表紙のテアが描写されている通りのお嬢さんで、かわいらしいです。

この物語は、ミノタウロスと姉弟の愛と友情の物語になっています。

ちょっと物足りないところもあるけれど、ミノタウロスたちの暮らす森の描写がお気に入り。ケンタウロス、ドリュアス(木の精)、女王蜂など、様々な神話的生き物がのんびり暮らす様子は、とても美しく、心に残りました。
ユーノストスとテア、イカロスの愛と友情もいい。また、当時の民族性というのがよくわかる緻密な描写は、よんでいて楽しかったです。

読後感もよかったので、この前日譚にあたる「幻獣の森」も読んでみようかな。
ちょっと物足りないというかあっさりしている部分はあったけど、なかなか楽しめた1冊でした。
興味のある方はぜひ読んでみてください。

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ドルイドの歌

ドルイドの歌
ドルイドの歌
  • 発売元: 講談社
  • 発売日: 1997/01/29

原題 The Druid's Tune
O.R.メリング 著 井辻朱美 訳 こみねゆら 表紙絵
お勧め度★★★★☆(完成度はいまいちですが個人的には大好き)

「(前略)でもあの<歌>は決してひとりのためのものではないよ、ローズ。真理への道は、決してひとりでさびしくたどるものではない。真理を求めるには、多くの旅、多くの連れが必要で、それは長く複雑な道のりなのだ。そしてわれわれは、だれのであるとも分かちがたい歌を、永遠に織りつづけてゆくのだ」

O.R.メリングのケルト・ファンタジー。
日本での邦訳は3冊目ですが、この作品がメリングの処女作になります。
夏休みをアイルランドの叔父さんの家で過ごすことになったローズマリーとジェームズ(ジミー)
叔父さんの家の妖しい雇い人ピーターの後を追って湖に出かけたら、姉弟は紀元前のケルトにたどりつき、神話にも歌われる有名な「クーリーの牛捕り」の合戦に巻き込まれることに…!?

というようなお話。

この話、好きです! というか面白かったし読みやすかったです。引き込まれるように、ほんの数時間で読み終わってしまいました。ページをめくる手が止まらなかった。
神話や、物語を愛する人ならだれでも考えるかもしれない、「自分があの物語の中に行き、登場人物たちと友情や愛をはぐくめたら……」という憧れのようなものを、よく書いています。
英雄たちの時代に赴いたローズマリーは、コノハトの女王メーヴの息子メインと恋に落ち、ジミーは神話の英雄、クーフーリンと親友になる……。
こんなに素晴らしい経験があるでしょうか。憧れるなあ。

といっても二人は歴史とか神話とかさっぱりなので、彼らが何者であるか全く知らず、先入観が全くないあたりもとてもいいです(姉弟はカナダ人です)

そしてこの物語に描かれる英雄、クーフーリンのなんとみずみずしく魅力的な17歳であることか。やっぱり、英雄はこうじゃないとね!クーフーリンの悲劇的な死がこの物語では描かれない分、余計に彼が魅力的な生き方をしているように思います。

しかし物語は、寝ても覚めても争いの時代。ちょっと血なまぐさいですね。まさしくあとがきにもあった通り、「命は主君に、愛は女性に、魂は神に、そして名誉は自分に捧げる」と言った時代の出来事です。

だからこそその分、パーダル(ピーター)が姉弟の命の安全の保証を念入りにしてしまっているのは、正直緊張感に欠けると言うか、要らなかったというか、興ざめだったというかですね。
こんな戦乱の時代に暮らしているのに、そういう危機的なドキドキ感があまりなかったです。

メリングの物語はどれもちょっと乙女趣味なところがありますが、この乙女趣味なところが個人的には大好きなのです。
ケルトが好きな方には、お勧めの1冊です。

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