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2011-06

風の大陸 第四部 宿命の都

風の大陸〈第4部〉宿命の都 (富士見ファンタジア文庫)
  • 発売元: 富士見書房
  • 発売日: 1990/04

竹河聖 著 いのまたむつみ 絵
お勧め度★★★☆☆(3・5位。あまり展開はなかったかな。)

「予言だ。カゼス王家の血をひく男子は……」
「カゼス王家の血をひく男子は?」
「この大陸の……ううっ!」

風の大陸4冊目。表紙はグラウルです。悪役なんだけどなんだかものすごく格好いい!
今回は、ティーエの人間性の成長を感じることができた一冊でした。

登場人物が新しくたくさん出てきて、名前を覚えるのが大変でしたが、それに比さずお話の展開はあまりなかったので、登場人物の紹介に終始した感じの一冊です。
私が気になる登場人物はイルアデルの母違いの妹姫、マレシアーナでしょうか。
たおやかな美しい姫なのですが、なかなかどうしてしたたかそうです。
そのほかではボイスの恋人のマンレイドもちらっと顔見せ。
いろいろな登場人物が出てきて、物語としてはいよいよ壮大な感じになります。

登場人物のほとんどが美形ばかりであるという点に関しては賛否両論がありそうですが、そのおかげでなんだかすごく華やかな印象があり、私は嫌いではありません。
イルアデルがマレシアーナに寄せる恋心とかは、ちょっといいな、なんて思ってしまいました。

町の描写も魅力的なので、展開はちょっと遅いのですが、上質なファンタジーだと思います。

ティーエもラクシも否応なく自分の運命と向き合わなければなりそうですが、どうなるか気になります。
何より気になるのは内外ともに危ういところの覗くイルアデルなのですが。

続きも気になりますが次は番外編なのでそちらを先に読む予定。

すぐに読めるし、なかなか楽しんでいるファンタジーです。

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フェンネル大陸真勇伝 雪の追憶

雪の追憶 フェンネル大陸 真勇伝 (講談社ノベルス タT-)
雪の追憶 フェンネル大陸 真勇伝 (講談社ノベルス タT-)
  • 発売元: 講談社
  • 価格: ¥ 924
  • 発売日: 2009/08/07

高里椎奈 著 ミギー 絵
お勧め度★★★☆☆(サチファンならもっと楽しめるはず)

「サチ。『私』は『貴方』に助けられた」

フェンネル大陸真勇伝の三巻。今回の舞台は主要登場人物の一人サチの故郷、北国トルリオンです。
偽王伝の一巻から引っ張ってきましたが、ついにサチの過去や本名が明らかにされます。サチは人気キャラのようだし、サチが好きなら楽しめるのでは。

私はと言うと、正直いまいちなのですが……。
確かにキャラクターは愛着もありますし、魅力にも思いますが、いかんせんストーリーテリングや文章の構成、プロットなどがいまいち。ついにはこの作者様はファンタジーと名のつくものを書かないほうがいいのでは? などと意地の悪いことを思ってしまいます。

文章が下手なわけではなく、逆に文章を洗練しすぎてうまく伝わってこない印象です。なんか唐突に難しい漢字も頻出するし。てんてこまいとか漢字で書く意味が正直よくわからない。この話って図書館でもティーンズコーナーにおいてあるし、ティーンズ向きなんじゃないのかなあ。

正直、もっと簡単な言葉でつづったほうがこのシリーズは魅力的だと思います。

ようやく明らかになったサチの過去は、正直察しが良ければなんとなくわかってしまうかも。英雄の弟を探すと言っていたサチですが、英雄は彼自身だったのですよね。で、同じく英雄として祭り上げられたフェンに自分の過去を投影して何かを見つけようとしていた……。

ちょっと都合よすぎる感じもしないでもありませんが、サチを救ったフェンの言葉は、なかなかぐっときました。

次回はいよいよフェンもストライフに戻るようで、最後にはロカやアシュレイといった懐かしい登場人物も出てきて、ちょっと楽しみ。

まあ、読むのが個人的にはちょとしんどいシリーズなので、読むのに間が空くかも知れませんが、最後まで読もうとは思います。

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もしも願いがかなうなら

もしも願いがかなうなら (創元推理文庫)
もしも願いがかなうなら (創元推理文庫)
  • 発売元: 東京創元社
  • 発売日: 2006/09/20

原題 If Wishes were Horses
アン・マキャフリー 著 赤尾秀子 訳 末弥純 絵
お勧め度★★★★☆(短いながら、奥深さを感じさせる良質なファンタジーです)

「わたしたちになにができるか、考えましょう!」

マキャフリイの中編ファンタジー小説。そして、以前から興味はあったものの初めてのマキャフリイです。
マキャフリイと言えば、パーンの竜騎士シリーズや、歌う船シリーズが有名ですが、こういった中編のファンタジーもなかなかです。
とくにこの本は、帯の文句の「男の子には馬、女の子には水晶」という文句が素敵ですね。

小さな村の領主エアスリー卿の妻タラリーは、不思議な癒しの力と知恵をもっています。
そうして夫のエアスリー卿が所属する公国に隣国が攻め込み、エアスリー卿は戦争に赴きます。
残された妻タラリーと子どもたちは、夫の帰りを待ちながら領地を守ります。
一番上の双子の子供トラセルとティルザの兄妹はもうすぐ16歳の誕生日。
女の子には水晶を渡すのが伝統で、男の子は馬をほしがっている……。でも戦争の影響で、馬はなかなか手に入らず……。タラリーは「何ができるか考える」のでした。

戦争もののお話の背景には、こんな物語がいつも展開しているのかも知れないと、そう思わせてくれる本です。
これが一つの独立したお話なのですが、何か大きいお話の外伝なのではないかと思ってしまうような、そんなお話です。

とくに最後のほうで、1日早い双子の誕生日を祝う宴を開く所は、この本の白眉です。
他に、トラセルがボニーと一緒にいるのもなんとも和みます。

また、末弥さんの表紙や挿絵など、本の装丁が中身も含めて本当に素晴らしく、素敵な温かいファンタジー小品となっています。
マキャフリーの文章も、なんだかきらきらしてるんだけどあたたかくて、お気に入りです。

もし気になったら、是非手にとって見てくださいね。

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試験に出る竜(ドラゴン)退治

試験に出る竜〈ドラゴン〉退治 (スマッシュ文庫)
試験に出る竜〈ドラゴン〉退治 (スマッシュ文庫)
  • 発売元: PHP研究所
  • 発売日: 2010/03/09

日昌晶 著 あかやま壽文 イラスト
お勧め度★★☆☆☆(ラノベとしては駄作だと思います)

「相手が強いから──だから、このまま尻尾をまいて逃げるの?」

あまりにも暇だったので、ラノベが散乱してる兄の部屋から適当に1冊完結の本をチョイスして読んでみました。ドラゴン好きだし。
あまりラノベは読みませんが、さすがにこれは凡作だと思います。駄作と言えるかも。
ファンタジー版の学園日常生活物と言えばそうなのですが、あまりにも内容が薄いし、馬とか鎧とか武器のうんちくが多いし、主人公は個性がないし特殊能力役に立たないし。

同級生の女の子3人の個性はそれなりに光り可愛いのですが、上記のうんちくなどでページが割かれているので、あまり会話とかもないのが残念。その会話も勢いと品のないエロといじりで成り立ってるからなんかなあー。

3章までたわいもない学園生活をやり、4章でとってつけたようにドラゴンが出るのですが、その構成もいまいち。
個人的には一話完結ものでたびたびドラゴンが出てくるほうが面白いし、好きです。

設定は光るものがあるのに、構成や世界は小さく収まりすぎている印象で、とにかく薄いです。
イラストもいっぱい入っていて、時には2ページ置きくらいに出てくるのですが、そこまで魅力的な挿絵でもないので、いまいちかも。

少なくとも、自分じゃ絶対買わないラノベです。

それなのに後書きが微妙に上から目線だし、こんな作者からラノベの書き方教わっても、面白いものが書けるか疑問と思いました。

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ローワンと黄金の谷の謎 リンの谷のローワン2

ローワンと黄金の谷の謎 (リンの谷のローワン 2)
ローワンと黄金の谷の謎 (リンの谷のローワン 2)
  • 発売元: あすなろ書房
  • 価格: ¥ 1,365
  • 発売日: 2001/07

原題 Rowan and the Travelers (Rowan of Rin, 2)
エミリー・ロッダ 著 さくまゆみこ 訳 佐竹美保 絵
お勧め度★★★★☆(一巻よりこっちのほうが好き!)

「<旅の人>が来るよーう! <旅の人>が来るよーう!」

ローワン少年のシリーズの第二弾です。
邦題の「黄金の谷の秘密」と言われると首をひねってしまうかもしれないですが、原題の直訳はローワンと<旅の人>
まさしく<旅の人>の物語で一巻でアランが好きだった私にはうれしい内容でした。

ローワンが<禁じられた山>に入って戻ってきたあの冒険から6か月ほどが過ぎたころ、<旅の人>たちが訪ねてきた。しかし、二年連続で彼らが訪ねてくるなんて今までなかったことだ。しかも、<旅の人>たちは何か隠し事をしているようで……。

ローワンは、山での冒険で少したくましくなったかと思えば、まだまだやっぱり怖がりなところがほほえましいです。しかもこの巻では花粉症に悩まされたりして、親近感を覚えますね。今まで花粉症になった主人公がファンタジーにいただろうか! やっぱりローワンは愛すべき存在です。

今回は一巻に比べるとだいぶ明るい雰囲気の話で、語られる情景も美しく、私は前の巻よりこちらのほうが好きです。<旅の人>が凧を使って空を飛んでくる様は、アランでなくてもドキドキするというもの! いいですね。

今回もロッダらしく、事件を予言する<詞>の存在や、男女差なく活躍する人々、ところどころに発揮される本当の勇気など、わくわくする要素もたくさんあります。
大人の私が読んでも、非常にどきどきして、先の気になる本でした。

火を囲んで語られる数々の物語、空を飛ぶ人々、黄金の谷への憧れ……。
そういった、昔誰もが憧れて夢見ていたようなものを、思い出してくれる一冊です。
デルトラ・クエストもいいですが、ローワンは本当に面白い! 子供たちに一番人気というのも納得のシリーズです。

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彩雲国物語 隣の百合は白

彩雲国物語―隣の百合は白 (角川ビーンズ文庫)
彩雲国物語―隣の百合は白 (角川ビーンズ文庫)
  • 発売元: 角川書店
  • 価格: ¥ 540
  • 発売日: 2007/11/01

雪乃紗衣 著 由羅カイリ イラスト
お勧め度★★★★☆(やっぱりこのシリーズの外伝集は面白い!)

「れいしん様、百合さんじゃなきゃダメなんです。知ってます、百合さんにとってはれいしん様は全然最高のアイテじゃないかもしれないけど、れいしん様にとっては、百合さんしかいないんです。絶対そうです。ぼくはれいしん様のお嫁さんは百合さんがいいです。お母さんになってほしいのは百合さんしかいません。一緒になったら苦労するし不幸になるかもしれないけど、ぼくは百合さんと一緒がいい。お願いだからどこにもいかないでください」

彩雲国物語外伝集3冊目。今回の主役は題名の通り、黎深の奥さんの百合姫と、黎深です。
今回の本には、「恋愛指南争奪戦!」「お伽噺のはにまりは」「地獄の沙汰も君次第」「幸せのカタチ」の4編を収録。
短編集ですが分厚いですねー。でも、文句なしに面白かったです! 最初は分厚いから読むのを後回しにしてたのですが、読み始めたらあっという間に読めました。本的には軽いです。でも、彩雲国物語的には、なかなか意味深い一冊です。

今まで本編でささやかれてきた「黄尚書は顔のせいで恋人に振られた」とか、「悪夢の国試」の話の一端とか、そういうのがわかって、やっぱり今の物語も大事だけど、登場人物の過去の話を知るだけで奥行きが増すなあと思います。

今回の話はどれもそれぞれ趣が違くて○
でも、共通しているテーマは、「愛」なのだろうなあと思います。
外伝集は前々から(本編がシリアスなので一息つけるのものもあり)好きだったのですが、面白さとか深さとかクオリティみたいなものがどんどん上がってきているような気がします。

次の外伝もいいらしいので期待です。

とにかく、彩雲国の大人組が好きな方は、必読の一冊だと思いますよ。

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ローワンと魔法の地図 リンの谷のローワン1

ローワンと魔法の地図  (リンの谷のローワン 1)
ローワンと魔法の地図 (リンの谷のローワン 1)
  • 発売元: あすなろ書房
  • 価格: ¥ 1,365
  • 発売日: 2000/08

原題 Rowan of Rin
エミリー・ロッダ 著 さくまゆみこ 訳 佐竹美保 絵
お勧め度 ★★★★☆(勇気をもらえるファンタジー。)

「ぼくは、もっとも勇敢な者じゃない。なにもかもが怖いんだもの! 怖くて怖くてしょうがないんだよ!」

同じ作者のデルトラ・クエストの続きが貸出中だったので、こちらのシリーズを借りてみました。
2000年初版で、2005年の時点で30版となっていました。おそらくまだまだ版を重ねているでしょうから、本当に人気のシリーズなんでしょう。そういえば、うちの高校の学級文庫にもあったような……。

ある日、リン谷の暮らしを支えていた川の水が止まってしまいます。このままでは、生活を支える重要な家畜のバクシャーが死んでしまい、やがて人々も死んでしまうでしょう。
川が止まった原因は、竜がいるという山の上にあると思われ、勇敢な村人たちは誰も踏みはいったことのない山の上に入ることに。
しかし、バクシャーの世話係であり、村で最も怖がりで臆病者と思われているローワン少年も、自分の意思に反してこの一行に加わることになり……??

勇気とは、勇敢であることとは一体どんなことなのか、そんなことが示されるファンタジー小説です。
リン谷の人々は勇敢な人々で、その中でも怖がりな臆病のローワンは、時に人々だけでなく母親さえも失望させてしまうような少年です。

そんなローワンが、山への冒険を通して少しずつ成長していく……。
山に探索に向かうのはローワンも含めて全部で七人。そのうち7つの道で7つの心が砕けると予言されます。
その言葉の通り、彼らは一人、そうして一人と山への道を脱落していきます。

と言っても誰一人死ぬわけではないから、安心して読める本だと思います。

「本当の勇気とは、怖いと感じながらも進んでいくことである」とこの本は読者に言います。
我々は、日常でそんな勇気を持てているかなあ、と考えさせられる本です。
何かにつけて言い訳して、「できない」とか「無理」とか言ってしまいそう。
そんなことを思いました。

著者エミリー・ロッダの素晴らしいところは、多くないページで、無駄を省き、それでも登場人物を活き活きと活躍させられること。この本にも実に多くの人が登場しますが、読み進めるうちにキャラクターに愛着が持てると思います。

私が好きなのは<旅の人>との混血の青年アランかな。
こう、人がだれでも持っているコンプレックスとか、負の気持ちとかに、非常に共感させられました。

安心して読めるし、お勧めの一冊です。

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風の大陸 第三部 風雲の都市



竹川聖 著 いのまたむつみ イラスト
お勧め度★★★☆☆(3・5位。本筋の一冊目ということでこれからに期待!)

「イルアデル……」
ティーエは呟いた。
「そうだ。確か、綽名は“父母殺し”……」

風の大陸3冊目。表紙はラクシ。色っぽいですー。
3冊目と言っても、前2冊は序章みたいなものだったので、この巻からがいよいよ本筋に入ります。
凄腕の自由戦士ボイス、男装の美少女でアドリエ王国に滅ぼされたイタール公国の公女ラクシ、そうして世界の相と呼ばれる瞳とたぐいまれなる美貌をもつ薬師のティーエ。
3人はいよいよアドリエ王国の都「ト・アデル(アデルのものという意味)」に入ります。
ティーエはここアドリエで自分自身の運命に出会うといわれ、ラクシもまた公女としての生き方を選択するかを迫られる。そうして二人を見守るボイスは……?

この巻は、これからこのアドリエ編を引っ張っていくだろう登場人物たちのお披露目みたいな印象です。
私が気になるのは、やっぱりティーエと瓜二つの顔をしていて、魂の双子と呼ばれるアドリエの若き王イルアデル。
この巻だけ読むと、まるで本当に敵なのですが、これからどうなっていくのかが本当に楽しみです。
大陸を揺るがす冒険と言っても、主人公のティーエが戦いを全く心掛けないので、やわらかい、上質な絹みたいなタッチで描かれるファンタジーです。

私が好きなのは第三話の「天国の村」
初めて怒りという感情を知ったティーエは、その激情のままに一夜にして都市を崩壊させます。
そのことに茫然自失となり、自身の殻に閉じこもるティーエが、ゆっくりと回復していく様子が、なぜだか穏やかな気分にさせられました。
ティーエが最後、晴れ晴れと笑うのもいいですね。

ティーエもラクシも、そうしてきっといずれはボイスも、さまざまな経験により悩み、成長していきます。
その成長の様子が、ファンタジーの一つの醍醐味だよなあと思うわけです。

しかしティーエは怒ると火の精霊、悲しむと水の精霊が暴れてものすごいことになるっていうのは……喜んだり楽しんだりするとどうなるんだろう。いつかそんなティーエが見たいものです。

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ウェストマーク戦記3 マリアンシュタットの嵐

マリアンシュタットの嵐 (ウェストマーク戦記 3)
マリアンシュタットの嵐 (ウェストマーク戦記 3)
  • 発売元: 評論社
  • 価格: ¥ 1,890
  • 発売日: 2008/11

原題 The Beggar Queen
ロイド・アリグザンダー 著 宮下嶺夫 訳 丹地陽子 表紙絵
お勧め度★★★★☆(とにかく一気に読める面白さ!)

ドミティアンでジャスティンといっしょにいたとき、ぼくはケストレル大佐だった。ヒーローと言われていたが、じっさいは殺人者だった。ぼくは自分をモンスターに変えたのではなかった。ぼく自身がモンスターだったのだ。
「あのころの自分にはなりたくない」テオは言った。「あのころにもどるなんて、まっぴらだ」
「そう」ミックルは彼を抱いた。「あなたはあなた自身であればいいのよ」

ウェストマーク戦記最終巻。
アメリカではウェストマーク三部作として知られ、すでに古典的地位を獲得している名作だそうで、確かに新しさはないかもしれませんが、今読んでも色あせることのない素晴らしい物語です。
この三冊目では、タイトル通り首都マリアンシュタットに嵐が吹き荒れます。
国外追放された独裁者の宰相カバルスが戻ってきて、総統府をうちたて、再び独裁政治を始めるのです。
テオたちはそれに抵抗します。

この3冊目の物語の主人公は名前のあるヒーローではなく、まさに民衆一人一人だと感じる、そんな物語でした。
とにかく展開が活き活きしていて、一気に読ませる力をもっています。

戦争の中で描かれる若い愛情、中年の男女の静かなそれ、年上の男性に対する少女の一途な愛、友愛など様々なものが鮮やかに描かれます。

とにかく多くの人が死んでしまうのが、とても悲しかったです。愛する人の手の中で死んだもの、愛する者を守って死んだもの、そういったものから離れた場所で死んでしまったもの、最後に昔の自分を取り戻して死んでいくもの。
戦争とは、人からなんとも簡単に人間性を奪ってしまいます。それでも、その中で人々は人間らしく生きようとしています。
この話は、英雄性の否定をしている話なのだと思います。等身大の人間を描いています。
そうして人々が、テオとミックルが、戦争のはてに何を手に入れたか、是非読んでみてくださればと思います。

個人的なお勧め読者層は中学生~大学生あたりの学生さんだったりします。
とにかく、とても深い、アリグザンダーらしいシリーズだったと思います。

このシリーズも、やっぱりすごく好きです。

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ウェストマーク戦記2 ケストレルの戦争

ケストレルの戦争 (ウェストマーク戦記 2)
ケストレルの戦争 (ウェストマーク戦記 2)
  • 発売元: 評論社
  • 価格: ¥ 1,890
  • 発売日: 2008/11

原題 The Kestrel
ロイド・アリグザンダー 著 宮下嶺夫 訳 丹地陽子 表紙絵
お勧め度★★★★☆(多くのことを考えさせてくれるシリーズです)

「名誉を重んずる人々は」モンモランは言った。「約束を守るものです」
コンスタンティンは彼に向ってほほえんだ。「国王って、約束を守らない人種なんだよ」

ウェストマーク戦記の2巻。前回は冒険ものという感じでしたが、今回は戦争ものの色合いがだいぶ濃いです。しかもゲリラ戦です。
作者様は第二次世界大戦の経験者で、レジスタンスとして活動した時期もあり、「この本に書かれていることは、私が体験したこととあまり変わらない」というようなことを述べています。

そのため、戦争の痛々しさが伝わってきたり、少なくない血が流れたりします。でもそれは戦争の中では当たり前で、非常にあっさりとしてたりして、その分残された人々の痛みなどがよく描かれています。
戦争の中でテオは、ジャスティンのゲリラ部隊に自らの意思で参加します。
そうして戦争に取りつかれ、本人も気づかずに、とにかく人を殺したいという気持ちに駆られます。
そうして彼は冷酷で残忍なケストレル(鳥の名前)大佐として恐れられていくようになり……。

愛するミックルと離れ離れになり、お互いの安否に気をもむ二人。二人が望むのはささやかな幸せなのに、戦争という状況がそれを許してくれません。
愛する女性や友の死などがよく描かれています。

戦争にあこがれていたコニー王も、戦争というものを実際に体験してみて、それを早く終わらせたいと願います。
そういった、さまざまな出来事や感情から、私たちも多くのことを考えさせられます。
アメリカではこの本は子供たちの推薦図書にも選ばれているそうなので、是非読んでほしいところです。もちろん、大人が読んでもたくさん気づかされるところはあります。

物語の最後で、戦争は終結を迎えます。人々にはその状況に置かれてしまえば、善悪を判断することは難しいのだと思います。それでも、手さぐりに進んでいくのが、歴史というものなんでしょうか。
とにかく戦争というものの描写が痛々しいですが、物語も後半になってきたころはますます面白く、活き活きとしてきます。
興味がある方は、是非読んでみてください。
続きも気になります。

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