風の大陸 第三部 風雲の都市
- 風の大陸〈第3部〉風雲の都市 (富士見ファンタジア文庫)
- 発売元: 富士見書房
- 発売日: 1989/10
竹川聖 著 いのまたむつみ イラスト
お勧め度★★★☆☆(3・5位。本筋の一冊目ということでこれからに期待!)
「イルアデル……」
ティーエは呟いた。
「そうだ。確か、綽名は“父母殺し”……」
風の大陸3冊目。表紙はラクシ。色っぽいですー。
3冊目と言っても、前2冊は序章みたいなものだったので、この巻からがいよいよ本筋に入ります。
凄腕の自由戦士ボイス、男装の美少女でアドリエ王国に滅ぼされたイタール公国の公女ラクシ、そうして世界の相と呼ばれる瞳とたぐいまれなる美貌をもつ薬師のティーエ。
3人はいよいよアドリエ王国の都「ト・アデル(アデルのものという意味)」に入ります。
ティーエはここアドリエで自分自身の運命に出会うといわれ、ラクシもまた公女としての生き方を選択するかを迫られる。そうして二人を見守るボイスは……?
この巻は、これからこのアドリエ編を引っ張っていくだろう登場人物たちのお披露目みたいな印象です。
私が気になるのは、やっぱりティーエと瓜二つの顔をしていて、魂の双子と呼ばれるアドリエの若き王イルアデル。
この巻だけ読むと、まるで本当に敵なのですが、これからどうなっていくのかが本当に楽しみです。
大陸を揺るがす冒険と言っても、主人公のティーエが戦いを全く心掛けないので、やわらかい、上質な絹みたいなタッチで描かれるファンタジーです。
私が好きなのは第三話の「天国の村」
初めて怒りという感情を知ったティーエは、その激情のままに一夜にして都市を崩壊させます。
そのことに茫然自失となり、自身の殻に閉じこもるティーエが、ゆっくりと回復していく様子が、なぜだか穏やかな気分にさせられました。
ティーエが最後、晴れ晴れと笑うのもいいですね。
ティーエもラクシも、そうしてきっといずれはボイスも、さまざまな経験により悩み、成長していきます。
その成長の様子が、ファンタジーの一つの醍醐味だよなあと思うわけです。
しかしティーエは怒ると火の精霊、悲しむと水の精霊が暴れてものすごいことになるっていうのは……喜んだり楽しんだりするとどうなるんだろう。いつかそんなティーエが見たいものです。
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