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2011-08

ムーミン谷の彗星 ムーミン童話全集1

ムーミン谷の彗星 (ムーミン童話全集 1)
ムーミン谷の彗星 (ムーミン童話全集 1)
  • 発売元: 講談社
  • 価格: ¥ 1,680
  • 発売日: 1990/06/22

原題 Kometen kommer
トーベ・ヤンソン 作・絵 下村隆一 訳
お勧め度★★★★☆(4・5位。ちょっと怖いけれど本当に面白い!)

「ぼくたちが、とくべつに勇敢なのじゃないと思うよ。ただ、あの彗星になれてしまっただけなんだ。彗星と、馴染みになってるくらいだもん。あれを知ったのは、ぼくたちがさいしょなんだ。しかも、あれがどんどん大きくなるのを見てきたんだ。彗星って、ほんとにひとりぼっちで、さびしいだろうなあ……」

ムーミンシリーズの全集の第一作目。ムーミンに関しては、いまさら言うまでもない世界的な作品ですね。
私はとにかくスナフキンが大好きで、ムーミンのアニメのファンなのですが、きちんと小説を読むのは実ははじめてかも。
彗星に関しても、友人から、「思った以上に怖かった」と聞いていたので。読むのを敬遠していました。
でも急に読みたくなり読むことに。

とにかく面白かったです! 文章も良いのですが、何より絵が素敵!
雰囲気自体は終末的な雰囲気が漂っていてみんなぴりぴりしてて読んでいて結構重たいのですが、それでもその中に恋や友情や愛情があり、まさしく童話的な作品になっています。

意外とみんなやりたい放題、言いたい放題で笑いました。スニフとか何回「ゲロを吐く」って言ったんだろう。それでいいのかムーミン童話。
スナフキンは相変わらず恰好よくてしびれた。童話の中にも、本当に大切なことや哲学的なことがたくさん描かれていて、心にグッときます。
世界が彗星によって破壊される前でも、現代でも、必要なことは一緒なのかも知れません。
ヤンソンさんの描くイラストが好きなので、イラストがいっぱい挿入されているのもよかったです。

ただ、日本ではムーミンの中でも大きな人気を誇るミィは、この作品には出てこないのですね。
この作品は他のムーミンの作風に比べると暗く重いので好きではないという人もいるかもしれませんが、私は大好きです。

ムーミン、読んだことがないなら一生に一度は読んでみてほしい本にはいると思います。
本当にスナフキン恰好よすぎる。スニフはアニメのスニフと変わらなくて安心してしまいました。

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妖怪アパートの幽雅な日常 3

妖怪アパートの幽雅な日常(3) (YA! ENTERTAINMENT)
妖怪アパートの幽雅な日常(3) (YA! ENTERTAINMENT)
  • 発売元: 講談社
  • 価格: ¥ 998
  • 発売日: 2004/10/09

香月日輪 著
お勧め度★★★★☆(内容のバランスの良いお話だと思います)

何が「特別」で、何が「普通」なのか。
ここにいると、その価値観が無限に多様なんだとわかる。
すべてが、無限に多様な可能性を秘めているとわかる。
俺自身にも無限に多様な可能性があるんだ。俺自身も「特別」であり「普通」なんだ。

妖怪アパート3冊目。今回もさっくりと読めます。
今回は夕士君の学校でとある怪談がうわさになり、その原因を探求しようと頑張るお話です。

こういった1巻完結もののお話のシリーズは仕方ないんだけど、最初のほうに何度か同じ描写が入るから、続けて読むとそんなところがちょっと気になったりします。
妖怪アパートの日常も本当にすっかり日常になって、なんだか和むと同時に、早く事件が起こらないかなあという気持ちに。
でも、あくまでこのシリーズはその題名が象徴する通り、主題はあくまで日常なんだと思います。
日常の大切さ、気づきの多さを気づかせてくれるお話というか。
日常の部分のなんと魅力の多いことか。るり子さんおお料理! 洞窟風呂! 妖怪アパートいいなー、と素直に思います。
とくに食事の前に読むと、よだれが……。

今回は物語の要素のバランスみたいなものがバランスよく配置されていて、気持ちよく読むことができました。
考えさせられる部分もあり、日常のほのぼのした部分あり、ちょっと展開の重い部分もあり。
児童書の部類だと思うのでちょっと白黒はっきりわかりやすい部分があるのですが、それでも十分に楽しめます。

青春したいとか言っていた夕士君も、学校ではちゃんと青春してるんだなあとわかってちょっと安心した。成長したんだなあというか……。

今回は魔術書の中の精霊たちもよかった! こういう、特別なんだけど特別じゃない力って好きです。

一巻が一番衝撃的で面白かったんだけど、それでも大好きなシリーズです。
続きも借りてきてるので読まなきゃ!

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歌う石

歌う石
歌う石
  • 発売元: 講談社
  • 発売日: 1995/12/12

原題 The Singing Stone
O・R・メリング 著 井辻朱美 訳
お勧め度★★★★☆(ケルト好きにはたまらない一冊です。)

「ここがわたしの故郷なのかしら」ケイはひそかに考えた。「さもなければ、わたしの両親の生まれた場所?」

メリングのケルト・ファンタジー第二弾。
孤児の少女ケイは不思議な夢や出来事に誘われるようにアイルランドの地へ向かう。そこで見つけた「歌う石」をくぐると、なんとそこは紀元前1500年のアイルランドで…?
ケイはそこで記憶をなくした少女アエーンと出会い、互いのルーツを探し求める……。

といったようなお話。

今回は舞台となる時代がだいぶ古いので、神話好きとしてはうれしいことにほぼ神話の時代まで時代が遡ります。神話の時代の登場人物たちが、いきいきと、明るく、魅力的に描かれる様子は読んでいてとても楽しいです。さすが。
今回も女の子の二人旅で、そこにロマンスが絡む様子もたまらなくツボです。とくにアエーンとアマージンの恋は王道でいいですねー。アランとケイの交流も好きです。

今回は前回に比べると神話的、叙事詩的要素が強いのが本当に好みで、一日で一気に読み切ってしまいました。楽しかった!

ただ、今回の主人公のケイはある特別な出生を抱えていて、そのために不思議な力が使えるところはあんまり好きじゃなかったかも(前回の、なんの力もない現代女子が頑張る話が好きだったので)
ただ、ケイやアエーンの謎が最後のほうに向かって一気にとかれる様子は読んでいて引き込まれた。
こういうお話の展開も嫌いじゃないですし。

また、最後のほうで出てくるマーリンの話なんかはにやりとさせられました。こういう細かいところも、ケルト好きとしてはさらにうれしいところですね。

とにかく、面白かったです! 300ページ一気読み! ケルトが好きな方は、是非読んでみてくださいね。

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逃れの森の魔女

逃れの森の魔女
逃れの森の魔女
  • 発売元: 青山出版社
  • 発売日: 2000/02

原題 The Magic Circle
ドナ・ジョー・ナポリ 著 金原瑞人 久慈美貴 共訳
お勧め度★★★★☆(ヘンゼルとグレーテルの良パロディです)

魔女の目は永遠に乾いたまま。それが定めだ。ああ、汚れない心からあふれる涙は、人に与えられたなんとすばらしい祝福であることか! また涙を流せるようになれるなら、代わりにわたしはなにを差し出そう?

題名とあらすじと訳者さんに惹かれて、図書館から借りてきた本。

世界的に有名なヘンゼルとグレーテルのお話を、魔女の視点から描いたお話です。しかも魔女が魔女になる前の話から描かれます。醜いが普通の善良だった産婆が女魔術師になり、そうして魔女になって、お菓子の家ですむ……。ヘンゼルとグレーテルが出てくるのは後半のほうからです。
あらすじなどは童話のほうとほとんど変わらないのに、ああ、こんなヘンゼルとグレーテルもありかも! と思わせてしまうところが、作者のすごいところですね。
また、本書には様々な愛が描かれます。
母親としての愛、キリスト教徒としての愛、神への愛、弱いもの、小さいものに対する愛などです。
名前で呼ばれることもない、そういう意味で非常に童話的な主人公の醜い魔女の、そうした愛であふれていて、心にぐっとくるものがあります。
ヤングアダルト向きの本らしいですが、魔女が非常に子供を大切にする母親なので、内容的にはお母さんが読んだほうが心に来るものがあるのではないかと思います。
でも私のお気に入りは、主人公の魔女と彼女が救ったお役人の息子のペーターとの心の交流です。

ヘンゼルとグレーテルに対しても、日本ではグレーテルが妹で兄がヘンゼルですが、外国ではグレーテルがお姉ちゃんなのが一般的とか、勉強になりました。

あまり厚い本ではないのですが、内容は濃厚です。ヘンゼルとグレーテルが好きな方は、お勧めの一冊です。

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火蜥蜴(サラマンダー)の生まれる日 足のない獅子


駒崎優 著 岩崎美奈子 イラスト
お勧め度★★★☆☆(3・5くらい。さらりと読める一冊です)

「私を出し抜いた、嫌な詐欺師」
まっすぐ、リチャードの緑灰色の瞳を見つめ、彼女は低く囁いた。リチャードは黙って、彼女を見返した。報復のびんたでも食らうのかと思ったが、しかしセリーンは悪戯っぽい微笑を浮かべてみせた。
「抱きしめて、キスしてあげるわ」

足のない獅子4冊目。今回は錬金術にのめりこんだ騎士の息子の目を覚まさせるお話です。
登場人物の掛け合いが面白く、さらりと読めるお話です。
今回は、登場人物たちが一丸となって事件の解決に臨もうとしているところがいい。錬金術にのめりこんでいる渦中のポールも良いやつで、憎めないし。

たださらりと読めるのですが、その分あまり内容はないかなあと思ってしまいました。
まあライトノベルなのだから、それはそれで正しいレーベルのあり方だと思うので否定はしませんが、個人的にはもうちょっと、ぐっとくるシーンやセリフがあってもよかったかなと思ってしまいます。

でも、4冊も読めばキャラクターに愛着が持てますね。
最初はリチャードが好きだった私ですが、ギルフォードの良いやつぷりがじわじわとしみてきて、いまではギルフォードも好きです。

今回の題材の錬金術も、非常に中世的な題材で良いと思います。
多少文章の読みにくさはあると思いますが、雰囲気を楽しみたいときに読むには良いんじゃないかなあと思う一冊。
結構シリーズが出ているようで、まだまだあるようなのですが、続きも楽しみにしていきたいシリーズです。

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風の大陸 第六部 双影の宮殿


竹河聖 著 いのまたむつみ イラスト
お勧め度★★★☆☆(3・5くらい。アドリエ編も佳境です)

「アウル・トバティーエ」
イルアデルの声には、怒りに隠したとまどいがあった。
「何を泣く」
「泣く……?」

風の大陸本編6冊目。イルアデルにとらえられたラクシを解放するために、ティーエはイルアデルのところに出頭します。
今回の巻は、登場人物の心の中とか感情がよくわかってよかった。みんながみんな苦悩しているのが悲しい。

とくにイルアデルは、本当に誰も信じることができていない。妹姫マレシアーナの心を計りかねないながらも愛してしまう孤独…。
そんなマレシアーナはイルアデルを憎んでいるし。「憎んで何が悪いの!」というセリフはなかなか強烈なものがありました。
ティーエとラクシとボイスがそれぞれ離れ離れで、、自分たち一人で成長していかないといけない状況なのかな、と思います。

それにしてもラクシは可愛い。女の子の恰好していてもこんなに可愛いなんてツボすぎる!口絵は眼福でした。

ボイスはマンレイドとらぶらぶしてるので、それってどうなのよ! とかちょっと思いましたが、外伝を読んでる身としてはなかなか感慨深いです。それにしてもバリカイ良いやつだな。というかそんなので大丈夫なのか!
アドリエ編もいよいよ終わりに近くなってきて、いろいろな登場人物が動いています。
今後の展開も見逃せません。

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妖怪アパートの幽雅な日常 2

妖怪アパートの幽雅な日常(2) (YA!ENTERTAINMENT)
妖怪アパートの幽雅な日常(2) (YA!ENTERTAINMENT)
  • 発売元: 講談社
  • 価格: ¥ 998
  • 発売日: 2004/03/11

香月日輪 著
お勧め度★★★★☆(とにかく気軽に楽しい一冊)

「まあ、どうなるにせよ……」
長谷は、ここで一息おいた。
「お前はお前だからな」

妖怪アパートシリーズ2冊目。主人公の夕士君が妖怪アパートに帰ってくるところから話が始まります。
同じく久しぶりにアパートに帰ってきた古本屋が持ってきた一冊の本に気に入られ、夕士は魔術師の修行をすることに…!?
というお話。

この本は本当にあっという間に読めて、楽しめました! 母なんてわたしよりもはまっていて先に読破してしまうくらいです…。
何よりこの本は、アパートに帰ってきた夕士君の喜びにあふれていて、こちらまでうれしくなってしまうような、そんな一冊です。

お話の展開はちょっと突拍子もないけれど、いろいろな人がいて、いろいろな考え方があって、それらを広く受け止めようとする考え方は前の巻から一貫としていて、そういうところはとてもいいなと思います。

そしてなんといってもこの巻は、全く使えない魔術書の中の生き物たちと、長谷君との友情が素敵です。
本当に長谷良いやつだな! そつがないな!
お話の内容としては、もっと説教臭くても良いかなあと個人的には思ってしまうのですが、何よりも、日常的なことからいろいろ考えさせられる、面白い一冊です。

妖怪たちも住人たちも、登場人物もどんどん濃くなっていって、これからの活躍が楽しみな一冊。
わたしもこのアパートに住んでみたいなあと思います。
だってるり子さんのお料理! 洞窟風呂!

とにかくすぐによめて面白い良ヤングアダルト本なので、非常におすすめの一冊です。
次巻以降も楽しみ。

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たそかれ 不知の物語

たそかれ 不知の物語 (福音館創作童話シリーズ)
たそかれ 不知の物語 (福音館創作童話シリーズ)
  • 発売元: 福音館書店
  • 価格: ¥ 1,575
  • 発売日: 2006/11/23

朽木祥 著 山内ふじ江 絵
お勧め度★★★★☆(4・5位。相変わらず素敵な本です)

<誰だったのだろう彼は。彼は誰だったのだろうか>

麻は、耳に聞こえない音楽を聞き、目には見えないはずの絵を心に焼き付けた。
冬の日の陽だまりのような司のまなざしとともに、月の光の下の八寸の姿とともに、麻は、この絵をきっと忘れないだろうと思った。
 
以前に読んだ「かはたれ」の正統な続編。「かはたれ」で活躍した八寸や麻などのその後(四年後)が描かれます。なので、この本を読む場合はまずは「かはたれ」からどうぞ。そうでないと意味がわからない話なので……。

そして今回は題名にもあるとおり、河童の不知のお話です。不知が戦争をきっかけに失ってしまった人間の友人、司との思い出にまつわるお話です。

今回のお話もよかったです!
前回は絵がキーワードだったけど、今回は音楽がキーワード。音楽と、月光と、黄昏の光の美しく不思議な物語です。
ただ、前回に比べると文体の鮮明な美しさは印象が弱まったかなあと思います。そこがちょっと残念。もちろん、それでも十分に素敵なお話なのですが。

今回は人間の世界の学校にまつわるお話なので、より現実的というか、戦争の話なども絡んでくるので、なかなか深い話になっています。

一番心を打ったシーンは。麻と河井君の再会のシーン。何気なく言った言葉が、受け取る側にとってはとても大きな一言で、その後を変えてしまうこと、ありますよね。河井君良い人で心がほんのりしました。

不知と司の友情も切ない。幻みたいで、だからこそ本当に大切なひと時だったんだろうな。

とにかく、「かはたれ」を読んだら「たそかれ」まで一気読み間違いなしのシリーズです! とても面白いです!
絵本としても、絵のほんわかとした感じが、また作品の雰囲気をひき立てています。

いろいろなことを考えさせてくれた、心にしみる、本当にお勧めの一冊です。
もう続編はないんだろうけど、いつかまた再読したいな。

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NO.6 ♯9

NO.6〔ナンバーシックス〕#9 (YA!ENTERTAINMENT)
NO.6〔ナンバーシックス〕#9 (YA!ENTERTAINMENT)
  • 発売元: 講談社
  • 価格: ¥ 998
  • 発売日: 2011/06/14

あさのあつこ 著
お勧め度★★★★☆(いろいろあるけどとにかく終わって感慨深い!)

「これは……別れのキスか」
「誓いのキスだ」
ネズミが微笑む。
「再会を必ず、紫苑」

No.6シリーズの最終巻。長い時間がかかったけど、とにかく終わってよかったです!

内容的には、もっと知りたかったこと、ちょっと残念だったところ、いろいろ明らかにされなかったことがたくさんあって正直残念ではあるのですが、とにかく読み終わった後は、ああ、読み終わったなあという気分です。

ただ、沙布があまりにもかわいそうすぎる! 最後結局どうなったか描かれていないし。
紫苑の秘密というか不思議も、明らかにされずじまい…。ネズミの本名も明かされなかったし……。楊眠とかも結局どうなったんだろう……。

正直もっと知りたかったというか、いくつか明かされなかったらそれでいいや的なものでない謎も残っているのですが、最後はなかなかさわやかに終わっていてよかった。
明かされなかったことについては別冊のファンブックに描かれてるのかな?
正直そこまで今すぐ読む気になれませんが……。

本当に面白かったのは最初の3冊目位までで、後はいくつか残念な部分(進展の遅さ)などもあったのですが、とにかくこうして完結してくれてよかったです。

あさのさんの作品は、もう卒業になってしまうかなあと言ったものも感じるのですが、面白いのでこれからも読んでいきたい。

それにしても最後の二人のキスシーンは、本屋さんで立ち読みした時はひいたが、普通に読んだらこれもありかなあと思えるくらいだった。まあ、二人らしいよね。

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かはたれ 散在ガ池の河童猫

かはたれ―散在ガ池の河童猫 (福音館創作童話シリーズ)
かはたれ―散在ガ池の河童猫 (福音館創作童話シリーズ)
  • 発売元: 福音館書店
  • 価格: ¥ 1,575
  • 発売日: 2005/10/01

朽木祥 著 山内ふじ江 絵
お勧め度★★★★★(よかった! ちょっとじんわりし、いろいろ考えさせられる切ない本です)

<「たいそう違う」って、いったいどこが違うんだろう>
八寸は、手を振って出ていく麻の名残惜しそうな顔や、八寸やチェスタトンを見るとぱっと輝く表情も思い浮かべた。一緒にいたらおもしろかったり、温かい気持ちになったり、ひとりぼっちで切なかったり──麻と八寸は、同じ気持ちをたくさん持っていた。

図書館で面展されていて読んだ一冊。これはよかった! 本当によかったです!
天涯孤独になった子供の河童の八寸は、人間界に修行に出されます。そうして人間界では、猫としてすごします。
八寸を拾ってくれた少女麻は、少し前にお母さんを亡くしたばかりで、さまざまな悩みを抱えていた……。
麻と八寸の心の交流を描いた話です。

まずは、なんといっても文章がきれいです。その美しい文章で、美しさとは何か、美しいことを美しいと感じる心はいったいどこから来るのか、などを何度も、痛切に語りかけてきます。
きれいな言葉で書かれたそれらの問いが、むしろ切ない音楽のように反復して、心に深く問いかけてくる絵本です。
美しいものを美しいと感じることに自信が持てないっていうのは、なんてつらいことだろうなと思います。でもそれは、この本を読めば、誰もが感じたことのある感覚の問いとして投げかけられます。

最初は文章や世界観に入っていくのがちょっと時間がかかるけど、あとは一気読み。
とにかく、きれいで、しんみりする、静かなのですが、深くしみわたるお話です。

お母さんを亡くして心を閉ざす麻や、彼女と真剣に向き合うお父さん、麻のそばにいて彼女を慰めるチェスタトン、そうして八寸とのひと夏の心の触れ合い。

最後は別れなければならない、幻のような出来事だけど、確かに残る大切な思い出……。そう言った思い出って、いいなって思います。

子供にも、大人にも読んでほしい、そんな素敵な絵本です。お勧め。

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