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2011-11

コーンウォールの聖杯

コーンウォールの聖杯
コーンウォールの聖杯
  • 発売元: 学習研究社
  • 発売日: 2002/05

原題 Over Sea, Under Stone
スーザン・クーパー 著 武井孝夫 訳 マーガレット・ギル 絵
お勧め度★★★☆☆(面白いけれど、読んでも読まなくても……って感じの位置づけかもしれません)

「あの男のすることはなんだろうと、リオン教授の名においてなのだ、それがすべてなのだ。ほかになんのためにするというのだね?」
バーニイはこたえた。
「アーサー王の名において、そして闇の世界がやってくる以前の古い世界の名において」

遅ればせながらスーザン・クーパー初読。興味はあったのですがなぜ読まなかったのかというと、この本を読んでから「闇の戦い」シリーズを読みたかったからでした。
ということでこれは有名な「闇の戦い」シリーズに先駆けて書かれた作品で、夏休みにコーンウォールにやってきた3人の兄弟と、アーサー王伝説にまつわる重大な遺物をめぐる物語です。

ファンタジーってくくっていいのかなあ、とも思いましたが、まあ「あの人」も出てくるしファンタジーって事で。

3人兄弟の長男で海や船が大好きなサイモン、サイモンと11カ月しか違わない兄弟思いの長女ジェイン、アーサー王伝説に夢中な末っ子バーニイ(バーナバス)の3人兄弟のお話。そして彼らを見守るメリイおじさんの存在がなんとも魅力的です。

善と悪の終わることなき長き闘争というファンタジーにおける永遠のテーマを扱った作品ではありますが、何か魔物とかが出てくるわけではないですし、悪の勢力の恐ろしさというのが今一歩伝わってこなかったかなあと思ってしまう作品。なかなか分厚い本なのですが、いまいち盛り上がりにかける印象なのもなんとも…。

もちろん、兄弟たちはとても頑張っているし、夏休みの冒険小説としては間違いなく傑作と言っていいような名作だとは思います

でも、今一歩という感覚がぬぐえない、ちょっと残念な作品ではありました。「闇の戦い」シリーズを読めばまた違うのかな?? こちらも間をおかずに読む予定です。

アーサー王伝説物としては、本当にエッセンス程度と言った感じでした。でもコーンウォールって憧れるなあ。

ファンタジーというより、現代冒険ものとして読みたい1冊ですね。

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ようこそ、古城ホテルへ 湖のほとりの少女たち

ようこそ、古城ホテルへ 湖のほとりの少女たち (角川つばさ文庫)
ようこそ、古城ホテルへ 湖のほとりの少女たち (角川つばさ文庫)
  • 発売元: アスキー・メディアワークス
  • 価格: ¥ 651
  • 発売日: 2011/09/15

紅玉いづき 著 村松加奈子 絵
お勧め度★★★☆☆(作者や女の子が頑張る話が好きなら。ちょっと浅いかなあという感じもしますが、嫌いじゃないです)

「呪いであったのか。病であったのか。それを確かめることに意味はない。生きている限り。あたくしはあたくしの、矜持を守ってみせる」
それは彼女の問題だった。不安も絶望も、彼女のものだ。誰にも渡すつもりはなかった。そしてその自尊心が、崩れかけた彼女という存在をふるいたたせていた。

どちらかというと作者&レーベル読みした1冊。図書館で予約しましたが、意外と回ってくるの早かったな……。

湖のほとりにある古城ホテル、マルグリット。そのホテルの次期女主人(メトリーゼ)になるために集められた4人の少女たち。
魔山を追放された魔女、ピィ、罷免された美貌の軍人、ジゼット、人に言えない稼業から足を洗い普通の少女になりたいと願うフェノン、そうして亡国の王女、リ・ルゥ。
帰る場所のない少女たち。この4人の中で、女主人になれるのは一人だけ。いったい誰が、マルグリットの女主人になるのか……??

と言ったようなお話です。

まだまだ最初の1冊だから、わからないこととか、様子見のところもあるけど、なかなか続きの気になる1冊でした。ちょっと薄いなあと思う部分もあるけど、面白かった!
境遇も性格も何もかも違う4人の少女たちが、ある事件をきっかけにお互いに協力し合い、頑張る姿が良いです。女の子が頑張る話って結構好きなんですよね。

キャラクターはどの子も個性的で、何というか世間知らずだったりして、失敗も多くて、だからこそ立ち向かえる冒険もあるのでしょうが、とにかくどの子も魅力的。私が気になるのはジゼットかなあ……。リ・ルゥも良いけど。

お話的にはすごく王道な感じの話なのですが、キャラが良いので、今後に期待。
このマルグリットには人間以外のお客様も来たりするので、次はどんなお客様を迎えるお話になるのか気になります。

それにしても、古城ホテルって良いですねえ。それだけでもそそられてしまいます。

少女たちの成長物語っぽいので、そういうのが好きな方は是非。児童レーベルですが、もっと上の年齢層の方も楽しめるお話だと思います。

でも、本当に男っ気のない話でした(だからと言って百合っぽいわけでもないけど)ジゼットの同僚のエランとかもう一回出てきてくれたりしないだろうか。
とにかく、来月にはちょうど続刊も出るようなので、また読んでいきたいと思います。

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妖怪アパートの幽雅な日常 6

妖怪アパートの幽雅な日常 6 (YA!ENTERTAINMENT)
妖怪アパートの幽雅な日常 6 (YA!ENTERTAINMENT)
  • 発売元: 講談社
  • 価格: ¥ 998
  • 発売日: 2007/03/10

香月日輪 著
お勧め度★★★☆☆(中休み的な一冊??)

「稲葉は正しい」
黙々と飯を食っていた桂木は言った。
「俺たちは、もっと学生ってことを大事にすべきだ。この時でしかできないことを、もっと記念にすべきなんだよ」

妖怪アパート6冊目。10冊で完結なので調度折り返しですね。
今回の内容はズバリ修学旅行! というかスキー教室です。
修学旅行と言うと奈良とか京都だった私。思わず妖怪アパートもそんな感じだろうかと思ったら、まさかのスキー教室でびっくりでした。
でも雪合戦とか楽しそうですね! お正月に作ったかまくらもうらやましいです。
本当、このシリーズは季節感というのを感じられて、そこがたまらなく魅力的に感じます。

内容としては、これ以降の巻の伏線ぽいものも見受けられますが、基本は中休みかな?? って感じの内容です。
修学旅行なので、アパートの住人にあまり出番がないのもさみしいですね。

でもそのかわり、千晶先生との距離感が一気に縮んだように感じます。
何この二人とてもBLっぽくて、読んでいてなんだか恥ずかしかったです……。いや、そういうセンサーが反応する私が悪いの?? でも、これはそうおもわずにはいられないですよ……。
でも、千晶先生みたいな先生いたら楽しいだろうなー。今回は的外れな青木先生もあまり出てこなかったので、千晶先生の教師っぷりを堪能できました。

長谷の本家の問題とかも出てきたし、あと1年だし、着々と終わりに向かっている印象です。
この後どんな展開を迎えるのか、夕士と長谷はどうやって成長し、どこに向かうのか。

ちょっと中だるみっぽかったこの3冊でしたが、また面白くなりそうなので、楽しみに読みたいと思います。

それにしてもるり子さんのお料理、本当においしそうです。晩御飯前に読んではいけない本だなあと改めて実感(笑)

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アン・マキャフリイさん死去

外出続きだったので先ほど知ったのですが、21日にSF、ファンタジー作家のアン・マキャフリイさんがお亡くなりになっていたようです。

彼女の作品、大好きだったなあ。ちょうど今改めて読んでいたところで、私も竜騎士になって竜に乗りたいとあこがれたものでした。
中編もすごく好きだったし。


マキャフリイと言えば多くの人があげるこのセリフ。
「竜は飛ばねばやらぬ,空に糸胞がある限り」
やっぱり恰好いいです。

ご冥福をお祈りいたします。

ヴァンパイレーツ10 死者の伝言

死者の伝言 (ヴァンパイレーツ10)
死者の伝言 (ヴァンパイレーツ10)
  • 発売元: 岩崎書店
  • 価格: ¥ 998
  • 発売日: 2011/08/26

原題 Vampirates: Black Heart
ジャスティン・ソンパー 著 海後礼子 訳 三浦均 絵
お勧め度 ★★★★☆(双子の出生にはびっくりでした。面白かった!)

「ふしぎね。わたしの親のたったひとつの夢は、わたしに海賊業をつがせることなのに! わたしたち、ずいぶんちがう世界からきてるのね」
「かもね」(中略)「だけど、どこからきてたっていいじゃないか。大事なのは、どこに向かっているかじゃないかな?」

ヴァンパイレーツ10冊目。原本の4冊目の最後にあたります。
母を見送った墓地で突然倒れるグレースの身体に異変が。その原因は自分がダンピール(ヴァンパイアと人間のハーフ)であるためとローカンから聞かされるグレース。父親は誰なのか?? 出生にはどんな秘密が隠されているのか??
一方コナーはヴァンパイレーツ暗殺のための任務の準備をしていた。船長であるチェン・リーの元に訪問者が訪れ、真実を告げ、一行をシドリオとレディ・ロックウッドの結婚式に招待する。その結婚式こそ暗殺の舞台だ!

と言ったような話です。

この巻は3冊通してコナー側の物語だったなあという印象。ページを割いてたという意味でですね。でも、グレース側で明かされていく秘密は、本当に予想外のものでした(私だけ??)
これは、衝撃的だ! この事実を受けて、物語が一体これからどういう方向に展開していくのか、非常に気になります。

コナーのほうにも、人間関係に新しい動きが。どうもこれからコナーとジャコビーとジャスミンの3角関係が展開されるのでしょうか……。うーん、どうなるんだろう。なんかジャコビーがすごくあて馬な気がする……。

それにしてもコナーは、自分がヴァンパイアの血を引いていることに耐えられるのだろうか。
それにしてもダンピールはレアな種族だからなのか、優遇されっぷりが半端ないな、と思った。不老不死は恵みだと作中でよく言うけれど、双子は自身の特別性をこれからどう受け止めていくんだろう。

この巻はシドリオの魅力大爆発の1冊だったように感じる(しかし、シドリオって姓だったのね)
悪の魅力というか、悪になりきれていない魅力というか……。
これからの双子とシドリオの関係が本当に気になります。

とにかく、この巻は秘密が明らかにされてすごく面白かったです。ヴァンパイレーツを読むならここまでは読みたい! っていうような、区切りの巻とも言えそう。

本国では6巻まで刊行されているようなので、少なくとも今の段階でまだ2冊続きがあるのですね。
日本語版の刊行予定は今のところ未定ですが、なるべく順調な刊行を望みたいところですね。ほんとうどうなるんだろう。
続きを楽しみに待ちたいシリーズです。

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ヴァンパイレーツ9 眠る秘密

眠る秘密 (ヴァンパイレーツ9)
眠る秘密 (ヴァンパイレーツ9)
  • 発売元: 岩崎書店
  • 価格: ¥ 998
  • 発売日: 2011/04/29



原題 Vampirates: Black Heart
ジャスティン・ソンパー 著 海後礼子 訳 三浦均 絵
お勧め度★★★★☆(色々な秘密が出てきて面白かったです!)

「わたしから、ひとつだけいいのこすとしたら、どんなことだと思う?」じっとグレースを見つめる。「自分の思いをあきらめないこと。なにがあろうともね。どんなにつらくても、自分を信じつづけるのよ」


ヴァンパイレーツ9冊目。原本の4冊目の真ん中にあたる内容です。
チェン・リーの船長任命式に起きたある事件をきっかけに、彼女とそのクルーはヴァンパイレーツ暗殺のための特殊部隊に任命される。グレースのことを思って悩むコナー。その頃グレースは、母親サリーの頼みで故郷のクレセントムーンベイに帰郷していた……。

というようなお話。


この巻は新しい展開に新しい秘密、新しい謎などが出てきて面白かったです!やっぱりこの話は面白くて、読みだすとあっという間だなと思いました。
双子は本当に吸血鬼と人間のハーフなのか? とか、チェン・リーのお父さんの日記に書かれていたことの詳細は…? ローカンがグレースにあてようとした手紙の内容は? とか、気になることが本当に多いです。
あと、レディ・ローラに骨抜きのようなシドリオですが、彼の船と勢力はどうなるのか?? とか。思うにシドリオは、カリスマはあるけど船長ってタイプじゃないですものね。


それにしてもミス・リーから見たローカンの美系度が半端なくて思わず笑ってしまった。そんなに美青年だったのか、ローカン。そりゃあ、それで加えてあれだけ優しかったらグレースもときめかずにいられないよね。そんなわたしはローカンのアイルランド訛りになんだかとてもときめいていますけれど……。(←アイルランド好き)
そして、ジェズが意外と苦労人してて、思わず頑張れって心の中で応援してしまいました。ジェズはなんだか最近味があってお気に入りのキャラクターです。これからも活躍の場があると良いなー。


今回のお話はまさに題名通りの眠る秘密、って感じでした。
日本語版は分冊してるからか、最初の巻は今一歩なんだけど、それ以降の巻は本当に面白いです。
次の巻で現在の刊行分最後ですが、早く続きが読みたいなあと思います。
お勧めのシリーズです。

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満月の夜の伝説

満月の夜の伝説
  • 発売元: 岩波書店
  • 発売日: 1994/12/09

原題 Die Vollmondlegende
ミヒャエル・エンデ 文 ビネッテ・シュレーダー 絵 佐藤真理子 訳
お勧め度★★★★☆(4・5位。とにかく絵がいいです!)

「恥ずかしいんだよ」
「何だって」と、盗賊はあきれて聞き返した。
「お前の魂を救ってやろうなどと、思い上がっていた。だが逆に、お前がわたしの魂を救ってくれた。ずっと前に見た夢の約束は果たされたのだ。期待していたのとはまるで違っていたが。お前によってな。わかるまい」

エンデの絵本。というかもとは小説で、夫人の佐藤真理子さんの訳で1989年7月11日から7月13日まで、朝日新聞で連載されました。これはそれにシュレーダーが絵を入れたもの。
とにかく絵本にしてはビッグサイズです。持って帰るのも一苦労。しかしその分、エンデとシュレーダーという鉄板な組み合わせの作家二人によるコンボを充分に堪能できる1冊です。
シュレーダーの絵、本当に素敵ですね!

エンデの文章は、神は~、というような哲学的、神学的な内容や、悪人や善人、聖なるもの、邪悪な者などと言ったインド的な説話を思い出させるような、ちょっと難しい感じのお話です。
何というか、まさしく大人の絵本って感じですね。

隠者(聖人)と盗賊(悪人)という二人の対極的な男が、師弟になり、魂の救いを求める。
しかし、聖者にしか見えない世界があるように、悪人にしか見えないものもある。そうして、悪人が聖者を救うこともある……。と言ったようなお話の筋が、個人的には非常にお気に入りなのです。

エンデのお話は久しぶりに読んだのですが、奥が深くてお気に入り。他の作品も読み返したくなりました。

お勧めの1冊です。

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妖怪アパートの幽雅な日常 5

妖怪アパートの幽雅な日常(5) (YA!ENTERTAINMENT)
妖怪アパートの幽雅な日常(5) (YA!ENTERTAINMENT)
  • 発売元: 講談社
  • 価格: ¥ 998
  • 発売日: 2006/03/11

香月日輪 著
お勧め度★★★☆☆(3・5位。面白いのですが、もう一歩という感じ!?)

「やっぱり、天国って空の上にあるのかな」
「そう思えば、そうあるのよ。月の霊気が兎の形をしているようにね」
そうか。
ばあさんたちは、天の国へ行けると思えたんだ。
よかった。

久しぶりに読んだ妖怪アパート5冊目です。
本の中の季節は秋。15夜。久しぶりに読んだら、リアルタイムでも季節がちょうど同じ時期になっていて、そうして読むとまた味わいが違くていいですね~。妖怪アパートのシリーズは、季節感を感じられるお話で、素敵です。

2学期の途中にも関わらず、夕士の通う高校に対照的な二人の新任教師がやってきた!?
文化祭を間近に控える中、英会話クラブの新部員や、期末テストでのカンニング事件など、学校での問題が山積み! どうなる夕士の2学期!

みたいな話です。
その合間にお月見についてやったりする感じですねー。

うーん、面白いんだけど、登場人物がステレオタイプっていうか、極端っていうか……、なんだかそんな印象を受けてしまいます。
実際、青木先生とか「いるよね、こんな教師!」って感じの先生だったり、山本さんも「いるよね、こんな生徒!」って感じではあるのですが、どうにも描き方が引っ掛かるというか……。

しかし夕士君は恵まれてるなー。いや、なんか本当に恵まれすぎですね。
今回の話は自分の高校時代のことをすごく思い出してしまいました。登場人物と同じ年ごろのころに読んでたらどう感じていただろう、と思うばかりです。

それにしても、新キャラ二人は対極すぎてむしろわくわくする!
善意のおしつけで的外れなことばかり言う青木先生と夕士君はこれからどういう感じで触れ合っていくんだろう。
千晶先生も格好いいですしね。こんな生活指導、憧れるような、微妙のような……。

しかしなんだか道徳の教科書読んでるみたいでした。そこがいいところでもあるんだけれど、なんかなあと思う部分でもある。あと今回長谷の出番が少なかったのもちょっと残念。次は修学旅行だからさらに出番少なそうだしね。
それにしてもるり子さんのお料理本当おいしそうだなあ、といつも思います。
やっぱり、季節感を意識するって、日本人に生まれたからの特権であり、大事なことなんだなあと、ひしひしと感じました。

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白馬の王子

白馬の王子 (ハヤカワ文庫 FT 48)
白馬の王子 (ハヤカワ文庫 FT 48)
  • 発売元: 早川書房
  • 発売日: 1983/01

原題 Prince on a White Horse
タニス・リー 著 井辻朱美 訳 中山星香 表紙絵
お勧め度★★★★★(なんだか無性に好きな1冊です)

だがそれとは別に、自分が王子であること──何という王子だろう?──白い馬にのっていること──誰の馬だろう──そしてこの荒野を十時間にわたって駆けつづけていること──なぜだろう──だけがわかっていた。もしかしたら、自分は休日を楽しんでいるのかも知れない。

なんだか無性に読み返したくなって読んだ1冊。
と言っても、昔読んだときはあまり肌にあわなくて、挫折してしまった1冊でもあるのですが、人は変わるもので、今読み返したら本当に面白く感じた1冊でした。

自分がだれで、どこからきて、何をするべきなのか? そう言った一切の記憶のない、白馬に乗った王子が繰り広げる探索(クエスト)
馬はしゃべらないと言いつつもなぜかしゃべっている丁寧だけどあまりやる気のない白馬(たまにライオンになる)を相棒に、荒野の魔女、森のチャンピオン、空の住人、ドラゴン、水の妖魔などが跋扈する世界をゆく。
しかも、王子は<待たれていた救世主>なんて呼ばれてしまい……。
そんなたいそれたものになる気はさらさらない王子は、それでもやる気なく事件に巻き込まれていく……。

というようなお話。

とにかくコミカルで、思わずクスッと笑ってしまうような、そんな脱力系のアンチ・ヒーロー物のファンタジーです。
個人的にこの王子の性格と、人を食ったような馬との掛け合いが楽しくてなりません。

タニス・リーと言うと、「平たい地球シリーズ」に代表される耽美で幻想的な作風が有名で支持を集めていますが、それとは打って変わって、だいぶ肩の力を抜いたファンタジーです。
でも、さすがはタニス・リー。コミカルな中にも、随所にうっとりするような表現とイメージの世界であふれています。とくに色彩の幻想的な美しさはたまりません。

個人的に、王子のこの性格が好きで好きでたまらない。
「あなたのような方が乙女の頼みを無視するわけはないでありましょう?」
「いや、ところがそうするんだ」
みたいなやり取りとか。
他の登場人物が結構真面目なだけに、王子と馬のやる気の無さが際立ちます。
でも、まじめなゲメルとかイソームとかもとても愛らしいですけどね。

そんな王子でもやるときはやるようで、そこがまた格好いい。「ジュウェルスター!」という鬨の声は、ファンタジー好きとしては血潮が熱くなります。

あとがきで翻訳者様も言っていますが、タニス・リーの入門としてはちょうどいい1冊ではないかと思います。
本当に大好きな1冊です。

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花むすめのうた

花むすめのうた
花むすめのうた
  • 発売元: ほるぷ出版
  • 発売日: 1984/07

原題 Pohadka o kvetusce a jeji zahradce
フランチェシク・フルビーン 作 イジー・トゥルンカ 絵 千野栄一 訳
お勧め度★★★★☆(4・5位。とにかく絵がいいです)

庭は なみだをうかべると 花をのぞきこんだ。
そこには だれがいたとおもう?
小さな女の子が すわっていたんだ。
花からうまれた 花むすめだよ。

チェコの絵本作家、トゥルンカの挿絵によるチェコの絵本。チェコってクリエイター的には穴場で、本当に良質の物をたくさん作っている国ですよね!
この絵本も、トゥルンカの挿絵が本当に素敵です。

絵本としてはなかなか大きなサイズで、ボリュームもあります。でも、題名通り歌うように訳されているので、読むのは苦ではなく、むしろ楽しく読めるはず。

内容はハラハラドキドキしてしまった……、というか結構理不尽な展開でしたが、最後はハッピーエンドで、余韻のある終わり方で良かったです。

文章も挿絵も本当にきれい。このトゥルンカの絵のタッチ、たまらなく好みです。
本のサイズも大きいので、絵も大きく載せられているのが魅力。

翻訳の文章もきれいなので、声に出して読んであげたい絵本ですね。
とにかく、この独特の絵が本当に本当に素敵です。
チェコの言葉はさっぱりなので、原題がどういう意味なのかはわかりませんが、花むすめのうたという邦題も素敵です。
トゥルンカさんは、結構有名なクリエイターのようで、さまざまな活動を展開していたようです。
これから、ちょっといろいろ探してみようかな、などとそんな風に思った1冊でした。
お勧めです。

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