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2011-12

ゲイルズバーグの春を愛す

ゲイルズバーグの春を愛す  ハヤカワ文庫 FT 26
ゲイルズバーグの春を愛す ハヤカワ文庫 FT 26
  • 発売元: 早川書房
  • 価格: ¥ 819
  • 発売日: 1980/11

原題 I Love Galesburg in the Springtime
ジャック・フィニイ 著 福島正実 訳 内田善美 表紙絵
お勧め度★★★★★(ほっとしたりほっくりしたり。ノスタルジックなSF短編集)

これが私の悩みといえば悩みである。私は街に恋をしたのだ。前世紀に建てられ、いまでも、古い写真などで見るのとたいして変わっていない(現代的になった商店の入口を別にして)、大通り沿いのひと握りの建物に、私は恋をしてしまったのだ。

ジャック・フィニイの名作短編集。いつか読みたいと思っていたのが、念願の読書。
まずは何と言っても表紙絵が素敵ですね。内田善美さんの描いた漫画「かすみ草にゆれる汽車」もまさしくゲイルズバーグらしくて良いそうですが、こちらもいつか読んでみたいな。とにかく、この表紙が気になる人には間違いなくお勧めの1冊です。

この短編集には10篇の短編を収録。表題作「ゲイルズバーグの春を愛す」ちょっとHで笑える「悪の魔力」不思議なノスタルジック感のある「クルーエット夫妻の家」、ちょっと怖いかも(?)な「おい、こっちを向け!」一番現実的な趣のある「もう一人の大統領候補」ちょっと切ない「独房ファンタジア」一番時間SFっぽい「時に境界なし」一緒に旅をするような風情の「大胆不敵な気球乗り」のちの「夢の10セント銀貨」のもとになった短編「コイン・コレクション」現代の若者とヴィクトリア朝の乙女の恋を描いた「愛の手紙」となります。
私のお気に入りは表題作の他、「悪の魔力」「クルーエット夫妻の家」「コイン・コレクション」「愛の手紙」あたり。

50年以上昔に書かれたお話ではありますが、とにかくノスタルジックな、ちょっとほっとしたりほっくりしたりする話の雰囲気がもう大好き。どれもそれぞれ趣の違う話ばかりですが、過去に対する何ともいえない愛情と憧れに満ちた視線は、読んでいる私たちを当時の時代へといざなってくれます。
これほどまでに過去という物にこだわり続けた作家フィニイは確かにちょっと変わっているのかも知れないなあ、とか、そんな彼は80年に及ぶ生涯をどんな気持ちで過ごしていたんだろう、とか、いろいろなことを考えさせてくれる作品。
確かに現代は便利になっているけれど、なくしてしまったものもたくさんあるのだろうな。

とにかく、作者の書く恋物語(街や家に恋をするのも含め)がとても好きです。こんな恋があるなら、素敵だろうなと思える恋物語ばかりです。(ちょっと笑っちゃうのもありますが)
こんないそがしい冬の暮れだからこそ読みたい、そんな一冊かもしれません。
お勧めの1冊です。

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アルテミス・ファウル 妖精の身代金

アルテミス・ファウル―妖精の身代金
アルテミス・ファウル―妖精の身代金
  • 発売元: 角川書店
  • 発売日: 2002/08

原題 Artemis Fowl
オーエン・コルファー 著 大久保寛 訳
お勧め度★★★☆☆(3・5位。暗号解読が楽しい??)

「この狂人め!」
アルテミスは寛大にうなずいた。「ぼくが勝てば、ぼくは天才さ。負けたら、狂人だ。歴史は、そういうふうに書かれるものだよ」

アイルランドの児童文学作家、オーエン・コルファーのアルテミス・ファウルシリーズ1作目。
いつかよみたいなあとは思っていたのですが、いまになって思い出したように手にとって見ました。

12歳の天才少年アルテミス・ファウルは、父親の失踪を機に傾いた家運を立て直そうと莫大な黄金を持っていると言われる妖精たちに狙いをつけた。
妖精を誘拐し、身代金を要求するのだ!

簡単に言うとこう言うような内容です。
外国では、悪のハリー・ポッターと評され発売前からだいぶ話題になったそうですが、そこまでアルテミスは悪者って感じがしなかったのが残念。
それでも、やってることは確かに妖精を誘拐して身代金を請求しているだけなので、ただの悪者じゃん! って感じはします。これはピカレスク・ロマン・ファンタジーなんだろうな。

アルテミスたちのほうは面白かったのですが、妖精たちの描写が最先端すぎて、私にはちょっと合わないように感じました……。
何と言ってもこの話の妖精たちは、魔法も使うけど、超ハイテクなテクノロジーを持った情報集団。警察組織だってあるし、ピストルだって撃ってしまう。
そこが面白い、新しいと言えばそうなのですが、私にはどうも合わなかったです。

そしてアルテミスが、どんな天才でも悪者でも、母親に認めてもらいたいとか父親を探し出したいと願ってしまう、ツメの甘さがあるところも、私には魅力的でしたが、これすらも後世の学者によって美化された姿かもしれないと書かれているので、なんかなあ。
アルテミスが女の子だったら、もっと無条件に好きだったかも。

一度読んだ後ではまあまあかな、くらいの印象しか持たなかったのですが、ページ横に書かれた妖精の暗号を解読していく楽しさに気づけたのはなかなかおもしろかったです。この本の真の面白さはこの暗号解読かも!? 子供はこういうの好きだろうな。

まあ、話自体はそれほど自分に合うとは思えなかったけど、少なくとも次の巻は読むんだろうなと思いました。

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月の夢・夢の一夜 銀色のシャヌーン2


ひかわ玲子 著 天野喜孝 絵
お勧め度★★★☆☆(2・5位かも。悪くないけど、正直微妙かな……)

「(前略)わたしは生よりも死を選び取る気は毛頭にない……たとえ、どんなに苦い思いに囚われたとしても。
死よりは生を。
だから、人は夜毎の死……眠りから目覚めて、朝を迎える」
「……“理”だな。そなたの言う通り、銀色のシャヌーン。朝は来る」

銀色のシャヌーン三部作の2冊目。
この巻はシャヌーンの過去編とも言える次作の橋渡し的存在の巻で、行方をくらましながら助けを求めてきた親友、スールーを探してシャヌーンが海底の国を旅する「夢の一夜」と、恋人たちに試練を課す月の女神シセラによて、醒めぬ眠りに陥ったシャヌーンを助けに月宮殿に赴くファりナたちを描いた「月の夢」の2編の中編を収録しています。

うーん、正直言うとちょっとがっかりすることの多かった2作目です。
いくら女は清く、が美徳の時代のファンタジーと言っても、前作で誰よりも頑張って冒険し、祖国の危機を救った勇敢なファりナ姫が好きだっただけに、この巻の、恋人シャヌーンの不在に耐えきれずただ涙を流し続け、それに耐えきれないから魔法の眠りを施してくれと自ら懇願してきたファりナには正直興ざめでした。
女らしさを増したとか描写されてましたが、正直なんだかな……、と言う印象。

ファりナがシャヌーンのために頑張る「月の夢」では、シャヌーンが眠り姫だし……、なんだか疲れてしまった。
それにあとがきで「シャヌーン、スールー、ファりナの関係はアーサー王伝説のアーサー、ランスロット、グィネヴィアの関係になぞらえている」と言っていますが、それもあまり感じられないしなあ。感性とか見方の違いかな……。

物語自体は決して悪くはないのですが、なんだかキャラクターの変化っぷりにものすごくがっかりした1冊でした。
あと2冊で完結だけど、読むかなあ……。
まあそこそこ薄い本なのですぐ読めるし、気が向いたら読むかもしれませんが、うん、正直微妙でした……。

でも、青龍と緋龍と黒龍は好きなんですよね。彼らがどんな結末を迎えるかは気になるな。

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ドラゴンランス3 城砦の赤竜

ドラゴンランス〈3〉城砦の赤竜 (角川つばさ文庫)
ドラゴンランス〈3〉城砦の赤竜 (角川つばさ文庫)
  • 発売元: アスキーメディアワークス
  • 価格: ¥ 840
  • 発売日: 2009/11

原題 Dragons of Autumn Twilight
マーガレット・ワイス & トレイシー・ヒックマン 著 安田均 訳 ともひ 絵
お勧め度★★★★☆(個人的にはとても印象的な1冊)

「希望は見えないのか?」
「希望とは現実の否定です。荷馬の鼻先につるして虚しく歩き続けさせるだけの人参です」
「では、ただあきらめろと言うのか?」タニスはいらいらと樹の皮を放り投げた。
「ぼくは、人参を取り除いて自分の目でもって前進すべきだ、と言っているのです」

ドラゴンランスつばさ文庫版の3冊目です。そしてこれは原本を三分割したものの、一番最後の物語にあたります。
この話を読むのも数え切れないほどになりますが、やっぱり面白かった!この話は私が初めて読んだドラゴンランスなので、いつ読んでも感慨でいっぱいです。

読み返してみると、シリーズの中でも印象的なシーンが多いように思えます。
ティカやローラナと言った少女が、愛する人のために初めて剣をとり冒険するシーン、フィズバンやベレムの登場、物語を締めくくるリヴァーウィンドとゴールドムーンの婚礼。

こうしてみるだけでも、ドラゴンランスは愛の物語なのだなあと感じます。

この話では、裏切り者がいるかもしれないという疑心暗鬼状態のパーティが、いつ読んでもどこか痛々しい。
これほどまでにお互いを信じあえない登場人物って他のファンタジーにいるだろうか、とさえ思ってしまいます。そこがこのシリーズの魅力の一つなのですが。

それにしてもこのつばさ文庫版、ティカのふとももの挿絵を入れるとは一体どういう狙いなのだ! ただでさえこの本は(子供が読むには)ティカの描写がきわどい部分が多いのに!

昔はローラナがいいなあ、とか思っていたのですが、改めて読み返すとティカもとっても良い子ですよね。
こういう風にドラゴンランスというシリーズは、読み返すたびに新たな魅力に気づかせてくれるシリーズだと思います。

特にここまでの3冊は、一番冒険冒険していて面白いように思います。(好きとか印象的という意味を抜きにして)
ただ、だからこそ最後急ぎ足っぽくまとめてしまっているのが残念。

残念と言えば、つばさ文庫版の続刊が出ていないのも残念です。アルハナやシルヴァラや、ギルサナスのイラストが見たかった……。
また刊行再開してくれないものでしょうか。

そしてこの本には、レイストリンの煎じ薬やオティックのあげじゃがのレシピが載っています。こういうのってときめきますよね。オティックのあげじゃがは……、とにかくバターを大量に投下した印象が……。

ドラゴンランスシリーズの本の中でも、特に思い入れ深い一冊です。
おすすめ。

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ベルガリアード物語1 予言の守護者

予言の守護者 - ベルガリアード物語〈1〉 (ハヤカワ文庫FT)
予言の守護者 - ベルガリアード物語〈1〉 (ハヤカワ文庫FT)
  • 発売元: 早川書房
  • 価格: ¥ 861
  • 発売日: 2005/02/24

原題 Pawn of Prophecy
デイヴィッド・エディングス 著 宇佐川晶子 訳 HACCAN 表紙絵
お勧め度★★★★☆(まだまだ序章と言うことで)

「ぼくたちがしているこのことはとても重要なんでしょう、おじいさん?」ガリオンはたずねた。
「今のところ、世界一重要だ」
「ぼくはあまり役に立ちそうもないね」
(中略)
「一切が終わる前に、おまえは意外な成りゆきに驚くかもしれんぞ」

ベルガリアード物語の第一巻。わたしの大好きな作品の一つで、今回は再読。
大好きなのですが、これを知った当時は学生でお金がなくて、1冊千円近い本代を出すことができずに、2冊しか所有してないし精読していなかったのですが……。
ベルガリアードは3巻からと聞いたので、これを機会に再読して、可能ならば購入することに。一巻と二巻はなんども読み返して、それだけでも大好きなんですけどね。

さまざまな人種の人間が交わるセンダリアのファルドー農園で育った少年ガリオン。
しかしある夜、彼の運命は一変し、予言された光と闇の壮大なる戦いへと巻き込まれていく!

おおざっぱに言うとこんな話です……。

今でこそよくあるファンタジーストーリィですが、このベルガリアード物語こそは後続の物語に大きな影響を与えた、マイルストーン的な作品です。

ベルガリアード物語の魅力は、よく練られた世界観と、個性的な登場人物のキャラクターと、彼らが織りなす軽快で皮肉とウィットにとんだやり取りでしょう! もう、これが本当に楽しい。
すごく重大な旅路にあっても、彼らのやりとりが本当に面白く、思わずくすっと笑ってしまい、癖になります。

世界の中を、活き活きとキャラが動き回っているので、読んでいて明るい気持ちになるし、手が止まりません。

私が好きな登場人物は、やっぱりシルク! もうこの人なんでこんな面白いんだろう。胡散臭いけれど、ガリオンに向ける視線のあたたかさには、やっぱり経験を積んだ人だな、と思います。
もうときめいてしまって仕方ないのは、ポルガラとダーニクのカップル(一巻ではそんな様子はあまりないけど)
この二人は本当に大好きな二人です。
そして私の好きなヘターは、そういえば一巻ではあんまり活躍してなかった……。

ポルおばさんの海のように深い愛情も、でもそれをまっすぐに表せないひねくれた性格も、その愛情を嬉しく、なによりも嬉しく思いながら、時に反発してしまうガリオンの微妙な年齢の、成長の動きも、本当に楽しく読めてしまう。
旅に出て、さまざまな場所に行き、さまざまなことを学び、さまざまな不安や恐れと戦い成長していく……。

そう言った心の機微が、本当にリアルに、何よりあたたかく書かれていて、大好きな1冊です。
私も誰に見せるでもない小説をよく書きますが、どれほどこのベルガリアード物語に影響を受けたか、わかりません。

それにしても何度目かの再読なのに、いまだにカブとキャベツがどうのってやりとりには笑ってしまうんだな……。

大好きな1冊ですが、徐々に面白くなっていくシリーズだと思うので、評価はこんなものですが、2巻も、そうしてくわしく読みこんでないそれ以降の巻も、これから楽しみに読んでいこうと思います。

結構分厚い本ですが、厚さが気になりません。

本当にお勧め。

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闇の戦い2 みどりの妖婆

闇の戦い〈2〉みどりの妖婆 (fantasy classics―闇の戦い)
闇の戦い〈2〉みどりの妖婆 (fantasy classics―闇の戦い)
  • 発売元: 評論社
  • 価格: ¥ 1,575
  • 発売日: 2006/12

原題 Greenwitch
スーザン・クーパー 著 浅羽莢子 訳
お勧め度★★★★★(やっぱりこのシリーズはいいですね!)

「ガメリー?」
「なんだね?」
「あたし、今でもまだ、みどりの妖婆がかわいそうでならないの」
「その気持ちを失わぬことを願うよ」メリマンは謎めいた言い方をした。「今度はよく眠れるようにな」

闇の戦いシリーズ2冊目。そうして、「コーンウォールの聖杯」の後日談のような趣のある1冊です。
「コーンウォール~」でドルー3兄弟が見つけ博物館に寄付した聖杯が<闇>の勢力によって盗まれた!
最後の<古老>であるウィル、そうしてドルー3兄弟は、メリマンの導きによってコーンウォールにやってくる。
そこで、共に聖杯を取り返そうと奮闘する……。

と言ったようなお話です。

いやー、この話は面白かった! この本はシリーズで一番短いのですが、それを抜きにしてもすぐに読み終わってしまいました。とくに「コーンウォール~」を読んでいる人間としてはドルー3兄弟の活躍が再び見れて嬉しかったです。この本に限って言えば、主役ウィルと言うよりは3兄弟(とくにジェーン)かも。
やっぱり、闇の戦いシリーズを読むなら、「コーンウォール~」も必読ですね。楽しさが違います。

今回は、みどりの妖婆の風習がとても興味深かったです。それに、みどりの妖婆とジェーンのやりとりがたまらなく素敵。
みどりの妖婆は海に属する存在ですが、彼女のしゃべり方は海の波が寄せては返すようで、情緒があってとても好きです。
好きと言えば3兄弟がメリマンを呼ぶ時の「ガメリー」って呼び方も好き。
途中に出てきた白い女王のシーンもとても印象的でしたし、現代を舞台にしてますが、そういうところは非常にファンタジーを感じる事が出来て、やっぱり名作! と思ってしまいます。
最初ウィルと3兄弟はお互いあまり気が合わなかったのに、難題を共に乗り越え、最終的には自然と仲良くなっている所も良いな。
それに、「コーンウォール~」ではあまり目立った活躍がなかったジェーンが大活躍なのもうれしかったところです。
3兄弟とウィルがまた一緒に頑張る時とか来るのでしょうか。楽しみにしたいと思います。

また、この新装版はなんといっても表紙が雰囲気あって良いですよね。大好きです。
次の舞台はウェールズらしく、これまた大好きな場所なので楽しみ。

お勧めの1冊です。

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幽霊の恋人たち──サマーズエンド

幽霊の恋人たち―サマーズ・エンド
幽霊の恋人たち―サマーズ・エンド
  • 発売元: 偕成社
  • 価格: ¥ 1,785
  • 発売日: 1995/06

原題 Summer's End
アン・ローレンス 著 金原瑞人 訳 佐竹美保 絵
お勧め度★★★★★(とても素敵。すっかりお気に入りの1冊です)

「子どもというのは、むかしの不思議なことをおぼえているらしいんだ。ほかのおとながみんなわすれてしまったようなことまでね。」
「でも、森番はいったい何者だったのかしら。」
リジーが聞いた、
「森番もきっと『あの連中』の仲間だったのよ。」

作者が書いた「五月の鷹」が好きで、この本もとてもいいと聞いて手に取ってみました。
夏の終わりに、ベッキーたち三姉妹のすむ宿屋に流れ者のレノルズさんがやってきた。姉妹はレノルズさんに「お家賃」として何かお話をしてくれるようにねだる。そこでレノルズさんは、幽霊と恋に落ちた人間の話を聞かせるのだった……。

というようなお話です。

いやー、この本は本当に良かった! 最初の1ページを読んだだけで、思わずすぐに惹きつけられてしまいました。
季節の変わり目ごとに、レノルズさんがお話をするという連作短編の体裁なのですが、どの話も趣があってとってもいいです。
個人的には、「怖いもの知らずの少女」「チェリー」「ウィリアムの幽霊」「ジェムと白い服の娘」がお気に入り。また、読みたいと思っていたスコットランドのバラッド、「タム・リン」に材をとったものもあります。
このお話がどれもロマンチックで、でも切なくて少し怖い(幽霊の話ですからね)
そこがたまらなくつぼなのです。もう大好き。

合間に3姉妹の成長が見て取れるのもいいですね。サマーズエンドと言うのは、子供時代の終わりという意味にも取れると思います。そんな、夏がおわり、秋に向かっていく…。一抹のさみしさと決意と、すがすがしさが感じられる余韻のある終わり方も素敵。

読みやすいし、佐竹さんのイラストも素敵だし、個人的には文句のつけようがないくらい面白かった。でも、欲を言えばもう少しベッキーたちのことも書いてほしかったかな。ほんの数ページずつしか書かれていないのがもったいない……。
同じような話が続くというのも欠点かもしれないですが、このお話の雰囲気が気に入ればたまらない1冊です。
特に、女の子が主役の話が多いので、女の子に読んでほしい1冊。
アン・ローレンスが長くない生涯の中で残した作品の中でも、自信をもってお勧めできる1冊です。

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エノーラ・ホームズの事件簿 消えた公爵家の子息


原題 The Case of the Missing Marquess
ナンシー・スプリンガー 著 杉田七重 訳 甘塩コメコ イラスト
お勧め度★★★★☆(ヴィクトリア朝好きの方も楽しめそうな1冊)

女性には、じつはめくるめく暗号の世界があるのだ。帽子のつばひとつで反抗を示し、ハンカチーフを使って責任逃れをする。扇の羽根をさしだして臆病者となじり、封蝋や切手を貼る位置で、言葉にはできない思いを伝える。

私の大好きな作家のひとりである、ナンシー・スプリンガーのホームズ・パスティーシュ。
2作目から読んで、この本はその1作目です。
女性が窮屈な思いを強いられていた風潮のある19世紀ロンドンで、フェミニズム運動などに参加していた女性を母に持ち、型にはまらずに育ったエノーラ。彼女はあの名探偵、シャーロック・ホームズの妹だ。
ある日大好きだった母が自分を置いて失踪。もう一人の兄マイクロフトに寄宿学校にいれられそうになったところから逃げ出したエノーラはロンドンに向かう。そこで、とある幼い侯爵が誘拐されたという事件を耳にして……??

というようなお話です。

これはなかなかおもしろかったです!それに翻訳ものではありますが読みやすかったようにも感じます。
当時のイギリスの社会的風潮、文化、服飾、そうして人々の暮らしの光と影がなかなか詳細に、活き活きと描かれています。私はそちらの方面には詳しくないので、ここに描かれていることがどれだけ正しいのかはいまいちわからないのですが、それでも楽しく読めました。

事件そのものはおまけ程度で、この時代の当時、女性がどれだけ窮屈で理不尽な扱いを受けてきたのか、ということを描き出しているのが主題のように思います。

それにしても、エノーラに対する二人の兄の態度はひどいなあ。時代的にみて、実の妹にたいしてもそれは仕方ないのかもしれないけど、これはちょっと悲しい。エノーラの気持ちがわかる。

そんな抑圧された社会背景があるからこそ、エノーラの母ユードリアやエノーラ、そうして少年だけど違う意味で抑圧されていた公爵家の子息テュークスベリーの逃亡劇が爽快に見えます。

暗号解読や、女性ならではの秘密の共有があるところも面白い。
ただ、訳文がたまに、スラングがすごいスラングなのがちょっと気にかかるかな。
でも、読みやすいし、イラストも素敵だし、気になるならぜひ手にとってみてほしい1冊です。

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銀色のシャヌーン

銀色のシャヌーン (トクマ・ノベルズ)
  • 発売元: 徳間書店
  • 発売日: 1990/11

ひかわ玲子 著 天野喜孝 絵
お勧め度★★★☆☆(古き良き時代の国産ファンタジー)

そして、この物語も、やがて伝説になるだろ。
──それは、銀色のシャヌーンと<昼の娘>ファりナの物語。

ひかわ玲子さんのファンタジー小説。
Wikipediaには、アーサー王物として紹介されていたけど、少なくとも一巻はそんな様子全くなかった…。影響は受けてるかなって思うところはあるけど。

<昼の国>ファリソンの王女で光の精霊に愛された光の巫女でもある<昼の娘>ファりナ。
祖国が闇に覆われたとき、彼女は霊山ダ・ムーの宮殿にすむという伝説の、銀色のシャヌーンに助力を求めて旅に出る。
はたしてファりナはシャヌーンの助力を得れるのか? そうして、祖国を救うことができるのか!?

と言ったような話です。

何と言っても、古き良き時代の日本のファンタジー小説という趣の強い一冊。どことなく「風の大陸」あたりに似ているかも。
でも、そこに描かれているのはファンタジーの永遠のテーマである光と闇の戦いだったり、胸ときめかす恋物語であったりして、なかなか楽しめました。
基本的にすごく光にあふれている作品で、読んでいて文を読むだけでもうっとりできる、清らかな感じの物語です。それに対して、あまり闇の暗さは感じなかったかな……。

さらりと読めるし、派手さはないけどそれでも良質なファンタジーだと思うので、興味のある方は是非。天野さんの挿絵も悪くないですね。

まさしく、本の裏に書いてある通り、男は勲しく、女は清らかだった時代のファンタジーです。でも、シャヌーンやその友、スールーは美形すぎて、あまり勲しさも感じられませんでしたが。
むしろ私のお気に入りはファりナを守る3人の忠実な騎士、黒龍、緋龍、青龍の3人でした。とくに青龍のポジションはなかなかにおいしくて良いです。あと、屈託のない少年マルロも良いですね。

正直言うと特にどうというわけではないのですが、登場人物の続きがなかなかに気になり、続編もあるようなので続きも読んではみたいです。ほんとうにアーサー王に絡むのかも気になるしね。

女の子を主役としたさらりとした王道ファンタジーが読みたいときには、是非手にとってみてください。

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アーサー帝戦記2 最後の“魔術師(マーリン)”

アーサー帝戦記〈2〉最後の“魔術師(マーリン)” (幻狼ファンタジアノベルス)
アーサー帝戦記〈2〉最後の“魔術師(マーリン)” (幻狼ファンタジアノベルス)
  • 発売元: 幻冬舎コミックス
  • 価格: ¥ 945
  • 発売日: 2010/01

本田透 著 前田浩孝 絵
お勧め度★★★★☆(一巻よりずっと面白いです!)

不老不死のドルイド・ブリテンのマーリンは私の代で終わらせる。
故に私は、私が教え導いたアーサーを新たなる帝国の皇帝に即位させなければならないのだ。
“最後のマーリン”として。

本田さんのアーサー帝戦記2冊目。
今回は題名の通りマーリンのお話です。
前巻では、ふらりと急に消えたり現れたり、自分は不老不死だとか童貞だとかうそぶいていたマーリンですが、なるほどこういうわけだったのね、と、人間らしからなかったマーリンの人間らしさを存分に堪能できる1冊となっています。

これは、前の巻よりも断然に面白かったです! アーサー王伝説の醍醐味は、人間の感情のままならさだと私は思っているのですが、いろいろなことに葛藤し懊悩する、血なまぐさく泥臭い人間らしさが、いい意味で登場人物に個性を与え、魅力を与えていると思います。特に皆男女のことで悩んでいるのですよね、マーリンもそんな一人だったのだと明らかになります。
一巻読んで微妙だなー、と思った人も、是非この2巻まで読んでほしいです。

登場人物もいろいろな人が出てきてくれてうれしい。
トリスタン(ちょっと変な人だけど格好いい!)
パーシファル(何というかすごく馬鹿で俗物だけど天才←いい意味で私のパーシファル像が変わった)
ユーウェイン(屈託のない無邪気な少年)

などなど、登場人物の個性が一転して光っています。

しかしこの巻は何と言ってもマーリン! そしてニミュエ! そしてベイリン!もう何というか一気読みだった。一巻なんて三日くらい時間がかかったんだけどなあ……。

もう、最後のマーリンの下りなんかは、もうこれ最終巻でいいよって感じでした。

小説としても文章が読みやすくなってるし、物語としても格段に面白くなっているように思います。ただ、本当にどろどろとして救いがないというか。マーリンの過去とかえぐいです。

それにしてもこの巻に出てきたシャルロットはシャロットの姫エレインのことだろうか。彼女が大変なことになって次の巻に続くのですが、相変わらず救いのない終わり方ですね。

続きが気になるのですが、もう2年近く続刊が出ていないのが残念。このまま打ち切りなのでしょうか。
まだまだ続いてほしいシリーズです。
3巻が出るなら、今回出番の少なかったガウェインと最後に顔見せしたユーウェインが活躍してくれるといいな。

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