妖怪アパートの幽雅な日常 9(香月日輪)
- 妖怪アパートの幽雅な日常(9) (YA! ENTERTAINMENT)
- 発売元: 講談社
- 価格: ¥ 998
- 発売日: 2008/10/10
香月日輪 著
お勧め度★★★☆☆(3・5くらい。次の巻の橋渡し的な1冊です)
こんな静かな夜は、みんなが優しい気持ちでいられればいいと思う心に、
『生身の人間を救うのは、やっぱり生身の人間でないと』
という詩人の言葉が、繰り返し繰り返し響いていた。
『生身の人間を救うのは、やっぱり生身の人間でないと』
という詩人の言葉が、繰り返し繰り返し響いていた。
妖怪アパート9冊目。10巻で終わるので、ラスト直前ですね。
今回のお話は二学期の文化祭と、学校の裏サイトなどに書かれた悪質な悪口についての問題2つがメインとなっています。
うーん、とにかく続きが気になる! ラスト一冊、これからどうなるのか本当に楽しみな終わり方になっています。
最後のひきが強烈だっただけに、なんだかラストに向けての1冊であって、この巻自体の内容はちょっと薄めかもしれません。
でも、文化祭の様子などは読んでいて本当に楽しかったですし、ワクワクしました。まだ卒業していないのに、やたらとみんな卒業を意識していて、なんだか気分は卒業式!? って感じでもありました。
千晶先生の過去もちょっとだけわかって、なるほどなー、という感じ。
ほんとう、千晶先生は存在感がありますね。逆に青木先生は、すっかり存在感が薄くなってしまって……。まあ、いいのですが。
作者の主義主張が激しいシリーズでもありますが、まあ、100言う中の一つでもとどけばいいんじゃないのかなあと思いながら読んでいます。作中でもそう言っていたしね。
とにかく最後の1冊がとても楽しみな一冊です。早く読みたい!
次が最後。みんながどのような未来にたどりつくのか、心して読みたいと思います。
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オーディンとのろわれた語り部(スーザン・プライス)
- オーディンとのろわれた語り部
- 発売元: 徳間書店
- 価格: ¥ 1,260
- 発売日: 1997/07
原題 Odin's Monster
スーザン・プライス 著 当麻ゆか 訳
お勧め度★★★★☆(民話らしい民話に仕上がっていてそういうのが好きな人には。)
クヴェルドルフは考え込んだ。魔法使いであり、戦士である女王は、どんな夫を望むだろう? 決まっている、同じように魔法使いであり戦士でもある男だ。
スーザン・プライスの、北欧神話を下敷きにした民話風の物語。そう言いつつ、ほとんど彼女のオリジナルらしいです。
スーザン・プライスといえば、北欧神話や北国を下敷きにしたお話を多数書いている作家さんで、そっちのほうの骨太な世界観と描写には定評がありますね。この作者さんの書いた「エルフギフト」とか好きでした。
魔法使いのクヴェルドルフは、とある国の女王に自分を好きになってもらうため、当代一の語り部であるトードに、自分を歌うように脅迫します。しかし、底意地の悪い魔法使いを拒否したトードは、クヴェルドルフの恨みを買い、その後死霊に悩まされることになって……。
というようなお話。
作者のオリジナルといっても、ところどころちゃんと民話民話してるところがなんとも好感触です。末子がすぐれているとか、最後の老婆に関する真実とか。
それでいて、出てくる死霊は本当に恐ろしくて怖い。でもその死霊もクヴェルドルフに利用された存在であり、トードの力によって徐々に解放されていく様子が面白かったです。
それにしてもクヴェルドルフは、名前は恰好いいのに終始悪役に徹していていっそすがすがしいくらいでした。
久しぶりに彼女の話を読みましたが、相変わらず厳しい世界観の中に生きる人々と、起こる厳しい事件の数々に、、作者の力量を感じます。でも最後はハッピーエンドで、読後感のよい1冊です。でも、ちょっと題名詐欺かも。ほとんどオーディンは出てこないかな……。
この作者さんには、もっと北欧神話を題材にした話を書いてほしいですし、紹介してほしいですね。
北欧神話が好きな方には、お勧めの一冊です。
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天山の巫女ソニン3 朱烏の星(菅野雪虫)
- 天山の巫女ソニン(3) 朱烏の星
- 発売元: 講談社
- 価格: ¥ 1,470
- 発売日: 2008/02/15
菅野雪虫 著
お勧め度★★★★☆(いろいろと展開の気になる一冊)
「ソニンはソニンだからさ」ミンが言いました。「天山の巫女だろうが、王子の侍女だろうが、何やってたって、あんたはあんただからさ」
うん、とソニンはうなずきました。
(きっとわたしはどんなことにも耐えられる。何を失ったって、わたしがわたしを失うことさえなければ、こうして新しい朝を何度でも迎えられるんだ)(p230)
うん、とソニンはうなずきました。
(きっとわたしはどんなことにも耐えられる。何を失ったって、わたしがわたしを失うことさえなければ、こうして新しい朝を何度でも迎えられるんだ)(p230)
菅野雪虫さんの「天山の巫女ソニン」シリーズの3冊目。物語も折り返し地点です。
今回の物語の舞台となる国は巨山(コザン)です。
巨山に赴いたイウォル王子とソニンを待つ運命は……!?
いやー、今回のお話も面白かったです! 一日で一気に読んでしまいました。
何より巨山の世継ぎの王女、イェラがとっても素敵でした。賢く、聡明な娘であるために大人びてしまい、心の奥底では友だちがほしいと願いながらもそうすることができない……。
とにかくキリッとしていて、とても素敵でした。
イェラとソニンが友だちになってくれるといいなあ、なんて思ったり。
今回はイウォル王子の成長も見ることができて良かったです。
ソニンとイウォルは、お互いに欠けているものを補い合い、また許し合う関係なのだなあと思いました。
今回は、そんなイウォル王子の過去が明らかになったり、お母さんの故郷に行ったりと、イウォル王子の背景も明るみに出てきた感じです。最初は子供っぽいと感じることの多かったイウォルも、徐々に大人になっていて、読んでいて成長を感じますね。
クワン王子も出てきて、何やら暗躍している様子……。気になります。
とりあえず三国を舞台にし終えた今後の展開が、どういったものになるのか非常に楽しみです。
このシリーズ、面白いです。図書館で借りてきては母と先を争うように読んでいます。
来月には外伝も出る様子。
題名から察するとイェラが主役でしょうか。これまた楽しみです。こちらも機会があれば読んでみたいと思います。
朱烏の星、というタイトルもとても素敵でした。
お勧め。
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ほっと文庫 三毛猫はジャスミンの香りがお好き(赤川次郎)
- ほっと文庫 三毛猫はジャスミンの香りがお好き
- 発売元: バンダイ
- 発売日: 2011/08
赤川次郎 著(ジャスミンの香りの入浴剤付き)
お勧め度★★★★★(ほっと一息できる、至福の時間でしたー)
あかねはただ呆気に取られているばかりだった。なぜといって──貝谷茂について来ている男たちはどう見ても普通でない──ギャングにしか見えなかったからだ。
ほっと文庫という、人気作家による短編と、その短編に出てくる香りにちなんだ入浴剤がセットになったシリーズの、赤川次郎さんのものです。一部書店の他、イトーヨーカドーやドラッグストアで取り扱っています。
実は赤川さんは初作家。でも、ほっと文庫は気になっていたし、タイトルは面白そうだし、ずっと気になっていた作家さんだし、三毛猫ホームズは今度ドラマ化するみたいだし、入門編にはいいかなと思い購入してみました。
そして、これは面白い! というか、スタンダートな面白さと、抜群の読みやすさがあって、なんとも心地よいです。これはどんな人だって彼の名前くらいは知っているわけですね。
この本を読んでからジャスミンの入浴剤の入ったお風呂でのんびりしたのですが、ジャスミン茶が飲みたくなりました。
お話としては、短編というより、長編でも行けそうな感じのお話。でも、最後の展開が意外で、まさしくほっとできるところが、ほっと文庫だなあと思いました。ちゃんと三毛猫シリーズなのも嬉しい限りです。
1冊400円くらいなので、読書好きの人にプレゼントするには最適なのもさらに嬉しいところですね。
お気に入りの作家さんのを買うのはもちろん、新しい作家さんの開拓にもちょうどいいのではないかなあと思います。
しかし、こういう形態の本はもっと増えても良いかなあと思いました。読書と入浴剤なんて、最高の癒しだと思うので。
お勧めです。
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母親(あなたの知らないアンデルセン)(アンデルセン)
- 母親 (あなたの知らないアンデルセン)
- 発売元: 評論社
- 価格: ¥ 1,680
- 発売日: 2005/03
原題 Historien om en Moder
ハンス・クリスチャン・アンデルセン 作 長島要一 訳 ジョン・シェリー 絵
お勧め度★★★★☆(4・5くらい。アンデルセン童話の中でもシビアな2編が堪能できます)
「この子、手元においとけるかしら。あんた、どう思う?」と母親が言いました。「まさか神さまがあたしの手から取ってったりしないでしょうね?」
すろと年寄りは、それは実は死神だったのですが、そうだともそうでないとも取れるあいまいなうなずき方をしてみせました。 (p7)
すろと年寄りは、それは実は死神だったのですが、そうだともそうでないとも取れるあいまいなうなずき方をしてみせました。 (p7)
友人から譲り受けた絵本(ありがとう!)
アンデルセン童話の中でも、そこまで有名ではない「母親」と「モミの木」の二編を収録した絵本です。
表紙の死神さんが忍者に見えたのは秘密です。うん、読んでみたら確かに描写どおりだった!
この話はどちらも初めて読むお話だったのですが、なかなか(かなり?)シビアなお話でびっくりしました。とくに「母親」はつらい。
まさしく冬の寒さのような、身を切る厳しさが待っていて、人生とはかくも残酷で、理不尽なものなんだなあと思わされます。まあ、そのかくも理不尽で残酷な人生を描写するのが、童話という物のもつ使命というか、テーマなのかな、と思うわけなので、この「母親」の話はある意味童話の真骨頂なのかもしれません。
「モミの木」は、これまたいかにも童話らしい物語でした。つまりオーソドックスで、展開がわかりやすいという意味でしたが、なかなかお気に入りの話です。
あえてモミの木をテーマにするところが、なんとも外国人作家らしいよなあ、と感心したり。
無残に踏みにじられていくモミの木の、最後に残った頂上の星の輝きが、なんとも哀しく、モミの木の栄光と、狭い世界を象徴しているようでした。
しかし、やはりアンデルセン童話は好きだなあ。デンマークという北欧の国で生まれた話だけに、ところどころに感じる厳しさと寒さ、そうしてそのなかに輝く哀愁的な美しさには、胸を打たれるものを感じます。
絵本ですが、絵もなかなかいい感じです。すぐ読めるので、何か絵本が読みたくなった時などには、お勧めの1冊です。
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天山の巫女ソニン2 海の孔雀(菅野雪虫)
- 天山の巫女ソニン 2 海の孔雀
- 発売元: 講談社
- 価格: ¥ 1,470
- 発売日: 2007/02/27
菅野雪虫 著
お勧め度★★★★☆(面白かった。安心して読める面白さです)
「まあ、ソニンがいいならいいけどさ。ほんとに欲がないんだから。なんか、自分から苦労する道を選んでるような気がするよ」
「大丈夫。苦労する道を選んだとしても、不幸になる道は選んでないから」(p254)
「大丈夫。苦労する道を選んだとしても、不幸になる道は選んでないから」(p254)
菅野雪虫さんの「天山の巫女ソニンシリーズの2巻。
沙維(サイ)の国の末の王子イウォルは、江南(カンナム)の第二王子クワンに誘われて、江南に留学することになります。しかし、江南は沙維の国以上に陰謀が渦巻く国だった! またもや陰謀に巻き込まれるソニンの運命は……!?
というようなお話。
いやー、この話は面白かったです! ちょっと、展開に動きがあるまで結構かかるのが難点だったのですが、半分よりちょっと前くらいから急に物語が動き出し、一気読み間違いなし!1巻でクワン王子が気になっていたわたしとしては、今回はクワンがメインのお話だったので大満足でした。それにしても今回の「海の孔雀」というタイトルは、クワン王子のことだったのね。
ソニンはあんまり嫌みのない主人公なので、読んでいて本当に安心して読めます。ほんとう、小学校の教科書に載せたい物語です。
でも、子供向きだと思って読んでいると、結構鋭いことが書いてあって、ドキッとしてしまいます。そこがこの本の魅力かな。(というか作者さんの魅力でしょうか)
1巻で登場していた、ミンやイルギと言った人々も、引き続き登場していてよかったです。
イルギはソニンの義理のお兄さんになっていてびっくりした。そうしてミン、こういう子好きです。ソニンはこういう現実的でしっかりした子が友だちなのが本当に恵まれているな、と思いました。
しかし、前の巻に出てきた人が安定して出てくると、シリーズものって感じがするし、やっぱり嬉しいものですね。
逆に、今回ちょっと悲しく感じたのが、江南の王妃様でしょうか。まあ、こういう育て方をされてしまったことによる性格の悲劇なのでしょうが……。前の巻に出てきたレンヒと同じく、一歩間違えればソニンもこういう風に育っていたという、鏡のような存在なのかも知れません。
今回は、イウォル王子の活躍が少なかったのが残念といえば残念。でも、またまた気になる登場人物(リアンやセオ)が出てきたので楽しみです。
沙維、江南ときて、次の舞台は巨山(コザン)になるのでしょうか。そのあたりも楽しみです。
なかなかお勧めのシリーズです。
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水晶の涙(ジェイン・ヨーレン)
- 水晶の涙 (ハヤカワ文庫 FT 54)
- 発売元: 早川書房
- 発売日: 1983/07/15
原題 The Mermaid's Three Wisdoms
ジェイン・ヨーレン 著 村上博基 訳 中山星香 絵
お勧め度★★★★☆(ヨーレンらしい、美しい物語)
(涙が二粒)ふと、メルーシナは思った。(もうあたしのために、水晶の涙が二粒も流れた)(p22)
20世紀のアンデルセンと呼ばれる、ジェイン・ヨーレンの長編。(というより中編??)
人間の女の子に姿を見られ、海から追放された人魚の少女、メルーシナ。
彼女は陸で、自分の姿を目撃した、耳の聞こえない少女ジェスと出会い、交流を深めていくのです……。
というようなお話。
なんともヨーレンらしい、美しい抒情性にあふれたおとぎ話ですね。陸に上がった人魚には舌がないとか、既存の人魚のイメージも大切にしているのが、個人的には好感触です。
海の描写、海で暮らす人魚たちの生活の様子が、なんとも美しく、そうして楽しそうなのでお気に入り。泡で会話するとか、手で会話するとか、いいなあと思います。雰囲気を壊さないどころか、引き立てている描写のように感じます。
ジェスとメルーシアが、お互いの交流を通して成長していく様子が、それを見守るキャプテンAの様子が、なんとも優しげで胸があたたかくなります。そうして二人は、陸も海も、結局はほとんど変わらない、同じものなのだと気づいていくのです……。
200ページに満たない薄い本ですが、主人公の少女が障碍を持っているなど、なかなか現代的な視点ですし、考えさせられるところも多く持っている名品です。分量的には、ちょっと物足りない気もしましたが、この短さが逆に良いのでしょう。
中山星香さんのイラストも良い。
物語はあくまでスタンダートなおとぎ話で、展開なのですが、読んでいて心が温まるような、そんな1冊でした。
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妖怪アパートの幽雅な日常 8
- 妖怪アパートの幽雅な日常(8) (YA!ENTERTAINMENT)
- 発売元: 講談社
- 価格: ¥ 998
- 発売日: 2008/01/11
香月日輪 著
お勧め度★★★★☆(久しぶりに面白かった気がする!)
「俺たちは、自分ができることしかできない。それは、特別な力を持っているお前でも同じなんだ。その結果、救えない者がいたとしても、俺たちができることは……それを“受け入れる”ことだけだ」(p193)
妖怪アパート8冊目。久しぶりの妖怪アパートです。
3年生になった夕士。春の遠足を終え、大学進学のために夏の講習に追われる日々。しかし、夏休みに息抜きで街に出かけたら、千晶先生や田代と一緒にとんでもない事件に巻き込まれ……!? どうなる夕士の夏休み!
というようなお話です。
いやー、こう言っては何ですが、久しぶりに心から面白かったような気がします! 最初のほうは、ああ、この話も何もなく終わるのかな……、なんて思っていたのですが、後半で起きる事件がハラハラドキドキでした。
夕士君もこの出来事をきっかけに、また一つ成長できたように感じます。
正直、この話を読んでると心にグサグサ来ます。読みたくないなあ、と思ってしまうことも多いし、説教臭くてたまに偏っているので、読むのが嫌になることも多いです。
でも、面白い! 本は面白く読んだ者勝ちだなあと改めて思いました。
説教臭いところとかは、自分が受け入れることができるところだけ受け入れたらいいのかなあと思います。
それにしても、千晶先生は本当にすごい先生だなあ。どんな修羅場をくぐってきたのか気になります。明らかになることは、ないんだろうなあ……。
でも、千晶先生と夕士君が、ちょっと「萌え」の方向に走っているのが気になるといえば気になります。児童書でそれはいいのか? いや、むしろヤングアダルトだからなのか? 児童書っていう垣根も、最近は低くなっているのかもしれません。そして、夕士君の夏休みは毎年大変だなあ。
でも、久しぶりに素直に面白いと思える妖怪アパートでした。お勧めです。
残りは二冊。こちらも楽しみに読みたいと思います。
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イティハーサ 第一部 神名を持つ國(2)
- イティハーサ (第1部 〔2〕)
- 発売元: 集英社
- 発売日: 1987/04
水樹和佳 作
お勧め度★★★★★(やっぱり面白い!)
イティハーサ第一部第二巻。
故郷の村を滅ぼされた遠コたちは、亞神たちと行動を共にするが……。
いやー、やっぱり面白かった! 何より漫画は普段読まないのですが、漫画にしか表現できないものって確かにありますね。この漫画は、漫画だからこそいい! という風に感じます。絵というものはそれだけでなんて多くの事を伝えるんだろう。そういうことを感じさせてくれる漫画だと思います。
内容的には、鷹野と遠コの関係性の密接さにきゅんとしました、二人にとって、お互いがお互いの生きる理由なんだなあ。こう言った関係はあまり本来は好きではないのですが、この二人の関係は別格ですね。
そうしてわたしの大好きなのは青比古! なにこの人本当にきれいなお兄さんすぎる。なんというかモテモテで笑った。笑ったというかドキドキした。桂さんのことがお互い気になりつつ、そんな二人の関係に嫉妬を隠せない那智(一狼太)
鷹野が戦いの才能を伸ばすことで嫉妬を感じる若者たち……。
そう言った人々の嫉妬といった醜い感情を、とてもよく書きだしているように思います。
遠コはもちろん、鷹野や青比古にも何か秘密がありそうで、3人が3人とも、どうなってしまうのかが本当に気になります。
そしてなにより最後の展開! もう! 続きが気になって仕方ないです。
これは早く続きを読まなきゃ!
もう、本当にお勧めの漫画です。是非読んでみて下さい。
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天山の巫女ソニン1 黄金の燕
- 天山の巫女ソニン 1 黄金の燕
- 発売元: 講談社
- 価格: ¥ 1,470
- 発売日: 2006/06/13
菅野雪虫 著
お勧め度★★★☆☆(3・5くらい。なかなかおもしろく、安心して読めますが、ちょっと物足りないかも)
「ソニンは王子であって王子ではないものに選ばれたのだのだと、わたしは思っています」
「それが、あなたの言う運命ですか?」(p154)
「それが、あなたの言う運命ですか?」(p154)
菅野雪虫さんのシリーズものファンタジー、「天山の巫女ソニン」シリーズの第一巻。
以前読んだ羽州ものがたりがよかったので、こちらも読んでみました。
生まれたときに才能を見出され、天山で巫女として育ったソニン。12年後、しかしそれは見込み違いという判断をされ、再び地上に戻ります。そうして家族と暮らしていると、都の王子に出会い、侍女に望まれて……。
ソニンは陰謀に巻き込まれていくのです。
というような話。
まず、文体がですます調であることにびっくりした! それを知らなくて読んだから、最初は慣れるまで時間がかかりました。でも、慣れてくると独特の優しい筆致が好きになれた1冊です。まるで昔話を読んでるような……。味気ない言い方をすれば、小学生の教科書を読んでるような気分ともいえますが、とにかくそんな感じです。
もともとこの話のもとになったお話は「ソニンと燕になった王子」だそうです。本当、おとぎ話みたいな題名ですよね。だから読み進めるにつれて、このですます調の文体が逆に良いなあと思いました。
お話は、安心して読める王道な感じのお話でした。だいたい、落ちこぼれと言われた主人公が本当におちこぼれだった作品ってあるんだろうか……。まあそこは皆さんの期待を裏切らない感じになっています。
面白く、すらすらよめるのですが、やっぱり話の展開が早すぎるかなあというのが残念です。明らかになっていない謎もありますし。なぜソニンが王子の言葉がわかるのか、とか。天山の門が開くのと同じ原理なのかなあ。
シリーズものということで、今回はほんの顔見せ程度といった感じでしょうか。クワン王子や、イウォン王子の兄王子たちにも注目していきたいですね。
でも、一番好きな登場人物はミンだったりします。
王子が燕になって、それを探しにソニンが旅するシーンなんかは、ちょっと幻想的で、ファンタジーって感じがしました。お気に入りです。
読みやすくて面白い。児童書には欠かせないものを持っている作家さんだと思いますが、いつか大人向きの作品も読んでみたいなあと思わせる作家さんです。
次の巻にも期待です。
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