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2012-05

死霊の都(タニス・リー)

死霊の都 (ハヤカワ文庫 FT 50)
  • 発売元: 早川書房
  • 発売日: 1983/03/31

(2012年感想65冊目)

原題 Shon The Taken
タニス・リー 著 森下弓子 訳 天野嘉孝 表紙絵
おすすめ度★★★☆☆(好きな話なのですが、もうちょっと書き込んでほしかったかも)
 
「おれたちをとめられるものがあるかい?」ダーンがショーンに問いかけた。
「なんにも」
二羽の鷲となって、かれらは飛んだ。東をさして。(p95)

タニス・リーのジュブナイル・ファンタジー。
原題の直訳は「憑かれ者ショーン」です。
その名の通り、「死」である鴉たちに憑かれ、村八分にされ、殺されかけたパイン・ウォーク村の若者ショーンが、九死に一生を得て、鴉たちに一矢報いようと死の都まで冒険をする物語です。はたしてショーンの運命は……!?

この話、好きです。夜を舞台にした妖しい物語ですが、そこまで暗さがなく、一気に読むことができます。ショーンとロートの友情、ダーンとの冒険、パイン・ウォークにまつわる隠された秘密と死の子供たちである鴉たち。魅力的なエッセンスがいっぱい詰まった、素敵なファンタジーとなっています。

でも、全体的にもうちょっと書き込んでくれたら、もっと素敵になっていたのに、と思う一冊でした。特に最初のほうに出てきたショーンの親友ダーンが、あっさりとショーンを見捨ててしまったところでは(ロートが好きだっただけに)ちょっと拍子抜けというか残念というか……、でした。
そうして、そのあと知り合ったダーンも……。ダーンがどうなってしまうか、ぜひとも本編を読んでみてくださいね。

でも、読み進めていくうちに、この物語は人間の愚かしさを描き、その愚かしい人間を愛してやまない小説なのだ、と気づきました。怒りにより弟を森でつるし上げ、追放させたショーンの兄のジョフ。兄弟だと思っていた親友のロートはショーンをあっさりと見捨て、そんなショーンを森から助けたのは、兄のジョフであった……。そう言った、人間の感情の愚かしさを、何とも狂おしく書いている物語で、そんなところがお気に入りです。

また、登場人物一人一人に実は本当の名前があって……、というのもとてもいいです。なんだかこういうのってどきどきしてしまうんですよね。本当の名前というのは、なんてファンタジー心をくすぐるものなのでしょう。
ところどころ書き込みの物足りなさは感じますが、薄い本なのですぐ読めるし、なかなかの良品だと思うので、興味のある方は是非読んでみてください。

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ヒーラーズ・キープ(下) たましいの砦(ヴィクトリア・ハンリー)

ヒーラーズ・キープ (下) たましいの砦
ヒーラーズ・キープ (下) たましいの砦
  • 発売元: あかね書房
  • 発売日: 2004/05

(2012年感想64冊目)

原題 The Healer’s Keep
ヴィクトリア・ハンリー 著 金原瑞人 石田文子 訳 横田美晴 絵
おすすめ度★★★★☆(やっぱりこのお話は好きなお話です)
 
「あたしたちがなにをみて、どこへいってきたかという事実は変えられないもの。それはあなただって同じよ。なにもかも、もう変わってしまったのよ」(p290)

ヒーラーズ・キープ下巻。
上巻を読んでからだいぶ間があいてしまいましたが、ようやく読了しました。
はたしてドージャンとミーヴの姉弟は出会うことができるのか? ミーヴは追っ手から逃れることができるのか!? ヒーラーズ・キープの運命は? など、気になることが目白押しの一冊となっています。

読んだ感想としては、この話は個人的には大好きです!
ヒーラーズ・キープ(癒しの砦)という題名の通り、この物語を流れる根底にあるものは癒しであり、その癒しを行うための愛であり、戦いであります。この話を読んでいると、何となく心が癒されていくような、そんな温かさがあります。
ミーヴ、サラ、ドージャン、ジャスパー、という四人の男女が共に旅をし、お互いのために頑張る姿は素直にドキドキするし、とても面白いです。特にジャスパーがとっても格好良かった。ほかの3人のように特殊な力を持たなくても、彼の存在のために何度一行が助かったことか。ジャスパーの最大の武器は、ミーヴに対する愛ですよね。この二人は最後本当に幸せそうでよかったです。
 
悪役も魅力を放っていてよかった。モーレン侯やバーンなど、悪役なのに冷たく妖しい魅力があり、思わず惹きつけられてしまいました。それに、ヒーラーズ・キープには様々な癒し手がいますが、主人公たちの癒しの力が戦う癒しであったり、夢の癒しであったりするのがなんとも面白く、またなんとも幻想的な雰囲気があるところにもよかったです。

なによりも、過酷なのにどこかきらきらとしていて、美しい物語で、そういうところがお気に入りです。この作者の話はやっぱり好きだなあ。「水晶玉と伝説の剣」も読んでみたいな。
オーソドックスな光と闇の物語でありながら、どこかそれだけではない、とても素敵な物語となっています。私は大好き。おすすめです。

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アレクシア女史、倫敦で吸血鬼と戦う 英国パラソル奇譚(ゲイル・キャリガー)

アレクシア女史、倫敦で吸血鬼と戦う (英国パラソル奇譚)
アレクシア女史、倫敦で吸血鬼と戦う (英国パラソル奇譚)
  • 発売元: 早川書房
  • 価格: ¥ 840
  • 発売日: 2011/04/08

(2012年感想63冊目)

原題 Soulless
ゲイル・キャリガー 著  sime 表紙絵
おすすめ度★★★☆☆(ちょっと想像していたのと違かったかもしれません)
 
「おれに挑戦する つもりか、マコン夫人?」
(中略)
「いつだってそのつもりよ」(p391)

早川文庫FTから刊行されているシリーズ。
刊行当初から気になっていたものを、やっと読むことができました。なにが気になったって、その題名、表紙、雰囲気ですね。これだけで手に取ろうと思った方は、きっと私のほかにもいるのではないでしょうか。本当、パッと見の雰囲気は素晴らしいものがあると思います。
 
しかしその分、実際読んでみた中身はちょっと想像していたものと違うかも。ファンタジーとかSFっていうより、ロマンス小説ですね。マコン卿との最初からのやり取りに、にやにやが止まらない反面、そういった描写があまりにも多いので、ちょっと辟易してしまいました。
主人公のアレクシア・タラボッティ女史は26歳のオールドミスで、イタリア人の血を引いている。おまけに魂がない。いつもパラソルを持っている。それが、われらがヒロインのアレクシア女史ですが、これも想像していた人物像とは、またちょっと違かったかも。ヴィクトリア朝の女性って難しいですね。

その他、マコン卿やその副官のライオール教授、そうして吸血鬼のアケルダマ卿など、脇を固める男性陣は魅力的です。まあ、その男性陣がこぞってアレクシアに好意を持っているのも、ちょっとハーレクインっぽいかな、と思った理由なのですが。
私が好きなのはアケルダマ卿ですね。ちょっとうざいのですが、なんだかその独特な雰囲気が癖になってしまいました。 ただ、どうしてもちょっと期待していたものと違うのが残念でした。じゃあどんなものを期待してたのかと言われると困るのですが、文体も自分にはあわなかったかなあ。それでも、ユーモアがあって面白いので、一日で読んでしまったのですが。

実際に読んでみての好き嫌いはあると思いますが、興味のある方はまず読んでみてはいかがでしょうか? と思う1冊。私には微妙でしたが、お好きな方はお好きなはずです。

ちなみに、本国では漫画も発売されているとか。アマゾンで購入できるので興味のある方は、そちらと合わせて読んでみることをお勧めします。 漫画のリンクも張っておきますね。
 
Soulless: The Manga (Parasol Protectorate)
Soulless: The Manga (Parasol Protectorate)
  • 発売元: Little, Brown Young Readers
  • 価格: ¥ 1,193
  • 発売日: 2012/03/01

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煉獄姫 二幕(藤原祐)

煉獄姫 ニ幕 (電撃文庫)
煉獄姫 ニ幕 (電撃文庫)
  • 発売元: アスキー・メディアワークス
  • 価格: ¥ 578
  • 発売日: 2011/01/06

(2012年感想62冊目)

藤原祐 著 kaya 8 イラスト
おすすめ度★★★★☆(安定して面白いです)

「あなたは彼女の存在を知っている。そして何より……彼女を侮辱した。僕にとってはそれだけで、あなたを殺す理由に足る」(p83)

煉獄姫の第二弾。
今回は首都に切り裂き魔が出没。そうしてアルトは友と、フォグは「妹」と再会し、「彼女」は首都に恐怖をもたらすのだった!  みたいな話。

相変わらずダークな雰囲気が漂い、世界設定、文体ともに、前の巻が好きだった方の期待を裏切らない安心の1冊となっているように思います。
特に今回はさまざまなキャラクターが新しく登場し、今後その人たちがどう物語に絡んでいくのか、物語の発展を予想させる、動きのある1冊だったと思います。フォグの「妹」のレキュリィ、その執事のカルブルック、暗躍するユヴィオールと最後に出てきたイーサ、どのキャラクターも魅力的で、今後の活躍が楽しみです。(ちなみに私が気になるのはユヴィオールとイーサですね。何とも不気味ですが魅力的です)

しかしこの巻はトリエラが……。
正直、トリエラが最後ああなってしまったのは、多少強引のような気がして、もうちょっと説得力のある書き方をしてほしかったなあと思うところです。あと、脇役に魅力的な人が多くて、特にアルトの出番というかが少ないのも残念なところですね。今回の主役はキリエとイパーシでしたね。
まあ、このお話自体の主役はアルトとフォグで、二人がそろっているととても安心するんですけど。この作品に出てくる人造人間たち、コキュートスにちなんでいるなら、あと一人はいるはずですよね。どんな人なのか気になります。
 この作品、ダークな世界観なのですが、それでもそれなりにマイルドで読みやすい作品だと思います。私は好きです。興味のある方がいたら、ぜひ読んでほしい、おすすめのシリーズです。

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愛をみつけたうさぎ エドワード・テュレインの奇跡の旅(ケイト・ディカミロ)

愛をみつけたうさぎ―エドワード・テュレインの奇跡の旅
愛をみつけたうさぎ―エドワード・テュレインの奇跡の旅
  • 発売元: ポプラ社
  • 価格: ¥ 1,470
  • 発売日: 2006/10

(2012年感想61冊目)

原題 The Miraculous Journey of Edward Tulane
ケイト・ディカミロ 著 バグラム・イバトーリーン 絵 子安亜弥
おすすめ度★★★★☆(4・5くらい。最後はちょっとうるっときます)

ぼくは愛することを学んだ。でも愛なんてつらいだけだった。ぼくはこわれちゃった。心がこわれちゃったんだ。助けてよ。(p149) 

中の紹介文と表紙が気になって図書館から借りてきた本。

陶器でできたウサギの人形、エドワード・テュレインは、女の子に愛されながら日々を過ごしていたが、自身はとんだ自惚れ屋で傲慢であったため、だれも愛することがなかった。そんなエドワードが、ひょんな事故から最初の持ち主だった女の子、アビリーンの手を離れ、さまざまな人の手に渡り、愛を学んでいく……。というようなお話。
 
とっても素敵な本でした。まず、イバトーリーンのイラストが素敵です。モノクロの絵も、カラーの絵も本当に素敵。イラストが多く、本文も少なめなので、低学年くらいのお子さんからぜひ手に取ってほしい一冊です。
私のお気に入りのシーンは、登場人物がそれぞれ、エドワードに違う名前を付けて呼びかけるシーンですね。ああ、人形ってそうだよなあ、と深く共感してしまいました。最初はそのことに反発していたエドワードも、そういって呼びかけられて行くことに慣れていき、人々の話に耳を傾けるのがいいですね。

この本はエドワードの成長がはっきりと伝わってくるのが最大の魅力となっていると思います。さまざまなところを、長い時間をかけて旅するエドワードと一緒に、私たちも成長して一緒に旅するような、そんな風情のある本です。作者の暖かな視線が、とても心地よい物語です。
 
そうして最後には、(いや、最後だけに限らず)思わず目がうるっとしてしまうような、そんな感慨深さというか、感動がありました。とっても素敵な絵本です。おすすめ。この作者の違う話も読んでみようかな。
おすすめ。

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修道士カドフェルの出現 修道士カドフェル短編集(エリス・ピーターズ)

修道士カドフェルの出現 (現代教養文庫)
  • 発売元: 社会思想社
  • 発売日: 1997/03

(2012年感想60冊目。)
 
原題 A Rare Benedictine
エリス・ピーターズ 著 岡本浜江 岡達子 大出健 訳
おすすめ度★★★★★(カドフェルは初めて読みましたが、すっかり虜です)

いや、どの道を通ろうと、行く手に目印の光など見えはしない。この世は広くて美しく、興味は尽きないが、道しるべなど、どこにもありはしないのだ。(p18)


エリス・ピーターズの修道士カドフェルシリーズの短編集。
「ウッドストックへの道」「光の価値」「目撃者」の3つの短編を収録しています。

カドフェルはずっと前から興味があったのですが、読むのは初めて。とっつきやすそうという理由で、いきなり最後に訳出された短編集から読んだのははたしてよかったのか悪かったのか!? 初めて読むのですが、(個人的には)短編集から読んで正解だったかも。長編を読んだことはありませんが、短編集にもカドフェルのエッセンスが詰まっているように感じました。

特にこの短編集は、カドフェルが修道士への門をたたいた理由からじっくり読むことができて、非常に満足です。三つの短編の中で、やはり印象的なのは最初に収録されている「ウッドストックへの道」でしょう。40歳を迎え、人生の岐路に立たされたカドフェルのまとう黄昏のような雰囲気が何とも魅力的です。それでいて、事件はなんとも後味がいいというか、優しい幕切れというか、余韻を持たせています。

カドフェルの探偵としてのスタンスは、だれに対しても公平なところが、魅力であるのでしょうね。そんなカドフェルに、すっかり夢中になりながら読んでしまいました。
修道士になり、薬草園を任されたカドフェル。そんな彼がかかわる事件にもたらすものは、カドフェルのような老境の人間だから導き出される、優しさなのですよね。

12世紀のイギリスの雰囲気も、本当によく伝わってきて素晴らしかったです。修道士たちの暮らしぷりなどを読んでると、読者も修道院で暮らしているような何とも言えない味わいがあります。この本を読みながら、夕べの祈りが聞こえてくるような、そんな気分になりました。長編も折を見て読んでいこうと思います。
カドフェル、好きです。

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トロール・フェル(下)地底王国への扉(キャサリン・ラングリッシュ)

トロール・フェル〈下〉地底王国への扉
トロール・フェル〈下〉地底王国への扉
  • 発売元: あかね書房
  • 価格: ¥ 1,365
  • 発売日: 2005/02


(2012年感想59冊目)

キャサリン・ラングリッシュ 著 金原瑞人 杉田七重 訳
おすすめ度★★★☆☆(3・5くらい。一気に読ませてくれる作品でした。)

「だけど、それじゃあ、あたしたちじゃなくなっちゃうわ!」
ヒルデがぎょっとしていった。すっかりとりみだして目をきょろきょろさせている。
「人間として考えられなくなるんなら、あたしたちは人間じゃなくなっちゃう。心はトロールになってしまうのよ!」(p192)


ラングリッシュのトロール・フェル下巻。更新は間が空いてしまいましたが、実質には上下巻合わせて一日で読んでしまった作品です。
正直、北欧を舞台にしているという点以外あまり好みの作品ではないのですが、それでも一気に読ませられる面白さと読みやすさと勢いがありました。ラングリッシュがうまいのでしょうね。

下巻はいよいよトロールの地底王国で結婚式が行われます。はたしてペールとヒルデの運命やいかに……!?

上巻から、世界名作劇場みたいだなあと思っていたのですが、下巻もまさにそんな感じです。といっても、上巻がペールが不幸でかわいそうだったのに対し、下巻はペールも幸せになりめでたしめでたしで終わるのもよかった。本当に最後はハッピーエンドで、そこがまたいい。上巻であきらめかけた人も、最後まで読んでほしいなと思いました。

こういった話にしては珍しく、恋愛要素も控えめなのが意外でした。ペールとヒルデはあくまで友人だし、最後も一緒に暮らすことになっても、それはあくまで家族としてである……。
でも、これからの発展を十分に感じさせられて、そういうところはいいですね。
この作品、トロール・ミルという続編もあるっぽいいので、ちょっと気になります。機会があったら読んでみようかな。その時は、二人の関係性の変化に期待したいと思います。ヒルデが強くて、とても素敵なんですよね。ペールも頑張ってたけど、ヒルデのほうがより一層頑張ってたと思います。

なにか今までとちょっと変わった児童書が読みたくなった時にお勧めの一冊です。

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トロール・フェル(上)金のゴブレットのゆくえ(キャサリン・ラングリッシュ)

トロール・フェル〈上〉金のゴブレットのゆくえ
トロール・フェル〈上〉金のゴブレットのゆくえ
  • 発売元: あかね書房
  • 価格: ¥ 1,365
  • 発売日: 2005/02


(2012年感想58冊目)

キャサリン・ラングリッシュ 著 金原瑞人 杉田七重 訳

おすすめ度★★★☆☆(3・5くらい。北欧神話の香りただよう一作。)
 

「そうなんだよ、ヒルデ。やつはあれがほしくてたまらないのさ」
ラルフがうれしそうにいった。
「トロールの宝なんだ。父さんに幸運を授けてくれるんだ!」
「授けるのは不幸のほうよ」(p51)


図書館で、どうにも気になって借りてきた一冊。ラングリッシュの処女作です。

ペール・ウルフソン少年は、父親を失った。葬儀の日に、意地悪な双子の叔父が、ペールを引き取りに来て、そのまま連れて行かれた。
意地悪なバルドルとグリムの叔父兄弟は、ペールをさんざんこき使い、その一方で、何やら企んでいるらしく……。
トロールの結婚式!? でも、それって自分に何の関係があるのだろう……。
ペール少年の物語の始まりです。

何より、ペールがかわいそうというか、不憫というか、とにかくおじさんたちが本当に意地悪です。乱暴で、強欲で、怠け者で……。
物語も、おじさんたちと同じくらい乱暴なものを感じます。それでも、ペール少年とトロールのことが気になって、一気に読んでしまいました。
どこか暗い雰囲気はあるものの、読みやすい1冊です。まあ、児童書コーナーに置いてあった1冊なので、なんというか、世界名作劇場とか、そういったものに近いノリを感じますね。

最初は、とにかくペールが不憫で、このまま続くのかと思ったら、少女ヒルデの登場によって、救われた気持ちになります。そんなヒルデとともに、ペールはトロール王国に奴隷として差し出されてしまうのか!? 非常に気になる処で終わっているのも憎いですね。

また、この物語の特徴は、登場人物の多くが北欧の神話やサガなどから名前を付けられていることでしょう。
ヒルデ、エイリク、バルドル、ロキ、などなど……。
これだけで、一気に物語が神話のように思えてくるから不思議です。

とにかく、一気に読ませる力のある作品だと思います。
トロールは不気味だし、家に住む妖精ニースやグリーンティースなどといった妖精たちもどこか不気味で、魅力的です。
なんとも北欧の香りがただよう一冊。
北欧が好きな方なら、読んでみるのもありかな、と思いました。

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フェアリー・レルム1 金のブレスレット(エミリー・ロッダ)

フェアリー・レルム〈1〉金のブレスレット
フェアリー・レルム〈1〉金のブレスレット
  • 発売元: 童心社
  • 発売日: 2005/06

(2012年感想57冊目)

原題 The Charm Bracelet
エミリー・ロッダ 著 岡田好恵 訳 仁科幸子 絵
おすすめ度★★★★☆(女の子にはとってもおすすめの1冊です)

青い満月 うかべば歌え
歌えや歌え 人魚たち
エルフやピクシー 馬たちよ……


「デルトラ・クエスト」やリンの谷のローワンシリーズで有名なエミリー・ロッダさんの別シリーズもの。
小さな女の子向けのロマンチックなファンタジーです。

おばあちゃんのジェシカがけがをして寝込んでしまった! おばあちゃんと同じ名前をもらったジェシカ(ジェシー)は、おばあちゃんの代わりに、おばあちゃんが大事にしていたブレスレットを探し出すことに。そうして、おばあちゃんの大変な秘密を知ってしまって!?

というようなお話。

これは、面白かったです!
小さな女の子向けのファンタジーと書きましたが、大人でも十分通読に耐える面白さがあります。とにかくふわふわ、キラキラとしていて、とってもロマンティックな一冊になっています。
このシリーズはロッダさんの著作の中でも子供向けすぎるかなあと勝手に思い、読むのを敬遠していたシリーズでしたが、もっと早く読めばよかったです。とても面白い。

何より、エルフやピクシー、人魚、しゃべる美しい馬、妖精の世界の女王様などが出てきて、とても幻想的です。
でも何よりもロマンティックで幻想的なのは、おばあちゃんとおじいちゃんの恋でしょう。こういうラブロマンスに弱いのですよね。とても素敵でした。

物語自体は、簡単で、読んでいて展開も見え見えなのですが、それをおいても面白かったです。
何よりもフェアリー・レルムや、ブルームーン館や、おじいちゃんの描いた妖精の絵など、出てくるものがとにかく幻想的で、美しいのです。ロッダさんは多彩な作家だなあと感じてしまいました。

読んだ後には、続きも読みたい! と思ってしまった1冊。ジェシーはこれから、もらったブレスレットにどんな思い出を刻んでいくのか、とても楽しみです。

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アーサー王の剣(エロール・ル・カイン)

アーサー王の剣
アーサー王の剣
  • 発売元: ほるぷ出版
  • 価格: ¥ 1,470
  • 発売日: 2003/09/15

(2012年感想56冊目)

原題 King Arthur’s Sword
エロール・ル・カイン 作 文 灰島かり 訳
おすすめ度★★★★☆(いろいろな解釈が面白い一冊です)

いくさのときには、アーサー王を守る盾となり、敵の矢がおそってくると、まわれ右をさせて、敵をたおしました。


イメージの魔術師と称される絵本作家、エロール・ル・カインが初めて書いた絵本です。そしてタイトル通り、アーサー王の魔法の剣、エクスカリバーにまつわる物語です。

ル・カインの描く想像力と創造力豊かな絵もとっても素敵だったけれど、この本に描かれるエクスカリバーがとても面白くて魅力的です。トラディショナルな部分を踏まえながらも、エクスカリバーが傘になったり爪楊枝になったり、アーサー王の望むものになってしまう魔法の剣なのが素敵。

ル・カインの絵は、ちょっと好みが分かれるかもしれませんが、私はとても好きです。男の人には男の人の、女の人には女の人の色気みたいなものがきちんと描かれている絵で、不思議な感じです。
ル・カインの青の使い方も好きだな。

物語は、非常にオーソドックスなのですが、アーサー王の望むものになんでも姿を変えるエクスカリバーと、アーサー王を憎むゆえにその剣を奪おうとするアーサー王の異父姉、モルガナ・ル・フェの陰謀なども描かれており、絵本が語る物語としてもしっかりしていていいですね。
小さい子供のみならず大人も、こういう本を読んでアーサー王伝説に触れてくださったら楽しいだろうなあ、と思いました。
個人的にはこの本に出てくる、湖の姫が好きです。
とっても神秘的な感じが、まさしく伝説に出てくる魔法の貴婦人という感じで、ル・カインの描く絵も素敵でした。
これはル・カインの処女作らしいので、ほかの絵本も読んでみたくなりました。
面白い絵本だと思います。気になる方はぜひ読んでみてください。


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