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2012-07

ユニコーン・ソナタ(ピーター・S・ビーグル)

ユニコーン・ソナタ
ユニコーン・ソナタ
  • 発売元: 早川書房
  • 発売日: 1998/06


(2012年感想78冊目)

原題 The Unicorn Sonata
ピーター・S・ビーグル- 著  井辻朱美 訳
おすすめ度★★★★☆(シェイラの様子が、美しく幻想的です)


「(前略)シェイラを出入りするのに必要なことは、それだけだ――つまり心からの願いと、音楽、それに月光が少々」(p65)

「最後のユニコーン」で有名なピーター・S・ピーグルの別作品。
最後のユニコーンは未読ですが、このユニコーン・ソナタは単品で楽しめる作品となっています。

面白かった! 一気に読んでしまいました。
主人公の女の子、ジョゼフィン・アンジェリーナ・リヴェラ(ジョーイ)が、現代社会と隣接する別世界、シェイラと現代社会を行き来するのですが、このシェイラという場所がまさしく妖精郷。ジョーイの言葉を借りればとっても美しいかとっても不気味かのどちらかのものしかなくて、とても幻想的です。このシェイラの描写だけでも、ファンタジィ・ファンなら読んで感銘を受けるはず。素晴らしかったです。

また、ジョーイのアブエリータ(おばあちゃんの意)もよかった。
でも何より印象に残るのは、ユニコーン(大老)でありながら人間の世界に焦がれ続けるインディゴの存在でした。我々が時に妖精郷にこがれるように、妖精たち幻想世界の住民も、人間の世界に焦がれ、その双方の思いがこういった<境>を生むのなら、こんなに素晴らしいことはありません。想像力の無限の可能性を垣間見た気持ちです。
ユニコーンの角が奏でる音楽、私も聞いてみたいです。

とにかく、読んだあとになんとも言えない不思議な気分になります。ジョーイとともに少しだけ成長するような。
読みやすいですし、長さもお手頃なちょっと長い中編といったところ。ファンタジーを愛する全ての人におすすめの一冊です。


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ようこそ、古城ホテルへ 3 昼下がりの戦争(ティータイム・ウォーズ)(紅玉いづき)

ようこそ、古城ホテルへ(3) 昼下がりの戦争 (つばさ文庫)
ようこそ、古城ホテルへ(3) 昼下がりの戦争 (つばさ文庫)
  • 発売元: アスキー・メディアワークス
  • 発売日: 2012/06/15




(2012年感想77冊目)

紅玉いづき 著  村松加奈子 絵
おすすめ度★★★☆☆(3・5くらい。あっさり読めますがあっさりすぎるかなあ。)


けれどいつかは、君が女主人となったホテルに泊まってみたいね。
君のことだから、きっと上手くやっているだろうけど。(p11)



紅玉いづきさんの、ようこそ、古城ホテルへの第三巻。
今回は好きなキャラクター、美貌の軍人、ジゼットが主役のお話です。

何はともあれ、とにかくあっという間に読むことができた一冊でした。面白かった! けれどちょっとあっさりしすぎかな? というのが感想です。
児童書レーベルなのに、今回のテーマが戦争というのもびっくり。そのテーマの割にちょっと軽すぎたのは結構残念です。
いつも思うのですが、児童書レーベルじゃないレーベルで、もっと深く描いて欲しいなあと思います。でも、児童書レーベルだからこそいいのかもしれませんが。

そして今回も、われらが女主人たちは、安定感抜群。読んでいて安心できるような、安心しすぎてつまらないような……、そんな贅沢な気分になってしまいます。
とにかく、エランの再登場は嬉しかったですね。できれば再々登場もして欲しいです。
再登場希望キャラといえば、今回出てきた女装男子のランゼリオにも出てきて欲しいです。いいキャラでした。

あと、今回はピィがピィピィ泣いてなかったのがよかった。ピィもいいやつじゃないですか。
巻を重ねるにつれて、登場人物にもどんどん愛着が湧いていきますね。特に大好きというわけではないシリーズなのですが、まだまだ続いて欲しいです。
次巻はリ・ルゥの話の予定だということ。ますます重たい話になりそうですが、楽しみにしたいと思います。

漫画感想一覧

中山星香
妖精国(アルフヘイム)の騎士ーローゼリィ物語ー1
妖精国(アルフヘイム)の騎士ーローゼリィ物語2
妖精国(アルフヘイム)の騎士ーローゼリィ物語3-


水樹和佳子
イティハーサ 第一部 神名を持つ國(1)
イティハーサ 第一部 神名を持つ國(2)

タランの白鳥(神沢利子)

タランの白鳥 (福音館書店創作童話シリーズ)
タランの白鳥 (福音館書店創作童話シリーズ)
  • 発売元: 福音館書店
  • 発売日: 1989/05/25



(2012年感想76冊目)

神沢利子 著  大島哲以 絵
おすすめ度★★★★☆(透き通った、美しく悲しい愛の物語です。)


手をふり、声をあげ、子どもたちは白鳥をよんで野をかけた。
それは、かつてのむすめ、ヒシクラ・サッカ、二度とかえらぬあのむすめのしぐさ、そのままであった。(p188)



神沢利子さんの美しく悲しい創作童話ファンタジー。
図書館でなんとなく目がとまり、借りてきました。
これは、いいですね!
ツンドラ地帯を舞台にした。漁師の息子の男と、彼のもとを訪れ妻になった不思議な美しい娘との、愛と蘇りの物語になっています。
とにかく、文章がツンドラ地帯の冬のように冴え冴えとしていて、読んでいてぐっと世界観に引き込まれます。
物語も、どちらかというと悲しみが覆っているのですが、その悲しみさえも美しくて、胸を突かれます。
そして。絵もいいですね。この絵が好きな方は、手にとって損はない作品だと思います。美しく、繊細な絵です。
私は美しく不思議なむすめ、ヒシクラ・サッカが好きです。本当に、彼女の美しさ、異質さが描写の間隙から伝わってきて感激。
また、作中にふんだんに挿入される歌も、とても雰囲気があって素敵です。
個人的には、モコトルなにとる綺麗なよめご。って歌が好きです。

とにかく、悲しくて、美しくて透き通った湖のような。良質な物語です。
大人にも子供にも読んで欲しい、素敵な一冊となっています。おすすめ。


壁の中の時計 ルイスと魔法使い協会1(ジョン・ベレアーズ)

壁のなかの時計 (ルイスと魔法使い協会)
壁のなかの時計 (ルイスと魔法使い協会)
  • 発売元: アーティストハウス
  • 発売日: 2001/04

(2012年感想75冊目)

原題 The House With a Clock in Its Walls
ジョン・ベレアーズ 著 三辺律子 訳 
おすすめ度★★★☆☆(想像していた話とちがかったのが残念。)

「おまえをやっつけにきた、アイザード! 出てこい! ぼくがこわいのか? わかってるぞ! ぼくはおまえの正体を知ってるし、お前の狙いもわかってる。魔法の古い法則に従って、決闘をもうしこむ!」(p164)


ゴシック・ファンタジーの名手、ジョン・ベレアーズが描く、ルイスと魔法使い協会シリーズの第一作目。外国では30数年前に発表され、今でも版を重ねている人気作のようですが、うーん、正直その面白さがわたしにはよくわからなかったです。

題名から想像していたお話とはだいぶ違うからでしょうか。とにかく、おもしろくないわけじゃないのですが、肩透かしを食らった印象です。
まず、ちょっと怖い話だからか、話のテンポがいまいち遅く、物語の佳境に入るのが本当に遅く感じました。
ルイスと同年代の友達タービーの友情にも期待したのですが、あまり気持ちの良い終わり方じゃないのもなんだか、という感じです。

ただ、さすがゴシック・ファンタジーの名手と謳われるだけあって、小道具の使い方はうまいですね。その小道具につられて読んだわけですが、あくまで小道具なのが何とも……。
ただ、ジョナサンおじさんがルイスのために使う魔法は、夢があっていいと思いました。

ルイス、同年代の友達も作らないので心配ですが、これからいろいろ成長してくれるといいなあ。
あと、この題名詐欺な題名(魔法使い協会)は2巻以降は回収されるのかも気になるところです。
雰囲気とか、魔法使いアイザック・アイザードとかはすごく好きだったのですが、ちょっと惜しい作品だと感じました。次作に期待?

 
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輝ける王女の帰還(上)妖精王女メリー・ジェントリー1(ローレル・K・ハミルトン)

妖精王女メリー・ジェントリー1 輝ける王女の帰還 上 (ヴィレッジブックス)
妖精王女メリー・ジェントリー1 輝ける王女の帰還 上 (ヴィレッジブックス)
  • 発売元: ヴィレッジブックス
  • 価格: ¥ 882
  • 発売日: 2008/10/20

(2012年感想74冊目)

原題 A Kiss of Shadows
ローレル・K・ハミルトン 著 阿尾正子 訳 
おすすめ度★★★★☆(独特の世界観が癖になりそう?)
 
「肉の王女メレディス、血塗られた真の王族よ、シーの世界へようこそ」(p304)

いわゆるロマンス小説と知らずに、題名に惹かれて読みました。
いやー、ホットな描写のあるロマンス小説って初めて読みます。初めてのロマンス小説がこれでよかったのか自分!?(トワイライトもロマンス小説なんでしょうが……)

人間と妖精が暮らす現代社会で、探偵業を営みながら暮らすメリー・ジェントリー。実は彼女はアンシーリー・コート(悪い妖精の宮殿)の王女、メレディスだった! 長らく宮廷を追われていたメリーは、請け負ったとある事件をきっかけに魔力を復活させ、宮廷に戻ろうとするのだが……。

というようなお話です。
 
上巻だから、まだまだ物語も序盤っていう印象です。
そしてなんだか、すごく渾然一体となっている作品という印象。人間も妖精もいて、それらがとても自由で、不自由で、独特の倫理観のもとに行動している……。世界観の説明とかは何もなく始まるので、ある程度妖精について知ってる人向きかな? と思いました。

 ロマンス小説としては、割とホットな(つまり官能的な)作品かと思いますが、正直設定が現実離れしててファンやジーなので、そんなにエロスを感じるかというとかというとそうでもないように思います。でも、話の半分は確実にそういうシーンだった……。
媚薬あり、触手ありですが、触手のシーンは正直気持ち悪かった……。ごめんねショルト。それに、多数のヒーロー×ヒロインという小説なので、そういうのが苦手な方にはだめかも。わたしは逆に、好きなキャラクターを見つける楽しみがあって、こういうのも好きですが。
女王の近衛兵とか見てると、何処の恋愛シュミレーションゲームかと思いますが、そこがなかなか楽しめるところかなー、と思います。逆ハーレムものとか好きな方は是非!なんか、読みだすと妙な中毒性があって気づくとページをめくりつづけてる感じなんですよね。わたしはこの小説嫌いではないです。

ちなみに私は上巻だとドールとショルトが好きです(触手は気持ち悪かったけどそれ以外はいいやつだと思う。)ドールはいいですねー。もっと出番があることに期待です。
ということで、逆ハーレムものがお好きな方にはおすすめ!?下巻も読んでみたいと思います。

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ばらになった王子(ツヴェルガー絵)

ばらになった王子
ばらになった王子
  • 発売元: 冨山房
  • 発売日: 1983/04/01


(2012年感想73冊目)

原題 Das Marchen Von Rosenblattchen
クレメンス・ブレンターノ 著 リスベート・ツヴェルガー 絵  池田 香代子 訳 
おすすめ度★★★★☆(絵本とは思えないストーリー展開が魅力です)


「尊敬する王子さま、それから愛するお兄さま、もうしあげておきますが、ばらとかぼちゃが結婚しないかぎり、わたしも、王子さまのおよめさんにはなりません!」(p6)

題名とツヴェルガーの絵に惹かれて久しぶりに絵本を手に取りました。
ドイツロマン派の詩人ブレンターノが描く、なかなかに面白い物語です。残酷続きで突拍子もないという意見もあるようですが、わたしはおもしろかったなあと思いました。このハラハラする展開は、当時の人々に受けたのではないかなあと思います。

最初から、最後にちょっと救いがあるまで、何とも悲しいお話と展開が続くのですが、逆にそれがあったからこそ、最後のシーンで本当に救われたというか……。ドイツロマン派の詩人らしい作品だったように感じます。

絵も素晴らしかったです。ツヴェルガーが影響を受けたというラッカムらしさのある線の描き方と色の使い方が素敵です。繊細な絵を描かれる方ですね。もっとほかの作品も見てみたくなりました。

ただ、子供向けの絵本のコーナーに置いてあったので、それはちょっと違うだろう! と思いました。
このお話は、正統派な昔話とはだいぶ違うので、むしろ大人向きの読み物だと感じました。あと、邦訳の題名はわりと詐欺です。原題の直訳は、花びらの物語、という感じでしょうか。王子というより、お姫様とその娘のお話です。
ちょっと変わった名前に翻訳されている登場人物の名前も、おもしろいですね。
なかなか興味深いお話です。ツヴェルガーの絵も素晴らしいですし、気になる方は、手に取ってみてはいかがでしょうか?

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