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2012-09

魔女と金魚(中島桃果子)

魔女と金魚
魔女と金魚
  • 発売元: 幻冬舎
  • 発売日: 2010/06



(2012年感想96冊目)


中島桃果子 著  
おすすめ度★★★★☆(不思議な本。自信をなくした時に読むといいかも?)


ああ、誰か。
「外は雨だね」
と言う前に、泣いているのですかと、
それすら訊かずに、そばに座って。(p9)



友人が読書していて、私も題名が気になって図書館で借りて読書しました。
一言で言うなら、不思議なお話かな。ファンタジーで現実しているような、現実でファンタジーしているような、夢の中で冒険しているような、そんな気分になれるお話です。

題名から受けるお話の印象とは全然違うのでびっくりです。
お話自体はファンタジーなんだけど、そこに描かれてる恋愛模様はなかなかにリアルで、逆にその要素のバランスが絶妙で面白かったかな。
シュートという美少年がもっと出てくるのかと思ったらそんなことなくて、結局これは主人公の繭子と要の話に終始してる感じです。要は結構好きだから良いのですが、シュートとの絡みがもっとあるのかなと思っていたのでちょっと残念。
ただ、恋愛ものなのですが、なかなかファンタジックですごく好みです。

なかなか独特の文体で書かれているので、最初読むのが苦労しました。途中で放り投げるかな? とも思ったのですが、慣れてくると面白く、一気に読みます。この独特の文体と世界観も、読み終わった時には好きになれるはず。
主人公たちが暮らす街が、タロットを模した街というのもツボでした。ファンタジーだけどSFっぽい要素もありますね。
主人公の自信のなさと愚かさが読んでいていとおしくなる。その主人公が最後頑張って、ちょっと自信を取り戻すところが、なんだかいいです。ちょっと自信をなくした若い女の子とかに読んで欲しい本。一般本だけど、ヤングアダルトと言われても違和感ないかも。
金魚が象徴的な使われ方をされていて、なんというか、日本人だから書ける話だなあと思いました。独特の文体は正しく現代小説といった感じですが、面白かったです。



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ビブリア古書堂の事件手帖 栞子さんと奇妙な客人たち(三上延)

ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち (メディアワークス文庫)
ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち (メディアワークス文庫)
  • 発売元: アスキーメディアワークス
  • 発売日: 2011/03/25



(2012年感想95冊目)


三上延 著  越鳥はぐ イラスト
おすすめ度★★★★☆(個人的には可もなく不可もなくといったところ。でも続巻も読みたい。)


「わたしは、石段から突き落とされました。この二ヶ月、その犯人をずっと捜しているんです」(p216)

本屋大賞にもノミネートされた話題のラノベ、「ビブリア古書堂の事件手帖」
普段はあまり話題の本は読まないのですが、この本は図書館で半年待って借りてきました。今更感があるかもしれませんが、読めて良かったです。
何より、この表紙が素敵すぎます。

北鎌倉にひっそりと店を構えるビブリア古書堂。そこに本を持ち寄ったことがきっかけで、店員として働くことになった五浦大輔。店長の篠川栞子は、並外れた推理力で、奇妙な客たちと古書にまつわる謎を解き明かしていく……。
というようなお話。

個人的には可もなく不可もなくといったところなのですが、本に対する愛情と、丁寧に描かれる物語には好感を覚えます。大輔くんはあまり個性を感じさせない人物という感じで、一人称の物語としてはこれくらいがちょうどいいのかも。栞子さんは超内気な美少女ということで、キャラ造形的に狙いすぎてる感じに思えますが、所々に挟まる二人の微妙な距離感は、思わずにやりとさせられてしまいました。
いわゆる日常の謎系ミステリなのでしょうが、栞子さんは基本安楽椅子探偵だし、結構やり方が過激な部分もあるので、なんというか最終話では特に黒い印象を受けました。
というかこの話、短編集なのですが、どの話もなかなかにビターというかブラックで、そのあたりがラノベよりちょっと読者の幅を一般向けにしているように思います。

とにかく、栞子さんや大輔くんより、周りの人物の方が魅力的に見えてしまう作品でした。
ミステリとしても、どれも薄味かなあ。
とはいえ、出てくる古書はどれも読んでみたいなあと思わせる作品ばかりで、やっぱり本好きとしては引き込まれる作品でした。
特にお気に入りの話は、『論理学入門』と『落穂拾い・聖アンデルセン』でしょうか。坂口夫婦はよかったです。
次回作も読んでみたい一冊です。


嘆きの女神の秘密(上) 妖精王女メリー・ジェントリー2(ローレル・K・ハミルトン)



(2012年感想94冊目)

原題 A Caress of Twilight
ローレル・K・ハミルトン 著 阿尾正子 訳
おすすめ度★★★☆☆(3・5くらい。面白かったけどちょっとあっさり? 後編に期待です。)


数年の異郷生活のあと、わたしはやっとのことで少しだけ故郷を取り戻した。故郷は昔とほとんど変わらない。美しく、エロティックで、そしてきわめて危険だ。(p27)


パラノーマル・ロマンス、「メリー・ジェントリー」シリーズの第二作目の前編。
100年前にシーリー・コートを追放されたハリウッド女優、メーヴ・リードがメリーに接触を図ってきた。そしてアンシーリー・コートからは、とんでもない敵が逃げ出してしまったようで……!?

というようなお話です。

いやー、やっぱりこのシリーズは面白いです。読みだしたら止まらない変な中毒性のようなものがある。
女王の闇と呼ばれ、メリーの右腕的存在であるドール、メリーを心から愛しているフロスト、メリーをいつでも楽しませるリース、純粋なゲイレンに気弱なニッカ。それにゴブリンのキットー。
綺羅星の如きヒーロー候補に囲まれて暮らすメリーの暮らしも、なかなか大変な様子が忍ばれます。
それにしても、メリーとフロストのあいだに一体何があったんだろう。これはふたりの関係が変わりすぎていてびっくりしました。
リースは相変わらずで、そもそもこのお話はリースにかなりのページがさかれているので、リース好きには嬉しいです。あと、ゲイレンの裸エプロンはなんというか衝撃でした。
と、いろいろな見所や笑いどころはあったり、感動さえできるところもあるのですが、物語の本筋や敵が見えてくるのはこの本の最後の方なので、なんとも勢いというか展開の面白みに欠ける印象があります。
とはいえ、相変わらず美形なんだか不気味なんだかわからないヒーローたちとメリーの関係は楽しく読み応えがあり、ベッドシーンが一巻に比べると格段に減ってその代わり近衛兵ひとりひとりとメリーの心理的な結びつきにスポットが当てられ、一巻とはまた違った読み応えがありました。
下巻を読むのが楽しみな1冊です。いつか作者の別シリーズも読んでみたいなあ。

時間のない国で(下)(ケイト・トンプソン)

時間のない国で 下 (創元ブックランド)
時間のない国で 下 (創元ブックランド)
  • 発売元: 東京創元社
  • 発売日: 2006/11/18



(2012年感想93冊目)

原題 The New Policeman
ケイト・トンプソン 著 渡辺庸子 訳
おすすめ度★★★★☆(4・5くらい。不思議とのんびりした気分になれる作品。)


「いくらでもなかったよ」と、JJは言った。「だって、お金じゃないんだから。びっくりするかもしれないけれど、最近は『ダウドの九番』で買い物ができるのさ」(p205)


アイルランド音楽ファンタジーの下巻。
JJ・リディは母親の誕生日に時間を買うためにティル・ナ・ノグに赴いた。しかし時間の流れが違うために、現実世界ではJJは行方不明になっていることになって……? 一向に忙しくなるばかりの現代とティル・ナ・ノグは、一体どうなってしまうのか!? 
というようなお話です。

いやー、この本は面白かったです。何より全編を彩るアイリッシュメロディーと、ティル・ナ・ノグの描写がいいです。ティル・ナ・ノグがすごくほのぼのしてて、現代社会に対するメッセージのようにも思えました。下巻は、読み始めたら一気読みでした。

JJとアンガスの交流が良かったです。音楽を一緒に演奏したり、いろいろお話したり……。アンガスは実は……!? っていうのもファンタジーらしくていいですね。
ほのぼのしてるだけあってほのぼのとしたラストですが、最後はちょっとドキドキできる部分があるのも良かったです。
続編(?)もあるのかな? ティル・ナ・ノグから帰ってこなかったアン・コーフのことなど、いくつかの謎があるので、続編もあわせて読んでみたいと思います。

とにかく、いろいろと考えさせてくれる、素晴らしいファンタジーだと思います。現代だからこそ生まれた、まさしく現代ファンタジーの珠玉の一冊だと思います。
最近妖精物のファンタジーを多く読んでいますが、妖精を信じる心というものは失いたくないなあと、そんなことを考えさせられました。お勧めです。

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