イスカンダルと伝説の庭園(ジョアン・マヌエル・ジズベルト)
- イスカンダルと伝説の庭園
- 発売元: 徳間書店
- 発売日: 1999/12
(2012年感想97冊目)
ジョアン・マヌエル・ジズベルト 著 宇野和美 訳
おすすめ度★★★☆☆(影がさしながらも、美しい物語です。)
「(中略)詩は、美しいだけでなく、真実の光も宿すものだからな。命をかけて、真実を求めようじゃないか」(p138)
イスカンダルに関する本を探していた時に目にした本。
この本に出てくるイスカンダルは架空の建築士でしたが、それでも彼が作り出す庭園にうっとりしながら読みました。
アルイクシール王は、建築士イスカンダルに、この世の美を極めた庭園を作るように依頼します。しかし、庭園が完成したとき、アルイクシール王はイスカンダルを……。
というようなお話です。(全然わからないかもしれないですが……)
美しい庭園の描写、美しい詩に彩られた文章、叙情性にあふれる描写の数々……。全体的に、影がさしながらもとても美しい物語で、特にイスカンダルが作り出した庭園の描写は秀逸です。うっとりする。
物語の展開も二転三転して、薄い本なのですが、後半は一気にページをめくってしまいました。面白かったです。
しかし、創造者の最も大事なものはやっぱり自由なのだなあと思った次第です。登場人物は皆、何かを生み出すことに執念を燃やす人ばかりというのも、印象的でした。
自由を奪われながらも、創造し続けたイスカンダルの執念というかエネルギーというかは、すべての創造者に共通する部分だと思います。やっぱり創造者は、生み出さなければならないのですよね。
独創性とかはあまりない、どちらかというと安定感のある物語で、非常にクラシックな感じのお話で私は好感です。もし図書館などで見かけたら、手にとってみるといい一冊かもしれません。
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