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2012-12

緑の使者の伝説(下)(クリステン・ブリテン)

緑の使者の伝説(下) (ハヤカワ文庫FT)
緑の使者の伝説(下) (ハヤカワ文庫FT)
  • 発売元: 早川書房
  • 発売日: 2012/08/07



(2012年感想119冊目)

原題 Greenrider
クリステン・ブリテン 著 小林みき 訳 24 表紙絵 
おすすめ度★★★★☆(後半はあっという間。面白かったです。)


「(中略)私たちは愛のために戦う。したがって、サコリディア国のためならば、もし自分や家臣を犠牲にすることになっても、私は降伏などしません」(p291)


「緑の使者の伝説」の下巻。
カリガンはほどなく王都サコアにたどり着き、王に密書を届けることに成功します。役目を終えたカリガンに、ザカリー王はしばらく国に滞在するようにすすめ、そうこうするうちに国王暗殺の陰謀などに巻き込まれ……、といったようなお話。

後半はサクサク読めました。魅力的な脇役や、実はあの人がそうだったのか! といった内容が明らかになり、物語に引き込まれます。上巻は冗長な感じだったけど、下巻は一気に読めて面白かったな。
しかし活躍していたのがほぼ女性というところに、この作者のこだわりのようなものを感じました。女性が活躍するファンタジー小説、好きです。ベリルもマップストーン隊長も、もちろんカリガンも格好良かった!

それに比べてザカリー王は、ちょっと影が薄かったかな?? と思いました。十分魅力的そうな人物ではあるのですけどね。少なくともわたしは好き。オルトンも良かった。続刊では、もっと男性陣に活躍して欲しいものです。

ザカリー王とカリガンは、お互いに惹かれ合っている様子がニヤニヤできる反面、ちょっと急接近すぎるかな? という印象。いくら若いといっても一国の王様が、商人の娘にやすやすと恋をしたらいけない気がします……。
そういったツッコミどころはあるのですが、カリガンとザカリー王の今後の関係が気になるのも事実です。気になる伏線もふんだんに盛り込まれていましたしね。続刊の刊行を望みたいところであります。
というか、続刊出してくれなきゃちょっと消化不良かなあという感じ。これでもまとまったお話となっていますが、カリガンが緑の使者になってコンドルと走るところ、見てみたいです。

上巻は結構むごい部分もあったのですが、下巻はなかなかさわやかな物語となっていて、本当にヤングアダルトのクラシックなファンタジーという感じ。だからこそ読みやすく、愛されているシリーズなのかもしれないですね。
とにかく、続刊をなるべく早いうちに希望したい一冊です。


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おこぼれ姫と円卓の騎士(石田リンネ)

おこぼれ姫と円卓の騎士 (ビーズログ文庫)
おこぼれ姫と円卓の騎士 (ビーズログ文庫)
  • 発売元: エンターブレイン
  • 発売日: 2012/02/15





(2012年感想118冊目)

石田リンネ 著 起家一子 イラスト 
おすすめ度★★★★☆(4・5位。主人公の王女レティのキャラクターが秀逸。)



「デューク・バルヒェット、貴方をわたくしの騎士に任命します。未来のナイツオブラウンドの第一席をありがたく承ってさっさと頭を下げなさい」(p38)



最近ちまたで評判の良い少女小説。
私にしては珍しく古書を購入して読書しました。表紙や登場人物紹介の華やかさに惹かれ思わず購入してしまったのですが、これが大当たり。早くも次が読みたくてうずうずしています。

優秀な兄二人の王位継承権争いに業を煮やした父王は、娘の王女レティーツィアを王位継承者に指名した。おこぼれで女王になったと言われながら、自分が王になることを「知っていた」王女レティは、自らの騎士団を作るために、優秀な腕前の騎士、デュークを勧誘するが……、というようなお話。

これは面白かった! 最初はなんでレティが、自分が王になることを知っていたのかと説明する場面がややこしくて世界観に入っていけなかったんだけど、一度得心が行くとぐいぐい引き込まれます。
最初はこの話も、兄弟たちや騎士から愛される、愛され系のお姫様のお話なのかな……、と思いましたが、最初はレティは愛されるどころかすごく冷ややかな兄妹仲で、ちょっとびっくり。
でも、長兄のフリートヘルムも次兄のグイードも、実は妹のレティを愛し可愛がっていて……、という、お決まりなのですが、そんな兄妹愛が随所に見られて、すごくときめきました。

また、主人公レティのキャラクターもいい。超強気で偉そうなんだけど、年相応の少女らしさも併せ持っている……。主人公のヒロインが魅力的なので、むしろ男性キャラが霞んでしまいそうな勢いです。ここまで主人公のヒロインが男前の少女小説もなかなかないんじゃないだろうか……。

しかし、わたしは次兄のグイードが好きなのですが、彼の出番がほとんどなかったのはちょっと残念でした。でも、次の巻はグイード殿下の回らしいので、とても期待です。

滅多に本は買わないのですが、これは購入して追いかけてもいいかな、と思えた作品です。新人らしく、いろいろ至らないところも見られますが(話に入るまでのわかりにくさなど)またひとり楽しみな新人さんが現れてくれて嬉しい限りです。
デュークも男爵家だけど、いずれはレティと色恋して、それこそ大公になったりするような展開もあるのでしょうか……。
まあ、わたしはデュークよりも兄派なので、兄妹愛が美味しいですが。
糖度はかなり低めですが、それを抜きにしても面白い作品となっています。おすすめの一冊。
ほかの騎士たちの登場も気になるし、本当に楽しみなシリーズです。


ビブリア古書堂の事件手帖 2 栞子さんと謎めく日常(三上延)

ビブリア古書堂の事件手帖 2 栞子さんと謎めく日常 (メディアワークス文庫)
ビブリア古書堂の事件手帖 2 栞子さんと謎めく日常 (メディアワークス文庫)
  • 発売元: アスキー・メディアワークス
  • 発売日: 2011/10/25



(2012年感想117冊目)

三上延 著 越鳥はぐ イラスト 
おすすめ度★★★☆☆(3・5位。さらりと読めて面白いです。)


「大輔くん……」
「えっ? な、なんですか?」
「……って、呼ばれてるんですよね。五浦さん」(p127)



ベストセラー、ビブリア古書堂の事件手帖の二冊目です。
北鎌倉に店を構えるビブリア古書堂。店長の篠川栞子は、並外れた洞察力で、古書にまつわる謎を解き明かしていく……。といった内容となっています。

今回もさくっと読めました。
栞子さんが相変わらず、ちょっと黒いのがいいですね。そんな栞子さんと大輔の関係がまた、狙ってると分かっていてもにやにやさせられます。
この人たち何なんだろう! もうなんて言うかいい雰囲気すぎて、一巻以上に応援したくなってしまいました。(一巻の時は二人の間柄にそんなに興味なかったのに……。)

そんな二人のあいだに影を落とす、この巻通しての大きな謎は、栞子さんの母親にまつわる謎。
この母親っていうのが、栞子さんそのまんまなんだけど、栞子さんをもっとすごくしたような人で……、まだ片鱗しか見えていませんが、空恐ろしい人であります。
栞子さんがお母さんとの確執を乗り越えることができたとき、きっと物語も大きく動いて行くんだろうなあと思いました。

今回出てくる古書も、どれも読んでみたいと思わせるものばかりで、本に関する豆知識も含め、本好きとしてはやっぱり心惹かれる一冊となっています。脇役の皆様も素敵。今回背取り屋さんの出番が少なかったから、次巻はもうちょっと期待したいところです。
今回もあっさりと読めますが、巻を重ねるごとに、物語にも登場人物にも愛着を感じます。次の巻も読むぞ。
今回興味をそそられた一冊は、国枝史郎の「完本蔦葛木曽桟」ですね。いつか読んでみたいな。
今回は、有名な作家の本名とか別のペンネームとか、そういう感じが多かったのも印象的。次の巻がどう展開されていくのか、楽しみにしたいと思います。



無音の愛戀歌~さようなら、わたしの最愛~(御永真幸)






(2012年感想116冊目)

御永真幸 著 風都ノリ イラスト 
おすすめ度★★★★☆(4・5位。よかった! 革命期のフランスで紡がれる純愛ものです。)


ひとりの男が、恋におちた(p10)


久しぶりの少女小説を読みました。
発売した頃から、なかなかに評判のよかった1冊で、ずっと読みたかった本なのですが、こうやって読むことが出来てよかったです。いろいろツッコミどころはありますが、とても面白い一冊でした。

「無音の愛戀歌 さようなら、わたしの最愛」と、それより30年後の時代を描いた「嵐の狂詩曲」の2篇の中編を収めています。
この本の魅力的で、面白いところは、ヒーロー役の男性が処刑人という地位にあることでしょう。ちなみに、表題作のヒーローと嵐の狂詩曲のヒーローの関係は親子になります。
恋愛要素はどちらかというと純愛で、恋愛よりも時代を生き抜いた人々の群像劇といった雰囲気の一冊となっています。
革命期のフランスのことについてはあんまり詳しくないのですが、処刑人というのは地位が低い職業らしく、高級娼婦であるヒロインとの恋に悩む葛藤が、とても丁寧に描かれていました。主役は、ヒロインじゃなくてヒーローというのも、なかなかに硬派な一冊となっています。

なんといっても、処刑人である主人公、シャルル・アンリ・サンソンが魅力的ですね。この本は彼の物語なのでしょうと思えます。そのシャルルとアンリの親子の交流が、とても丁寧に描かれていて好感でした。
脇役もとっても魅力的に描かれています。ダントン好き。革命期のフランスのお話がもっと読んでみたくなりました。
ただ、ヒロインはちょっと印象に欠けるかなあという感じです。ヒロインだけじゃなく、女性全体に言えるのですが、影が薄いというか……。
そういったツッコミどころは多々ありますが、全体的にとても面白い一冊となっています。
これからも、こう言ったお話を書いて欲しい、期待の新人さんですね。今後が楽しみです。

緑の使者の伝説(上)(クリステン・ブリテン)

緑の使者の伝説(上) (ハヤカワ文庫FT)
緑の使者の伝説(上) (ハヤカワ文庫FT)
  • 発売元: 早川書房
  • 発売日: 2012/08/07



(2012年感想115冊目)

原題 Green rider
クリステン・ブリテン 著 小林みき 訳 
おすすめ度★★★★☆(少女を主役にした王道ファンタジー。続きが楽しみ。)


「(前略)いい? 自分で決める、それがだいじ。いやいや密書を届けようとしているなら、すでに失敗したと同じこと。わかる?」(p71p)


クリステン・ブリテンの処女作、Green riderの邦訳です。書店で見かけた時から表紙に惹かれ、読んでみたいと思いこの度読書しました。向こうでは4作も出ている人気シリーズらしいです。確かに、王道ファンタジーで受けがいいんだろうなと思えた一冊でした。

主人公のカリガンは寄宿舎学校で、貴族の息子と喧嘩し、それがきっかけで停学処分になり、学校を逃げ出します。故郷に帰る最中、王の使者である瀕死の<緑の使者>、フライアンに出会い、彼から、王のもとに密書を届けて欲しいと頼まれることから、カリガンの旅が始まります。

一言で言うなら、剣と魔法と陰謀の王道ファンタジーですね。しかしそこがいいのです。最近、こういうファンタジーも少なくなってるからなあ……。
カリガンの旅は、最初は順風満帆で、魔法にとても恵まれているなあという印象。しかし途中でだいぶひどい目にも合うので、なかなか可愛そうです。
でも、いろいろな魔法や協力者が協力してくれて冒険するので、とてもワクワクします。魔法が絡む描写はなかなか美しい。ハヤカワでなくても、児童書レーベルでも出せそうなお話だなあと読みながら思いました。
個人的に、森を舞台にしたファンタジーは大好きなので、そう言う意味でもこのファンタジーは嬉しいですね。きっと作者は、自然保護なんかにも興味があるんだろうなあと思いました。

この前半の巻では、カリガンはまだ王にも目通りしていません。だから、ザガリー王がどのような人物なのか、今のところわからないのがちょっと残念。悪いことを企んでる兄のアミルトン公なんかの方が、よっぽど個性的なキャラに見えてきかねないなあという印象。
それと、トマスティンじゃないですが、ベリルは可愛いなあと思いました。カリガンも、まっすぐで強い女の子だし、やっぱり強い女の子が活躍するお話は好きです。カリガンの旅はまだまだ波乱が続きそう。続きを楽しみにしたいと思います。
それにしても、喋ってもいないホースがいい味出してました。ベリー姉妹もいいですね。そんな脇役の個性が光る一冊となっています。



車輪の下(ヘルマン・ヘッセ)

車輪の下 (新潮文庫)
車輪の下 (新潮文庫)
  • 発売元: 新潮社
  • 発売日: 1951/11



(2012年感想114冊目)

原題 Unterm Rad
ヘルマン・ヘッセ 著 高橋健二 訳 
おすすめ度★★★★★(名作。特に学生さんには一度は読んで欲しい作品です。)


「そりゃ結構だ。だが、これだけはいっておくぜ。魂をそこなうよりは、肉体を十ぺん滅ぼすことだ。(後略)」(p66)


ヘルマン・ヘッセはかなり好きというか、思いれのある作家である。学生時代ひどい憂鬱に悩まされていたことがあったが、一冊の本を読んだことが、わたしの憂鬱を何か別のあたたかいものへと溶かしてくれたからです。それがヘッセの「デミアン」でした。
それ以来「デミアン」はわたしの人生の一冊とも言えるくらいの思い入れのある本になったが、「車輪の下」は今回が初読み。しかし今回縁があって「車輪の下」の読書会に参加することになったので、この度精読したしだいでした。

数日前まで、この話がハンス・ギーベンラートとヘルマン・ハイルナーという二人の少年に託されたヘッセの自伝的小説だということすら、浅学なわたしは知らなかった。しかしこの話を読んだら、きっと多くの人はヘッセという人物に対して深い興味を抱くようになると思う。
西洋と東洋の血を受け継ぎ、両者の思想を抱いた牧師の家庭に生を受けたヘッセ。その彼の幼年時代の苦しみや、自然と戯れ遊ぶ時の、また故郷を描写するときの瑞々しい美しさの中に、わたしたちは今も変わらぬヘッセの息遣いを感じることができるだろうと思います。

しかし、この本の魅力はなんといっても詩人であるヘッセの分身、ヘルマン・ハイルナーであると思います。ヘルマン・ヘッセと同じ「H・H」のイニシャルを持つ彼は、ヘッセの学生時代、あるいは詩人としての若々しい感性の純化した姿であると思います。主人公ハンスが車輪(社会)の下に押しつぶされた若者であるのならば、ハイルナーはその車輪から逃げ出した人物であると思います。ハンスには詩人になりたいという夢がなかったがハイルナーにはあった。その違いが、両者の違いなのだと思います。
つまりハイルナーは夢を持っていただけに社会をより広く、情熱的に(時にはその情熱は反抗心となったけれども)見ることができたのだと思います。その証拠に、社会に出て労働しだしたハンスには、もう持病の頭痛は起きていません。

ハンスはヘッセと違い、悲劇的な結末をたどってしまいましたが、ハンスの感じやすさ、繊細さ、そうして純粋な自然的な心というのは、愛すべき素養であるように思います。学生の人には、ヘッセの文章は身につまされるかもしれませんが、感じるものも人一倍だと思います。ぜひ、学生時代にヘッセを読んでみて欲しいと思いました。きっと、何かしら得るものがあると思います。

また、この悲劇的な本を愛すべき名作にしている一環に、神学校での少年たちの、生き生きとした生活の描写があることが挙げられると思います。それは例えるならば竹宮恵子の「風と木の歌」や萩尾望都の「トーマの心臓」のような、少女漫画のようなギムナジウム生活を思い起こさせ、そういったものが好きな方なら、ガラスのように硬質で、それでいて感じやすく瑞々しいヘッセの文章が、好きになるのではないかなあと思います。
ヘッセの作品は自己の内省の旅であり、読み終わったあとに、まるで一生涯の経験をしたかのような気分になります。だからこそ、わたしは、わたしたちはハンス・ギーベンラートを友のように感じ、愛しているのかもしれません。


アーモンド入りチョコレートのワルツ(森絵都)

アーモンド入りチョコレートのワルツ
アーモンド入りチョコレートのワルツ
  • 発売元: 講談社
  • 発売日: 1996/10/18



(2012年感想113冊目)

森絵都 著 伊勢英子 絵 
おすすめ度★★★★☆(ほの甘くビターな短編集です。)


ぼくらの夏が今年で終わる。完全に終わる。
そしてもう二度と、はじまらない。(p56)



久しぶりの森絵都さんの本です。「DIVE!」以来かなあ。表紙に惹かれて単行本版を読書です。
三つのピアノ曲にまつわる、三つの短編が収められています。
まさしく題名のように、チョコレートのようなビターさと甘さがあり、その中にアーモンド(芯)が入っている短編集だなあと思いました。
しかし森さんは、ティーンの心情を描くのがうまい! わたしがティーンだった頃なんてもう何年も前ですが、その頃のちょっとひねくれた、難しい年頃だった自分の青春が、ありありと思い出されます。この本はそんな10代の季節を過ぎていった、大人たちの短編集のように思いました。

中学生のそれぞれの学年のお話が収録されていますが、どのお話も秀逸。ほろ苦くも、優しく温かな気持ちになれます。
わたしが好きなのは、「彼女のアリア」と表題作かな。女の子が出てきたほうが、感情移入しやすく、物語も柔らかかったように思います。「子供は眠る」も良かったですけどね。表題作は、登場人物がとても魅力的でした。
それぞれのお話が、それぞれの登場人物のやり方で、輝くような時間を過ごしながらも、それを失い、少しずつ大人の階段を上っていく。そんな、三作共通のテーマのようなものも見えて、しかしどのお話も優しくてキラキラしていて、とても素敵でした。この年頃の子供たちは、子供達なりにいろいろなことを考え、悩み、生きているのですよね。そんな彼らは、傍から見るととても輝いています。
読みやすく一気に読めるのですが、ピアノ曲を聞きながら読むと、さらに良いのだろうなあと思いました。おすすめの一冊です。

ナルニア国物語2 カスピアン王子のつのぶえ(C・S・ルイス)






(2012年感想112冊目)

原題 The Prince Caspian
C・S・ルイス 著 瀬田貞二 訳 ポーリン・ベインズ 絵
おすすめ度★★★★★(前の巻より、さらに面白いかも??)


「もし、いつか、わたしたちのあの世界でよ、人間の心のなかがすさんでいって、あのクマのようになっても、うわべが人間のままでいたら、そしたら、ほんとの人間か、けものの人間か、区別がつかないでしょ?」(p155)


ナルニア国物語の第二巻目、「カスピアン王子のつのぶえ」の感想です。
一応再読。しかし、お話のすじをほとんど覚えていなかったので、新しい気持ちで読めました。
原題はそのものズバリのプリンスカスピアン、映画の印象もあり、カスピアン王子は美形でなかなか切れるやつなのかと思いましたが、原作は夢見がちでちょっとイマイチかな? という印象だったのが意外です。でも、アスランも言うとおり、そんなカスピアン王子だからこそ王になるのがふさわしいのかもしれません。

ピーター、スーザン、エドマンド、ルーシィの四人の兄妹は、今回そんなカスピアン王子を助けるために、ふたたびナルニアに戻ってくることになります。
しかし、そこは彼らの王位だった時代から、数百年もたった時代でした。
カスピアン王子も格好良かったけど、やっぱりこの物語は、4兄妹のお話なんだなあ、そうしてアスランや、ナルニアの住人、つまり正しく、ナルニア国の物語なんだなあと思いました。やっぱり、住民たちが生き生きとしていて、ナルニアという国はとても魅力的です。だからこそ、最後ピーターとスーザンに告げられた言葉には胸が痛みます。私たちは、いつでも本をめくればナルニアに行けることが、どんなにか素晴らしいことでしょうと思いました。

子供たちの中では、特にエドマンドの成長がなんと目覚しいことか! ピーターは頼りになるし、スーザンは厳しくも優しいし、ルーシィとアスランの関係は、胸が温かくなります。今回は子供たちも冒険慣れしていて、物語もよりファンタジーの様相を呈していて、そのあたりも楽しく読めました。しかしこの物語で一番のファンタジーは、ナルニアの美しい国そのものだと強く思います。そんなナルニアの国を想像しながら読むのが、何よりも贅沢な読み方だと思います。

次の物語はカスピアン王在位三年のころらしく、二年後のカスピアン王子に再び会えるのが楽しみです。
わたしも、年齢に関係なくいつまでもナルニア行けるような人間になりたいなあ……。
そんな、信じることの難しさを問いかけるような本でもありました。わたしは大好きな1冊です。

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