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2013-01

天使と悪魔のゲーム バチカン奇跡調査官(藤木稟)


バチカン奇跡調査官    天使と悪魔のゲーム (角川ホラー文庫)


バチカン奇跡調査官 天使と悪魔のゲーム (角川ホラー文庫)



  • 発売元: 角川書店(角川グループパブリッシング)

  • 発売日: 2012/12/25



(2013年感想13冊目)


藤木稟 著  THORES柴本 表紙絵

おすすめ度★★★★☆(この短編から入ってもとても面白かったです!)

「ロベルト神父、心配することは何一つ、この世に存在しない。すべては神の御手によって紡がれているのだから……。君には一言だけ言っておこう。『暗闇を知る者こそが、よりよく光を知るのだ』とね。君はそういう人間だ。」(p128)


「バチカン奇跡調査官」シリーズの初の短編集。
ロベルトの過去とロベルトと平賀の出会いを描いた「陽だまりのある所」、平賀とローレンの出会いを描いた「天使と悪魔のゲーム」、サウロ司祭の過去を描いた「サウロ、闇を祓う手」、ジュリアの出生の秘密が明らかになる「ファンタンゴ」の短編4篇を収録しています。

実は私はこのシリーズ、興味はあったのですが、読むのはこれが初めてという不束者です……。長編は結構分厚いし、短編集だと入門編にはちょうどいいかな……、と思い入門書がわりに読みました。帯に、初心者歓迎とも書いてあるしね。

一抹の不安はあったのですが、この短編集から読んでも十分に面白かったです!面白くて読みやすいので、サクサク読めました。その結果一日で読破です。本当に面白かった。

「陽だまりのある所」はヨゼフ君(平賀ではない)とロベルトの友情が本当に素晴らしくて、最後の方ではうっかり涙ぐんでしまいました。こういう交流、本好きなら絶対憧れるだろうなあ……。
「天使と悪魔のゲーム」は、お話的には一番ホラーっぽかったかなあ? と思います。 でも、その分一番興味深く読んだかもしれません。
「サウロ、闇を祓う手」は、サウロ司祭の過去話。こういうおじいさんの若かりし時代のお話って、やっぱりしびれるものがありますよね。
「ファンタンゴ」はこの短編集の中で一番難解だったかな。ジュリアが6人いるってことでOKかな??

とにかく、予想外に面白く、また感激した一冊でありました。キリスト教の世界にも興味があるので、そこも楽しかった。お話としてはどれもなんてことのない、ありふれたお話かなあと思うのですが、この本を書ける藤木さんはすごいなあと思いました。
俄然、長編も読んでみたくなりました。しかしこの短編集のおかげで、先入観ではジュリアが好きだったのですが、なんとなくサウロ司祭が気になっています。また、長編を一通り読んだ頃に、読み返したいと思う1冊なのでした。面白かったです。この本からでも、ぜひ。


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修道女フィデルマの探求(ピーター・トレメイン)




(2013年感想12冊目)

原題  Hemlock At Vespers
ピーター・トレメイン 著  甲斐萬里江 訳

おすすめ度★★★☆☆(短編もいいですが、個人的には長編の方が好みかな。)


「ヘリンバート院長殿、私どもは、難解を解明しようと努めている理性ある人間のはずではありませんか。その過程で、私どもの誇りと自尊心を傷つける振る舞いをしては、なりますまい。なぜなら、私どもが目指しているのは、真実なのですから。真実のみを求めているのですから」(p46)



「修道女フィデルマ」シリーズの短編集。15篇の短編を5篇ずつにわけて、日本独自に編集出版したものです。これはその最後の五編が収録された短編集です。第三弾ですね。
高位の法廷弁護士にして裁判官、ドーリィであるところの美貌の修道女フィデルマが、国内外問わず鋭い推理で数々の事件を解決します。
この本には、「ゲルトルーディスの聖なる血」「汚れた光輪」「不吉なる僧院」「道に惑いて」「ウルフスタンへの頌歌」の五篇が収録されています。

うーん、個人的には、長編の方が好みかな、といった印象。短編集はサクサク読めるので、それはそれで魅力的なのですが、なんといっても短編集はワトソン役のエイダルフが(少なくともこの本には)いない! これが残念で仕方ありません。
推理小説としてだけ見るならば、短編は冗長にならない分だけいいのかもしれないですが。
しかしこれだけ読むと作者の話の落ちどころもわかってきてしまい、似たようなお話が多くなってしまうのも残念なところです。
どの犯人の動機も、色恋とかちょっと異常な性癖とか、そんなのばかりなんだもの……。

しかしさすがアイルランドの歴史の権威であるトレメイン先生だけあって、随所に散りばめられているケルト当時の風習は、とても読んでいて面白いです。このケルト事情だけでも、読む価値アリだと思います。

個人的なお気に入りは、「ウルフスタンへの頌歌」ですね。このシリーズで密室ものが読めるとは思っていなかったので嬉しいです。サクソンの王子たちといった、(小物だけど)大物がたくさん出てくるのも楽しいです。
しかし、フィデルマの頭の切れっぷりは、当時では相当変わり者だったのではないでしょうか。皆が妖術と騒いでる事件を、理詰めで解決していくんですもの。

フィデルマ単体でも十分に魅力的ですが、やはり彼女の隣にエイダルフがいると、フィデルマはもっと活き活きしているようにみえます。そう言う意味で、私個人としては長編に軍配をあげますね。でも、手軽に読める短編集もまたよしです。ああ、またこのシリーズが何か読みたくなって来ました。
評価はちょっと辛めですが、面白かったです。



ビロードの爪(E・S・ガードナー)

ビロードの爪 (創元推理文庫)
ビロードの爪 (創元推理文庫)
  • 発売元: 東京創元社
  • 発売日: 1961/02/17



(2013年感想11冊目)

原題 The Case of the Velvet Claws
E・S・ガードナー 著  小西宏 訳

おすすめ度★★★★☆(派手さはないですが、冷静なメイスンが格好いいです。)

「いや、ぼく自身の義務だよ。ぼくはやとわれ剣士だ。依頼人のために戦うんだ。依頼人というものは、たいてい正直じゃない。だからこそ依頼にくるんだ。連中は事件にまきこまれている。それを助けるのがぼくの仕事だ。(後略)」(p25)

知り合いのマイ・ベスト本だということで手にとってみた一冊です。
弁護士のペリィ・メイスンは、嘘ばかりつく依頼人に依頼を頼まれ、引き受けます。そうして、殺人事件に巻き込まれるのですが……。

本書は、多作な作家として知られたガードナーの、もっとも成功したシリーズ、ペリィ・メイスンシリーズの第一作目です。このあと何十冊も書き続けられていく作品の、記念すべき初のシリーズというだけで、感慨深いもものがありますね。

感想としては、面白かったです。派手さはないのですが、淡々とした筆致と冷静なメイスンが格好いいです。秘書のデラは可愛いし、このコンビ、好きになりそうな予感でいっぱいです。
簡素で平易な文章も、とっても癖がなくて読みやすいです。翻訳ものとしての読みやすさは、指折りではないでしょうか。

メイスンは、なんというか、色々な意味で若いのですが、そこがまた、格好いいですね。
古いミステリなので、今の時代では通用しない捜査や手法もありますが、これは良質なミステリだと思います。
作者のガードナー自身が弁護士で慣らしていた方なので、メイスンのポリシーが非常に格好よく、これはなんというか、このメイスンの魅力に引き込まれるシリーズなのだなあと感じました。
また、最後に次の依頼人が分かる仕組みなのもいいですね。次は、「すねた娘」です。
メイスンの冷静さ、若さが私はとにかくツボなのですが、淡々としすぎて性に合わない方もいるかもしれません。
でも、個人的には一度は読んでみてもいいシリーズなのではないかと思います。
おすすめ。ただ、早川版など色々な出版社から出てますが、個人的にはハヤカワで読みたかったなあと思います。いや、完全に好みの問題ではあるのですけどね。この創元版が悪いということはありません。

夜の写本師(乾石智子)

夜の写本師
夜の写本師
  • 発売元: 東京創元社
  • 発売日: 2011/04/28



(2013年感想10冊目)

乾石智子 著  羽住都 表紙絵

おすすめ度★★★★★(面白かった! この詩的でダークな世界観がたまりません。)


「千年の因果をおれは経験した。確かに重たい千年だ。だけど」
「だけど?」
「それより大きく重たいのは、エイリャとフィンを殺されたことなんだ」(p216)



国内ファンタジー期待の新鋭、乾石智子さんのデビュー作。
ファンタジー小説において、海外作家顔負けの骨太な世界観を紡ぎ出す著者は日本にもいますが、乾石さんが間違いなくその一人と言っていいでしょう。人々の心の闇が大きな鍵を握るダークな世界観、詩的な描写、読んでいて一気に物語に引き込まれ、300ページ一気読みしてしまいました。面白かったです。
何か大作を読み終わった時の、充足感が今わたしの内を占めています。

キーナ村の少年カリュドウは生まれた時に、月石、黒曜石、真珠の三つの宝石を握りしめて生まれてきた。
しかしそんなカリュドウの人生は、育ての親エイリャと幼馴染の少女、フィンを殺された日から一転し、カリュドウは復讐に生きるため、魔術とは違う、写本師としての修行を積みますが……。カリュドウはやがて、自分の人生と交わる、千年の因果を知ることになります。
といったようなお話。

まず、写本師という、本を媒体にした呪いを得意とする人々の存在と設定が、海外ファンタジーらしい骨太な世界観の中に、日本人らしさを感じさせて魅力的です。本から魔法というだけで、本好きならときめく設定のはず(?)
そのほか、カリュドウと千年前の因果の結びつけ、宿敵アンジストとの対決の仕方など、とにかく奥行きを感じさせる世界観と構成が巧みで引き込まれます。
カリュドウの生い立ちは、なんとなくインドの叙事詩に出てくるシカンディンを思い出しました。
本当に、西洋の感覚と東洋の感覚がナイスなバランスで保たれていて表現されている、素敵な作家さんです。個人的には、この作品は日本の女流ファンタジーの歴史に刻まれる作品ではないかと思いました。とにかく、骨太で奥行きがあります。
また一人、楽しみな作家さんができたことは、嬉しいことであります。
この世界観での続編も出版されているようなので、そちらも読みたいと思います。
羽住都さんの装画も素敵ですね。
文庫落ちしたら、ぜひ手元に置いておきたい作品です。
とにかくおすすめの一冊です。

箱根たんでむ 駕籠かきゼンワビ疾駆帖(桑原水菜)





(2013年感想9冊目)

桑原水菜 著  トミイマサコ 表紙絵

おすすめ度★★★★☆(爽やかな時代小説です。)


単に年の頃が近く、背丈が近い、というだけの理由で、親方に組まされた。
が、とにかく気が合わない。
息も合わない。(p17)



「炎の蜃気楼」シリーズで有名な桑原水菜さんの一般時代小説ものです。桑原さんといえば「炎の蜃気楼」の邂逅編で、やはり時代物を書いていますね。私はそちらは未読ですが、なるほど、書き慣れている感じがします。
しかも今回の舞台となる箱根は、桑原さん得意の地。筆が冴えています。

箱根の駕籠かきである漸吉と侘助は、相棒を組まされているが、とにかく気が合わないことで有名だった。速いは速いが、乗り心地は最悪。しかしそんな「ワビゼン」の二人が、色々なお客たちと出会い、成長していく物語です。

最初は喧嘩ばかりしている漸吉と侘助の二人に、ハラハラドキドキしてしまい、読む手が止まってしまいましたが、表題作の中頃から面白くなって来て一気に読めました。面白かったです。文章の癖など、気になるところもあるのですが(何かにつけておなごと多用したりとか)さすが桑原さん、色男を書かせたら一品だなあと思いました。ちなみに私は旋風次の兄貴が好きだなあ。

箱根といえば駅伝を思い浮かべる私ですが、あそこの急な坂道を、お客を担いで上がるのは、しんどそうだ……、と思いました。でも、そんな駕籠かきの様子が、活き活きと描かれていて、江戸当時の箱根の様子など、「そうなのか」と思わされることも多く、楽しく読めました。

ただ、とっても爽やかなので、いわゆる「桑原節」を期待している方には合わないかもしれません。
侘助の、ちょっと影があるように思われる過去に期待するところではありますが、果たして続編が出るかな……。
でも、続編が出るならぜひ読んでみたいと思わせるような一冊でした。
人情のある時代物で、読後も爽やかなので、そういうものが手軽に読みたい方には、おすすめの一冊です。


おこぼれ姫と円卓の騎士 将軍の憂鬱(石田リンネ)

おこぼれ姫と円卓の騎士 将軍の憂鬱 (ビーズログ文庫)
おこぼれ姫と円卓の騎士 将軍の憂鬱 (ビーズログ文庫)
  • 発売元: エンターブレイン
  • 発売日: 2012/09/15



(2013年感想8冊目)

石田リンネ 著  起家一子 イラスト

おすすめ度★★★★☆(4・5位。この3冊の中で一番面白いかな。)


「(前略)試すなら試せばいい。史上最高点で、わたくしが最も王に相応しいと言わせてやるわ」(p37)



「おこぼれ姫と円卓の騎士」第3巻。
女王になることが決まってからの、レティの初の外交は、従妹と他国の王子との結婚式に、ソルヴェール国代表として赴くというもの。しかし、結婚式目前に花嫁が駆け落ちしてしまい!? レティは自身の二番目の騎士と心に決めていたクレイグと共に、この窮地を乗り切ろうと頑張ります。
といったようなお話。

面白かった! この本は作者様のデビューシリーズですが、巻を重ねるごとに成長して、面白く読みやすくなっています。今までの3冊ではこの話が一番面白いように思いました。たとえ贔屓キャラのグイード殿下が空気でも。
この、出る必要がないキャラは出さないというのも、いっそ清々しいですね。今回はほぼ新キャラがレティの脇を固めてましたが、その新キャラが十分に魅力的なので、楽しく読めました。

それにしても、新キャラのクレイグさんが格好良かった! 渋いおじさま、好きです。レティとクレイグの様子は、まさしく愛人王の図式そのもので笑ってしまいます。

また、この巻は失恋王ルートガーが株を上げましたね。素敵。今回の新キャラの、ノーザルツ公も素敵でした。
今まで世界観の狭さがちょっと気になっていましたが、外交によって一気に世界が広がりましたね。
レティの夢も、デュークの夢も、クレイグの夢もお兄様方の夢も、とっても良かった。レティは相変わらず格好いい中に、ほんの少し見せる隙のようなものが愛おしいです。デュークとの信頼関係も良かった。
こんなふうに、どんどん魅力を増していく「おこぼれ姫」の世界が、今後も楽しみです。

ただ、もうちょい女の子が出てきてもいいような気がします。レティが十分魅力的なので、まあいいのですけどね。そのあたりは、今後に期待かな。

冬物語(タニス・リー)

冬物語 (1982年) (ハヤカワ文庫―FT)
  • 発売元: 早川書房
  • 発売日: 1982/08/31



(2013年感想7冊目)


原題 The Winter Players
Companions on the Road

タニス・リー 著 室住信子 森下弓子 訳 坂口尚 表紙絵
おすすめ度★★★★☆(特に冬物語が絶品です。)


「いつかあんたなりにわかるときがくるだろう。わたしたちは不思議なゲームの競技者(プレイヤー)なんだ。あんたと、そしてこのわたしは。もうひとり第三の人物(プレイヤー)もいるんだが。そいつはまだそのことを知らない」(p61)


タニス・リーの著作の中でも、積んでいたものを読書です。冬物語という題名が、今の季節にぴったりですね。
タニス・リーの初期の中編集です。「冬物語」とアヴィリスの妖杯」の二編を収録しています。
「冬物語」は、巫女オアイーヴが、奪われた聖遺物を取り戻すため旅に出る物語。そこで意外な真実を知ることになります。
「アヴィリスの妖杯」は、盗んだ盃を、「死」という追っ手から逃れ捨てに行く物語です。

この対極でありながらどこか似ている2篇の中編構成が素晴らしいです。リーにしては、筋書きも筆致も地味な方ですが、なんとも心に染み入るものがあります。特に「冬物語」のラストの展開は秀逸です。この話、好きだなー。
冬物語は、灰色の世界の中に、グレイ(シルディン)とオアイーヴの周囲にだけ色が付いたような情景が素敵。「アヴィリスの妖杯」は、3人の道連れが一人また一人と謎の死を遂げていくお話なので、少し恐ろしいですが、その恐ろしささえも、奔放なイマジネーションの下に描かれ、圧倒されます。

でも、断然わたしは「冬物語」が好きです。なんとも静謐で、ロマンチックで、内に熱いものがあります。
解説にもあったとおり、読みながら「ゲド戦記」や「指輪物語」を思い浮かべていました。しかし、地味な筋書きの中にもリーらしさがあるのはさすがという他ない。やっぱりリーの初期作品にはハズレがありませんね。
坂口さんのこの表紙も、読み終わったあとに見返すと、なかなか味があっていいものです。
また、冬になったら読み返したいな。とっても素敵なファンタジー。ぜひ読んでみてください。

モナミは世界を終わらせる?(はやみねかおる)

モナミは世界を終わらせる? (銀のさじ)
モナミは世界を終わらせる? (銀のさじ)
  • 発売元: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2011/09/26



(2013年感想6冊目)

はやみねかおる 著 カスヤナガト 表紙絵

おすすめ度★★★☆☆(3・5位。さらりと読めるドタバタコメディ。)

「おまえ、気づいてないだろうけど、命をねらわれてるんだぜ」(p45)


昔大好きだったはやみねかおるさんの、作家20周年記念本です。久しぶりに読みたくなって、読書しました。表紙も素敵ですね。

真野萌奈美(まのもなみ)はいわゆる超ドジっ子娘。そんな彼女の前に現れた、忍者みたいな男、丸井丸男。
丸男はモナミに、「学校でモナミの周辺で起きてる事件と、世界の事件がシンクロしている」ということを告げます。そうして、彼女を守るというのですが……。

面白かった。ちょっとどたばたしすぎていた感じはするけれど、人物の書き込みをもっとして欲しかった気がするけど、面白かったです。
ただ、ファンタジーではないよなあ、と思います。SFだよね。
人によっては爆笑してしまうくらい面白いと感じることもある本らしいですが、そこは笑いのツボかなと思います。私は、声こそ出しませんでしたが、十分に楽しく読めましたというクチでした。

登場人物も個性的で面白い。私は、ナル造が好きかなあ。丸美ちゃんもいいです。永遠さんもルナちゃんもいい。はやみねさんの書くキャラクターがこんなに魅力的だったなんて、久しく忘れていました。
魅力的な登場人物が多いから、丸男の、またなってセリフ、信じていいよね??という気分になります。続編を期待したいですが、果たしてどうでしょう。

中身もなかなか含蓄に富んでるし、さすがはやみねさんと思います。
やっぱりはやみねさんの著作は安定のおもしろさだよなあと改めて思いました。
いろいろ残念に思う部分も多かったし、期待しすぎていたところはありますが、総合しておすすめの一冊です。続編希望。



煉獄姫 六幕(藤原祐)

煉獄姫 六幕 (電撃文庫)
煉獄姫 六幕 (電撃文庫)
  • 発売元: アスキー・メディアワークス
  • 発売日: 2013/01/10





(2013年感想5冊目)

藤原祐 著 kaya8 イラスト

おすすめ度★★★★☆(非常に完成度の高いシリーズだと思います。)


「それでも私たちは、愛されてた。私は、愛されて生まれてきたんですって」(p112)


藤原祐さんの「煉獄姫」最終巻です。
最終巻なので、思わず購入して読書してしまいました。

完全体になったユヴィオールを前に、打つ手などないように思えたフォグたちでしたが……、レキュリィの宴で、とあるものを見つけ、反撃に出ます。

終わりましたねー。藤原さんは初めて追いかけた作家でしたが、まずは、思ったよりずっと勧善懲悪で、ハッピーエンドだったなあという印象。もちろん敵にも味方にも死人は出ますが、それにしたってハッピーエンドかなと思います。
総評して、非常に完成度の高い、計算されたシリーズかなあと思いました。面白かったです。藤原さんの作品はちょっと古いけど、その分色あせないものがあるかなあと思います。

ただ、最終巻のほとんどが各人の戦いの様子で占められ、ひとりひとり割とあっけなく死んでいくから、そこはどうにかならなかったものかと。
あと、ユヴィオールは蓋を開けたら結構というかやっぱり小物だったなあという印象。もっと張り合いのあるラスボスかと思ったのですが、残念です。
ティ・キもあんまり出番なく死んじゃったし、ニーナも……。レキュリィなんて、今回は活躍まるでなかったですしね。そこは残念。
そのあたりのあっけなさはやっぱりラノベらしいのかなあ、と思います。

ただ、幸せな感じが伝わってくるラストはよかった。個人的にはリチャードとイオのその後とか、イオとデーンさんのその後とか、キリエとアルトのお話とか、もっと読んでみたいかなあと思いました。余韻のあるラストでした。短編集とか読みたいですが、それはなんというか別のジャンルの小説になってしまいそうなので、まあいいかなあ。

とにかく、総評していい作品でした。さかのぼって他の作品も読んでみようかなあと思います。おすすめのシリーズです。


思い出のとき修理します(谷瑞恵)

思い出のとき修理します (集英社文庫)
思い出のとき修理します (集英社文庫)
  • 発売元: 集英社
  • 発売日: 2012/09/20



(2013年感想4冊目)

谷瑞恵 著 

おすすめ度★★★★☆(4・5位。一粒で何度も美味しい、優しい短編集です。)


「思い出って、修理できるものなのかな」
そういう看板を掲げている時計屋さんが、物思うようにつぶやいた。(p132)



「伯爵と妖精」シリーズで有名な谷瑞恵さんの、初の一般小説ということらしいです。
仕事と恋に疲れた女性、仁科明里(にしな あかり)は、祖父母と過ごした思い出の商店街に引っ越して来ました。そこには、「思い出の時 修理します」と看板を掲げた時計屋さんや、神社などがあり……。
明里は時計屋さんの飯田秀司や神社の親戚、太一と共に、商店街でちょっと不思議な出来事に巻き込まれて行きます。

軽いミステリーとしても読めるし、少女小説として読んでも美味しいし、ファンタジーといった趣もある一冊。どう読むかによって、その人の趣味が出そうです。
谷瑞恵さんの著作は初めて読みましたが、終始漂う優しくて不思議な雰囲気にすぐに引き込まれてしまいました。読みやすかったです。
主人公も時計屋さんも、28歳なので、少女小説として読むにはちょっと苦しいかもしれませんが、なんといってもこの時計屋さんが素敵! すごく紳士で、優しくて、でもちょっと強引で、でも諦めずに待ってくれる……。この時計屋さんは、多くの女性の理想をかたどった存在なのではないかしらと思います。
太一もいいですね。彼の正体はもしかして?? うーん、この小説一番のファンタジーは太一かもしれません。

とにかく、なんともこの本の世界に浸っていたい気持ちにさせます。
わたしは時計をする習慣はないのですが、時計をしている人にはさらに面白い短編集になるかも。
どれもちょっと不思議な、いいお話でしたが、わたしは「茜色のワンピース」と最後の二篇が良かったかな。

時計屋さんと明里が過去から立ち直っていくお話が主題のように思うので、続編はないかなあとも思うのですが、もし可能ならば太一のこととかも含め、もうちょっとこの商店街を覗いてみたいなって思いました。

なんだか、非常にノスタルジックな気分にさせてくれる小説です。こういうのいいなあ。表紙の時計屋さんも素敵です。何かあたたかい気持ちになりたい時に、おすすめの一冊です。

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