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2013-02

魔道師の月(乾石智子)

魔道師の月
魔道師の月
  • 発売元: 東京創元社
  • 発売日: 2012/04/21



(2013年感想17冊目)


乾石智子 著  羽住都 表紙絵

おすすめ度★★★★★(面白かった! この世界観でまた読めることが嬉しい!)


「あれは闇、太古の闇、我らの血にさえまじっている、逃れられない運命の闇だ」(p147)


著者の作品、「夜の写本師」を読み終わったあとから、この世界観でもっと物語が読みたいと強く思った。その願いに、期待以上の形で答えてくれたのが、この本、「魔道師の月」であります。
続編というか、「夜の写本師」の約千年前の物語。
「夜の写本師」にも登場した、キアルスと、大地の魔術師レイサンダーの物語です。
この、兄弟のようによく似た外見をもつ二人の若き魔道士に400年前の出来事が絡み合い、ふたりは太古の闇、<暗樹>に立ち向かいます。

魔術と歌の壮大なる叙事詩といったところ。詩的で、濃厚で骨太です。
表紙は、主要人物だった3人の青年誰にでも取れるのがいいですね。私はキアルスが好きですが、竪琴持ってるから、ティルかな??
キアルスもレイサンダーも魔術師だからもっと堅物かと思ったら、意外と少年らしく気安かった。
そんな二人の魔道師の人生を垣間見れたことが素直に嬉しいのです。

この本は反則だ。読み終わったあと、しばらく、大作を読み終わった充足感でぼーっとしてしまう。感想が出てくるのにも時間がかかった。でも、しばらくするとこの世界観でさらに続きが読みたくなるし、こんな素敵なファンタジーがあるのだと、誰かに教えたくなってしまう本です。
このシリーズでさんざん言及されるように、魔道師とは闇を抱える職業であり、その闇はわれわれ人間の血潮にしっかりと流れている。逃れようはない、どす黒い感情となって。でもこの本は、そんな闇と向き合い、うまく付き合っていく方法を考えさせてくれるような気がします。このダークな世界観がたまらなく好きです。
濃厚な400ページでした。視点がいきなり変わってしまう唐突さはあるのですが、それも前作でなれたからか、気にならず読めました。
複数の時代の因果と運命が絡み合う物語。こんな上等なファンタジーはなかなかないと思います。
おすすめ。というか、これからの日本のファンタジーを語る上で必読といってもいいかもしれない一冊です。ぜひ、読んでみてください。

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おこぼれ姫と円卓の騎士 少年の選択(石田リンネ)

おこぼれ姫と円卓の騎士 少年の選択 (ビーズログ文庫)
おこぼれ姫と円卓の騎士 少年の選択 (ビーズログ文庫)
  • 発売元: エンターブレイン
  • 発売日: 2012/10/15



(2013年感想16冊目)


石田リンネ 著  起家一子 イラスト

おすすめ度★★★★☆(4・5位。面白かった! 最後の展開が美味しいったらない!)

自分には力があって、助けられる人がいる! それの、何が悪い!!(p87)


「おこぼれ姫と円卓の騎士」シリーズの第4弾。
次期女王のレティの従妹の結婚式の帰りに、ソルヴェール国、ノーザルツ国、キルフ帝国の中間に隣接する、グラン山が噴火した。レティはグラン山を抱える隣国ノーザルツ公国に、大規模な支援をしようとするが、何者かの妨害に会い、レティに憧れる少年騎士アストリッドと崖から転落してしまい……??
といったようなお話。

面白かった! ここに来ての進展、ラブ要素が垣間見れたことが予想以上に本当に嬉しかったです!
最初は話が動き出すのがなかなかに遅くて、正直読むスピード上がりませんでしたが、後半になるにつれ一気読みでした。本当、この作者様の成長っぷりが素晴らしいです。

今回は、レティをはじめ、皆の優しさが光った巻でした。レティは、強く男前なだけではなく、女性らしくすごく優しい。やっぱり最強女王様です。アストリッドの優しさ、兄弟たちの優しさも、この巻では胸に来ました。
正直、今までアストリッドの良さがよくわからなかったのですが、この巻で、ああ、レティの影であり光のような存在なんだな、と思いました。まさしく、今回は少年の選択。アストリッド、格好良かったです。

歴代の王たちやクレイグとノーザルツ公もよかったし、本当、なんて魅力的な登場人物ばかりなのでしょう。欲を言えば兄王子たちにもっと活躍して欲しいけれど、兄王子の陰ながらの援助がいらないくらいには、レティは人に恵まれ、成長しているってことなのかもしれませんね。

そして最後にやってきたラブな展開に、全て持ってかれました。最後のセリフ読んだあと、思わずページを戻って読み返してしまいました。
諡の愛人王っていうのはたくさんの愛人に囲まれた、ではなく、ただひとりの愛人(デューク?)しかもたなかったってことなのかな?? という気にもなってきました。
とにかく、伏線もたくさん張られ、今後の展開がますます楽しみです。
本当、このシリーズはおすすめ!読んだことない方は、ぜひ一読してみて欲しいです。

獣の奏者1 闘蛇編(上橋菜穂子)

獣の奏者 I 闘蛇編
獣の奏者 I 闘蛇編
  • 発売元: 講談社
  • 発売日: 2006/11/21



(2013年感想15冊目)


上橋菜穂子 著  浅野隆広 表紙絵
おすすめ度★★★★★(面白かった! 先が気になってたまりません。)


闘蛇はなぜ、あのように在り、人はなぜ、このように在るのだろう。
答えなぞ、ないかもしれないそんな問いが、心の中で疼いていた。そういう問の答えを、見つけたかった。(p226)



上橋菜穂子さんの「獣の奏者シリーズの一作目の感想です。守人シリーズも好きなのですが、こっちも気になり読書しました。アニメにもなりましたね。ちょっとだけ見たことがあります。

獣ノ医術師である母が厳罰に処され死んだ夜から、少女エリンの運命は思いもよらぬ方向へと流れ始めた。エリンは流れ着いた先でジョウンという男に養われ、そこで自然に対する好奇心を育んでいき……。
といったようなお話でしょうか。

とにかく、面白かったです!
終わり方も、こんなところで終わるのか、と先が気になってたまりません。続きの本借りてこなかったことを後悔です。
上橋さんの、読んでいて映像が頭の中に浮かぶ筆致はさすがとしか言い様がありません。そのためかもう本当、ページをめくる手が止まらないのです。これはアニメになるのも頷く本ですね。

エリンの心の成長を静かに優しく描き出す様子が、たまらなくあたたかいです。ジョウンとの交流は、エリンにとってもかけがえのないものとなっていくんだろうなあ。
とにかく、エリンという素敵な少女に出会って、その行き着く先が気になって仕方ありません。
政治も絡みそうな世界の中で、これからエリンがどう生きていくのか、見守って行きたいと思います。

一巻だったからか、エリンの周辺以外の偉い人たちが顔見せ程度の登場だったのが、残念といえば残念かなあ。真王や大公側の人間にも、魅力的な人物が多そうで、今から活躍が楽しみです。

本当、すごく骨太な奥行のある世界観を感じるので、これからの世界の広がりに期待です。
とにかく、面白くて読みやすくて、世界にどっぷり浸れること間違いなしのファンタジーです。これからの長い旅が、むしろ楽しみでなりません。おすすめ。


七王国の玉座4 氷と炎の歌1(ジョージ・R・R・マーティン)




(2013年感想14冊目)


原題 A Song of Ice and Fire1 A Game of Thrones
ジョージ・R・R・マーティン 著 岡部宏之 訳 菅原健 表紙絵

おすすめ度★★★★☆(スターク家はバラバラに…。終幕を感じさせる1冊です。)


「人生は歌ではありませんよ、かわいいお嬢さん。あなたもそれを知って、悲しい思いをすることでしょう」(p31)


「七王国の玉座」4冊目。
国に対する大罪を暴いたエダード。しかし、その事実が、彼を破滅へと導きます。スターク家とラニスター家は対立し、国は血を流そうとしています。一方、デーナリスは……。

この一冊で、物語は大きく動き出します。この巻のネッドは高潔というよりむしろ、不器用な人といった印象。ネッドの行動は全て裏目にでて本当に可愛そうです。
それにしてもこの巻で、スターク家はバラバラになってしまいます。いつか一家がまた一緒にいるところを見たいですが、それはかなわないことなのだろうなあと思ってしまいます。アリアの行方とか、気になることが多すぎて、読んでいて本当にハラハラします。まあ、つまり面白いということですが。

それにしても、視点人物ではないロブが、ここ最近株を上げてきていますね。次の巻で視点人物になるのでしょうか。登場人物が背負うものが重すぎて、読んでいてくらくらします。

まあしかし、容赦のないある意味公正な展開が魅力のこのシリーズですが、ヴァイサリスはこの巻で死ぬのですね。嫌な奴ですが、嫌いではありませんでした。私はラニスター家も好きです。不道徳だけど、人間くさくてそこが魅力的なのですよね。

ジョンのいる北の壁にも不穏な気配がするし、ラストの1冊でどうなるのかが本当に楽しみです。(そうしてちょっと怖くもありますが……)
表紙はケイトリンでしょうか。神々の森を背景にした表紙が神秘的です。
しかし、サンサとアリアといい、ケイトリンとリサといい、姉妹があまり仲良くないのが、妙にリアルだよなあと思ってしまいます。そんな人間関係も魅力的なところかなと思います。

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