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2013-04

タラ・ダンカン2 呪われた禁書(上)(ソフィー・オドゥワン=マミコニアン)

タラ・ダンカン 2 呪われた禁書 (上)
タラ・ダンカン 2 呪われた禁書 (上)
  • 発売元: メディアファクトリー
  • 発売日: 2005/08/03



(2013年感想32冊目)

原題Tara Duncan2 Le Livre interdit
ソフィー・オドゥワン=マミコニアン 著 山本知子 訳 村田蓮爾 表紙絵

おすすめ度★★★★☆(久しぶりに読んだけど面白かったです。)


「こいつ、ぼくを選んだんだ! バリュンヌという名前なんだって! ごめんなさいって言っている。どうしてあんなことをしたかわからないって……。こいつ、ぼくを選んだんだよ!」(p120)


ハリー・ポッターの姉妹作と呼ばれるフレンチ・ファンタジー、タラ・ダンカンシリ-ズの2冊目の翻訳(上巻)
前巻で殺人の容疑をかけられたカル。カルの容疑を晴らすため、タラたち仲間は、奮闘するが……。

といった内容かな。かなり大雑把ですが。今回はカルがかなり窮地に立たされます。

まずなんといっても、表紙のファブリスがイケメンである。このシリーズは登場人物が多くてこんがらがっていたけれど、これでファブリスを認識できました。本編でもファミリアを持つことが出来て、ファブリスはよかったね。
このシリーズはなんといっても、作者の奇想天外とも呼べる想像力が織り成す、別世界の数々の魔法や生き物が魅力的です。ハリー・ポッターよりもこっちのほうが好きだなあ。

展開もびっくりするくらいいろいろなことが一気に起きるので、息をつかせません。めまぐるしいくらいですが、勢いがあって一気に読めました。本当、この作品は濃厚です。訳とかがちょっと違和感あるときありますが。
それにしても煉獄の描写は何度読んでも気持ち悪いですね……、作者様の描写がうまいのでしょうが。別世界、私だったら行きたくないなあと思ってしまいます。

それにしてもこのシリーズ、1巻の時も感じましたが、やっぱりタラをめぐる青春恋物語になっていくんだろうか。
タラとかもうすぐ13歳で、ほかの人の年齢も同じくらいだと思うのに、特にロバンのタラを想う一途な気持ちは、ちょっと心配になってしまうくらい強いですね。青春っていうか、こんな若いうちからこんなドロドロの冒険や恋をしたら、トラウマになってしまいそうです。皆様の恋路と友情が、うまくいきますように。個人的にはこの恋の行く末を見届けるためだけにでも、このシリーズを読みすすめたいです。

それにしても、まあそういうお話なのですが、何でもかんでも魔法で解決してしまうのはちょっとね……、と思う場面も結構あったり。まあ、その魔法の発想が面白いのですが。
下巻も楽しみに読みたいと思います。



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FLESH&BLOOD 5(松岡なつき)

FLESH & BLOOD〈5〉 (キャラ文庫)
FLESH & BLOOD〈5〉 (キャラ文庫)
  • 発売元: 徳間書店
  • 発売日: 2003/06/23



(2013年感想31冊目)


松岡なつき 著 雪舟薫 イラスト

おすすめ度★★★☆☆(3・5くらい。面白いんだけど、痛々しいシーンが多くて……。)


「宮廷なんかに未練はない。カイトを救い出したら、さっさとプリマスに帰ろう」
「ああ、そして、『グローリア号』で海に行くんだ」
「目的地は?」
「どこでもいい。お前とカイトが居れば」(p62)



松岡なつきなさんの「FLESH&BLOOD」5巻目です。
司教殺害の容疑をかけたられた海斗……! 無実の証拠を示さなければ、監獄に送られ拷問にかけられてしまう…! 海斗を救うため、ジェフリーとナイジェルも、策を尽くすが……。一体どうなるロンドン編……!

といったようなお話です。

いやー、前巻の終わり方が生殺しなので、一気に読んでしまいました。
でも、途中でなかなか痛々しいシーンが多く、読むスピードは結構難航したり。でも、とっても面白かったです。
何よりこの本はあれです、表紙と口絵がたまらなくいいのですよー!見てくださいこの表紙。格好いい……!
口絵はリンゴの皮剥いてるナイジェルと、その皮で遊ぶブラッキーが可愛くて……。本編が結構辛い内容だったので、この口絵に癒されながら読んでいました。

そうして、この巻ではビセンテはついに名前だけの登場となってしまい、寂しかったです。でもその代わり、和哉がちょっと出てきたり。これは彼の再登場もありそうな感じですね。楽しみです。

最初はジェフリーの魅力があんまりわからなかったけど、海斗に対する真摯さと愛情深さに、気づけば自然と微笑みが浮かびます。でも、私がビセンテ派なのはかわりませんけどね……!
そうしてナイジェルですよ! 口絵でも格好良さ全開だったけれど、海斗の無事を思って祈るシーンと、最後の焼きごてのシーンがたまらなく格好良かったです! やっぱりメイトはいい男です。大好き。

正直、周りが海斗に優しすぎるというか甘すぎるので、若干展開に首をかしげるところもあるのですが、その優しさが心地よく感じてしまいます。
ロンドン編はこれで終わりかな? 思ってたより短かったけど、次がどんな展開になるのか、楽しみです。きっと一筋縄じゃいかないのでしょうね……。

FLESH&BLOOD 4 (松岡なつき)

FLESH&BLOOD〈4〉 (キャラ文庫)
FLESH&BLOOD〈4〉 (キャラ文庫)
  • 発売元: 徳間書店
  • 発売日: 2003/01/23



(2013年感想30冊目)


松岡なつき 著 雪舟薫 イラスト

おすすめ度★★★★☆(4・5くらい。面白かった。次巻も読むしかない!)


「おまえが面白いのは、まだまだ謎の部分がいっぱいあるからだ」
カイトが掠れる声で聞いた。身体に触れられていることで緊張しているのだろう。
「それを……暴きたい?」(p63)



松岡なつきなさんの「FLESH&BLOOD」4巻目です。
女王陛下の思し召しで、ジェフリーやナイジェルとともにロンドンの宮廷に召集されることになった海斗。そこで彼を待ち受ける運命は……!?権謀術数うずまく花のロンドン宮廷編開幕!

いやー、この本は面白かったです!特に最後の最後の展開…! こんなところで切られたら、続きも読むしかない!この4巻は、私の大好きなビセンテからはじまり、ジェフリーと海斗の仲も少しだけ進展し、(そういえばこの本BLだったな,と思い至りました。)最後の最後の展開に持って行かれました。本当に面白かった。
マーロウやシェイクスピアなど、私でも知ってる歴史上の人物が登場して、そういうところもなんだか楽しかったです。

わたしはジェフリーよりビセンテ派なので、ジェフリーと海斗が仲良くなるたびに、ビセンテを思ってちょっと悲しいのですが、ビセンテもいつか報われる日がくると信じてます……!

そうして、ナイジェルの海斗への甘やかしっぷりがすごいですね。最初のころのツンツンしてたのがまだ記憶に新しいため、その遍歴ぶりににやにやと頬が下がらずにはいられません。ビセンテもいいけどナイジェルも好き! メイトは本当いい男です。

しかし、海斗の置かれる立場というものは、本当に、いつもぎりぎりのラインで、危険だらけで、読んでいてハラハラします。
松岡さんは本当にやってくれますね。
このシリーズも長く続いてるけど、やっぱりそれは面白いからで、松岡さんはうまい作家さんだなあって思います。

当時の世界史は全然知識としてない私ですが、そういうのに詳しい方だったら、もっと楽しめるんだろうなあ。もちろん、世界史に詳しくない方でも、面白さは折り紙付きです。

また、雪舟さんの書く挿絵が本当に素晴らしく、この本の魅力の一つです。
本当に面白かったです。おすすめ。


妖精の女王(フェアリー・クイーン)(メリッサ・マール)

妖精の女王 (創元推理文庫)
妖精の女王 (創元推理文庫)
  • 発売元: 東京創元社
  • 発売日: 2009/12/10





(2013年感想29冊目)

原題 Wicked Lovely
メリッサ・マール 著 相山夏奏 訳 羽住都 表紙絵

おすすめ度★★★★☆(妖精が好きな方にはたまらないかも??)


「あなたがアッシュリンを自分のものにすることができなければ、彼女は命を失う。アッシュリンを説得するの。でなければ、みんな終わりよ」(p325)


メリッサ・マールが紡ぎ出す21世紀の妖精譚、Wicked Lovely5部作の第一作目、「妖精の女王」の感想です。
生まれた時から、フェアリーを視ることができる能力を持つ、今時の女子高生アッシュリン(アッシュ)普通の暮らしを送るために、フェアリーなど見えないふりをしてきました。
しかしあるとき、夏の宮廷の妖精の王キーナンが、アッシュリンの高校に転校してきて……? キーナンはアッシュリンを、自分の女王にするというのです。

というあらすじかな。

これは一応、ロマンティック・ファンタジーです。そうして、こういう都市を舞台にしたファンタジーを、アーバン・ファンタジーというらしいですね。

この物語は、古典的な妖精像と、現代の今時の女子高生であるアッシュリンならではの価値観とかそう言ったものが融合して、なかなか魅力的な世界観を紡ぎ出している印象を受けました。なんというか、妖精好きにはたまらない作品だと思います。
アッシュリンのボーイフレンドであるセスの完璧彼氏っぷりがすごいとか、それに対して超美形の妖精王、キーナンは超ヘタレだとか、アッシュリンが一体どっちとくっつくのか楽しみに読めたという点も、ロマンス・ファンタジーとしてはワクワク出来ました。
しかし最後ああなるとは…。アッシュリン、今時の女子高生だなあ。
それにしても、アッシュリン、セス、キーナン、ドニアの紡ぎ出す四角関係が物語の主軸とは! でもこういう関係、嫌いじゃないです。最後はみんななんか幸せそうなので、読んでいて嬉しかったな。

ちなみに私は、完璧彼氏のセスより、欠点だらけのキーナンに魅力を感じます。少数派らしいですけどね。
妖精に対してはなかなか古典的に書かれているので、本格的な妖精ものが読みたい方とかにはとってもいいと思いました。私は妖精が好きなので、このお話すごく楽しめたな。きっと続きも読むでしょう。このお話も、翻訳止まってますが……。
続編はアッシュリンの友人、レスリーのお話らしいですね。
そういえばダークコートの王のイリアルって、この巻では空気だったなあ。続刊のタイトルは「闇の妖精王」だし、イリアルの活躍に期待したいです。

三つの魔法(ジェイン・ヨーレン)

三つの魔法 (ハヤカワ文庫 FT (74))
  • 発売元: 早川書房
  • 発売日: 1985/04/15




(2013年感想28冊目)

ジェイン・ヨーレン 著 宇佐川晶子 訳 めるへんめーかー イラスト

おすすめ度★★★★★(特に歌が素敵。全体的にとてもリリカルでファンタジックで、お気に入りです。)


与えることが海の贈りもの
許すことが海のすべてだから
海はわたしをなぐさめ
わたしのもとへきてくれる
あてどなく漂うの(p45)



現代のアンデルセンと謳われるファンタジー&創作童話作家、ジェイン・ヨーレンの長編メルヘン。
願い事を叶えてくれる三つの銀の魔法のボタンと、海と歌にまつわる物語です。

これはよかった! ハヤカワで出版されているヨーレンの初期作品三作はこれで全部読んだことになるけど、その中でも一番好きかもしれないです。「夢織り女」も好きなんですけどね。
この作品は、海や歌というファンタジックな題材を、なんと魅力的に描いていることだろうと思いました。
4部構成で、大きく分けると二部ずつ一つの大きな物語になっているのですが、最初の2部が海の話、そうして後半の2部が陸と歌の話です。
いや、最初の二部も素敵な歌があふれていて、この話はまさしく歌の物語と言えるかもしれません。
そうして、良き歌のあるところに、良きファンタジーがあるものだと私は思っています。
その意味では、この「三つの魔法」は極上のファンタジーでした。
自然によって魔法が均衡を正すという考え方も面白かったです。

「水晶の涙」でも思いましたが、ヨーレンの海の描き方が秀逸です。もう、うっとりしてしまいます。
なによりこの物語は、本当に歌がいい。そうして、めるへんめーかーさんの挿絵がたまらなく素敵です。
特に嫌な王様が、悪役なのに(悪役だから?)イケメンすぎる。
物語全体のオチは読んでる最中にわかってしまうのですが、まあ、それもファンタジーやメルヘンにとっては普遍的なものという感じで、むしろこの物語をより魅力的に見せています。
セリフの一つ一つも、ファンタジーならではの含蓄に富んでいて、さすがヨーレンだなあと思いました。
本当に、読みやすくてあっさり読めるのですが、そこに漂うのは極上のファンタジーの香りだと思います。ファンタジーに酔いたい方には、お勧めの一冊です。

闇の虹水晶(乾石智子)

闇の虹水晶
闇の虹水晶
  • 発売元: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2012/12/07



(2013年感想27冊目)

乾石智子 著 今市子 表紙絵

おすすめ度★★★★☆(4・5くらい。もうひと押しくらい欲しいけど、乾石智子さんの作品はやっぱりいいです。)


その力、使えばおのれが滅び、使わねば国が滅びよう。
それが、創石師・ナイトゥルにかけられた呪いだった。(p3)



「夜の写本師」でファンタジー界を瞠目させた乾石智子さんの、第4作目にあたる長編です。
今回は出版社は創元ではなく、「写本師」の世界とは別の国を扱っていますが、そこが、この世界はほかの著作の世界と繋がっているのではないか、と思わせるところがあります。それだけでなんて素敵なんでしょう。

一族を皆殺しされた上に祖国を征服され、その征服後の国で飼い殺しにされている創石師(ナイア)、ナイトゥル。
彼は人の感情や病気などを視ることができ、それを石に変えることができますが、あるとき魔女に呪いをかけられます。
そんなナイトゥル、生きるも死ぬも投げやりだったのですが、国で戦乱の影が忍び寄り……。

といったあらすじかな。

やっぱり乾石さんはすごいなあ。好みはあるでしょうが、今まで読んだ本はハズレがありません。どれもびっくり、そうしてうっとりするほどの重厚感と闇や負の気配を感じます。
この「闇の虹水晶」は、出版社が違うからか、今までの作品と比べるとどことなくですが、読みやすくて爽やかというか、明るい気配を感じます。

何より、いつもと同じようなちょっとウジウジしている男主人公なのですが、彼を支えるヒロイン・ドリュティナオ(ドリュー)の存在が魅力的です。彼女の強さが、いつだって救いでした。
そうして今回は、少年たちの友情も光っていました。やっぱり暗い中にもさわやかなものがあって、読後感も良かったです。
私は「写本師」の世界観と闇の描き方が好きだけど、これはこれで十分すぎるほど楽しめます。こっちのほうが好きって人もいるかも。
文章はとても詩的で、含蓄に富んでいます。ああ、これこそがファンタジーだなと思わせてくれる作品を、いつだって乾石さんは書いてくれていて嬉しいです。

乾石さんはその重厚な世界観や筆致の割に刊行ペースが早いですが、クオリティがまったく衰えないのですごいです。
でも、もっともっとゆっくりでいいので、もっとすごいものを書いて欲しい。そう思わせてくれる作家さんであり、作品たちであります。
日本ファンタジー界で、今一番お勧めの作家さんのひとりです。



ようこそ、古城ホテルへ4 ここがあなたの帰る国(紅玉いづき)

ようこそ、古城ホテルへ(4) ここがあなたの帰る国 (角川つばさ文庫)
ようこそ、古城ホテルへ(4) ここがあなたの帰る国 (角川つばさ文庫)
  • 発売元: アスキー・メディアワークス
  • 発売日: 2012/12/15



(2013年感想26冊目)

紅玉いづき 著 村松加奈子 イラスト

おすすめ度★★★★☆(物語は一区切り。でもまだまだ続き、読みたいかな……。)


「ねぇ姫さま。そんなに国が欲しいならね、古城ホテル『マルグリット』を、姫さまのお国にしちゃっていいんだよ」(p193)


子供向けレーベル「角川つばさ文庫」から出ている人気作家の紅玉いづきさんのシリーズもの、「ようこそ古城ホテルへ」の第4巻目。
古城ホテルの4人の女主人である少女たちの、成長と友情の物語です。
今回は亡国の姫君、リ・ルゥがメインのお話。リ・ルゥが古城ホテルの女主人をやめるといいだして!?

正直、リ・ルゥが主役なのがわかった時点で、最初のページをめくる指が重かったです。すごく重いお話なのだということは分かっていたので……。
そうして、やっぱり(児童書にしては)重いお話でした。
それでも、読んでよかったと思ったお話です。4人の過去それぞれに決着がつき、作者様のあとがきにあったように、これで物語も一区切りかなというように感じます。実際、これが最終巻と言われても驚かないというか、むしろ最終巻でもいいというか……。
それくらい、今まで以上に女主人たちの個性や感情が光り、読んでいて満足できる1冊でした。

でも、できることならあと数冊でいいので、続きが読みたいかなあ。無茶は言わないので続編希望です。

それにしても、残念なこともあります。
一つは、このシリーズ、もうちょい長い文章(ラノベレーベル)で読みたかったなああっていうのと(明らかに力押しすぎるというか、もっと細かく描写してほしい場面がたくさんあります。)、児童書にしては言い回しがちょっと難しいところがあるかなあということころです。まあ、最近の子はこれくらい難しいお話でも、読めるのかもしれませんが……。

とにかく、今回は女主人みんなが悲しみに暮れ、堪え、悩んだ1冊。その葛藤があったからこそ、私もキャラクターたちに寄り添えたかなって思います。
面白かったです。
特に、ピィが成長したなあと思った。正直ピィはあまり好きなキャラではないのですが、今回はまあよく成長したなあと、思わず感心しました。セリフとか行動にも嫌なところがなかった。
そう言う意味では、この物語を通じて、登場人物たちは成長したんだなあと感じたことが、一番嬉しかったことかもしれません。
でも、この巻で輝いてたのはサフィール様だと思う。いい保護者っぷりであります。
そんな魅力的な古城ホテルのお話、まだもうちょっとだけ覗いてみたいです。続編がありますように……。


魔道士の掟(1)探求者の誓い(テリー・グッドカインド)




(2013年感想25冊目)

原題 Wizard's First Rule
テリー・グッドカインド 著 佐田千織 訳 羽住都 イラスト

おすすめ度★★★★☆(まだまだ物語は序章。これからの展開に期待です。)


「よし」リチャードは快活にいった。「なんといってもぼくは、“真実の探求者”なんだからな」
(中略)
「どうしてそんなことをいったの?」彼女は迫った。(p89)



なにか長編ファンタジー小説が読みたくなり、手にとったのが本書です。
「真実の剣」と言うシリーズの、第一巻の一番はじめの部分。五分冊目の1冊目です。装画の人が好きなのも、読書の理由だったかも。そう言う意味では、最近(でもないですが)のハヤカワにしては珍しく挿絵も入っていて嬉しいです。

森の案内人の青年、リチャード・サイファー。
彼は父を殺した犯人を探し求めるうちに、カーランという謎の美女を助け出します。カーランはある人物を探しているのだと言います。カーランの手助けをするうちに、リチャードも、世界の命運を決める冒険へと巻き込まれていきます。

まだ長大なシリ-ズの本当に最初の部分なので、何とも言えませんが面白いです。展開が早くて、飽きさせない魅力がありますね。

本書の特徴は、その登場人物の少なさかな。これだけ長いファンタジー小説なのに、登場人物はリチャード、カーラン、リチャードの兄のマイケル、リチャードの友人のゼッドとチェイスと言う5人ほどしか出てきません。これには驚きましたが、その分、ひとりひとりにスポットが当たっている印象があります。
その中でも私が好きなのはカーランです。最初は謎めいたスーパーウーマンなのかと思ったけれど、意外と弱い部分もあって、こう、魅力的にみえます。
自分の素性を明らかにすればリチャードに嫌われると考えるカーランが、もう、いじらしいというか。リチャードはそんなことでは態度を変えないと思うのですが。このふたりの関係の機微にも注目していきたいです。
これからどうお話が展開していくのかも合わせて、先が読めたり読めなかったりするので、楽しみです。
ただ、翻訳が途中で止まっているのが残念。それでも面白ければ、読むのでしょうけどね。

あと、リチャードの周囲だけ、名前がマイケルとかリチャードとかジョージとかなのは若干違和感があります。
いや、リチャードは本当にいい青年なのですが。
なにはともあれ、これからが楽しみなシリーズです。
王道ファンタジーだけど、普通のファンタジーとはちょっと違うかも。
ファンタジー好きの方は、ぜひ読んでみてくださいね。

ブラッドレッドロード 死のエンジェル(下)(モイラ・ヤング)

ブラッドレッドロード 死のエンジェル(下) (ソフトバンク文庫)
ブラッドレッドロード 死のエンジェル(下) (ソフトバンク文庫)
  • 発売元: ソフトバンククリエイティブ
  • 発売日: 2013/02/21



(2013年感想24冊目)

原題 Blood Red Road
モイラ・ヤング 著 三辺律子 訳

おすすめ度★★★★☆(なんか、内容は薄い感じなんですが、好きなお話です。)


トントンがシルバーレイクにやってきたときから、すべてが変わったわ。
もう一度、一からお互いのことを理解しなきゃならないのかもしれないな。
そうかもしれない、あたしは言う。(p260)



イギリスでは人気を博し、リドリー・スコット監督が映画権を獲得している、ダスト・ランドシリ-ズの一作目、「ブラッドレッドロード」の翻訳の下巻です。
双子の兄、ルーを連れ去られた妹のサバ。夏至の日までにルーを助け出さなければ、ルーは生贄にされてしまう……。

といった内容かな。

表紙はルーですね。確かに格好いいです。あんまり出番無いですが……。
上巻の最後でルーをさらった元凶であるヴィガー王を倒したサバ。でも、ルーが危ない……、とまだまだルーを助ける旅を続けます。
悪の元締めが物語の半ばで死んで、これからどうなるんだろう? と思ったら、なかなか波乱万丈な旅路だった。
正直、お話としてはよくある話なのですが、それでも熱いものがあります。強くて(強すぎて?)タフでハードボイルドな主人公のサバ。旅を通して、恋に友情にと学んでいきます。
特にヒーローのジャックが格好よくて、脇役の個性も光る一冊でした。三部作が予定されていて、現在向こうでは二部作目まで出ているようですが、続編の翻訳をぜひ待ちたいです。

もう、本当にジャックが格好良くて……。こういう男子、好きだなあ。
お互いに激しく求め合いながらも、それ以上に大事なことのために、最後では離れ離れになるふたり。
ジャックの熱烈なアピールに対して、困惑しつつもつんつん跳ね返し、最後には素直になるサバの姿が良かったです。
続編では再会もあるようなので、今後の二人の関係に期待です。

あとは、せっかくのディストピア小説なのに、世界観の描写がかなり薄味なのがちょっともったいないかなあと思いました。でも、ちゃんとこれはSFだってわかるし、煩雑な世界説明がなかったぶん、物語には入り込めたので、これはこれでいいのかもしれないですが。
ただ、日本では売れそうにない小説かなあと思う。私は好きなんだけど、消費され尽くした感のある展開と物語って感じです。翻訳物は売れないと続きでないし、辛いですね。
ぜひ続編の刊行も望みます。
文体は独特ですが、慣れれば軽く読めて面白いので、何かそういう気分の時にお勧めの一冊かな。最初はちょっと殺伐としていますが、そこもまたディストピアらしいでしょうね。私は好きです。

ブラッドレッドロード 死のエンジェル(上) (モイラ・ヤング)

ブラッドレッドロード 死のエンジェル(上) (ソフトバンク文庫)
ブラッドレッドロード 死のエンジェル(上) (ソフトバンク文庫)
  • 発売元: ソフトバンククリエイティブ
  • 発売日: 2013/02/21



(2013年感想23冊目)

原題 Blood Red Road
モイラ・ヤング 著 三辺律子 訳 toi8 表紙絵

おすすめ度★★★★☆(独特の文体に慣れたらさくっと読めて面白いです。)


ぜったいに見つける。どこへ連れていかれようと、ぜったいにあたしがルーを見つけるから。(p67)


さらわれた双子の兄を助けに行く双子の妹の物語。
この、王道だけどちょっとひねったあらすじに心惹かれて、店頭で衝動買いしたのが本書です。
表紙や、リドリー・スコット監督で映画化が決まっているという帯も、購入のきっかけだったかも。

冬至の日に生まれた双子、ルーとサバ。18歳のとき、ルーが何者かにさらわれてしまいます。サバは、妹のエミとともに、ルーを救けに行くと約束しますが……。

といったような導入部です。

この話、限りなくファンタジーに近いSFとなっています。今の私たちの文明が滅んだ、未来の時代のお話ということになっています。ルイ14世とか、名前ができてきます。でも、主人公のサバが人のいない砂漠で暮らしていたから、世界観の描写などはかなり薄いですが。まあ、読みやすいので、これはこれでいいのかなあと思います。
文体も独特です。具体的には、会話文に鍵カッコがなく、全編ヒロイン視点で語られます。でも、この文体も少し読めば気にならなくなります。
最初の導入部分は、サバがあんなに崇拝している兄のルーの良さとかわからないし、兄と違って、サバは妹のエミを嫌っているので、読んでいて殺伐としていて、おもしろさも疑うのですが、徐々にサバもエミも成長していき、二人の関係に変化が見られるあたりから、一気に面白くなります。個人的には、250ページ一気読みしました。少女たちの成長と交流が素敵な、女性らしいSFですね。

まあ、ヒロインのサバがなんであんなにつよいのかいまいちわからないとか、色々ツッコミどころがあるのですが、これはなかなか面白いSFだと思いました。
下巻はもちろん、続編もあるようなので読んでみたいな。

個人的には、ルーよりジャックが好きです。格好いい。あと、エミはいい子。
とにかく慣れれば引き込まれるお話の展開で、一気に読めます。 
後編はルーを探しに行く物語がメインになるのかな? 楽しみに読みたいと思います。


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