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2014-12

ビバ! ドラゴン―ファンタジイ傑作集2(チェスタートン他)

ビバ!ドラゴン―ファンタジイ傑作集2 (ハヤカワ文庫 FT 28)ビバ!ドラゴン―ファンタジイ傑作集2 (ハヤカワ文庫 FT 28)
(1981/01/31)
G.K.チェスタートン

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(2014年読書感想62冊目)


チェスタートン 他 著 佐藤高子 渡辺南都子 訳 天野喜孝 イラスト  
おすすめ度★★★✩☆(興味深い部分も多かったけど、お話としては普通かな)


「だが」と魔術師はいい、きゅうに真顔になった。「あれが妃殿下を愛しているかどうかは、わしにはよくわからぬ」
「ああ!」姫は、感きわまったような声をあげた。「それだからこそ、わたくしはかれを愛するのだ!」(p171)

―魔術師とヘルミオネ姫の会話 「コンラッドと竜」よりー


ハヤカワ文庫FTの初期の傑作選で、ドラゴンをテーマにしたアンソロジーです。
ドラゴンというと、西洋では邪悪の象徴であり、そういったものがどうやって描かれるのか、楽しみに読みました。
邪悪で、ドラゴンということで想像される悲惨な結末とは打って変わって、この本で描かれるドラゴンは、非常にコミカルです。
そのため、非常に軽い気持ちで読むことができます。ドラゴンというより、むしろドラゴンを退治したあとに与えられる美しいお姫様という褒賞の方が重点を置かれている感じで、そこは非常に興味深かったのですが、その分ドラゴンに対する敬意のようなものは感じられず、ドラゴン好きの方は物足りないかもしれません。

正直、収録されてるお話も今一歩なものが多く、編まれた意味がイマイチわからないアンソロジーです。
それでも、ドラゴンやお姫様について研究する資料としては、とてもいいものだと感じました。
わたしはオズの魔法使いでも有名な、ボームの「ムラサキ・ドラゴン」シリーズがお気に入りです。最後のコンラッドと竜は、少し対象年齢が高めな感じのおはなしかな。

ドラゴンがお好きな方にというより、お姫様がお好きな方にお勧めの一冊かもしれません。
個人的にはなんとももやもやが残る、少し残念な一冊でした。

以下に収録作品を記しておきます。

「王さまの首の不思議な冒険」L・フランク・ボーム
「ムラサキ・ドラゴン退治」L。フランク・ボーム
「最後のドラゴン」E・ネズビット
「竜とカクレンボ」G・K・チェスタートン
「ドラゴンの執念」ロバート・ブロック
「コンラッドと竜」L・P・ハートリィ


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アンヌウヴンの貴公子 (マビノギオン物語1) (エヴァンジェリン・ウォルトン)

アンヌウヴンの貴公子 (マビノギオン物語1) (創元推理文庫)アンヌウヴンの貴公子 (マビノギオン物語1) (創元推理文庫)
(2014/02/13)
エヴァンジェリン・ウォルトン

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(2014年読書感想61冊目)


原題 Prince of Annwn
エヴァンジェリン・ウォルトン 著 田村美佐子 訳 牧野鈴子 表紙絵  
おすすめ度★★★★☆(面白かったです。神話物語が好きな方はぜひ。)


「(前略)ほんのちいさなことばかりでしょう。ですがそうしたささいなものこそ、やがて偉大なものを生み出す源となるのです」(p209)
―フリアノンの台詞ー


ウェールズ地方の神話を集めたマギノギオンを、幻想文学賞で功労賞をもらったエヴァンジェリン・ウォルトンが読みやすく書き直したもの。マビノギは4枝からなっていますが、その第1枝です。
ダヴェドの大公プウィスが冥界アンヌウヴンの王であるアラウンのために東の王ハウガンと戦うことになる「冥界への道ゆき」、プウィスが愛するフリアノンを妻に迎えるために奮闘する「小鳥のフリアノン」の2部構成、プウィスを主役にした据えた物語です。

なかなか読み始めるのに時間がかかった本だったけれど、読み始めたら面白かったです。
マビノギが未読ですが、この本を読んだだけでマビノギを読んだような気分になれます。神話物の翻訳は古くて難しいものが多いから、むしろこういった本を読んだほうが読みやすいかもしれません。
最初はプウィスにあまり感情移入できなかったけれど、高潔で男気に溢れ、また感情的でありながら良き君主であろうとするプウィスは、非常に神話的な登場人物で、読み進めるうちに好感が持てました。
ヒロインのフリアノンも、意志の強い女性であり、女神たるその姿は本当に美しい。
また、物語の鍵を握り、物語を深く含蓄あるものにしているドルイドたちの存在も、とても興味深かったです。ドルイドたちの思想とその対立は、読んでいてどことなく「アヴァロンの霧」を思い起こさせました。「アヴァロンの霧」がお好きな方なら、読んだら面白いのではないかと思います。
わたしはマビノギはほとんど未読なので、この本を楽しく読むことができましたが、マビノギを読んだことある方がどういう意見を持つかも興味深いです。

何はともあれ、神話がお好きな方なら、読んで面白い本だと思います。
美しい文章、奥深い世界観、神話らしい登場人物。わたしはとっても面白く読めました。
お勧めの一冊です。

ユニコーン―ジョルジュ・サンドの遺言(原田マハ)

ユニコーン―ジョルジュ・サンドの遺言ユニコーン―ジョルジュ・サンドの遺言
(2013/09/26)
原田 マハ

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(2014年読書感想60冊目)


原田マハ 著  
おすすめ度★★★★☆(4・5くらい。美しく不思議な物語です)

さようなら、ジョルジュ・サンド。あなたの名は、永遠に、人々の胸に刻み込まれるだろう。どれほど長い時を経ても、色あせることなく。
そう、まるでーー
まるで、あのタピスリーのように。あのタピスリーの中で、永遠に息づく、貴婦人と一角獣のように。(p38)

―エドモン・デュ・ソムラームの祈りー


人気作家で芸術にも詳しい原田マハさんが、2013年に行われた「貴婦人と一角獣展」にあわせて執筆された、史実に基づくフックションが本書です。
内容としては一時間くらいで読み終わってしまう内容ですが、とにかく、美しく不思議な物語で、ジョルジュ・サンドとともに夢を見ているような錯覚を引き起こします。短いながら、力強い。そんな物語です。

この本を読むと、「貴婦人と一角獣展」に、迷ってないで行っておけば良かったなと思います。もう二度と日本には来ることがないでしょうから。
でも、この本を読んでいると、行けなかった展示に、行った気分になれる。そんな本です。
展示と合わせて読むことができた人には、きっと得がたい読書体験になったのだろうなと思います。本当に、惜しいことをしました。

本の内容自体は、作家であるジョルジュ・サンドと、貴婦人と一角獣のタピスリーの出会いといったもので、それを美しく、幻想的に描いています。さすが原田さんといった筆致で書かれた物語は、短いながら魅力に溢れ、引き込まれるように読んでしまいました。女性の描き方がうまいのですよね。
この本を読んで、ジョルジュ・サンドという女流作家にも、興味が湧きました。聞いた話では続編も用意されているかも知れないとのこと。この本はそれならまさしく序章といった内容で、謎だらけなので、続編が出るならぜひ読みたいです。(謎めいた雰囲気がこの本のいいところなのですが)

読みやすいし、この本に興味のある方なら、どんな方にもおすすめできる一冊だと思います。映像が目に浮かぶような物語で、本当に素敵でした。

恋せよレディ! もふもふの城は大騒ぎ 妖精国の恋人(山本瑤)

恋せよレディ! もふもふの城は大騒ぎ 妖精国の恋人 (コバルト文庫)恋せよレディ! もふもふの城は大騒ぎ 妖精国の恋人 (コバルト文庫)
(2014/06/03)
山本 瑤

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(2014年読書感想59冊目)


山本瑤 著  起家一子 イラスト
おすすめ度★★★★☆(面白かった! でも続きはでなさそう?)

「わたし、あなたを食べてしまうかもしれない」(p29)
ーケイトリンの台詞ー

少女小説家の山本瑤さんの描く、もふもふでキュートな妖精ファンタジー第3弾。
続編が出たら嬉しいなあと思っていたけど、まさか本当に続編が出るとは思いませんでした。
妖精の住まう領地であるネイヴァロンで、ロウランドの第二王子エリスと幸せな日々を過ごすケイトリン。しかし彼女のリャナンシーとしての性質が目覚め始めてしまい、そんな時、王都から客人が来る事になって??

というお話かな。
タイトルが結構すごいことになってるけど、中身は普通の落ち着いた小説でした。
読むまでに時間がかかってしまったけれど、読み始めると、「このお話好きだな」と改めて思わされる内容となっています。
もふもふで、可愛くて、あたたかくて、何よりもしっかりとした妖精の物語という感じが好印象です。
ケイトリンは明るくて可愛いし、エリスはクールだけど溺愛で、そんな二人の奏でる物語が、絶妙にいい感じなのですよね。脇役ひとりひとりに至るまで、個性が光っています。

ただ、キャラはいいのだけど、ストーリーはちょっとパッとしなかったかな。後半は駆け足になってしまったし、事件らしい事件が起こるのも、結構後半で、どちらかというと作者様は、ケイトリンとエリスの幸せな日常を書きたいのかなあと思ってしまいます。
でも、さすがベテランだけあってうまい作者様なので、読み始めたら一気に読ませてくれます。文章も美しく、お菓子や料理の描写がふんだんに出てきて、まさに今のコバルト文庫! って感じの一冊になっています。
個人的にはこれからも続いて欲しいシリーズですが、なかなか難しいだろうなというのが正直な感想です。
もっとキャラクターのこととか、いろいろ知りたいので、続刊が出ればいいなあと思っています!
やたらと細かったメイドさんの描写や説明がとても印象に残っている本でした。

ノーブルチルドレンの告別(綾崎隼)

ノーブルチルドレンの告別 (メディアワークス文庫 あ 3-6)ノーブルチルドレンの告別 (メディアワークス文庫 あ 3-6)
(2011/08/25)
綾崎 隼

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(2014年読書感想58冊目)

綾崎隼 著  ワカマツカオリ イラスト
おすすめ度★★★★☆(面白かった! ラノベなんだけどラノベとは一線を画す感じ。)

「……だとしたら、そいつは困ったな」

喜怒哀楽のすべてを排除した眼差しのまま、
「ここは何処までも、俺の望んだ未来じゃない」
棘のない声で、麗羅はそう呟いた。(p110)

ー琴弾麗羅の独白ー

綾崎隼さんの描く現代版ロミオとジュリエット、「ノーブルチルドレンシリーズ」の第二弾、「ノーブルチルドレンの告別」の感想です。
今回は私のお気に入りキャラである、麗羅くんがメインの一冊です。そこに吐季の過去や生い立ちなどが絡み、まさしく激動と哀切の一冊になっています。
1巻を読んだときは、「悪く言えば普通のラノベっぽい」という印象だったのですが、この巻あたりから、ラノベはラノベなんだけど、ちょっと違うものになってきた印象です。つまり面白かったです。

綾崎さんの本は、なんとも紡がれる想いが痛くて、切なくて、でもとても愛おしくて。そういったものを感じます。青春というべきなのでしょうか。私にもこんな時代があったかもしれないな、と思うのですよね。

最初はちょっと苦手だった緑葉や、つかみどころがなかった吐季といった主人公たちが、たまらなく愛おしく思えた一冊でした。なんで続きを借りてこなかったのだろうと、読後にとても後悔しました。麗羅の告別を受けて、吐季がどのようになってしまうのか、気になって仕方ありません。
様々な些細な出来事で、当たり前の日常はその表情を変えてしまう。当たり前の日常の尊さ、愛おしさなどを感じてしまいます。この物語は、痛いけれどたまらなく愛おしい。そんな物語です。
4人の高貴なこどもたちが、どのような未来を掴むのか、見届けたいと思います。
次は歩夢が主役の「断罪」になります。歩夢は地味だけど、すごく好きなキャラクターなので、続きを読むのが楽しみです。
また、イラストを担当するワカマツカオリさんのイラストがとても魅力的です。物語の魅力もましているようで、いつまでも眺めていたいと思わせる、そんな一冊になっています。

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