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2015-02

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パラディスの秘録 死せるものの書(タニス・リー)

死せる者の書 (創元推理文庫)死せる者の書 (創元推理文庫)
(2014/08/21)
タニス・リー

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(2015年読書感想12冊目)


タニス・リー 著 市田泉 訳 阿波村奈央 
おすすめ度★★★✩✩(悪くないんだけど、フィーリングに左右される本)


月は仮面。空を渡り、人々を見下ろす何かがその背後に隠れている。一体何が隠れているのか?
―「月は仮面」よりー


死者の都パラディスで紡がれる、モノクロの愛と死の短編集


タニス・リーの創作した、パリをモデルとした都パラディスにまた戻って来れるとは思いませんでした。
死と妖美な退廃の香り漂うパラディスにあっては、この本に収められている8つの物語など、あるいは日常茶飯事なのかもしれません。
どの物語も、狂おしいほどの愛の末に、死を見出し、死に魅入られる物語だったと思います。しかもこの本で描かれる死とは美しいものでも醜いものでもなく、平凡なもの。そのような印象を受けました。(つまり、十人並みの容姿の相手に焦がれて身を滅ぼす者が多数ということ)

正直、この本を読み終わるのにだいぶ時間がかかってしまいました。
死を題材にした短編集だけあって、どこか陰鬱で重々しい冬の夜のような物語ばかりでした。そういう雰囲気がお好きな方には、とてもいい短編集だと思います。ある意味では、非常にタニス・リーらしい短編集ですね。

でも、いかんせん登場人物に感情移入しにくいところがあったりします。短編集だからある程度仕方ないのかも。
でも、パラディスの墓地の様子がよくわかるのは、とても面白かったです。
個人的には、どのお話にもそのお話なりの良さがあって、どれが一番とかは決められませんでした。
不思議な都パラディスの中でこそ許される物語。
やはり我々はリーの目を通して、パラディスを視ているのかもしれません。
このシリーズを読むたびに、そう思わずにはいられません。
この都に住みたくはないけど、この都の存在を忘れないようにしたい。
読んでいると、そんなことを考える短編集です。



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鉱石倶楽部(長野まゆみ)

鉱石倶楽部 (MOE BOOKS)鉱石倶楽部 (MOE BOOKS)
(1994/02)
長野 まゆみ

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(2015年読書感想11冊目)

長野まゆみ 著 イラスト 
おすすめ度★★★★★(これは文庫でいいので手元に置いておきたい。素敵な短編集です)


つまり、南魚がアフロディテの化身だからというわけだね
そう、蕾は少年の心臓
なるほど、ちょっと意味深(p50)

―「寝台特急」より。少年たちの会話ー


鉱石をお菓子に見立てた、長野まゆみらしさ満載の幻想世界短編集


久しぶりに長野まゆみさんの幻想的な世界に戻ってきました。
一時期とても疎遠だったのに、またページを開くと、やっぱりいいなあと思えるような普遍的な魅力が、長野まゆみさんの著作にはありますよね。
昔友人が、長野まゆみさんの本の中ではこれが一等好きだと話していたのを思い出し、また私も鉱石に興味が出てきたので、図書館で取り寄せて読書しました。

最初の短編から、中に収録されている18の掌編、そうして鉱石の図鑑に至るまで、長野まゆみらしさ全開の一冊となっています。
特に鉱石をお酒やお菓子、食べ物に見立てているという発想が素敵すぎて、本当にキュンとしてしまいました。私も夜間学部の生徒になって、ゾロ博士の授業を受けてみたいものです。

しかし、長野まゆみさんのセンスには、本当に感嘆してしまいます。
発想、文字遣い、ブレない信念のようなもの。趣味ですが小説を書く私としては、見習いたいところばかりです。
鉱石を綴るなら、カタカナではなくてやはり漢字! と強く思ってしまいます。そんなこだわりも、ながのまゆみさんから頂いたものでした。

出てくるどの鉱石も本当に美味しそうで、どれがいいかなんて甲乙つけられないくらいです。
文庫でいいので、いつか購入して、気が向いた時に眺めて、そうして心の栄養にしたいなと思うような、そんな素敵な一冊です。
鉱石、理科室、学校、少年、美味しそうな食べ物など、長野まゆみ的キーワードのどれか一つでもお好きな方にぜひおすすめしたい一冊です。

ハーフ・バッド ネイサン・バーンと悪の血脈(上)(サリー・グリーン)

ハーフ・バッド―ネイサン・バーンと悪の血脈 (上)ハーフ・バッド―ネイサン・バーンと悪の血脈 (上)
(2015/01/23)
サリー グリーン

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(2015年読書感想10冊目)

サリー・グリーン 著 田辺千幸 訳 pomodorosa 表紙絵  
おすすめ度★★★★★(ハリー・ポッターの100倍くらい面白いと思う! 読めてよかったです)


秘訣は気にしないことだ。痛みを気にしないこと。すべてを気にしないことだ。(p15)
―ネイサンの信条ー


強力な善悪両方の血を引く魔使いの少年ネイサンの人生をたどる、瑞々しくもダークなファンタジー


「ハーフ・バッド ネイサン・バーンと悪の血脈」
表紙はちょっとラノベみたいだし、タイトルはなんだか厨二病っぽい雰囲気がするし、高いし……、なんてもし思っている方がいたら、そんな理由でこの本を遠ざけるのは勿体のないことだと断言できます。
私は読書前は上記のようにこの本のことを思っていたのですが、何故だかある日とても気になってやまなくなってしまい、気づいたらお金を握り締めて本屋で上下巻を買っていました。
善の魔法使いである白の魔使いと、悪の魔法使いである黒の魔使いが、一般の人間(フェイン)に紛れて暮らしている現代ロンドン。黒の魔使いの中でも最強と言われる恐ろしいマーカスと、強い力を持った白の魔使いである母親の間に生まれた「半コード」のネイサン。
マーカスに殺された母親の夫の家でその子供達と暮らすネイサンは、決して口に出さないが、今でも、いつか父さんが自分を迎えに来てくれると信じている……。

現代ロンドンに隠れて魔法使いが暮らすという設定や、強力な悪の魔法使いの存在など、どこかハリー・ポッターを思い起こさせる設定ですが、ハリー・ポッターよりも100倍はダークで、1000倍は面白いと感じました。ページをめくる手が止まらない!
最初は、檻に入れられて過ごすネイサンの様子を、そのあとは、なぜネイサンが檻に入れられてしまったのかを描く少年期を主に描いています。
全体的に暗い心情や風景の描写が続くのですが、ネイサンの目から語られる、リアルな少年らしい感性が瑞々しく、ハッとさせられてしまいます。文章も読みやすいです。パトリック・ネスに似てるとのレビューがあるそうですが、「混沌の叫び」よりはむしろ「怪物はささやく」に近い雰囲気だと感じました。
ネイサンの目を通してみる世界はセピア色のようだけど、同時に少年らしい輝きや感情に満ちていて、本当に引き込まれました。

ネイサンの周りの登場人物たちもなかなか個性的で魅力的。ネイサンの家族、デボラとアランの優しさに、私もネイサンと一緒に救われていました。
珍しいのが、この物語、時々2人称で進行していくことです。この2人称は、もしかして?? などと想像を巡らせてドキドキワクワクしてしまいます。
痛々しい場面も多く、全体的にダークなのですが、とにかくそれだけじゃない輝きを秘めているファンタジー小説で、読めたことを感謝したくなってしまうような、魅力的な物語です。
ネイサンは一体どうなってしまうのか??
今年の春か夏には続刊が出るようなので、とても楽しみです。今こうして書いてる間も、下巻を読みたくて仕方ありません。
おすすめの一冊です。ぜひ読んでみてください。



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