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2015-04

王子二人―アルスラーン戦記〈2〉(田中芳樹)

王子二人―アルスラーン戦記〈2〉 (光文社文庫)王子二人―アルスラーン戦記〈2〉 (光文社文庫)
(2012/08/08)
田中 芳樹

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(2015年読書感想24冊目)

田中芳樹 著   山田章博 表紙絵
おすすめ度★★★★✩(4・5くらい。血腥いけど相変わらず面白いです!)


「……えらいことになったなあ」(p135)
―ナルサスの言葉―


様々な秘密を予感させる、分裂と再会がドキドキのファンタジー小説


様々な人気シリーズを世に投げかけた、田中芳樹さんの重厚な異世界ファンタジー小説、アルスラーン戦記の二巻の感想です。
今ちょうどアニメになっていて、アルスラーン戦記は話題になり、脚光を浴びていますね。
やたら文中で「ござる」みたいな口調を使うのが気になるけれど、本当に今読んでも、(少なくともこの巻まで読んだ限りでは色褪せない名作です。
まず何より、「王子二人」というタイトルが素晴らしいと思います。
様々な因縁、やイマジネーションを感じさせ働かせる、本当に素敵なタイトルだと思います。
そのふたりの王子、アルスラーンと銀仮面のヒルメスに、どういった秘密と因縁と業があるのか、特にアルスラーンの出生の秘密等に関しては、本当にドキドキして、先が気になってしまいます。

あまりにもバタバタと人が死んだり、なかなかに残酷な描写や言動が続いたり、重厚な戦記ものファンタジー小説だなあと思う反面、ちょっと辟易してしまうのですが、それでも面白さは一級品。

特にこの二巻目をむかえ、新しい仲間、アルフリードやキシュワートをむかえ、また海外に視野を向け始めた物語展開に、世界の広がりが見えるようで、本当にドキドキして、面白いなと思います。

しかしアルスラーン戦記と言いつつ、完全に主役のアルスラーンを(本人の意思に反して)食べてしまっているようなナルサスの存在感はすごいですね。
ベタだと言われるかもしれないですが、そのベタな登場人物たちを(ひねくれものでありキャラの意思に反して)素直に読み手は好きになれてしまう。そんなところも素晴らしい、良質なファンタジー小説だと思います。
登場人物が思わぬ分裂と再会を経て、いよいよ魅力を増しているように思えるこのアルスラーン戦記の二巻。次回は海外遠征でもするのでしょうか。アルスラーンの成長と行く末、待ち受ける彼も知らぬ秘密など、続きが本当に気になります。おすすめのシリーズです。

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裸足と徒手の夜明け(上) ArcheAge もみの木と鷹4(ジョン・ミンヒ)

裸足と徒手の夜明け(上) ArcheAge もみの木と鷹4 (ゲームオン)裸足と徒手の夜明け(上) ArcheAge もみの木と鷹4 (ゲームオン)
(2013/07/26)
ジョン・ミンヒ

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(2015年読書感想23冊目)

ジョン・ミンヒ 著  田端かや 訳
おすすめ度★★★★✩(あまり期待してなかったのですが、面白かったです!)


「勝利して帰って来い。ポリティモス」(位置NO241)
―ローアンドロス王の言葉―


戦の臨場感や息遣いを感じる重厚でシリアスなファンタジー小説


日本ではオンラインゲーム「テイルズウィーバー」の原作、ルーンの子供たちの著者として知られるジョン・ミンヒの、別のオンラインゲーム、「アーキエイジ」の、電子書籍限定配信の原作小説。
どちらかというと、暗く重厚な世界観の異世界ファンタジー小説もので、暗く重たい、夜明け前のようなストーリィが展開していきます。
前作、「雪の鳥」で師匠をかばい、自らの出生の秘密を明かしたジンは、ポリティモス王子として、宮殿に戻り、弟王子などとともに成長していきます。
儀礼的なものとばかり思っていた初陣を迎えますが、その初陣が……、というお話。

正直、前作の「雪の鳥」が個人的にはイマイチの出来だったので、続編の今作も、あまり期待せずに、どちらかというと気が進まずに読書しました。
でも、この本は、翻訳がイマイチなことを抜かせば、なかなかに面白かったです。
まず、応急で育ったジンと、弟王子の兄弟間の絆に、微笑ましさと同時に安心を覚えます。
作者のミンヒは、兄弟を描かせたらとてもうまい! と思うのですよね。
そうして一気に物語に引き込まれ、後半の砦の防衛戦の臨場感に、やっぱりミンヒはうまい作家だなあと思いました。この重厚感は、日本のファンタジー小説にはなかなかに見られないものだと思います。
重厚な雰囲気、戦の恐怖と混乱、こういったものがこちらにまで伝わるようで、とてもドキドキしました。
ジンが、責任感があって、情も深いところがあり、なかなかに魅力的なのですよね。
でもやっぱり翻訳が気になってしまいます。せめて固有名詞くらいは、統一して欲しいのですが。

巻末の最初の遠征隊の紹介は、アーランゼビアとオロー。
正直、これが楽しみでこのシリーズを読んでいるといっても過言ではありません。やはり魅力的なキャラクターたち。これは最初の遠征隊の中心人物、ジンの出生を描く話なので、ほかのメインキャラクターが小説に出てこないのはさみしいものがあります。
残り一冊ですが、どういうふうな落ちどころに持っていくのか、ちょっと見当がつかず、楽しみです。
気が向いたら、また最後の一冊を読みたいと思います。


ぬすまれた夢(ジョーン・エイキン)

ぬすまれた夢 (くもんの海外児童文学シリーズ)ぬすまれた夢 (くもんの海外児童文学シリーズ)
(1992/09/12)
ジョーン エイキン

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(2015年読書感想22冊目)


ジョーン・エイキン 著 マーガレット・ウォルティー 絵 井辻朱美 訳
おすすめ度★★★★✩(4・5くらい。イラストが素敵な不思議な味わいの童話集)


「ことばとは調味料のようなもの。多すぎるのも、少なすぎるのもこまりもの。おぼえておおき。(後略)」(p159)
―「ことばをひとつ」よりおばあさんの言葉―


なんとも不思議な味わいの、きらめきを隠す9篇の素敵なメルヘン集


エイキンの著作はたまに読みます。
読むたびに、本当に不思議な童話、あるいはファンタジー小説を書く人だなあと思っていました。
この本は、表紙の絵と、井辻さんの翻訳した本が久しぶりに読みたくなったので、図書館で借りて読みましたが、エイキンの不思議な味をした小説の極致という感じで、とても面白く読めました。
9篇の短いメルヘンのようなファンタジー小説が収録されていますが、わたしは特に表題作がお気に入りです。本当、ファンタジーの極みという感じで、宝石のようにキラキラ輝いていました。
エイキンの書くお話は少しうす暗いものも多いので、少し意外でしたが、強く心に残りました。

そして挿絵がまた絶品なのも素晴らしいところ。
繊細だけれども、少し不思議な雰囲気のイラストたちを堪能しました。カラーイラストもあって大満足です。
エイキンのファンタジー小説は、時代も、世界も、バラバラに詰め込まれた、スパイスの効いたお菓子の箱みたいな味わいがあります。そこがまたたまらなくて、ふとした時に手に取ってしまうんですよね。
ちょっと不思議なお話の世界に迷い込みたい方には、おすすめの一冊です。小さい子供への読み聞かせや、夜寝る前に一話づつ読むのにも最適。
また気が向いた時に、エイキンの著作を読みたいなと思わせる、そんな素敵な一冊でした。
おすすめです。

以下に収録作品を挙げておきます。

「虹の最後のかけら」
「ぬすまれた夢」
「鍵のかたちをした葉っぱ」
「さけぶ髪の毛」
「女の子を愛した木」
「探しものーー足をひと組」
「世界一の画家」
「おふろの中のクモ」
「ことばをひとつ」


スパイダーウィック家の謎 1 人間、見るべからず(ホリー・ブラック)

スパイダーウィック家の謎 1 人間、見るべからずスパイダーウィック家の謎 1 人間、見るべからず
(2004/06/26)
ホリー・ブラック

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(2015年読書感想21冊目)

ホリー・ブラック 著 トニー・ディテルリッジ 絵 飯野眞由美 訳
おすすめ度★★★✩✩(イラストは絶品。だけどお話はこれから)


「(前略)妖精の秘密がこんなにたくさん書いてあるのよ。これが全部ほんとのことだったなんて。こんなすごい本、どうしたらいいの?」(p140)―マロリーの言葉―


人間の姉弟妖精たちの物語、ここに開幕! ドキドキの第一巻


わたしはカサンドラ・クレアのシャドウハンターが好きなので、キャシーと仲が良いというホリー・ブラックの著作には前々から興味があって、このスパイダーウィック家のシリーズは妖精を題材にしていることでも気になっていて、図書館で借りて読書しました。
お姉さんのマロリー、双子の兄弟のジャレッドとサイモンという三人姉弟が、ヴィクトリア朝時代の建物である大おばさんのお屋敷に引っ越してきたところから、物語は始まります。
でも、このお屋敷で暮らす様になって、不思議なぉとが立て続けに起こるのです。
姉弟が屋敷を探索すると、一冊の本を見つけて??
みたいなお話です。

最初、この本の主役が誰かわからなかったです。今回ジャレッドになるのかな。
イラストはとにかく本当に絶品で、この本を読んで一気にディテルリッジが大好きになりましたが、お話は微妙かも。
というのも、本当に物語の序章も序章といった感じで、この本自体に大きな物語的起伏はなく、登場人物と舞台の紹介程度に留まってしまっているように感じます。アーサー・スパイダーウィックが残した本のこと、その娘のルシンダ大おばさんのこと、これから明らかになっていくのでしょうか?

でも、きっと子供には楽しいお話だと思います。ちょっと暗く怖い雰囲気のお屋敷で起こる、人間には想像もつかないような不思議ないたずらは、いかにも良き隣人さんたちの仕業といった感じで、本当にワクワクしました。
今回はボガードが話のメインを張る妖精でしたが、次巻以降どんな良きお隣さんに会えるか楽しみです。
妖精というと思い浮かぶ可愛らしいイメージではなくて、なかなかどうして曲者な雰囲気をまとう彼らの様子が楽しみでしかたありません。
これは一冊を分冊したうちの最初の1巻なのではないか? と疑ってしまうくらいには、お話としては普通だったけれど、もっと続きを読みたいと、面白くなりそうだと思えるような、期待できるシリーズです。(ちなみにこの本は分冊などしていないようです)
次の巻の展開を楽しみにしながら、続きも読んでいきたいと思います。
とにかくイラストが絶品です。

パラディスの秘録 狂える者の書(タニス・リー)

狂える者の書 (パラディスの秘録) (創元推理文庫)狂える者の書 (パラディスの秘録) (創元推理文庫)
(2014/09/29)
タニス・リー

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(2015年読書感想20冊目)

タニス・リー 著 市田泉 訳
おすすめ度★★★★✩(面白いんだけれども、精神状態が微妙な時に読むと少しきついです)


「時という偉大で分厚い書物に記してほしいわ。どんなものであれ、真の願いこそ大切なのだと」(p298)
―レオカディアの言葉―

オレンジをイメージカラーに添えた、めくるめく絵画のような狂えるものたちの物語


タニス・リーの代表作と数えられる「パラディスの秘録」の原書刊行順でみる最後の一冊を読みました。今回は今までの多くがそうであったように短編集でなくて、三つの世界が絡み合う長編小説となっています。
狂えるものの書、というだけあって、まるで複雑怪奇な構造の螺旋階段越しからペンギンを見つつオレンジ色のお酒を飲んで酩酊するようなお話でした。でも、このシリーズの中でもっとも深い意味を内包したお話のように思えました。

狂える都パラダイスの中にあって、自分たちは正気を保っていると信じながらも、平然と殺人を繰り返すフェリオンとスマラの美しき双子兄妹
従姉妹に陥れられ、正常でありながら狂人とみなされて精神病院に送られたパラディの女画家、レオカディア。
激しい片恋に破れ発狂し、やはり脳病院に収監されることになるパラディスの若き令嬢、イルド。
この三つの場所と人物たちが絡み合い、一つの織物を編むような、そんなお話です。
正常とは、狂気とはなんなんなのか。美とは、醜とはなんなのか。
相反する二つの存在の意義を巧みに問いかけた、名作と言えると思います。

しかし、狂えるものの書、と題名につくだけあって、殺人や精神病院でのひどい描写などが続きます。
精神状態によっては、引きづられてしまったり、読むのが辛かったりするかもしれません。死者も数多く出ます。
ですが、面白かったです。そしてペンギンがすごい破壊力です。
陰鬱なシーンが続くだけ、最後のエピローグは鮮やかで、心が浄化されていくような感じでした。
正常人の勝利といったところなのでしょうか。ですが、その登場人物が、只中にあって本当に正常だったかなどと、誰がわかるのでしょう。
個人的に、私が愛好して所有している人形と同じ名前のついたフェリオンと、パラダイスの描写が好きでした。フェリオンとスマラがパラダイスを抜け、パラディの美しさに感動するシーンは、わたしも一緒になって感動しました。
章の最初に載っているエピグラフも効果的で、この本をまとまりよくしています。
しかし死せるものの書といい、この本といい、後半二冊はなんだかぼんやりとした夢幻のようにくらくらしてしまう、そんなお話でした。ある意味では、タニス・リーの幻視している世界をともに幻視しているのでしょう。
あと一冊、堕ちたるものの書だけ未読です。
いつかじっくりと読みたいと思います。
なかなかに感慨深い読書体験でした。
万人におすすめはできないけれど、大好きな一冊です。

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