最後の王妃/白州梓 著
。.。・.。*゚+。。.。・.。*゚+。。.。・.。*゚+。。.。・.。*゚+。。.。・.。*゚+。。.。・.。*゚+。。.。・
(2016年読書感想56冊目)
また応援したくなるような少女小説の作者様が一人、増えました。
本屋さんで何となく手に取った一冊ですが、引き込まれるように読んでしまいました。最初から前半にかけて、主人公のルクレツィアがとにかくかわいそうすぎて、彼女が何をしたのか!? と思うくらい不憫なのですが、そんな彼女が様々な境遇に身を置き、自分を見つめ、成長する。その過程が丁寧に素直に描かれていて、最後ルクレツィアが報われるのもよかったです。ヒーロー役のメルヴィンも、登場と登場からの出足が遅れて、ロマンス要素は物足りない物の、魅力的なヒーローだと思えてよかったです。
ロマンス要素は確かに少ないのですが、少女である王妃の成長物語としては、十分すぎるほどに楽しめたし、少女同士の友情などもよかったです。ルクレツィアの気持ちも、ティアナの気持ちも、メルヴィンの気持ちもわかって、応援したくなるヒロインにキャラクターで、無理なく読めました。
ヒロインのルクレツィアがとにかく真面目な少女なので(環境的にそうならざるを得なかった)どちらかというと多分にシリアスなお話なのですが、真面目なルクレツィアの行動から生まれるユーモアがおもしろかったりして、後半はくすくすと笑いながら読むこともできました。
ただ、物語背景がシビアなので、コバルトのこういった少女小説にしては珍しく血生臭い死人が沢山出るのが、なかなか衝撃でした。
しかし読後感は悪くないどころかとてもいいもので、丁寧な小説だなと思いながらじっくりと読んでいました。
また、印象的だったのは作者様のあとがきで、こんな作者様のかかれる物語だから、こんなにも丁寧な物語が生まれるんだなと思いました。
応援したい作家様に出会えるという事は、読者にとっても運命的な物です。
今後の活躍も楽しみにしたいと思います。
この本の概要
著者 白州梓
本(作者)の国籍 日本
訳者
イラスト 池上紗京
出版社 集英社
レーベル コバルト文庫
ジャンル 少女小説(ヒストリカル・ロマン)
ページ数 233ページ
フォーマット 紙本
ノンシリーズかシリーズものか? 単巻
なぜこの本を読んだか。本屋で目に留まって。
本の入手方法 書店にて購入。
収録作品
受賞・ノミネート情報など
2015年度ノベル大賞受賞作
内容
ルクレツィアは、15歳でアウガルテン王国の皇太子妃となった。しかし皇太子シメオンは一度も彼女の部屋を訪れることはなく、後日、シメオンがマリーという下働きの娘を愛していると判明。ほどなく国王が崩御し、ルクレツィアは王妃となった。そして側室となったマリーが懐妊。それでも王妃としての務めを果たそうと懸命なルクレツィアだったが、隣国に攻め込まれた王国は敢えなく陥落し…?
。・.。*゚+。。.。・.。*゚+。。.。・.。*゚+。。.。・.。*゚+。。.。・.。*゚+。。.。・.。*゚+。。.。・・
スポンサーサイト
● COMMENT FORM ●
トラックバック
http://enchantedbooks789.blog.fc2.com/tb.php/665-02af5ab3
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)